本記事は、YouTube動画『【新刊】半導体株を追加するとAI関連が5割超に?オルカン投資家が考えたい集中リスク』の内容を基に構成しています。
新NISAを活用した資産形成では、全世界株式に分散投資できる「オルカン」が人気を集めています。一方、近年の株式市場で存在感を高めているのが、半導体株やAI関連株です。
エヌビディア(NVIDIA)やTSMCなどの半導体企業は、AI需要の拡大を背景に大きく成長してきました。こうした成長企業への投資を増やしたいと考える人も少なくありません。
しかし、ここで注意したいのが、オルカンにはすでに多くの半導体株やAI関連株が組み込まれているという事実です。
オルカンを保有しながら、さらに半導体関連の投資信託を追加すると、資産全体の半分以上が半導体・AI関連企業に集中してしまう可能性があります。
今回取り上げる動画では、新刊『3倍、5倍、10倍の神株が続出!半導体株&AI株投資大全』を紹介しながら、オルカンに含まれる半導体・AI関連株の割合を独自に検証しています。
半導体株を追加すると資産配分はどう変化するのか、個別株と半導体指数のどちらを選ぶべきなのか、そして集中投資のリスクをどのように管理すればよいのかを詳しく解説します。
半導体株・AI関連株への投資が注目される理由
半導体とAIは長期的な成長テーマ
半導体は、スマートフォンやパソコン、自動車、産業機械など、さまざまな製品に使用される重要な電子部品です。
近年は生成AIの普及によって、高性能な半導体の需要が急速に拡大しています。
AIの学習や推論には大量の計算処理が必要であり、その処理を担うGPUなどの高性能半導体が不可欠です。
特にエヌビディアはAI向けGPUの主要メーカーとして存在感を高め、TSMCは先端半導体の受託製造を担う企業として重要な役割を果たしています。
さらに、半導体製造装置を手掛けるASMLや東京エレクトロン、検査装置のアドバンテスト、半導体材料を供給する信越化学工業や味の素なども、関連企業として注目されています。
AIの普及による恩恵を受ける企業は、半導体メーカーだけではありません。
データセンターを運営する企業、AIソフトウェアの開発企業、電力設備や光ファイバーのメーカー、資源開発企業など、幅広い業種に影響が及んでいます。
半導体指数は全世界株式を大きく上回る成績を記録
動画では、半導体関連株の成長を示すデータとして、MSCIオール・カントリー・ワールド指数とSOX指数の過去のリターンが紹介されています。
MSCIオール・カントリー・ワールド指数は、オルカンのベンチマークとして知られる世界株式指数です。
一方、SOX指数は米国市場に上場する主要な半導体関連企業で構成される指数で、フィラデルフィア半導体株指数とも呼ばれます。
動画内で紹介された比較では、MSCIオール・カントリー・ワールド指数の年率リターンが過去5年、10年ともに約12%だったのに対し、SOX指数は過去5年で約20%、過去10年で約27%となっています。
つまり、比較対象となった期間では、半導体関連株が世界株式全体を大きく上回る成績を記録していました。
ただし、こうしたリターンは過去の実績です。今後も同じ成長率が継続するとは限らず、特に半導体株は株価変動が大きい点に注意が必要です。
各国政府も半導体産業を積極的に支援
半導体産業が注目される理由は、企業の成長だけではありません。
半導体は経済安全保障の観点からも重要な産業となっており、各国政府が大規模な支援策を打ち出しています。
米国では2022年に成立したCHIPS法によって、約527億ドル規模の半導体関連支援が設けられました。
日本でも、2030年度までの7年間で半導体・AI分野に10兆円以上の公的支援を行う方針が示されています。
欧州、韓国、台湾、中国なども半導体産業の育成に力を入れています。
こうした政策的な後押しもあり、動画で紹介されている書籍では、半導体とAIを一時的な投資ブームではなく、長期的な「メガトレンド」と位置づけています。
もっとも、産業そのものが成長することと、関連企業の株価が必ず上昇することは別の問題です。市場が将来の成長をすでに株価へ織り込んでいる可能性も考える必要があります。
新刊『半導体株&AI株投資大全』はどんな本なのか
今回の動画で紹介されているのは、2026年9月26日に発売された『3倍、5倍、10倍の神株が続出!半導体株&AI株投資大全』です。
著者は、半導体・AI関連株への長期投資を実践する個人投資家の桶井道氏(オケドン氏)と、半導体分野の専門メディアを運営する新川雄也氏です。
投資家の視点と半導体業界の専門的な視点を組み合わせていることが、本書の特徴となっています。
