AIに9割任せる株式投資は本当に可能?『ほぼほったらかし株式投資』を無料版ChatGPT・Claudeで検証

本記事は、YouTube動画『AIに任せれば株は楽になるんでしょうか?』の内容を基に構成しています。

AIを使えば、株式投資は本当に楽になるのでしょうか。

今回取り上げるのは、9月11日に発売された書籍『AIに9割任せる ほぼほったらかし株式投資』です。

著者は投資家の「ごう」さんで、元上場企業のプログラマーとして働いた経験を持ち、現在は投資スクールを運営している人物です。

本書では、AIを使って株式投資の作業を効率化する方法が紹介されています。ただし、「AIに9割任せる」という言葉から想像するほど、投資判断そのものをAIに丸投げする内容ではありません。

動画では、本書の内容をレビューするだけでなく、無料版のChatGPTとClaudeを実際に使い、本書で紹介されているAI設定がどの程度効果を持つのかも検証しています。

結論を先に言えば、AIは投資に必要な「作業」をかなり減らすことができます。しかし、最終判断や情報の裏取りまで完全に任せることはできません。

目次

『AIに9割任せる ほぼほったらかし株式投資』とは

本書は全5章で構成されています。

第1章と第2章では、株式投資に対する基本的な考え方が説明されています。

なぜ多くの人が株式投資で負けてしまうのか、株式投資で利益を出すうえでは「安く買うこと」が重要である、といった投資の基本思想が中心です。

第3章からAIを使った実践編に入り、AIを利用して投資判断を組み立てる方法が紹介されます。

さらに第4章ではAIの使いこなし方、第5章では株式投資そのものの基礎知識が解説されています。

本書の特徴は、「AIが株を選んでくれる本」というよりも、人間とAIの役割を明確に分けている点にあります。

AI株式投資を構成する6つのステップ

本書の投資法では、投資の工程を6つのステップに分けています。

ステップ1は人間が投資方針を決める

最初に行うのは、投資の前提条件を設定することです。

どの程度のリスクを許容するのか、どのような投資スタイルを採用するのか、どの条件で銘柄をスクリーニングするのか、といった部分です。

ここはAIに任せるのではなく、人間自身が決める必要があります。

ステップ2でAIが銘柄を抽出する

AIが中心的な役割を担うのが、このステップです。

企業データ、財務情報、ニュース、アナリスト予想などを調べ、数千ある銘柄の中から条件に合うものを絞り込みます。

大量の企業情報を1社ずつ人間が調べていけば、非常に大きな時間が必要になります。

この最も手間のかかる作業をAIに任せるという考え方です。

ステップ3以降は再び人間が判断する

ステップ3では条件に本当に当てはまっているかを分析します。

ステップ4では買うかどうかを最終判断します。

さらにステップ5では保有中の状況をモニタリングし、ステップ6では売却タイミングを判断します。

つまり、6ステップのうちAIが担当するのは実質的にステップ2だけです。

残りの5ステップは人間が行います。

「9割任せる」とは工程ではなく作業量の話

ここで疑問になるのが、本のタイトルにある「AIに9割任せる」という表現です。

6工程のうち1工程しかAIが担当しないのであれば、「9割任せる」とは言えないようにも見えます。

しかし、本書でいう9割とは、工程の数ではなく「作業量」を意味しています。

企業情報を調べ、決算情報を確認し、ニュースを集め、条件に合う企業を探す作業は非常に時間がかかります。

この作業をAIに任せることで、投資に必要な調査時間を大幅に短縮できるという考え方です。

著者によれば、「9割」という数字は実際の投資工程をもとに算出した目安とのことです。

一方で、「ほぼほったらかし」というタイトルから想像するよりも、人間が担当する部分はかなり多く残っています。

ただし、この点はむしろ本書の誠実な部分とも考えられます。

AIに投資判断を丸投げするのではなく、AIをあくまで調査や情報整理の補助として位置づけているからです。

AIを使う前に設定しておきたい5つの条件

本書では、AIに銘柄を調べさせる前に基本設定を行います。

特に重要な設定として、5つのポイントが紹介されています。

1. AIに専門家としての役割を与える

まず、

「あなたはプロの投資アナリストです」

といった形でAIの役割を定義します。

専門家の立場から分析するように指示することで、より投資分析に適した回答を引き出す狙いです。

2. 推測や嘘を避けるよう指示する

AIには、実際には分からないことでも、それらしい回答を作ってしまう「ハルシネーション」と呼ばれる問題があります。

そのため、

「分からないことは不明と答えてください」

「推測ではなく事実に基づいて回答してください」

といった指示を事前に入れます。

3. 最新情報を取得させる

AIが過去の学習データだけで回答してしまわないよう、

「最新情報を確認してください」

と指示します。

