本記事は、YouTube動画『資産3000万円まで貯めたら本当に毎月の積み立てはもうしなくても大丈夫なのか』の内容を基に構成しています。
資産形成を続けていると、「いくら貯まったら毎月の積み立てを減らしてもいいのか」という疑問が出てきます。
3000万円、5000万円、1億円など、資産額を1つの節目として考える人も多いでしょう。
動画では、3000万円を年5%で運用し、その後追加投資も取り崩しもしなかった場合、約25年後には1億円を超えるというシミュレーションが紹介されています。
つまり、3000万円を作った後、残り7000万円をすべて給与から貯める必要があるわけではありません。
ただし、「3000万円になったから積み立てをすべてやめればいい」という単純な話でもありません。
重要なのは、
「自分は何歳までに、いくら必要なのか」
という将来設計です。
資産3000万円になると資産形成の景色が変わる
資産形成の初期段階では、自分の給与からどれだけ投資できるか、いわゆる「入金力」が大きな意味を持ちます。
例えば資産300万円を年5%で運用した場合、1年間の運用益は単純計算で15万円です。
一方、毎月10万円を積み立てているのであれば、年間の投資額は120万円になります。
この段階では、資産運用による利益よりも、自分が働いて投資したお金の影響の方が圧倒的に大きい状態です。
ところが資産が3000万円になると状況が変わります。
3000万円の5%は150万円です。
もちろん、株式市場が毎年必ず5%上昇するわけではありません。30%上昇する年もあれば、20%下落する年もあります。
あくまで長期平均として年5%という仮定を置いた場合ですが、3000万円の資産から生まれる年間のリターンは150万円になります。
毎月10万円、年間120万円を積み立てている人であれば、年間積立額よりも、保有資産の値動きの方が大きくなる可能性が出てくるわけです。
資産形成の序盤では「自分がお金を増やす」状態ですが、ある程度まで元本が大きくなると、「資産がお金を増やす」割合が大きくなっていきます。
3000万円を年5%で運用するとどうなるのか
動画では、3000万円を年5%で複利運用した場合のシミュレーションも紹介されています。
追加投資を一切しなかった場合、おおよそ次のようになります。
1年後:約3150万円
2年後:約3308万円
5年後:約3829万円
10年後:約4887万円
20年後:約7960万円
約25年後:1億円超
ここで重要なのが「複利」です。
3000万円の5%は150万円ですが、資産が5000万円になれば5%で250万円、8000万円なら400万円、1億円なら500万円になります。
運用によって得られた利益を使わず、そのまま運用資産に加えることで、利益が次の利益を生み出していきます。
これが複利の効果です。
「3000万円になれば積み立て不要」は間違い
ここで注意したいのは、3000万円を持っていれば積み立てに意味がなくなるわけではないということです。
動画では、同じ3000万円から年5%で1億円を目指した場合、追加投資額によって到達時期がどれくらい変わるのかも比較しています。
追加積み立てなし:約25年
毎月5万円:約20年
毎月10万円:約17年
毎月10万円の積み立てを続ければ、積み立てをしない場合と比較して、1億円に到達するまでの期間が約8年短くなる計算です。
つまり、
「積み立てをしなくても将来的に1億円へ届く可能性がある」
ことと、
「積み立てを続けても意味がない」
ことは全く違います。
大切なのは、積み立てを0円にするか、これまでと同じ金額を続けるかという2択ではありません。
資産状況や人生設計に合わせて積み立て額を調整できる段階に入った、と考える方が適切です。
積み立てをやめられるかどうかは「年齢」で変わる
同じ3000万円を持っていても、残されている運用期間によって状況は大きく変わります。
例えば40歳で3000万円を持っていて、65歳頃までに1億円を目指しているとします。
年5%で25年間運用できるという単純な前提で考えれば、追加積み立てをしなくても1億円に届く計算になります。
一方、50歳で3000万円を持っていて、65歳までの15年間で1億円を目指すのであれば、3000万円をそのまま運用するだけでは足りません。
このように、積み立てを続けるべきか判断する際には、
「現在いくら持っているか」
だけでなく、
「いつまでに、いくら必要なのか」
を見る必要があります。
老後資金は「3000万円必要」ではなく不足額から逆算する
老後資金については、「3000万円あれば安心」「5000万円必要」「1億円必要」といった金額そのものが注目されがちです。
しかし動画では、その考え方を逆にした方がよいと説明しています。
まず考えるべきなのは、老後に年間いくら使うのかです。
そこから年金などの収入を差し引きます。
例えば老後の年間生活費が300万円、年金などの手取り収入が年間220万円だとします。
この場合、資産から補う必要がある金額は年間80万円です。
単純に30年間続くとすれば、
80万円 × 30年 = 2400万円
となります。
もちろん実際には、インフレ、医療費、介護費、住宅修繕、車の買い替え、旅行なども考慮する必要があります。
一方、老後の年間生活費が360万円で、年金などの手取り収入も年間360万円あるのであれば、日常生活だけを考えれば恒常的な不足はほとんどありません。
