JX金属の株価が高値から49%暴落!AI向けチタン銅50%増産でも下落する理由と今後の買い場を徹底分析

本記事は、YouTube動画『JX金属の暴落は絶好の買い場か?AI向け50%増産の本当の意味』の内容を基に構成しています。

JX金属(5016)の株価が大幅に下落しています。2026年10月22日の終値は2,917円となり、5月11日に記録した高値5,720円から約49%下落しました。わずか半年ほどで株価がほぼ半値になった計算です。

一方、同社は10月22日、AIサーバー向けに需要が急増している高機能銅合金「チタン銅」の生産能力を、2029年度までに50%増強すると発表しました。

AI関連需要が拡大し、生産能力を増やすという好材料が出たにもかかわらず、株価は前日比4.4%安となりました。

なぜ、これほど好調な事業を抱える企業の株価が下落しているのでしょうか。そして、高値から約半値となった現在の株価は、長期投資家にとって絶好の買い場なのでしょうか。

動画では、JX金属の事業環境、株価下落の背景、信用取引の需給、過去26年間の半導体関連株の値動きなどを分析しています。さらに、11月に予定される決算発表と大株主ENEOSの保有株式を巡る動きについても解説しています。

目次

JX金属の株価が約8カ月半ぶりの安値に下落

2026年10月22日、JX金属の株価は前日比4.4%安の2,917円で取引を終えました。

これは2月10日以来、約8カ月半ぶりの安値です。

5月11日の高値5,720円と比較すると、下落率は約49%に達しています。

株価がここまで下落すると、投資家の間では割安感を意識した買いが入りやすくなります。しかし、株価が半値になったからといって、その時点が底値になるとは限りません。

特にJX金属では、信用買い残高の増加や機関投資家による空売り、大株主の保有株式を巡る売却懸念など、需給面の問題が指摘されています。

信用買い残高は2,445万株に増加

10月16日時点の信用買い残高は2,413万株でしたが、その後は2,445万株へ増加しました。

信用倍率は45.69倍に達しています。

信用倍率とは、信用買い残高を信用売り残高で割った数値です。数値が大きいほど、信用取引で買っている投資家が相対的に多いことを意味します。

信用買いには返済期限や証拠金維持率の制約があるため、株価が下落すると損失を抱えた投資家による売りが発生する可能性があります。

つまり、株価が下がっているにもかかわらず信用買いが増え続けている状況は、将来の売り圧力が蓄積していると解釈できます。

ただし、信用倍率が高いことだけで株価の下落が続くと断定することはできません。

大口投資家の空売りも増加

動画によると、公表されている大口投資家の空売り残高を合計すると、約5,265万株に達しています。

これは発行済株式数の約5.5%に相当します。

特にバークレイズの空売り残高は、10月9日の888万株から10月19日には1,440万株へ増加しました。

わずか10日間で60%以上増えた計算です。

信用買い残高が増加する一方で、機関投資家による空売りも積み上がっています。

このような状況では、企業の業績が好調であっても株価が上がりにくくなる場合があります。

なお、空売りは将来的な買い戻しにつながるため、必ずしも悪材料だけではありません。重要なのは、残高が増え続けているのか、それとも減少に転じたのかという変化です。

JX金属がAI向けチタン銅の生産能力を50%増強

株価が下落するなか、JX金属は10月22日に重要な設備投資計画を発表しました。

AIサーバー向け需要が急拡大しているチタン銅について、2029年度の生産能力を2026年度比で50%増やすという内容です。

同社の公式発表でも、需要の急増によって一部の生産工程がボトルネックになっていたことが明らかにされています。

チタン銅とは何か?AIサーバーで需要が急増する理由

チタン銅は、銅にチタンを加えた高機能銅合金です。

高い強度と優れた加工性を兼ね備えており、スマートフォンやパソコンのコネクター材料として利用されてきました。

コネクターとは、電子部品同士を接続する金具のことです。

AIサーバーでは、高性能なGPUなどを大量に使用します。これらの半導体は演算処理の際に大きな熱を発生させるため、内部の電子部品には高い耐熱性や信頼性が要求されます。