本文は380ページを超え、半導体とAIの基礎知識から、企業分析、銘柄選び、投資戦略まで幅広く解説しています。
構成としては、半導体・AI分野への投資が注目される理由から始まり、関連技術の基礎知識、銘柄分析の方法、日本企業と外国企業の個別解説、投資スタンスへと進んでいきます。
動画では、初心者向けの基本的な知識から専門的な内容まで網羅した書籍として評価されています。
著者は半導体・AI関連株を7405万円保有
興味深いのは、著者自身の投資状況が具体的に公開されている点です。
動画によると、オケドン氏が保有する半導体・AI関連株は、外国株18銘柄、日本株12銘柄の合計30銘柄です。
その評価額は7405万円と紹介されています。
また、金融資産全体は2億7874万円で、半導体・AI関連株の割合は約27%となっています。
保有銘柄には、エヌビディア、TSMC、ASML、マイクロソフト、パランティアなどが含まれています。
さらに、AI関連データセンターなどで需要が生じる銅に着目し、鉱山会社のサザン・コッパーも投資対象に含めています。
日本株でも、半導体製造装置メーカーだけでなく、半導体材料を供給する企業などに投資しています。
取得価格に対する株価の上昇倍率では、アドバンテストが6.43倍、TSMCが約6倍、ASMLが5.56倍と紹介されています。
動画で示された時点では、30銘柄のうち評価損となっていたのはシノプシスの1銘柄のみでした。
ただし、これらの数値は著者個人の投資実績であり、同様の銘柄に投資すれば同じ利益が得られるという意味ではありません。
また、著者自身も半導体・AI関連株だけに資産を集中させているわけではなく、防衛や国土強靱化など、ほかの投資テーマにも資金を配分しています。
コア・サテライト投資とは?オルカンに半導体株を追加する考え方
本書で提案されている投資手法の1つが、コア・サテライト戦略です。
コア・サテライト戦略とは、資産の大部分を比較的幅広く分散された投資先に配分し、一部を成長性の高い資産や個別株に振り向ける方法です。
例えば、資産全体の70%をオルカンやS&P500のインデックスファンドで運用し、残りの30%を半導体株やAI関連株などに投資する方法が考えられます。
本書では、コアを70%以上、サテライトを30%以下とする目安が紹介されています。
ただし、これはサテライト部分のすべてを半導体・AI関連株に投資すべきという意味ではありません。
動画の解説者は、この戦略について1つの疑問を提示しています。
それは、オルカン自体にすでに半導体・AI関連株が多く含まれているため、さらに関連株を追加すると、資産全体が想像以上に集中してしまうのではないかという点です。
この疑問を検証するため、動画ではオルカンの組入銘柄を詳しく調べています。
オルカンには半導体株・AI関連株がすでに約30~35%含まれている
オルカンの上位10銘柄はすべて半導体・AI関連企業
オルカンは、全世界の株式に分散投資する投資信託として知られています。
しかし、全世界に投資するからといって、すべての企業に均等な割合で投資しているわけではありません。
オルカンが連動するMSCIオール・カントリー・ワールド指数は、基本的に時価総額の大きい企業ほど組入比率が高くなる仕組みです。
そのため、米国の大型テクノロジー企業が資産全体のかなりの割合を占めています。
動画では、エヌビディア、TSMC、ブロードコム、マイクロンなどの半導体企業に加え、Apple、Microsoft、Amazon、Meta、AlphabetなどをAI関連企業として分類しています。
この分類では、オルカンの組入上位10銘柄すべてが半導体・AI関連企業に該当します。
動画で確認した月次レポートによると、これら上位10銘柄だけでオルカン全体の23.9%を占めていました。
つまり、約2400銘柄に投資しているオルカンであっても、上位10銘柄だけで資産の約4分の1を占めていることになります。
半導体株だけでオルカン全体の約16~17%
さらに動画では、オルカンに含まれる半導体関連株の割合を独自に集計しています。
分析に使用したのは、オルカンと同じMSCIオール・カントリー・ワールド指数への連動を目指すETF「iShares MSCI ACWI ETF(ACWI)」の組入銘柄データです。
このETFの2196銘柄を対象に、半導体メーカーや半導体製造装置メーカーなどを抽出しています。
その結果、半導体関連株の比率は約15.9%となりました。
さらに、業種分類上はハードウェア企業として扱われていたサムスン電子を加えると、約17.3%になります。