その場合、老後資金3000万円すべてを生活費として使う必要はなく、医療、介護、住宅修繕、旅行などの特別費として考えることもできます。
つまり同じ3000万円でも、その人の生活費や年金額によって意味が全く異なるということです。
コーストFIREに近い考え方
動画で紹介されている考え方は、「コーストFIRE」と呼ばれる考え方にも近いものです。
これは、完全に仕事を辞めるFIREとは異なります。
老後に必要となる元本をある程度作った後、それ以上老後資金のために無理な積み立てをせず、現在の生活費は仕事によって稼ぎます。
そして、すでに作った資産については取り崩さず、長期間運用することで成長を待つ考え方です。
例えば、それまで毎月10万円を積み立てていた人が3000万円まで到達したとします。
将来必要な資産額を計算した結果、「今後は毎月10万円を積み立てなくても十分間に合う」と判断できた場合、積み立て額を月5万円に減らすこともできます。
すると毎月5万円、年間60万円を現在の生活に使えるようになります。
家族旅行、趣味、子供との体験、自分の健康、勉強などに使うこともできます。
資産形成を長く続けている人ほど、積み立て額を減らすことに不安を感じることがあります。
しかし、必要な老後資金の見通しが立っているのであれば、積み立て額を減らすことは必ずしも失敗ではありません。
むしろ、それまで資産形成を続けてきたからこそ得られる選択肢とも考えられます。
積み立ては「0か100か」で考えなくていい
毎月10万円積み立てているからといって、一生10万円を続ける必要はありません。
10万円から5万円へ減らす。
5万円から3万円へ減らす。
教育費が増える数年間だけ積み立て額を減らし、支出が落ち着いたら再び増やす。
このような調整も可能です。
積み立て投資は、一度始めたら死ぬまで同じ金額を続けなければならない契約ではありません。
人生の状況に合わせて調整していくものだという考え方が重要です。
年5%で毎年増えるわけではない
3000万円を年5%で運用すると約25年後に1億円になるというシミュレーションには、大きな注意点があります。
それは、実際の市場では毎年きれいに5%ずつ増えるわけではないことです。
ある年は20%上昇し、翌年は25%下落し、その次の年は10%上昇する、といった値動きを繰り返します。
積み立てをしている期間であれば、価格が下がったときに同じ金額で多くの口数を購入できるため、暴落が必ずしも悪いことばかりとは限りません。
しかし、老後に入り資産を取り崩し始めると状況は変わります。
老後運用で重要な「順序リスク」
特に注意したいのが、資産を取り崩し始めた直後に大きな暴落が発生するケースです。
例えば3000万円で老後生活をスタートし、直後に30%下落したとします。
資産は2100万円になります。
ここから年間180万円を生活費として取り崩す場合、価格が下落している資産を売却しなければならなくなります。
その後、株価が回復したとしても、すでに売却した資産は回復の恩恵を受けられません。
平均利回りが同じでも、「上昇」と「下落」が発生する順番によって資産寿命が変わる可能性があります。
これを動画では「順序リスク」と説明しています。
3000万円すべてを長期運用できるとは限らない
資産3000万円を持っているからといって、3000万円すべてを20年、25年と運用できるとは限りません。
資産は用途別に分けて考える必要があります。
例えば、
日常生活で使うお金
生活防衛資金
数年以内に使う住宅修繕や車などのお金
10年、20年と長期運用できるお金
などに分ける考え方です。
仮に資産3000万円を持っていても、5年以内に住宅購入などで1000万円使う予定があるのであれば、長期運用できる元本は実質2000万円です。
2000万円を年5%で25年間運用した場合、動画のシミュレーションでは約6770万円となります。
3000万円を25年間運用するケースとは大きく結果が変わります。
「資産3000万円」と「25年間運用できる3000万円」は同じではありません。
暴落時に備える「現金のクッション」
老後に資産を取り崩す場合、現金を一定額持っておく方法も紹介されています。
例えば株式市場が大きく下落した年は、無理に株式を売却せず、一定期間は現金から生活費を出します。
そして市場が回復した後に、値上がりした運用資産から現金を補充します。
動画では、運用資産と生活費の間に「ダムを作る」イメージとして説明されています。
生活費が直接株式市場につながっていると、相場が暴落したときに資産を売却せざるを得ない可能性があります。
しかし、現金のクッションがあれば、市場が下落しているタイミングで売却する必要性を減らせます。
必要な現金額については、年金収入、仕事の収入、生活費、家族構成などによって異なるため、一律に「何年分が正解」とは言えません。
4%ルールは絶対的なルールではない
老後資産の取り崩し方法として有名なのが「4%ルール」です。
これは米国の過去の市場データを使った研究などを背景に広まった考え方で、一定割合を毎年取り崩した場合に資産がどれくらい持続するかを検討する際に使われます。
例えば3000万円の4%は年間120万円です。
月額では10万円になります。
5000万円であれば年間200万円です。
ただし、「毎年4%使えば絶対に資産がなくならない」という意味ではありません。
研究対象となった市場や期間、株式と債券の構成比率、インフレ、税金などによって結果は変わります。
日本で同じ結果になる保証もありません。