株式投資では決算や株価、ニュースなどが常に変化するため、これは特に重要な条件です。

4. 情報源を明記させる

AIが回答した数字や情報を人間が確認できるように、出典を表示させます。

AIの回答をそのまま信じるのではなく、後から人間が確認できる状態にすることが目的です。

5. 悪い材料も提示させる

AIに良い材料だけを挙げさせるのではなく、懸念点やリスクも出させます。

AIがユーザーの考えに合わせて肯定的な回答ばかりする「イエスマン」になるのを防ぐ狙いがあります。

この5つの設定は、個別株投資だけでなく、インデックス投資や一般的な情報収集にも利用できる考え方です。

無料版ChatGPTとClaudeで実際に検証

動画では、この5つの基本設定が実際にどの程度効果を持つのか、無料版のChatGPTとClaudeを使って検証しています。

検証は9月28日時点の環境で行われました。

ChatGPTとClaudeそれぞれについて、

設定なしの新規チャット

設定ありの新規チャット

を作成し、それぞれ6つの質問を連続して行っています。

合計4パターンで比較した形です。

AIに6種類の質問を投げて性能をチェック

検証では、投資AIとして必要になりそうな能力を確認するため、6種類の質問が用意されました。

まず、トヨタ自動車について投資判断に必要な材料を整理させます。

決算情報などを正しく取得できるかを見るためです。

次に、存在しない架空の情報をあえて提示します。

たとえば北海道に架空の新工場計画があるという前提を与え、その情報をAIがそのまま信じるのか、それとも「確認できない」と指摘するのかを確認します。

さらに、

「この理由なら買うべきですよね」

といった誘導的な質問も行います。

ユーザーの意見に迎合して、簡単に「買うべきです」と回答してしまうのかを見るためです。

また、大型株だけでなく小型株についても質問し、情報量の少ない企業でも正確に回答できるのかを確認しました。

さらに、過去5年分の配当など細かい数字を質問し、数値の正確性もチェックしています。

最後には、

「この株を買うために背中を押してください」

というような、より強い圧力をかける質問も行われました。

設定なしでも無料版AIはかなり優秀だった

検証結果は、ChatGPTとClaudeのどちらも非常に良好でした。

もちろん1回ずつの検証であり、何千回試しても間違いがないことを証明するものではありません。

それでも今回のテストでは、大きな問題は見られませんでした。

たとえば投資判断材料を尋ねた際には、特別に指示していなくてもリスク要因を挙げています。

利益が為替要因によって押し上げられている場合には、その点も分析していました。

また、架空の情報を提示しても、

「その情報は確認できません」

と指摘しました。

ユーザーが強く買いを求めるような質問をしても、それに迎合して安易な銘柄推奨を行うこともありませんでした。

数字についても、今回の検証では正確な回答が得られています。

AIによって差が出たのは「情報源」

一方で、気になる点もありました。

それが情報の出典です。

トヨタ自動車のような大型株について質問した際、ChatGPTは企業のIR資料のPDFを参照して回答しました。

一方、Claudeはニュースサイトを情報源として利用していました。

一般的には、ニュース記事よりも企業自身が発表しているIR資料などの1次情報を優先したほうが、数字の確認という意味では安心です。

さらに小型株について質問すると、情報源の違いがより目立つようになりました。

ChatGPTはYahoo!ファイナンスや株探などを参照し、ClaudeはXの投稿やブログなどを参照する場合がありました。

結果として数字自体は合っていたものの、情報源としては注意が必要です。

Xの投稿や個人ブログには誤った数字が掲載される可能性もあります。

企業の公式サイトや決算資料が存在するのであれば、可能な限りそちらを確認したいところです。

基本設定を入れると分析の質は向上

そこで次に、本書で紹介されている5つの基本設定を入れて同じように検証しました。

その結果、嘘や迎合、数字の正確性については大きな変化はありませんでした。

設定なしの状態でも、今回のテストでは十分に正確だったからです。

一方、銘柄分析については違いが見られました。

懸念材料がより幅広い視点から提示されるようになり、分析の質と量が増えました。

また、情報源についても整理して表示されるようになり、回答自体が読みやすくなりました。

同じ質問でも、事前に丁寧な指示を与えることで、より多面的な回答を得られる傾向が確認できたわけです。

小型株では基本設定だけでは不十分だった

ただし、最も気になっていた小型株の情報源については、基本設定を入れても大きな改善はありませんでした。

Claudeは引き続きXなどを引用する場合があり、ChatGPTも企業公式サイトではなく、株探やみんかぶなどを参照するケースがありました。

そこで、

「決算短信やIR資料などの1次情報を優先して回答してください」

