金(ゴールド)はなぜマイナス20%下落したのか?安全資産の誤解と長期投資での正しい考え方

本記事は、YouTube動画『金(ゴールド)、マイナス20%。なぜ?』の内容を基に構成しています。

目次

ゴールドが高値から20%下落した今、投資家が考えるべきこと

金、いわゆるゴールドの価格が大きく下落しています。動画では、直近3ヶ月の値動きを比較すると、日経平均が+12.7%、S&P 500が+10.2%と株式市場が堅調に推移する一方で、ゴールドは-13.3%となり、最高値からの下落率ではついに-20%を超えたと説明されています。

通常、ゴールドは「安全資産」と呼ばれることが多いため、投資初心者の中には「安全資産なのに、なぜ20%も下がるのか」と不安に感じる人も少なくありません。特に、中東情勢など地政学リスクが残っている状況でゴールドだけが下落しているように見えると、「ゴールドの時代は終わったのではないか」と考えてしまう人もいるでしょう。

しかし、動画では今回の下落だけを見て、ゴールドが終わったと判断するのは早いと説明されています。ゴールドは安全資産と呼ばれる一方で、現金のように価格が固定されているものではありません。株式や債券と同じように、日々価格が変動する投資対象です。そのため、20%程度の下落は過去の歴史から見れば決して異常な崩壊とは言えず、むしろ長期投資では普通に起こりうる値動きだとされています。

重要なのは、ゴールドが下がったから慌てて売る、あるいは下がったから全力で買うという極端な判断をすることではありません。自分の資産全体の中で、ゴールドをどのような役割で持つのかを冷静に考えることです。

株式市場が強い一方でゴールドだけが下落している理由

動画ではまず、株式市場が堅調な中でゴールドだけが下落している状況について解説されています。2026年1月にゴールドは5,558ドルの高値をつけ、その後5月下旬には4,447ドルまで下落しました。下落率は約20%です。

株式投資をしている人であれば、20%の下落は「よくある調整」と感じるかもしれません。しかし、ゴールドの場合は「安全資産」というイメージが強いため、20%下落すると必要以上に不安を感じやすくなります。

ここで大切なのは、「安全資産=値下がりしない資産」ではないという点です。ゴールドは現金ではありません。価格変動がある金融資産であり、短期的には大きく上がることもあれば、大きく下がることもあります。

実際、過去のゴールド相場を振り返ると、今回より大きな下落は何度もありました。2013年には年間で約30%下落し、2011年から2015年にかけては高値から安値まで約44%下落しました。さらに1980年から2001年までの長期停滞局面では、高値から安値まで約63%も下落しています。

このように見ると、今回の約20%下落は、ゴールドの長い歴史の中では異常な暴落とは言い切れません。もちろん短期的には不安になる値動きですが、過去にはさらに大きな下落を経験しながらも、ゴールドは長期的に資産としての役割を保ってきました。

ゴールドが短期的に売られている3つの要因

では、なぜ今回ゴールドは下落しているのでしょうか。動画では、短期的な理由として大きく3つの要因が紹介されています。

金利が高い局面ではゴールドが売られやすい

1つ目の理由は、金利が高いことです。

ゴールドは利息を生みません。株式のように配当を出すわけでもなく、債券のように利回りが得られるわけでもありません。米国債や預金の金利が高い局面では、「安全性を求めるなら、利息がつく資産を持てばよいのではないか」と考える投資家が増えます。

特に、地政学リスクや中東情勢の緊張によって原油価格が上がると、インフレ懸念が高まりやすくなります。インフレ懸念が高まると、中央銀行は利下げをしにくくなり、場合によっては利上げの可能性も意識されます。

金利が高止まりする環境では、利息を生まないゴールドにとって逆風になります。そのため、有事だから必ずゴールドが上がるわけではありません。有事によってインフレ懸念が高まり、それが金利上昇につながる場合には、むしろゴールドが売られることもあります。

リスク回避ムードが後退している

2つ目の理由は、リスク回避ムードが一部後退していることです。

市場は単に「不安があるかどうか」だけで動くわけではありません。不安が拡大する方向なのか、それとも和らぐ方向なのかを見ています。たとえば停戦期待や和平期待が出てくると、安全資産からリスク資産へ資金が戻りやすくなります。

つまり、地政学リスクが完全になくなっていなくても、「最悪期は過ぎたのではないか」と市場が判断すれば、ゴールドから株式などに資金が移ることがあります。

株式市場に期待材料が多い

3つ目の理由は、株式市場に期待材料が豊富にあることです。

動画では、AI、半導体、企業業績、利益期待などが挙げられています。こうした成長テーマがある中で、地政学リスクが少しでも和らぐと、投資家は再び株式市場に資金を戻しやすくなります。

