インフレが進行中の現代経済における賃金と物価の関係について、初心者にもわかりやすく解説した動画です。
特に「名目」と「実質」の違いを理解することが、これからの資産管理に非常に重要です。
名目賃金と実質賃金の違い
まず、名目賃金と実質賃金の違いから解説します。
名目賃金とは、表面上の給料の額です。
例えば、去年給料が30万円だった人が、今年31万円になった場合、名目賃金は3.3%上がったことになります。
しかし、物価も上がっている場合、実質賃金というのはどうなるでしょうか。実質賃金は、物価上昇を考慮した後の賃金のことを指します。具体例で見てみましょう。
具体的な計算例
- 名目賃金の上昇: 給料が30万円から31万円に上がった場合、名目賃金は3.3%アップです。
- 物価の上昇: 同じ期間に、家賃が8万円から10万円に、ガソリンや食費なども同様に上昇し、生活費が全体で10%上がったとします。
この場合、生活を同じレベルで維持するには、30万円の生活が33万円になります。しかし、給料は31万円ですから、実質的な購買力は下がっていることになります。
実質賃金は、名目賃金の上昇率から物価上昇率を引いたものです。ここでは、3.3% (名目賃金の上昇率) – 10% (物価上昇率) = -6.7% となり、実質賃金は6.7%減少しています。
賃金とは、モノを買って生活水準を保つための購買力です。
インフレ等がある以上、名目賃金で比較しても意味がありません。
インフレと投資
インフレの時代において、名目賃金だけでなく、物価の上昇との比較で実質賃金を考えることが重要です。
さらに、投資においても名目金利と実質金利の違いを理解する必要があります。
例えば、金利が1%でお金を預けた場合、名目上は1年後に1%の利息が付きます。しかし、物価が5%上がっている場合、実質的な購買力は減少しています。
この場合、実質金利は1% (名目金利) – 5% (物価上昇率) = -4%となり、実質的には損をしていることになります。
金投資の重要性
特にインフレ時代には、通貨の価値が目減りするため、金や不動産などの実物資産が注目されます。
金はインフレヘッジ(インフレから資産を守る手段)として知られています。インフレ期には金の価値が上がる傾向があるため、金に投資することで、実質的な購買力を維持することが可能です。
結論:賃金と物価を実質的に考える
経済の議論において、名目値だけでなく実質値を理解することが極めて重要です。
特に、インフレ時代には実質賃金が減少することを理解し、投資や資産管理を賢く行う必要があります。また、物価上昇に応じて賃金や収入を増やしていくことが、同じ生活水準を維持するためには必要です。
知っておきたい専門用語
- 名目賃金:表面上の給料の額であり、物価の変動やインフレを考慮していない状態の賃金。
- 実質賃金:物価上昇などのインフレを考慮した後の賃金のこと。実際に購買力としてどれだけの価値があるかを示す。
- インフレ:物価が一般的に上昇する経済現象。通貨の価値が低下し、同じ金額でより少ない商品やサービスしか買えなくなる。
- デフレ:物価が一般的に下降する経済現象。通貨の価値が上昇し、同じ金額でより多くの商品やサービスが買えるようになる。
- 消費者物価指数(CPI):家庭が購入する商品やサービスのバスケットの価格の変動を測定する指数。インフレ率を計測するための主要な指標。
- 名目金利:表面上の金利で、インフレ率などを考慮していない純粋な金利の値。
- 実質金利:名目金利からインフレ率を差し引いた金利。実際の購買力の増減を示す指標。
- イールドカーブコントロール:中央銀行が特定の期間の金利の目標を設定し、市場操作によって金利の水準をコントロールする政策。
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