12月23日に報じられた『iDeCo(イデコ)』に関するニュースでは、将来の受け取り時に税金が増える可能性があるという話題が注目されています。
この記事では、この『サイレント増税』とも言われる今回の税制改正について、初心者でも理解しやすいように分かりやすく解説します。
iDeCoの仕組みとこれまでの優遇制度
iDeCoは、老後資金を効率的に積み立てることができる制度です。特に税制優遇が大きなメリットとして挙げられ、以下の点が特徴です。
- 掛金が所得控除の対象
- 毎月の掛金が所得税や住民税の控除対象となり、現役時代の税負担を軽減できます。
- 退職金扱いの受け取り時の優遇
- iDeCoの受け取りは一時金として受け取ることが可能で、その場合、退職所得控除が適用されます。
- さらに、控除額を超えた部分に対しては課税所得が半分になる『1/2課税』の優遇措置があります。
具体例として、20年間勤続して1000万円の退職金を受け取る場合、退職所得控除は800万円となり、残りの200万円に対してさらに1/2課税が適用されます。この仕組みのおかげで、実際に納める税金は約15万円と非常に低く抑えられるのです。
今回の改正内容:退職所得控除の二重取りが難しくなる
これまでは、次のように『退職所得控除の二重取り』が可能でした。
- iDeCoの一時金を受け取る(60歳以降)
- 会社の退職金を受け取る(65歳など定年時)
この場合、5年間の間隔を空けることで、それぞれに退職所得控除を適用でき、節税効果が非常に大きくなっていました。これを『5年ルール』と呼びます。
しかし、今回の改正で、このルールが『10年ルール』に変更される見込みです。
10年ルールの影響:ほとんどの人にとって不可能なスケジュール
改正案では、次の条件を満たす必要があります:
- iDeCoの受け取り後、10年以上経過してから会社の退職金を受け取る
多くの会社で定年は60歳から65歳に設定されています。
そのため、60歳でiDeCoを受け取り、70歳以降に退職金を受け取るのは現実的ではありません。これにより、事実上、退職所得控除の二重取りは不可能になると言えるでしょう。
なぜ『サイレント増税』と言われるのか?
この変更により、多くの人が以下の影響を受けます:
- 節税効果が減少
- 退職所得控除の二重取りができないため、節税額が大幅に減ります。
- 退職金への課税負担が増加
- 一部の人にとって、数十万円以上の税負担増加になる可能性があります。
SNSでは、『サイレント増税』『いでこ解約』などの批判が多く見られるようになりました。
iDeCoをどう活用すべきか?リベ大の提言
今回の改正を受けて、リベラルアーツ大学では次のような方針を提案しています:
- 新NISAを優先
- 新NISAでは『年間1800万円』(夫婦なら『3600万円』)の枠が設けられており、こちらを最優先とすべきです。
- iDeCoは『おまけ』と考える
- iDeCoの掛金による所得控除や、最低限の退職所得控除(80万円)は依然として有効です。ただし、運用が複雑であるため、少額から始めるのが安全です。
- 管理手数料に注意
- iDeCoは管理手数料がかかります。そのため、最低限の掛金(月5000円)で運用を続けることも一つの選択肢です。
まとめ:iDeCoを利用する際のポイント
- 退職所得控除の二重取りが事実上不可能になる改正が進行中。
- 今後の資産形成では、新NISAを優先し、iDeCoは控えめに利用するのが賢明。
- 制度が複雑であるため、シミュレーションを行い、自身に合った戦略を立てることが重要。
- 税制の変更に備え、常に最新情報をキャッチアップする姿勢が求められる。
税制の改正に左右されず、賢く制度を利用するためには知識が必要です。今回の改正内容を理解し、最適な資産形成戦略を立てていきましょう。
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