特にAIや半導体関連は近年の株式市場をけん引してきたテーマであり、投資家の関心が集まりやすい分野です。株式市場に魅力的な材料が多いと、短期的にはゴールドよりも株式が選ばれやすくなります。

ただし、これはあくまで短期的な売り材料です。動画でも強調されている通り、短期の値動きと長期の投資理由は分けて考える必要があります。

それでもゴールドが長期で強い理由

ゴールドは配当を出しません。利息もありません。株式のように企業が利益を生み出すわけでもありません。それにもかかわらず、長期で見るとしっかりとリターンを出してきた資産です。

動画では、ワールド・ゴールド・カウンシルの分析として、1971年から2024年までのゴールドの実績リターンが年率約8%であったことが紹介されています。途中には大きな下落や長期停滞もありましたが、それらをならして見ると年率約8%という結果になっています。

さらに、ワールド・ゴールド・カウンシルの長期期待リターンモデルでは、今後15年のゴールドの期待リターンを年率5.2%としています。守りの資産として考えれば、これは十分に意味のある数字です。

ゴールドの強さはリターンだけではありません。需要の柱が複数あることも重要です。動画では、2026年1月から3月期の金需要について、全体で1,231トン、前年同期比+2%と説明されています。金額ベースでは1,930億ドル、前年同期比+74%となり、四半期として過去最高だったとされています。

また、中央銀行による純購入も前年同期比+3%、前期比+17%とされ、需要の柱がまだ残っていることが示されています。バーやコインの需要も474トン、前年同期比+42%となり、四半期として過去2番目の水準だったと説明されています。

中央銀行の買いは特に重要です。個人投資家のように短期的な値上がりを狙って売買するのではなく、外貨準備の分散や通貨リスクへの備えとしてゴールドを保有します。つまり、中央銀行は今日買って明日売るような短期投資家とは行動原理が違います。

このような需要が続いている限り、ゴールドの長期テーマが完全に終わったとは考えにくいのです。

過去には600%以上上昇したゴールド相場もあった

動画では、ゴールドの過去の大きな上昇相場についても紹介されています。

2022年から2025年にかけて、ゴールドは約170%上昇しました。これだけでも非常に大きな上昇に見えますが、過去にはさらに大きな上昇局面がありました。

1976年から1980年にかけては約518%上昇し、2001年から2011年にかけては約643%も上昇しました。特に2001年から2011年は米国株が弱かった時期でもあり、株式市場が不安定な中でゴールドが資産を守る役割を果たしました。

この点は、ゴールドの本質を考える上で重要です。ゴールドは常に株式より高いリターンを狙うための資産ではありません。株式が弱い局面、通貨不安が強まる局面、金融システムへの不信感が高まる局面で、資産全体の守備力を高める役割があります。

今はゴールドの仕込み時なのか

多くの投資家が気になるのは、「今はゴールドの仕込み時なのか」という点でしょう。

動画では、この問いに対して「短期で当てる」と「長期で組み入れる」は分けて考えるべきだと説明されています。

短期で一発当てたい人にとって、今が底かどうかは誰にも分かりません。今買えばすぐに儲かるとは限らず、さらに下がる可能性もあります。ゴールドは安全資産と呼ばれますが、短期的には大きく下落することもあるからです。

一方で、長期でポートフォリオの一部としてゴールドを持ちたい人にとっては、下落局面で少しずつ組み入れることは検討材料になります。価格が下がったからといって需要が崩壊したわけではなく、長期的な役割が消えたわけでもありません。

ただし、ここで重要なのは「全力で買わない」ことです。ゴールドは資産全体を賭ける資産ではなく、ポートフォリオの一部として持つ資産です。

たとえば、資産全体の5%をゴールドで保有している場合、ゴールドが20%下落しても資産全体への影響は約1%です。10%保有していれば影響は約2%、30%保有していれば影響は約6%になります。

同じ20%の下落でも、資産全体に占める比率によって心理的な負担は大きく変わります。ゴールド単体の値動きだけを見るのではなく、資産全体で見たときにどれくらい影響があるのかを考えることが大切です。

ゴールドは資産形成の主役ではなく守りのカード

動画では、ゴールドをポートフォリオでどう位置づけるべきかについても解説されています。

ゴールドは長期で強い資産ではありますが、資産形成の主役にする必要はありません。なぜなら、ゴールドは何かを生産する資産ではないからです。

株式は企業が利益を生み出します。債券は利息を生みます。不動産は家賃収入を生みます。一方で、ゴールドは持っているだけでは配当も利息も生みません。そのため、資産形成の主役は基本的には株式などの成長資産になります。

