本記事は、YouTube動画『6月に仕込みたい高配当株4選』の内容を基に構成しています。
導入
株式投資では、株価が下がると不安になる人がほとんどです。保有株が下落すれば、含み損が増え、チャートを見るたびに気持ちが重くなることもあります。
しかし、高配当株の場合、株価の下落が必ずしも悪いことばかりとは限りません。なぜなら、配当金が維持される前提であれば、株価が下がるほど配当利回りが上昇するからです。
たとえば、1株1000円の株が年間10円の配当を出している場合、配当利回りは1%です。しかし株価が500円まで下がると、同じ10円の配当でも利回りは2%になります。つまり、株価が下がるほど「配当目的で買いたい」と考える投資家が増えやすくなり、一定の価格帯で買い支えが入りやすくなるのです。
もちろん、すべての高配当株が安全というわけではありません。業績が悪化し、配当が減らされたり、無配になったりする銘柄もあります。そのため重要なのは、単に利回りが高い銘柄を選ぶことではなく、業績、配当の継続性、チャートの位置を総合的に見て判断することです。
今回の動画では、6月に注目したい高配当株として、電通グループ、キリンホールディングス、ヒューリック、日清紡ホールディングスの4銘柄が紹介されています。
なぜ6月は高配当株の仕込み時になりやすいのか
6月が高配当株の仕込み時として注目される理由の1つは、12月決算企業にとって6月末が中間配当の権利確定時期になるためです。
今回紹介されている4銘柄はいずれも12月決算企業です。つまり、6月末までに株を保有していれば、中間配当を受け取れる可能性があります。逆に、7月に入ってから買った場合、その年の中間配当の権利はすでに通過してしまいます。
さらに、6月は日本企業の株主総会が集中する時期でもあります。株主総会では、配当方針、中期経営計画、事業戦略などが発表されることもあり、株価が一時的に大きく動くことがあります。
このような値動きの中で、自分が狙っていた価格まで株価が下がる場面があれば、配当を受け取りながら中長期で保有するチャンスになる可能性があります。
高配当株は「利回り」だけで選んではいけない
高配当株を見るとき、多くの人はまず配当利回りに注目します。確かに、利回りが3%、4%、5%と高ければ魅力的に見えます。
しかし、利回りが高い理由には注意が必要です。
株価が大きく下がった結果、見かけ上の利回りが上がっているだけのケースもあります。この場合、業績悪化によって将来の減配や無配が起きれば、想定していた配当を受け取れなくなる可能性があります。
そのため動画では、銘柄を見る際に次の3つが重要だと説明されています。
業績が回復または成長しているか。
配当を継続できる利益水準があるか。
チャート上で過熱感がなく、買いやすい位置にあるか。
この3つを確認することで、単なる「高利回りの罠」を避けやすくなります。
電通グループ|赤字からの黒字転換を狙う逆張り候補
最初に紹介されたのは、電通グループです。証券コードは4324です。
電通グループは、広告業界を代表する大手企業です。テレビCM、マーケティング、スポーツイベント、グローバル広告事業など幅広い領域を手掛けてきました。
しかし近年は業績が大きく悪化し、2024年12月期に1921億円の赤字、2025年12月期に3276億円の赤字を出したと説明されています。さらに配当も0円となっており、通常の高配当株として見ればかなり警戒される状態です。
一見すると、配当目的で買う銘柄には見えません。しかし動画では、電通グループを「配当だけを見る銘柄」ではなく、業績回復と株価回復の2段構えで見る逆張り候補として紹介しています。
株価はかつて7300円台をつけていましたが、一時2600円台まで下落しました。その後、2026年1月に3552円まで戻したものの、3月末には2642円まで再び下落し、直近では3045円まで回復していると説明されています。
注目点は、2026年12月期の予想です。売上は1兆4915億円、前年比3.9%増の見通しで、最終利益は697億円、EPSは268.5円と黒字転換が見込まれています。
EPSとは、1株あたり利益のことです。会社全体の利益を発行済み株式数で割ったもので、株主にとってどれだけ利益が生み出されているかを見る指標です。
もしこのEPS268.5円が実現すれば、将来的に配当再開の余地も出てきます。ただし、現時点では配当が未確定であり、過去2年間無配だった点を考えると、配当目的で安易に飛びつく銘柄ではありません。
電通グループは、業績回復を市場が信じ始めたときに株価が見直される可能性がある銘柄です。つまり、今すぐ全力で買うというよりも、監視リストに入れて決算や株価の動きを追うべき銘柄といえます。
