2025年に入り、株式市場はじわじわと下落を続けています。
特にS&P500の動向を見てみると、75日移動平均線を大きく下回る展開が続き、さらに200日移動平均線付近で踏みとどまっている状態です。しかし、この重要な支持線を下回ると、市場はより深刻な調整局面に入る可能性が高まります。
そんな中、ブルームバーグが衝撃的な記事を公開しました。
そのタイトルは 「トランププットへの期待しぼむ」。
これまで、トランプ前大統領は市場の下落時に支援策を講じて株価を下支えすることが期待されていました。これを「トランププット」と呼びます。しかし、今回の報道では 「トランプは市場を見捨てた」 という内容が示唆されており、投資家の不安が急速に高まっています。
本記事では、
- トランププットとは何か
- 市場が動揺する理由
- 今後の相場の行方
- 投資家が今やるべきこと
これら4つの視点から、今回の問題の本質を分かりやすく解説していきます。
1. トランププットとは?
「トランププット」とは、トランプ前大統領が株式市場の大幅下落に直面した際、関税政策の修正や市場支援策を打ち出して、株価を下支えするだろうという市場の期待を指す言葉です。
特に第1次トランプ政権時(2017年~2021年)は、彼が頻繁に市場を意識した発言や政策を行っていました。例えば、
- 2019年8月:S&P500が6%下落 → 中国への関税を一部延期すると発表 → 株価は回復。
- 2020年3月:コロナショックによる暴落 → 大規模な財政出動と金利引き下げを発表 → 株価は急回復。
このように、過去の例を見ても「トランプが市場を支える」という期待感が市場には根付いていました。しかし、今回は事情が異なるようです。
現在のS&P500の動向を見てみると、2月19日の市場最高値 6,144ポイント から -6.08% ほど下落しており、10%下落ライン(5,529ポイント)に迫っています。
トランププットが発動する基準とされる10%下落ラインを下回ると、市場は一層の混乱を招く可能性があります。しかし、今回トランプ氏が市場を気にしていないとすれば、このラインを割っても何の支援策も講じられないかもしれません。
2. 市場が動揺する理由
市場が今回動揺しているのには 2つの大きな要因 があります。
(1) 関税方針のブレによる投資家の不信感
トランプ氏は、第2次政権に向けて関税政策を強化するとしていましたが、その方針が 二転三転 していることが投資家の不信感を高めています。
- メキシコ・カナダ・中国に対する関税 の適用時期を何度も変更。
- 実施する → 延期する → やはり実施する というように、発言がブレ続けている。
これにより、企業の経営戦略が立てにくくなり、投資家も先行きの不透明感を強めています。
(2) トランプ氏の衝撃発言
2024年3月6日、トランプ氏は米株式市場の急落について 「私は株式市場に目を向けてすらいない」 と発言しました。
これは、彼のこれまでの姿勢とは大きく異なります。第1次政権では「株価が上がること」を自らの政策の評価基準としていたにもかかわらず、今回はその関心がないと明言したのです。
また、財務長官のベセント氏も 「トランププットなど存在しない」 と発言し、市場の不安をさらに煽ることになりました。
3. 今後の相場はどうなるのか?
この不透明な状況の中で、専門家の意見は分かれています。
キース・ラーナー氏(Truist FinancialのCIO)によると、
「株価が10~15%以上下落し続ける場合、トランププットが発動される可能性がある」
つまり、トランプ氏は 株価が大きく下がった場合には何らかの対策を講じる可能性がある という見方もあります。ただし、その水準がどこになるかは不明です。
加えて、米国の関税政策によるインフレ懸念や、日米の金利差による円高リスクも市場の下落要因となっています。
4. 投資家が今やるべきこと
今回のような市場の混乱時に、投資家が取るべき対策は 3つ あります。
(1) 現金比率を高める
市場の下落時に備えて、ポートフォリオ内の 現金比率を増やす ことが重要です。
- 暴落時の損失を抑える
- 安くなった株を買うための資金を確保する
(2) 円高に備えたポートフォリオの調整
円高が進むと 海外投資信託の価値が下がる ため、日本国内の内需関連銘柄(小売・サービス業など)への分散投資が有効です。
(3) ゴールドを活用する
ゴールドは、
- インフレに強い
- 景気変動に左右されにくい
- 有事の際の安全資産
という特徴があるため、市場が不安定なときに資産防衛策として有効です。
まとめ
今回の市場の下落は、
- トランププットが機能しない可能性
- トランプ氏の関税政策の不透明感
- 円高リスク
という複数の要因によって引き起こされています。
ただし、長期投資を続けることが重要であり、適切な資産配分と対策を講じることでこの不安定な時期を乗り越えることができるでしょう。
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