ただし、これはオルカンそのものの全組入銘柄を直接集計した数値ではなく、同じ指数への連動を目指すETFを利用した推計です。
また、半導体関連企業の範囲によっても数値は変化します。
注目すべきは、半導体関連株の中でも特に大手企業への集中が進んでいる点です。
エヌビディア、TSMC、ブロードコム、マイクロンの4社だけで、抽出された半導体関連株の比率の約6割を占めていました。
AI関連株まで含めると約31.4%
半導体株に加えて、AI関連企業まで対象を広げるとどうなるのでしょうか。
動画では、2026年9月29日時点のETF組入データを用いて再計算しています。
その結果、半導体株と組入上位10銘柄のAI関連企業を合わせた割合は31.4%となりました。
さらに、上位10銘柄以外の主要なAI関連企業も追加すると、約33~34%まで上昇しています。
動画では、オルカンに含まれる半導体・AI関連株は、おおむね30~35%程度と推定しています。
ただし、AI関連企業については明確な統一基準がありません。
例えば、AI向けデータセンターに電力を供給する企業や、設備に使われる銅を生産する鉱山会社まで含めると、関連企業の範囲はさらに広がります。
したがって、この30~35%という数値は、動画の独自分類による概算と考える必要があります。
オルカンに半導体ファンドを30%追加すると資産の半分以上がAI関連に
今回の動画で特に重要なのが、オルカンに半導体関連ファンドを追加した場合の資産配分です。
仮に、資産の70%をオルカン、30%を半導体ファンドに投資するとします。
オルカンに含まれる半導体・AI関連株の割合を31.4%とすると、資産全体の関連株比率は次のように計算できます。
70% × 31.4% + 30% = 51.98%
つまり、オルカン70%と半導体ファンド30%の組み合わせでは、資産全体の約52%が半導体・AI関連株になるということです。
コア部分を全世界株式で分散しているつもりでも、資産全体では半導体・AI関連企業への依存度が高くなることが分かります。
半導体ファンドの比率別シミュレーション
動画では、サテライトの割合を10%、20%、30%と変えた場合の分析も紹介されています。
| 半導体ファンドの割合 | 資産全体の半導体関連株 | 半導体・AI関連株 |
|---|---|---|
| 0%(オルカンのみ) | 約15.9% | 約31.4% |
| 10% | 約24.3% | 約38.3% |
| 20% | 約32.7% | 約45.1% |
| 30% | 約41.1% | 約52.0% |
※動画で紹介された推計値を基に作成。30%の場合の半導体比率は、オルカン内の半導体比率15.9%から計算した参考値です。
この結果から分かるのは、半導体ファンドを10%追加するだけでも、資産全体の半導体・AI関連株の割合が4割近くになるという点です。
半導体株の値上がりを期待して追加投資をする場合でも、資産全体でどの程度集中するのかを確認することが重要になります。
エヌビディア1社への集中リスクにも注意
セクター全体の比率だけでなく、個別企業への集中も無視できません。
動画によると、オルカンに占めるエヌビディアの比率は約4.7%でした。
一方、国内で購入できるSOX指数連動型の投資信託「楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド」では、エヌビディアの割合が約13.1%となっていました。
この2つを組み合わせると、エヌビディア1社への投資比率は次のように変化します。
| 半導体ファンドの割合 | 資産全体のエヌビディア比率 |
|---|---|
| 0% | 約4.7% |
| 10% | 約5.5% |
| 20% | 約6.4% |
| 30% | 約7.2% |
※動画内の組入比率に基づく概算です。
例えば、半導体ファンドを30%組み入れると、エヌビディア1社が資産全体の約7.2%を占めます。
これはオルカンのみを保有する場合と比較して、約1.5倍の集中度です。
エヌビディアの業績が好調で株価が上昇すれば、ポートフォリオ全体のリターンを押し上げる可能性があります。
反対に、AI投資の減速や半導体需要の悪化などによって同社の株価が大幅に下落すると、資産全体への影響も大きくなります。
また、半導体関連企業は共通の経済環境や需給要因によって株価が同じ方向に動く場合があります。
保有銘柄数が多くても、同じ産業に集中していれば十分な分散効果を得られない可能性があるのです。
日本の半導体株はオルカンだけでは十分にカバーできない