チタン銅は、高温環境でも強度や信頼性を維持しやすいという特徴があります。

そのため、AIサーバー内部のコネクター材料として採用が広がっています。

AI関連銘柄といえば、エヌビディアのようなGPUメーカーや半導体製造装置メーカーが注目されがちです。

しかし、AIデータセンターには半導体以外にも大量の電子部品が必要です。

JX金属は、こうした電子部品の材料を供給する立場からAI市場の拡大による恩恵を受けています。

熱処理工程が生産のボトルネックになっていた

今回の発表で特に重要なのは、生産能力を50%増やすという数字だけではありません。

JX金属が、需要の急増によって倉見工場の熱処理工程がボトルネックになっていたと説明している点です。

ボトルネックとは、生産工程全体の処理能力を制限している部分を意味します。

例えば、製造工程の大半に余裕があっても、特定の工程だけ処理能力が不足していれば、製品全体の生産量を増やすことはできません。

JX金属では、この熱処理工程が制約となり、需要増加に十分対応できない状況になっていたと考えられます。

今回の投資では、神奈川県の倉見工場に熱処理設備を導入します。

さらに、日本製鋼所との共同出資会社である室蘭銅合金では、溶解・鋳造設備を増強する予定です。

室蘭での設備投資には、供給能力の増加だけでなく、事業継続計画(BCP)の観点から供給体制を強化する目的もあります。

報道ベースでは投資総額は約100億円とされていますが、10月22日のJX金属の公式発表では投資金額や利益への具体的な影響は示されていません。

生産能力50%増でも需要に追いつかない可能性

2026年8月6日の決算資料によると、チタン銅の販売数量は4~6月期に前年同期比42%増加しました。

また、2026年度の販売数量についても前年度比33%増を見込んでいます。

今回発表された増産計画では、2029年度までに生産能力を2026年度比50%増やします。

これを3年間の年平均成長率に換算すると、約14.5%です。

足元の販売数量の伸び率33%と比較すると、増産ペースは相対的に緩やかです。

仮にAIサーバー向け需要が現在と同じ勢いで拡大し続けるならば、設備投資を実施しても供給不足が続く可能性があります。

一般的に、需要が供給能力を上回る製品では、供給企業の価格交渉力が高まりやすくなります。

ただし、今回の増産計画だけで将来の供給不足や値上げを断定することはできません。

今後のAIデータセンター投資が鈍化すれば、チタン銅の需要成長率も低下する可能性があるためです。

好材料が発表されたのにJX金属の株価が下落した3つの理由

JX金属の生産能力増強は、事業面では前向きなニュースです。

それにもかかわらず株価が下落した背景には、企業固有の事情だけではなく、半導体関連株全体の調整や株式市場の需給が関係しています。

理由1:AI・半導体関連株全体が売られた

10月22日の日経平均株価は、前日比2.65%安の6万2,907円となりました。

動画では、米国の半導体製造装置大手ラムリサーチの業績見通しに対する不透明感が、半導体関連株の売りにつながったと分析しています。

その影響は日本市場にも波及しました。

同日のAI関連銘柄の下落率として、動画では以下の数字が紹介されています。

銘柄下落率
レゾナック11.2%
イビデン9.5%
古河電気工業7.9%
三井金属・フジクラ6%超
JX金属4.4%

JX金属は大幅に下落したものの、同じAI関連材料株と比較すると、下落率はむしろ小さい部類に入っていました。

これは、JX金属の設備投資計画が悪材料として受け止められたというより、AI・半導体関連株全体に売り圧力がかかった可能性を示しています。

もっとも、JX金属の株価は寄り付きから弱い動きを見せていました。

10月22日の始値は3,016円で、前日の終値3,051円を下回っています。

その後、一時3,031円まで戻しましたが、前日の終値を回復することなく、午後にかけて下落しました。

増産に関する情報は市場が開く前に報道されていたため、好材料を受けても買いが継続しなかったという事実は重要です。

理由2:100億円の投資は会社全体から見ると小さい

今回の設備投資について、報道されている約100億円という金額をJX金属の企業規模と比較すると、見方が変わります。

10月22日時点の時価総額は約2兆7,688億円です。

設備投資額100億円は、その約0.36%に相当します。

また、チタン銅を含む機能材料部門の2026年度営業利益予想は約260億円です。

会社全体の営業利益予想2,320億円に対し、約11%となります。

さらに、この260億円にはチタン銅以外の製品も含まれています。