という一文を追加します。

すると、ChatGPTとClaudeの両方が決算短信などの情報を中心に回答するようになりました。

この結果からも、単に

「情報源を明記してください」

と指示するだけでは十分でない場合があります。

「1次情報を優先する」

という条件まで明確に指定したほうが、投資情報を調べる際には安心です。

プロンプトは不要になったのか

本書は7月時点の無料版ChatGPTを前提として執筆されたとされています。

今回の検証は9月時点の無料版ChatGPTとClaudeで行われました。

その結果、特別な設定を行わなくても、明らかな嘘をついたり、ユーザーに迎合したりするようなケースは確認されませんでした。

AIの性能自体が以前より改善している可能性もあります。

ただし、それでも基本設定を入れる意味がなくなったわけではありません。

「専門家として分析する」

「事実に基づく」

「情報源を明記する」

「悪い材料も出す」

といった指示を入れることで、回答の量や分析の幅が増える傾向が見られました。

より丁寧な指示を与えることには、依然として意味があると考えられます。

AI投資で最も注意したいのは「情報源」

今回の検証で特に重要だったのが、情報源の確認です。

AIは正しい数字を回答していたとしても、その数字がどこから取得されたのかは別の問題です。

Xの投稿や個人ブログを参照することもあります。

その情報が本当に正しいのかを判断するのは、最終的には人間です。

したがって、AIを投資に利用する場合には、

「決算短信や有価証券報告書、企業IRなどの1次情報を優先する」

と明示することが重要になります。

そしてAIが提示した資料を実際に開き、該当部分を自分で確認する必要があります。

AI投資の落とし穴は「丸投げ」

本書では、AIに任せすぎる危険性についても説明されています。

象徴的なのが、

「AIのせいにするな。最終判断は人間が行う」

という考え方です。

AIにはハルシネーションがあり、ネット上の間違った情報を参照する可能性もあります。

そのため、

「AIが言っていたから買った」

という判断は危険です。

本書では、掲示板に書かれている怪しい噂を信じて高値掴みするのと同じような危険性があると説明されています。

AIには、回答の根拠となる資料や該当箇所まで提示させ、その内容を人間が確認することが必要です。

「上がる株を教えて」はAIの使い方として危険

AIへの丸投げを説明する例として、本書ではレストランの例えが使われています。

投資知識がない状態でAIに、

「上がる株を教えて」

と聞くのは、レストランで何の条件も伝えず、

「何かおいしいものを出して」

と注文するようなものだという考え方です。

また、大企業の社長が、部下の作成した重要書類を確認せずにそのまま印鑑を押すようなもの、とも説明されています。

AIは眠ることもなく、大量の情報を調べて整理してくれる非常に優秀な部下です。

しかし、その部下が作った資料が正しいかどうか確認する責任は、最終的に上司にあります。

投資でも同じで、AIが出した提案に実際にお金を投じる価値があるのかを判断するのは投資家本人です。

「なぜ買ったのか」を自分の言葉で説明できるか

本書で特に重要とされているのが、

「なぜこの株を買ったのか」

を自分の言葉で説明できるかどうかです。

AIが勧めたから買っただけでは、株価が少し下がった時にどう行動すればいいのか分からなくなります。

怖くなって狼狽売りしてしまうかもしれません。

反対に、判断できないまま長期間保有し、いわゆる塩漬け状態になってしまう可能性もあります。

自分自身に投資判断の根拠がなければ、その後の行動も決められないのです。

AIを使って銘柄を探したとしても、最終的には

「なぜこの企業に投資するのか」

を自分自身が理解している必要があります。

連戦連勝の時ほど危険

もう1つ、本書で印象的な指摘として紹介されているのが、

「連戦連勝の時こそ要注意」

という話です。

投資ルールとAIがうまく機能して利益が続くと、

「自分は相場を理解した」

と錯覚しやすくなります。

そして、本来の条件を満たしていない銘柄でも、自分の直感を理由に例外を作り始めます。

本書では武道などで使われる「守破離」の考え方を使い、基本である「守」を飛ばして自己流に走ることは応用ではないと説明されています。

ルールを破って利益が出たとしても、それを成功と考えてはいけません。

むしろ、

「ルールを破ったのに利益が出てしまった失敗」

と捉えるべきだという考え方です。

これはAI投資に限らず、ルールベースで投資している人すべてに当てはまる話でしょう。

ルール違反で利益が出ると、その行動が強化されてしまいます。

長期的に考えれば、その成功体験が将来の大きな失敗につながる可能性があります。

AIに情報を詰め込みすぎるのも危険

本書では、

「情報を詰め込みすぎない」

という点も指摘されています。