一方、オルカンには世界中の企業が含まれているものの、日本の半導体関連企業への投資比率はそれほど高くありません。
動画では、日本の半導体関連企業がオルカン全体のどの程度を占めているのかについても調査しています。
東京エレクトロン、アドバンテスト、キオクシアなどの半導体・製造装置関連企業を集計すると、オルカン全体に占める割合は約0.55%でした。
さらに、ソニーのイメージセンサー事業や信越化学工業のシリコンウェーハ事業など、半導体材料や基盤技術を手掛ける企業まで広げると、約0.93%になります。
そこにソフトバンクグループや、AIデータセンター向けの光ファイバー関連事業を手掛けるフジクラなどを加えても、約1.15%でした。
動画で使用された分類では、日本の半導体・AI関連株への投資比率は、広めに集計してもオルカン全体の約1%にとどまっています。
オルカンに占める日本株全体の比率が約5%であることを考えると、世界株式の中では日本の半導体関連企業への投資額は限定的です。
そのため、日本の半導体産業に特に注目している投資家にとっては、個別株や国内半導体関連ファンドを組み合わせる方法も選択肢になります。
ただし、追加投資によって特定の国や業種への集中が強まる点には注意が必要です。
半導体株は個別株と投資信託のどちらがよいのか
半導体関連株への投資方法としては、個別株を購入する方法と、投資信託やETFを利用する方法があります。
個別株なら日本の中小型半導体企業にも投資できる
個別株投資の特徴は、自分が成長性を評価した企業を直接選択できることです。
例えば、半導体メーカーだけでなく、製造装置、検査装置、素材、部品、AI向け通信設備など、特定の技術分野で競争力を持つ企業に投資できます。
動画で紹介されている書籍には、日本企業46社と外国企業38社の銘柄カタログが掲載されているとのことです。
オルカンでは組入比率が非常に小さい企業や、指数の対象外となる中小型企業を探す際にも参考になります。
ただし、個別株は企業固有のリスクが大きくなる傾向があります。
業績悪化や競争環境の変化、新技術への対応の遅れなどによって、半導体産業全体が成長していても、投資先の企業が期待どおりに成長するとは限りません。
投資信託なら半導体関連企業にまとめて投資できる
個別企業の分析に時間をかけたくない場合は、半導体指数に連動する投資信託やETFを利用する方法があります。
動画で紹介されているのが「楽天・プラス・SOXインデックス・ファンド」です。
動画内では、信託報酬が年0.176%、楽天証券で購入可能、新NISAでは成長投資枠の対象であり、つみたて投資枠では購入できない商品として説明されています。
このようなファンドを使えば、複数の半導体関連企業にまとめて投資できます。
ただし、手数料や販売条件、NISA対象区分などは変更される場合があるため、購入時には最新の目論見書や証券会社の情報を確認する必要があります。
半導体指数はどれも同じではない
半導体関連の投資信託やETFを選ぶ際、注意したいのが連動対象となる指数の違いです。
一口に半導体指数といっても、構成銘柄や組入比率、銘柄ごとの上限設定などは異なります。
例えば、時価総額の大きな企業を高い比率で組み入れる指数では、エヌビディアなどの大型企業の株価変動が指数全体に強く影響します。
一方、銘柄ごとの組入比率に上限を設ける指数では、特定企業への集中を抑えることができます。
動画では、米国上場の半導体ETFを比較すると、エヌビディアの組入比率に約1.5倍の差があると紹介されています。
また、2024年のリターンには約7%の差が生じていたとのことです。
さらに、SOX指数とS&P1500半導体関連指数の比較では、年によって優劣が逆転していると説明されています。
特定の大型半導体企業が大きく上昇する年には、その企業の組入比率が高い指数が有利になる場合があります。
反対に、幅広い半導体関連企業が上昇する局面では、組入比率が分散された指数の方が良好な成績を残す可能性もあります。
つまり、半導体指数に投資する場合でも、どの指数を選ぶかによって投資結果は大きく変わります。
動画では、指数選びも一種の銘柄選びであると指摘しています。
半導体株の最大の注意点は値動きの大きさ
半導体株はS&P500より大きく動く傾向
半導体株は長期的な成長が期待される一方で、株価の変動が大きいことでも知られています。
動画では、半導体株やAI関連株は1日で5%程度動くことがあり、決算発表を受けて10%以上変動する場合もあると紹介されています。
さらに、SOX指数のS&P500に対するベータ値は、過去3年間の分析で約2.0だったと説明されています。