では、ゴールドに意味がないのかというと、そうではありません。ゴールドには株式にはない役割があります。それは、ポートフォリオ全体の守備力を高めることです。

ゴールドは、インフレへの備え、通貨不安への備え、地政学リスクへの備え、金融不安への備えとして機能することがあります。また、株式や債券とは異なる値動きをすることがあるため、分散効果も期待できます。

動画では、専門家の間でゴールドの配分は5%前後、あるいは5%から10%程度が目安として語られることが多いと説明されています。一方で、より保守的に5%未満と考える見方もあります。

たとえば資産全体の5%をゴールドにする場合、ゴールドが20%下落しても資産全体への影響は約1%です。その一方で、将来のインフレや通貨不安、地政学リスクに備えるカードを1枚持てるとも言えます。

ゴールドは主役ではないからこそ、冷静に持てる資産です。資産全体の一部として役割を決めて持つことが、現実的な向き合い方になります。

ゴールドを買う前に確認すべき3つのポイント

動画の終盤では、ゴールドを買う前に確認すべきポイントが紹介されています。重要なのは、今が底かどうかを当てることではありません。自分にとってゴールドが必要なのか、必要ならどの程度持つのかを決めることです。

買う前に確認すべきことは、主に次の3つです。

  • 自分の資産全体のうち、ゴールドを何%くらい持つのか
  • その比率なら、ゴールドが20%下がっても耐えられるのか
  • 生活防衛資金とはきちんと分けて投資できているのか

この3つを確認せずに、「下がったから買う」「怖くなったから売る」といった行動を取ると、短期の値動きに振り回されやすくなります。

特に生活防衛資金でゴールドを買うのは避けるべきです。生活防衛資金とは、病気、失業、急な出費などに備えて確保しておくお金です。これは値動きのある資産に回すものではありません。ゴールドも短期的には普通に下がる資産である以上、余裕資金の範囲で考える必要があります。

下落局面で大切なのは自分の投資方針を確認すること

今回のゴールド下落で問われているのは、ゴールドの価値そのものよりも、自分の投資方針です。

なぜゴールドを持つのか。何%持つのか。どう買うのか。どこまで下がっても持ち続けられるのか。これらが決まっていれば、下落局面でも慌てにくくなります。

動画では、ゴールドとの向き合い方として3つのルールが紹介されています。

  • 数字を見て、持ち続けられる比率にする
  • 一括ではなく、分割や積み立てで価格変動をならす
  • 生活防衛資金では買わず、底を当てに行かない

この考え方は、ゴールドに限らず投資全般に通じるものです。値動きを完全に読むことはできません。しかし、自分のルールを作ることはできます。投資で大切なのは、底を当てることよりも、持ち続けられる形にすることです。

まとめ

ゴールドは高値から約20%下落し、株式市場が堅調な中で相対的に弱い値動きとなっています。しかし、過去の歴史を振り返ると、ゴールドは30%、44%、63%といった大きな下落を経験したこともあり、今回の20%下落だけを見て「ゴールドは終わった」と判断するのは早いと言えます。

安全資産という言葉から、ゴールドは値下がりしない資産だと誤解されがちですが、実際には価格変動のある投資対象です。短期的には金利上昇、リスク回避ムードの後退、株式市場への資金回帰などによって売られることがあります。

一方で、長期で見るとゴールドは1971年以降、年率約8%のリターンを出してきたとされ、中央銀行の購入やバー・コイン需要など、需要の柱も残っています。今後15年の期待リターンも年率5.2%とされており、守りの資産としては十分に検討する価値があります。

ただし、ゴールドは資産形成の主役ではありません。株式のように利益を生み、債券のように利息を生み、不動産のように家賃を生む資産ではないため、基本的にはポートフォリオの守備力を高めるための一部として考えるべきです。

今回の下落をきっかけに考えるべきなのは、「今が底かどうか」ではなく、「自分の資産全体の中でゴールドをどのような役割で持つのか」です。5%程度の保有であれば、ゴールドが20%下落しても資産全体への影響は約1%にとどまります。持ちすぎれば不安が大きくなり、少なすぎれば分散効果は限定的になります。

ゴールドは長期で強い資産ですが、正しく使ってこそ意味があります。全力で買うのではなく、生活防衛資金とは分け、分割や積み立てで価格変動をならしながら、自分が持ち続けられる比率で向き合うことが大切です。今回の下落は、ゴールドを恐れるだけのニュースではなく、自分の投資方針とポートフォリオの守りを見直すきっかけになるでしょう。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次