つまり、今回の50%増産は、JX金属の事業全体が50%拡大するという意味ではありません。

会社全体の利益に対する影響が現時点では明確になっていない以上、増産計画だけで株価全体を大幅に押し上げることは難しかった可能性があります。

一方、企業価値への影響は投資金額だけで決まるわけではありません。増産によってどれほど利益が増えるか、利益率を維持できるかが今後の重要な判断材料になります。

理由3:信用買い・空売り・ENEOSの保有株が重荷

JX金属の株価について、動画が特に重視しているのが需給面です。

信用買い残高は2,445万株、大口投資家の公表空売り残高の合計は約5,265万株となっています。

さらに、大株主であるENEOSが保有する約3億3,625万株について、11月30日にロックアップ期間が終了すると説明されています。

ロックアップとは、株式上場などに際して、大株主が一定期間、保有株式の売却を制限される仕組みです。

ロックアップが終了しても、必ず株式が売却されるわけではありません。

しかし、大量の株式が売却可能になることで、投資家が将来の売り圧力を警戒する場合があります。

約3億3,625万株を株価2,917円で評価すると、約9,800億円に相当します。

非常に大きな規模であり、仮に市場でまとまった売却が行われれば、株価に影響する可能性があります。

ただし、ENEOSが保有を継続することも、特定の投資家にまとめて売却することも考えられます。

実際の売却方針が明らかになるまでは、ロックアップ終了を即座に売却発生と結びつけるべきではありません。

JX金属の業績は好調?機能材料部門に上方修正の余地

株価の弱さとは対照的に、JX金属の機能材料部門では業績が拡大しています。

2026年4~6月期の同部門の営業利益は89億円となり、前年同期比56%増加しました。

会社側は、AIデータセンター関連需要の拡大を取り込んだことなどを説明しています。

4~6月期の利益ペースが続けば年間356億円

4~6月期の営業利益89億円を単純に4倍すると、年間356億円になります。

一方、会社が示している2026年度の機能材料部門の営業利益予想は260億円です。

この差は96億円あります。

仮に4~6月期と同じ利益水準が今後も継続すれば、会社予想を100億円近く上回る計算です。

しかし、会社予想260億円から4~6月期の89億円を差し引くと、残りの3四半期に必要な営業利益は171億円です。

1四半期当たりでは57億円となり、4~6月期実績の約64%にとどまります。

この差をどう解釈するかが重要です。

会社が慎重な業績予想を設定している可能性もあれば、7月以降に利益率の低下や販売構成の変化などを想定している可能性もあります。

動画では、現在の開示情報だけでその理由を断定することはできないとしています。

そのため、次回決算で機能材料部門の営業利益が89億円に近い水準を維持できるかが注目されます。

業績が改善しても株価が上がるとは限らない

JX金属は8月に通期業績予想を上方修正しました。

それでも株価は高値から約49%下落しています。

これは、企業の利益が増加することと、株価が上昇することが必ずしも一致しないことを示しています。

株価は企業の利益だけでなく、その利益に対して投資家がどの程度の評価を与えるかによって決まります。

例えば、同じ利益を生む企業であっても、投資家が将来の成長を強く期待していれば高い株価がつきます。

反対に、成長率の鈍化や株式の需給悪化を懸念すれば、利益が増えていても株価が下落することがあります。

JX金属の場合、利益見通しが改善した一方で、AI関連銘柄に対する市場の評価が大きく低下した可能性があります。

今後は単なる増益の有無だけでなく、その増益が市場の期待を上回るかどうかが重要になります。

株価が半値になった銘柄は買い場なのか?過去26年間の178事例を分析

今回の動画では、JX金属の暴落が買い場に相当するのかを調べるため、過去の半導体関連株などの値動きを集計しています。

対象となったのは、フジクラ、古河電気工業、イビデン、レゾナック、東京エレクトロン、アドバンテストなど、大型の半導体・電子材料・電線関連株31社です。

2000年から2026年10月22日までを対象に、直近1年間の最高値から終値ベースで49%以上下落した最初の日を調べています。

同じ銘柄の事例は少なくとも1年以上間隔を空けて集計し、合計178回となりました。

半値まで下落した銘柄の63%は1年後に上昇

178回のうち、その後1年間の結果が確認できる169回を調べたところ、1年後に株価が上昇していたのは106回でした。

割合にすると約63%です。

また、1年後の騰落率の中央値はプラス21.2%でした。

半値下落後の1年間の結果(169事例)