ベータ値とは、市場全体の値動きに対して、特定の資産がどの程度反応する傾向にあるかを示す指標です。
ベータ値が2.0の場合、過去の統計的な関係では、市場が1%動くと、その資産が平均的に約2%動く傾向があったことを意味します。
ただし、常に正確に2倍動くという意味ではありません。
また、2022年には半導体関連指数が年間で3分の1以上下落したことも紹介されています。
半導体株は上昇局面で大きな利益が期待できる一方、下落局面では大幅な損失が発生する可能性があります。
1年間で112%上昇しても短期間に22%下落
動画では、楽天・プラス・SOXインデックス・ファンドの具体的な値動きも紹介されています。
動画によると、2026年8月末までの過去1年間の騰落率はプラス112%でした。
一方、2026年6月23日の基準価額3万7695円から、8月末には2万9357円まで下落しています。
この間の下落率は約22.1%です。
長期的には大きく上昇していても、途中で20%以上の下落が発生することは十分にあり得ます。
投資家にとって重要なのは、期待リターンだけでなく、こうした下落に耐えられる資産配分になっているかという点です。
特に半導体ファンドをサテライトとして追加する場合、資産全体の値動きがどの程度大きくなるかを考えておく必要があります。
半導体のシリコンサイクルと長期投資
半導体産業には「シリコンサイクル」と呼ばれる景気循環があります。
半導体は需要が増加すると企業が設備投資を拡大しますが、生産能力が増えすぎると供給過剰となり、価格の下落や企業業績の悪化につながる場合があります。
その後、在庫調整や設備投資の抑制によって需給が改善し、再び成長局面に入るという循環です。
一般的には3~4年程度の周期が指摘されることがあります。
動画で紹介された書籍では、こうした循環を踏まえ、長期投資家は短期的な下落を過度に恐れる必要はないという考え方が示されています。
著者自身も、購入したい企業のリストを作成し、毎月順番に買い付ける方法を実践しているとのことです。
ただし、シリコンサイクルの期間は一定ではありません。
AI需要のような構造的な変化や、各国の貿易規制、設備投資の動向などによって周期が変化する可能性があります。
また、長期的な成長産業であっても、すべての企業が回復するとは限りません。
そのため、長期保有を前提にする場合でも、投資先の競争力や財務状況を継続的に確認することが重要になります。
半導体・AI関連の個別株を選ぶ際のポイント
紹介されている書籍では、個別株の分析方法として17項目のチェックポイントが設けられています。
動画では、取引先、時価総額、世界市場での立ち位置、経営者、自社株買いなどが例として紹介されています。
半導体企業を分析する際には、単純に売上高や利益の成長を見るだけではなく、その企業が半導体産業の中でどのような役割を担っているかを理解することが重要です。
例えば、AI向けGPUを設計する企業と、半導体製造装置を販売する企業では、収益構造や需要変動の影響が異なります。
また、半導体の材料を供給する企業の場合、製造工程で不可欠な技術を持っているか、競合企業が参入しにくい市場であるかといった観点も重要になります。
成長株では配当金を重視しすぎない考え方も
本書では、半導体・AI関連株について、配当金はそれほど重要ではないという考え方も紹介されています。
成長企業の場合、利益を配当として株主に還元するよりも、研究開発や設備投資、新規事業などに再投資する方が、長期的な企業価値の向上につながる可能性があります。
そのため、配当利回りの高さよりも、成長率や競争優位性、将来の収益力を重視する投資スタイルが考えられます。
ただし、配当金が少ない企業ほど優れているという意味ではありません。
成熟した企業でも高い収益性や競争力を持つ場合があり、株主還元と成長投資のバランスを確認することが大切です。
投資対象の国や通貨についても独自の方針
動画によると、本書では中国企業への直接投資を積極的には推奨せず、米国、台湾、日本などの企業を中心に投資対象を検討する方針が紹介されています。
また、投資に使用する通貨についても、円と米ドルの2通貨に絞ることを理想とする考え方が示されています。
これは著者の投資方針であり、すべての投資家に共通する最適解というわけではありません。
企業の成長性だけでなく、政治・規制リスクや為替リスクも投資判断に影響するため、自分の投資方針に合った対象を選ぶ必要があります。
オルカン投資家は半導体株を何%追加するべきなのか
今回の動画で示されている重要な考え方は、半導体株を何%追加するかを先に決めるのではなく、資産全体の何%まで半導体・AI関連株に集中してもよいかを先に考えることです。