キリンホールディングス|内需に強い守備型の高配当株
次に紹介されたのは、キリンホールディングスです。証券コードは2503です。
キリンと聞くと、多くの人はビールや飲料を思い浮かべるでしょう。生活に身近な企業であり、株主優待のイメージを持つ人も多いかもしれません。
動画では、キリンを「内需に強い大型高配当株」として紹介しています。
株価は2496.5円、時価総額は約2兆371億円、配当利回りは3.04%とされています。電通グループのような大きな逆張り銘柄ではなく、安定感を重視した銘柄です。
現在の相場では、海外情勢、関税、金利、為替など、外部要因によって株価が大きく揺れることがあります。そのような局面では、国内需要に支えられた銘柄が安心材料になりやすいと動画では説明されています。
チャート面では、3月2日に2742円の高値をつけた後、4月23日に2446.5円まで下落しました。下落率は約11%です。直近株価は2496.5円で、25日線や75日線をやや下回る水準にあるとされています。
業績面では、2024年12月期は最終利益582億円、EPS71.9円、配当71円でした。EPS71.9円に対して配当71円ということは、稼いだ利益のほとんどを配当に回していた状態であり、余裕はあまりありませんでした。
しかし、2025年12月期には最終利益1475億円、EPS182.1円、配当74円まで回復しました。そして2026年12月期は、売上2兆4800億円、最終利益1560億円、EPS193.4円、配当76円の増配予想となっています。
EPS193.4円に対して配当76円であれば、配当性向は約39%です。これは無理に配当を出しているというより、利益の一部を株主還元に回し、残りを成長投資に使えるバランスの良い水準といえます。
また、キリンは株主優待も魅力です。100株を1年以上保有すると500円相当、3年以上保有すると2000円相当の優待に増えると説明されています。1000株や3000株を長期保有することで、さらに優待額が増える仕組みもあります。
6月は中間配当、12月は優待も視野に入るため、配当と優待の両方を楽しみながら長期保有しやすい銘柄といえます。
ヒューリック|業績成長と高配当を両立する本命候補
3つ目に紹介されたのは、ヒューリックです。証券コードは3003です。
動画では、この銘柄が「本命」として強く紹介されています。
ヒューリックは、東京都心部を中心にオフィスビルやホテルを保有し、賃料収入を得る不動産会社です。自社で不動産を保有し、安定した賃料収入を得るビジネスモデルのため、収益の安定性が注目されています。
株価は1802.5円、配当利回りは3.72%、100株なら約18万円から購入できる水準です。今回紹介された4銘柄の中では、配当利回りが最も高い銘柄として説明されています。
ヒューリックの魅力は、単に利回りが高いだけではありません。業績がしっかり伸びている点が大きな特徴です。
2025年12月期の売上は7274億円、営業利益は1868億円でした。売上に対する営業利益率は約25.68%です。一般的な企業では営業利益率が数%から10%程度というケースも多いため、非常に高い収益性を持っていることが分かります。
最終利益は1143億円、EPSは150.5円、配当は62円でした。配当性向は約41%で、利益の4割程度を配当に回し、残りを次の投資に使うバランスです。
さらに2026年12月期は、営業利益2100億円、最終利益1210億円、EPS159.4円、配当67円の増配予想となっています。ROEも13.09%とされており、資本を使って効率よく利益を生み出していることが分かります。
チャート面では、2月26日に2094円の高値をつけた後、4月27日に1742.5円まで約17%下落しました。直近は1802.5円で、まだ高値から戻り切っていない水準です。
ヒューリックには株主優待もあります。300株以上を2年以上継続保有すると、3000円相当のカタログギフトと3000円相当のホテル利用券、合計6000円相当の優待が受けられると説明されています。
対象となるホテルには、ザ・ゲートホテル東京、京都高瀬川、浅草などが含まれるとされ、旅行やホテル利用が好きな人にとっては魅力的です。
ただし、優待を受けるには300株以上が必要です。株価1802.5円で計算すると、最低投資額は約54万円になります。一括で買うにはやや大きな金額のため、動画では少しずつ買い集める方法が現実的だと説明されています。
ヒューリックは、配当、業績、優待の3つがそろった王道の高配当株として、長期保有を考えやすい銘柄です。