1年後に上昇した割合

63%

106 / 169回

途中でさらに10%以上下落

75%

127 / 169回

つまり、過去の大型関連株では、高値から約半値まで売られた後、1年後には株価が回復しているケースが比較的多かったことになります。

ただし、ここで注意すべき点があります。

1年後の株価が上昇していたとしても、その途中でさらに大きく下落する可能性があるということです。

75%の事例でさらに10%以上下落

同じ169回について、その後1年間でさらに10%以上下落したケースを調べると、127回ありました。

全体の約75%です。

つまり、半値まで下落したところで買ったとしても、その後に追加で10%以上の含み損を抱えるケースが非常に多かったことになります。

動画では、この結果から「買い場」と「底値」は同じではないと指摘しています。

長期的には上昇する可能性があっても、購入直後にさらに大きな下落が起きることは十分考えられます。

特に信用取引を利用している場合、短期的な下落によって強制決済を迫られるリスクがあります。

日経平均も下落している局面では回復率が高い

次に、株価が半値となった時点の日経平均の位置によって、結果に違いがあるかを調べています。

10月22日の日経平均は、動画で基準とした6月25日の直近1年間の最高値から13.1%下落していました。

そこで、日経平均が高値から10~20%下落している局面に絞って集計しています。

該当する52回のうち、1年後に上昇していたのは35回でした。

割合は約67%です。

一方、日経平均が高値圏にあるにもかかわらず、特定の銘柄だけが半値になったケースでは、14回のうち1年後に上昇したのは3回にとどまりました。

この結果は、個別企業だけの問題で急落した場合と、株式市場全体の調整に巻き込まれて下落した場合では、その後の回復傾向が異なる可能性を示しています。

JX金属については、AI関連銘柄全体が売られるなかで半値に近づいているため、過去の集計では比較的回復しやすい状況に分類されます。

ただし、企業ごとの事情や相場環境の違いがあるため、この割合がJX金属の将来の上昇確率を直接示すわけではありません。

JX金属に近い過去18事例では83%がさらに下落

動画では、さらに条件を絞り込んだ分析も紹介しています。

JX金属は5月11日の高値から約112営業日で、株価が約49%下落しました。

そこで、日経平均が高値から10~20%下落しており、なおかつ個別銘柄が約半年以内に半値になったケースだけを抽出しています。

該当するのは18回でした。

その結果は以下の通りです。

項目結果
対象事例18回
1年後に上昇11回
上昇した割合61%
1年後の騰落率中央値+9.2%
途中でさらに10%以上下落15回
追加下落した割合83%

1年後の上昇割合は約61%でしたが、途中でさらに10%以上下落した割合は約83%となりました。

JX金属の10月22日の終値2,917円から、さらに10%下落した場合の株価は約2,625円です。

もちろん、この2,625円という水準が底値になるという意味ではありません。

過去の類似事例を現在の株価に当てはめた場合の参考水準です。

また、18回という事例数は決して多くありません。ここから精度の高い確率予測が可能だと考えるべきではないでしょう。

2026年に半値となったAI関連6銘柄のその後

動画では、2026年7月28~29日ごろに株価が半値となったAI関連6銘柄についても紹介しています。

対象は、フジクラ、古河電気工業、イビデン、三井金属、古河機械金属、村田製作所です。

これらの銘柄は、半値になった日からその後の最高終値までを見ると、すべて36~84%上昇しました。

一見すると、半値になった銘柄を買う戦略が有効だったように見えます。

しかし、10月22日時点の株価で比較すると、状況は異なります。

半値になった時点より株価が高いのは6銘柄中4銘柄でした。

イビデンは27.7%上昇していましたが、ほかの上昇銘柄の上昇率は3~9%程度でした。

一方、三井金属は半値になった時点からさらに17.7%下落していました。

つまり、いったん大きく反発する場面があったとしても、その後の上昇を維持できるとは限らないのです。

この事例は、反発局面で利益確定する戦略と、長期間保有する戦略では結果が大きく変わる可能性を示しています。

JX金属の株価は今後どうなる?短期的な反発確率を検証

動画では、翌営業日や5営業日後の株価についても過去のデータを分析しています。

ただし、短期的な株価の方向性は、米国の半導体株や日経平均先物の動向などによって大きく変わるため、過去の割合だけで判断することは難しいといえます。

日経平均が2.5%以上下落した翌日の反発率は62%

2000年以降の日経平均について、1日で2.5%以上下落したケースは250回ありました。

その翌営業日に日経平均が上昇したのは155回で、約62%でした。

この集計では、日経平均が急落した翌日は反発するケースの方が多かったことになります。