例えば、半導体関連株への投資比率を資産全体の25%程度に抑えたいとします。
動画の推計では、オルカンだけですでに約15.9%が半導体関連株です。
そのため、資産の約10%を半導体ファンドに振り向けると、半導体関連株の合計は約24.3%になります。
一方、半導体・AI関連株の合計を40%程度にしたい場合は、オルカンに対して半導体ファンドを約12.5%組み合わせるだけでも、ほぼその水準に到達します。
これはオルカンの内部構成を考慮しているためです。
すでに半導体・AI関連株を多く保有している投資家と、債券や現金、ほかの業種の株式を多く保有している投資家では、適切な追加投資の割合も異なります。
動画の解説者自身は、金融資産全体の約52%をオルカンで保有し、残りには半導体・AI以外の個別株なども組み入れていると説明しています。
その結果、金融資産全体に占める半導体・AI関連株は約20%程度にとどまっており、今回の書籍を読んだことで、関連株への投資を少し増やすことも検討したいと述べています。
重要なのは、オルカン単体での半導体・AI関連株比率と、自分の金融資産全体での比率を区別することです。
半導体株を追加する前に確認したい3つのポイント
1. オルカンに含まれる関連株を二重に数えない
オルカンにはすでに半導体・AI関連企業が数多く含まれています。
新たに半導体ファンドを購入する場合は、オルカンと追加ファンドの両方に含まれる銘柄を考慮して、資産全体の集中度を確認する必要があります。
特に、エヌビディアやTSMCなどの大型企業は複数のファンドに重複して組み入れられている場合があります。
異なる投資信託を複数購入しても、投資先の企業が重複していれば、想定したほど分散できていない可能性があります。
2. 半導体ファンドの指数と組入銘柄を確認する
SOX指数に連動するファンドでも、指数の算出方法や銘柄構成を理解することが重要です。
特定の大型企業への集中度が高い指数と、組入比率を抑えている指数では、株価の変動特性が異なります。
信託報酬だけでなく、どの企業にどの程度投資しているかを確認することが大切です。
3. 大幅下落しても保有を続けられる割合にする
半導体関連株は、短期間で20~30%以上下落する可能性もある値動きの大きな資産です。
期待リターンの高さだけを見て投資比率を決めると、下落局面で想定以上の損失が発生する場合があります。
動画では、インデックス投資を中心にしている人が個別の半導体・AI関連株を購入する場合、サテライトの中でもさらに小さな割合から始める考え方が示されています。
少額から投資し、値動きや企業分析に慣れながら調整する方法も選択肢になります。
まとめ:オルカンに半導体株を追加する前に資産全体の集中度を確認しよう
半導体・AI関連産業は、生成AIの普及やデータセンターへの投資拡大、各国政府による支援などを背景に、長期的な成長が期待されている分野です。
一方、すでにオルカンを保有している投資家は、半導体・AI関連企業への投資比率が想像以上に高くなっている可能性があります。
今回の動画の独自検証では、オルカンの約16%が半導体関連株、AI関連企業まで含めると約30~35%を占めると推計されています。
さらに、オルカン70%と半導体ファンド30%を組み合わせた場合、資産全体の約52%が半導体・AI関連株になるという結果が示されました。
また、半導体関連ファンドを10%追加するだけでも、資産全体の半導体・AI関連株比率は約38%に達します。
半導体株への追加投資を検討する際には、単純に成長性や過去のリターンだけを見るのではなく、すでに保有しているファンドの構成銘柄を確認することが大切です。
今回紹介された書籍では、半導体・AI関連企業の分析方法や銘柄カタログ、長期投資の考え方などが詳しく解説されており、関連分野への理解を深めるきっかけになります。
ただし、半導体産業の成長が続いたとしても、すべての関連株が上昇するとは限りません。
半導体株をどれだけ追加するかではなく、資産全体のどれだけを半導体・AI関連株に配分しても問題ないかを先に考える。
これが、今回の動画から得られる最も重要なポイントといえるでしょう。
※記事内の組入比率、投資信託の騰落率、書籍の内容などは動画で紹介された時点の情報に基づいています。半導体・AI関連企業の分類や比率には動画独自の推計が含まれており、最新の数値や将来の運用成果を保証するものではありません。


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