重要なのは、4%という数字をそのまま使うことではなく、老後も一定の資産を運用しながら取り崩すという考え方です。
インフレを忘れてはいけない
長期の資産形成を考えるうえで、もう1つ重要なのがインフレです。
例えば現在、月20万円で生活できているとします。
物価が毎年2%ずつ上昇すると、同じ生活水準を維持するために必要なお金は、動画の例では10年後に約24万円、20年後には約30万円になります。
つまり、「現在の月20万円」という金額だけを基準に30年先まで考えると、大きなずれが生じる可能性があります。
老後資金を考える際には、
現在の生活費
年金などの収入
不足額が何年間続くか
インフレ
医療・介護費
住宅修繕
車の買い替え
旅行などの特別支出
まで含めて考える必要があります。
貯め続けること自体が目的になってはいけない
一方で、将来のリスクばかりを考え続けることにも問題があります。
「3000万円では不安だから5000万円」
「5000万円では不安だから1億円」
「1億円でも介護が不安だから2億円」
と考え続けると、資産形成には永遠にゴールがなくなってしまいます。
資産形成の本来の目的は、人生最後の日に証券口座の残高を最大化することではありません。
安心して生活し、自分や家族のためにお金を使えるようにすることも目的の1つです。
旅行できる体力がある50代にすべて我慢する。
子供が小さい40代にも我慢する。
そして80歳になったときに最も多くのお金を持っている。
資産額だけを見れば成功かもしれませんが、人生全体で見た場合、本当にそれが最適だったのかは別の問題です。
資産形成によって得られるものは、資産残高だけではありません。
「これ以上積み立てなくても将来が成立する」
という選択肢そのものも、大きな資産だと動画では説明しています。
積み立てを減らしてもいいか判断する順番
動画では、積み立て額を減らせるか判断するための考え方も紹介されています。
まず、老後に年間いくら使いたいのかを計算します。
次に、年金など老後に入ってくる手取り収入を差し引きます。
そこで算出された年間不足額に、老後生活の年数を掛けます。
さらに住宅修繕、医療、介護、旅行などの特別支出を加え、インフレも考慮します。
こうして自分が将来準備したい資産額の目安を出します。
そして、現在保有している資産を追加積み立てなしで運用した場合、その金額まで届くのかを確認します。
届くのであれば、積み立て額を減らす余地があります。
十分な余裕を持って届くのであれば、積み立てを完全に止めることも選択肢になります。
一方、届かなければ積み立てを続けることになります。
3000万円でも20年と25年では大きく違う
例えば、25年後に1億円が必要で、現在3000万円を持っているとします。
年5%という前提で25年間運用できれば、追加積み立てなしでも計算上は1億円に到達します。
しかし20年後に1億円が必要なのであれば、3000万円を年5%で運用しても約7960万円です。
この場合は、
積み立てを続ける
目標時期を延ばす
必要な資産額を見直す
といった選択肢を考える必要があります。
動画では、年5%で20年後に1億円を作るために現在必要な元本は約3770万円という計算も示されています。
この考え方を使えば、「3000万円になったら積み立て終了」という一律の基準ではなく、自分自身の積み立て終了ラインを考えることができます。
人生が変われば積み立て額も変えていい
資産形成の計画は、1度決めたら変更してはいけないものではありません。
子供が生まれた。
住宅を購入した。
仕事を辞めた。
収入が増えた。
生活費が下がった。
年金の見込み額が変わった。
このように人生の条件が変われば、そのたびに計算し直せばよいのです。
積み立て投資は、一度始めたら一生同じ金額を続けなければならないものではありません。
まとめ
資産3000万円は、資産形成における1つの大きな節目になる可能性があります。
3000万円を年5%で25年間運用できるという単純な前提では、追加積み立てなしでも1億円を超える計算になります。
そのため、3000万円以降は残り7000万円をすべて給与から貯める必要があるわけではなく、複利と時間に任せられる部分が大きくなります。
ただし、「3000万円になったから積み立てをやめる」という考え方は適切ではありません。
本当に確認すべきなのは、
将来必要な資産額はいくらなのか。
その金額まで何年間あるのか。
現在の資産を積み立てなしで運用した場合でも届くのか。
近い将来使うお金は別に確保できているのか。
暴落時に長期運用資産を売らずに済むのか。
といった点です。
これらを計算した結果、追加投資の必要性が低くなっているのであれば、積み立て額を減らすことも現実的な選択肢になります。
資産形成の前半では、自分が働いてお金を増やします。
しかし元本が大きくなると、徐々に資産そのものが増える割合が大きくなります。
そこで初めて、「将来のためにすべてを我慢する」状態から、「将来を守りながら現在も楽しむ」状態へ移行できる余地が生まれます。
1億円を作ることだけが資産形成のゴールではありません。
積み立て額を減らせる自由、働き方を変えられる自由、家族との時間や旅行、健康、学びなど、今しかできないことにお金を使える自由が増えていくことも、資産形成によって得られる大きな成果といえるでしょう。


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