日清紡ホールディングス|40年以上減配していない継続力が魅力
最後に紹介されたのは、日清紡ホールディングスです。証券コードは3105です。
日清紡ホールディングスは、ブレーキ用摩擦材、無線通信機器などを手掛ける企業です。一般消費者にはあまりなじみがないかもしれませんが、動画では「派手さはないが、信頼できる歴史で選ぶ銘柄」として紹介されています。
最大の特徴は、40年以上減配していないことです。
株式市場では、景気後退、リーマンショック、コロナショックなど、さまざまな危機がありました。その中でも配当を維持し続けてきたという実績は、株主還元に対する姿勢を示す重要な材料になります。
配当利回りは1.71%と、今回紹介された他の銘柄に比べると低めです。ヒューリックの3.72%、キリンの3.04%と比べると、数字だけでは見劣りします。
しかし、利回りが高い銘柄でも、減配や無配になれば意味がありません。日清紡ホールディングスは、配当額の大きさよりも、配当を続ける力に注目する銘柄です。
株価は2133円、100株で約21万円から購入できます。チャートでは、3月31日に1426.5円の安値をつけた後、5月7日に2167.5円まで約52%急回復したと説明されています。
業績面では、2025年12月期の売上が5030億円、営業利益が264億円、最終利益が139億円、EPSが89.1円、配当が36円でした。配当性向は約40%で、無理のない水準です。
一方、2026年12月期は売上5110億円と1.7%増収予想ながら、営業利益は210億円で20.5%減、最終利益は100億円で28.2%減、EPSは64.0円で28.1%減の見通しです。
利益は減少する予想ですが、配当は36円で据え置きとされています。EPS64.0円に対して配当36円なので、配当性向は約56%になります。やや高くなりますが、極端に危険な水準ではないと動画では説明されています。
また、自己資本比率は約40%あり、財務面でも一定の安定性があります。PBRは1.14倍で、帳簿上の価値と比較して過度な割高感はないとされています。
日清紡ホールディングスは、大きな値上がりを狙う銘柄というよりも、配当の継続力と財務の安定性を重視して、長期でじっくり保有するタイプの銘柄です。
高配当株で大切なのは「待てる銘柄」を選ぶこと
今回紹介された4銘柄は、それぞれ性格が異なります。
電通グループは、赤字から黒字転換を狙う逆張り候補です。
キリンホールディングスは、内需に強く、配当と優待を楽しめる守備型の大型株です。
ヒューリックは、業績成長、高配当、株主優待がそろった王道の高配当株です。
日清紡ホールディングスは、40年以上減配していない継続力を評価する銘柄です。
共通しているのは、単に配当利回りが高いから紹介されているわけではないという点です。それぞれに「なぜ今見るのか」という理由があります。
高配当株の本当の強さは、株価が動かない時間を、配当を受け取る時間に変えられることです。短期的な値上がりだけを狙う投資では、株価が思うように上がらない期間がストレスになります。
しかし、配当を受け取りながら待てる銘柄であれば、株価が横ばいでも保有を続ける理由が生まれます。
まとめ
今回の動画では、6月に注目したい高配当株として、電通グループ、キリンホールディングス、ヒューリック、日清紡ホールディングスの4銘柄が紹介されました。
6月は12月決算企業にとって中間配当の権利確定時期であり、さらに株主総会も集中するため、株価が動きやすい時期です。そのため、配当を受け取りながら中長期で保有したい銘柄を探すには、重要なタイミングといえます。
ただし、高配当株は利回りだけで選んではいけません。業績が悪化している銘柄では、減配や無配のリスクがあります。大切なのは、業績、配当の継続性、チャートの位置を総合的に見て、自分が納得できる価格で買うことです。
株式投資では、焦って飛びつくよりも、買いたい価格を決めて静かに待つ姿勢が重要です。今回紹介された銘柄も、すぐに全力で買うのではなく、監視リストに入れて、決算や株価の動きを確認しながら判断することが大切です。
高配当株は、株価が下がると利回りが上がり、買い支えが入りやすくなることがあります。しかし、それが本当に「底の硬さ」につながるかどうかは、配当を維持できる業績があるかにかかっています。
6月の相場で高配当株を狙うなら、目先の利回りだけでなく、長く持ち続けられる理由があるかどうかを冷静に見極めることが重要です。


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