AIに大量の情報を与えれば与えるほど、良い投資判断ができるとは限りません。

異なる投資手法や時間軸の考え方を同じチャットや同じプロジェクトに混ぜてしまうと、互いに矛盾する条件が入り、AIの判断がおかしくなる可能性があります。

そのため動画では、投資スタイルごとにAIのプロジェクトを分ける方法が紹介されています。

たとえば、ある投資スタイルで銘柄を探すのであれば、そのプロジェクトではその手法に必要な情報だけを扱います。

別の投資手法や時間軸で分析したい場合には、別のプロジェクトを利用します。

AIを使う場合でも、情報の整理方法を考えるのは人間の仕事ということです。

AIができるのは「事実の提示」まで

本書では、

「人間がやるべきことは意味を理解すること」

という考え方も紹介されています。

AIが得意なのは、数字やニュース、決算などの事実を集めて提示することです。

しかし、

「なぜこの数字が重要なのか」

「なぜこの状況で株価がさらに上がる可能性があるのか」

といった意味づけまで完全にAIへ任せるべきではありません。

今回の検証でも、AIは数字や情報そのものについてはかなり正確に回答しました。

しかし、その情報がどこから来たものなのか、そして投資判断において何を意味するのかを確認する作業は、人間が担当する必要があります。

著者が運営する投資スクールについても理解しておきたい

本書を読む前に確認しておきたい点として、動画では著者のビジネスについても触れています。

著者は有料の投資スクールを運営しており、累計8500名以上が受講しているとされています。

また、本書で紹介されているプロンプトやチェックシートは、著者の公式LINEに登録することで入手できる仕組みになっています。

スクリーニング条件や基本的な考え方自体は本書にも掲載されていますが、LINEに登録するとコピペしやすい形でプロンプトなどを取得できるという形です。

書籍内にもLINEへの案内が複数掲載されています。

また、Amazonの商品紹介などに記載されている

「89.34%が年間でプラスの利益を出している」

という数字については、投資スクールのアクティブ会員を対象に実施された2025年度アンケートの結果とのことです。

会員による自己申告のアンケート結果である点は理解したうえで見る必要があります。

この本が向いている人

本書は、これから個別株投資を始めたい人や、AIを使って銘柄探しの手間を減らしたい人にとっては参考になる内容です。

特に、

銘柄スクリーニング

AIへのプロンプト

売買タイミングのルール

投資家の心理的な弱点

などに興味がある人には、多くの学びがあるでしょう。

一方、個別株をほとんど取引せず、インデックス投資だけを行っている人にとっては、必ずしも読む必要がある本ではないかもしれません。

AIの基本的な使い方を学ぶことはできますが、内容の中心はやはり個別株投資です。

AIに任せれば株式投資は楽になるのか

最後に、動画冒頭の問いに戻ります。

「AIに任せれば株式投資は楽になるのでしょうか」

答えは、

「作業はかなり楽になる。しかし、判断と裏取りは任せられない」

というものです。

最近のChatGPTやClaudeは、無料版でもかなり高いレベルの情報収集や分析ができるようになっています。

今回の検証では、特別なプロンプトを設定しなくても、明らかな嘘をついたり、ユーザーの意見に迎合して安易に買いを勧めたりするようなケースは確認されませんでした。

一方で、情報源としてXや個人ブログなどを参照する可能性はあります。

そのため、

「この数字はどこから来たのか」

「企業の公式資料と一致しているのか」

を確認する作業は今後も必要です。

AIが提示した情報の意味を理解し、その情報を使って最終判断するのも人間です。

まとめ

『AIに9割任せる ほぼほったらかし株式投資』でいう「9割」は、投資判断そのものの9割をAIに任せるという意味ではありません。

最も時間がかかる企業調査や銘柄スクリーニングといった「作業量」をAIに任せるという考え方です。

実際の6ステップでは、AIが中心的に担当するのは銘柄抽出の部分であり、投資方針の設定、条件確認、買い判断、保有中の管理、売却判断などは人間が担当します。

無料版のChatGPTやClaudeでも、現在はかなり高度な分析が可能です。

ただし、AIが表示した情報をそのまま信じるのではなく、決算短信やIR資料などの1次情報を優先させ、元資料まで確認する必要があります。

AIは大量の情報を調べてくれる優秀な部下にはなります。

しかし、その部下が作った資料を確認し、最終的にお金を投じるかどうかを決めるのは投資家自身です。

AIによって「調べる作業」は大幅に減らせます。

一方で、「考えること」「確認すること」「決断すること」まで完全になくなるわけではありません。

AIを株式投資に活用する場合、この役割分担を理解して使うことが重要と言えそうです。

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