しかし、個別銘柄であるJX金属の動きは異なります。

上場後に1日で4%以上下落したケースは53回あり、翌日の結果が確認できる52回のうち、上昇したのは27回でした。

割合は約52%です。

ほぼ半々であり、JX金属については急落した翌日に高い確率で反発するという傾向は確認できませんでした。

5営業日後の上昇率もほぼ半々

動画で紹介された5営業日後の上昇割合は、日経平均が約57%、JX金属が約53%でした。

こちらも明確な方向性を示す数字ではありません。

そのため、目先の株価については、単純な反発予想よりも信用買い残高や空売り残高が減少に転じるかを確認する方が重要だと分析しています。

特に、米国市場で半導体関連株の売りがさらに広がった場合には、日本のAI関連銘柄が追加下落する可能性があります。

10月27日の信用残高と機関投資家の空売りが重要

短期的な需給を確認するうえで、動画が注目する日付は10月27日です。

この日は、10月23日時点の信用取引残高を確認するタイミングとして挙げられています。

注目点は、信用買い残高が2,445万株から増加しているのか、それとも減少し始めているのかということです。

株価が下落するなかで信用買いが増え続けていれば、短期的な売り圧力への警戒が必要です。

反対に、信用買い残高が減少し始めれば、需給改善の兆候と考えることもできます。

同時に、大口投資家の空売り残高も確認する必要があります。

動画では、公表空売り残高の合計が5,265万株から減少し、4,850万株を下回るかどうかを1つの目安としています。

信用買い残高が減少し、空売り残高も縮小するようであれば、需給が改善する方向に動き始めた可能性があります。

ただし、これらの数値はあくまで分析上の目安であり、その水準を超えたから必ず株価が上昇するわけではありません。

JX金属の11月決算は株価反転のきっかけになるか

今後の株価を考えるうえで、最も重要な材料の1つが2026年度第2四半期決算です。

動画では11月中旬の決算として説明されていますが、現在確認できる予定日を踏まえると、まず11月9日の発表内容を注視することになります。

全社営業利益502億円が1つの比較基準

動画では、会社の通期営業利益予想から4~6月期の実績を差し引き、残りの3四半期に必要な利益を均等に割った場合、1四半期当たり約502億円になると試算しています。

7~9月期の営業利益がこの水準を大きく上回る場合には、会社の業績見通しが保守的である可能性が意識されます。

ただし、四半期ごとの利益には季節性や一時的な要因が存在するため、単純な均等配分が適切とは限りません。

機能材料部門は57億円と89億円のどちらに近いか

もう1つ重要なのが機能材料部門の営業利益です。

前述の通り、4~6月期の営業利益は89億円でした。

一方、通期予想260億円を達成するために残りの3四半期で必要となる利益は、1四半期当たり57億円です。

次回決算で89億円に近い利益水準を維持できていれば、AI関連需要の強さを裏付ける材料になります。

逆に57億円に近づいている場合は、なぜ利益が低下したのかを確認する必要があります。

また、チタン銅の販売数量が引き続き増加しているかどうかも重要です。

会社が生産能力の増強を進めるなかで、需要が想定通りに伸びているのかが、今後の成長性を判断する材料となります。

11月30日のENEOS株式ロックアップ終了が最大の懸念材料

業績面と並んで株価への影響が大きいと考えられるのが、ENEOSの保有株式です。

動画によると、ENEOSが保有する約3億3,625万株について、11月30日にロックアップ期間が終了する予定です。

これはJX金属の発行済株式数の約3分の1に相当します。

現在の株価で評価すると約9,800億円という大きな規模になります。

ロックアップ終了は必ずしも大量売却を意味しない

ロックアップ期間が終了すると、契約上の売却制限がなくなることがあります。

しかし、売却制限が解除されたからといって、すぐに株式が市場で売却されるとは限りません。

ENEOSが株式の保有を継続する可能性もあります。

あるいは、機関投資家などにまとめて売却する形が選ばれる可能性もあります。

重要なのは、実際にどのような方針が示されるかです。

仮に大規模な売却が計画されれば、市場は追加的な株式供給を警戒する可能性があります。

一方、大株主の売却方針が明確になることで、不透明感が後退する場合も考えられます。

なお、11月30日という日付と売却制限の具体的な条件については、該当する契約や開示資料で最終確認する必要があります。

JX金属を保有する投資家と新規購入を検討する投資家の注意点

現在のJX金属は、事業面の成長性と株式市場の需給面で評価が大きく分かれる状況にあります。

そのため、すでに株式を保有している投資家と、新規購入を検討している投資家では、重視すべき点が異なります。

現物株を長期保有している場合

高値圏でJX金属を購入した投資家は、大きな含み損を抱えている可能性があります。

過去の類似事例では、1年後に株価が上昇していた割合が約61%ありました。

しかし、途中でさらに10%以上下落した事例も約83%ありました。

長期的な回復可能性と短期的な下落リスクを分けて考える必要があります。

また、今後の決算でAI関連需要の成長が継続していることを確認することも重要です。

信用取引で保有している場合

信用取引を利用している投資家は、株価だけでなく返済期限にも注意が必要です。

制度信用取引の返済期限は原則6カ月です。

例えば、5月の高値圏で制度信用買いを行った投資家は、11月に返済期限を迎える可能性があります。

この時期は、決算発表やENEOSのロックアップ終了時期と重なります。

株価が回復しない場合、返済期限を迎える投資家による売却が需給に影響する可能性があります。

これから新規購入する場合

新規購入を検討している場合、株価が半値になったという理由だけで買い場と判断するのは早計です。

重要なのは、業績と株式需給の双方がどの方向に向かっているかです。

動画では、信用買い残高の変化、大口投資家の空売り動向、機能材料部門の営業利益、チタン銅の販売数量、ENEOSの保有株式の動向を継続して確認する必要があるとしています。

また、買い場と底値は必ずしも一致しません。

過去の集計では、半値になった後も追加下落する事例が多かったため、購入タイミングや資金配分について慎重な判断が求められます。

追加解説:AI関連企業の成長と株価が一致しない理由

今回のJX金属の事例は、AI関連銘柄への投資を考えるうえで重要な問題を示しています。

AI市場が拡大していても、関連企業の株価が必ず上昇するわけではありません。

株価には、将来の業績拡大に対する投資家の期待が事前に織り込まれているためです。

例えば、投資家が企業の利益成長率を非常に高く見積もっていた場合、実際の利益が増加していても、その伸び率が期待を下回れば株価が下落することがあります。

また、企業の増産計画には設備投資負担が伴います。

生産能力の拡大は将来の売上増加につながる可能性がありますが、設備の稼働率が十分に上がらなければ、期待した利益を得られない場合もあります。

JX金属の場合、今回の50%増産は2029年度に向けた計画です。

したがって、設備投資による利益貢献は段階的に現れると考えられます。

一方、株式市場は将来の利益を現在の株価に織り込もうとします。

そのため、増産による成長期待が強まっても、市場全体のリスク回避や大株主の売却懸念が上回れば、株価が下落することがあります。

今回のJX金属の下落は、企業の成長性だけでなく、投資家の期待水準や株式需給を総合的に判断する必要性を示した事例といえるでしょう。

まとめ:JX金属の暴落は買い場の可能性があるが、底値とは限らない

JX金属の株価は、2026年5月11日の高値5,720円から10月22日の2,917円まで、約49%下落しました。

一方、同社はAIサーバー向けチタン銅の需要拡大を受け、2029年度までに生産能力を50%増強する計画を発表しています。

特に重要なのは、生産工程のボトルネックが明らかになったことです。

これは、足元のAI関連需要が強いことを示す材料と考えられます。

しかし、今回の増産計画は会社全体の事業規模から見れば一部であり、将来の利益貢献額も明らかになっていません。

また、株価下落の背景には、AI・半導体関連株全体への売り圧力、信用買い残高の増加、機関投資家による空売り、大株主ENEOSの保有株式を巡る懸念などが存在しています。

過去26年間の類似事例を分析すると、高値から半値となった大型関連株の約63%は1年後に上昇していました。

さらに、現在のJX金属に近い条件の18事例では、約61%が1年後に上昇していました。

しかし、その18事例のうち15回、約83%では、途中でさらに10%以上下落していました。

この結果から、JX金属が長期的な買い場に近づいている可能性は否定できないものの、現時点が底値だと判断する根拠は十分ではありません。

今後は、11月9日に予定される決算発表でAI関連需要の強さが利益に反映されているか、そして11月30日のENEOS保有株式を巡る動向がどうなるかが重要な焦点となります。

JX金属の今後を判断するうえでは、チタン銅の販売数量、機能材料部門の利益、信用買い残高、機関投資家の空売り、ENEOSの保有株式という5つの要素を継続的に確認することが重要です。

AI関連事業の成長性は魅力的ですが、株価の反転には業績だけでなく、需給面の改善も必要になる可能性があります。

なお、本記事で紹介した株価や統計は、主に2026年10月22日時点の動画内データに基づいています。過去の統計は動画独自の集計によるものであり、将来の株価を保証するものではありません。

本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断はご自身の責任でお願いいたします。

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