本記事は、YouTube動画『最新調査!投信平均保有期間、たったの2.7年間が話題です。』の内容を基に構成しています。
長期投資ができない現実が数字で明らかに
長期投資の重要性は、多くの投資書籍や専門家が繰り返し強調しているテーマです。しかし、実際の投資家行動は理想とは大きく異なっていることが、最新の調査によって明らかになりました。
日本における投資信託の平均保有期間は、わずか2.72年。長期投資と呼ぶにはあまりにも短い期間です。
この数字は2015年末の2.02年から約0.7年延びているものの、それでも3年未満という現実は、多くの投資家が途中で売却してしまっていることを示しています。
ではなぜ、私たちは長期投資を続けることができないのでしょうか。本記事では、具体的な事例と行動経済学の視点から、その原因と対策を詳しく解説していきます。
投資成果の9割は「資産配分」で決まる
まず押さえておきたい重要なポイントは、投資の成果は「何を買うか」ではなく「どう配分するか」で大きく決まるという事実です。
米国の著名投資家の研究によれば、投資成果の約9割は資産配分によって決まるとされています。
さらに長期投資では、「市場に居続けること」が極めて重要です。
過去のデータでは、たとえば72年間のうち最も良い5日間を逃すだけで、最終的なリターンは約50%も減少してしまいます。また、さらに期間を延ばして112年間のうちベストな10日間を逃すと、利益の約3分の2が消えてしまうという結果もあります。
つまり、タイミングを狙って売買を繰り返すよりも、「市場に居続けること」そのものが重要なのです。
しかし現実には、多くの投資家がこのシンプルな原則を守れません。その背景には、人間特有の心理バイアスが存在しています。
ゴールドの事例:上がったものに飛びつく心理
まず1つ目の事例がゴールドです。
2024年の時点では、ゴールドはそれほど注目されていませんでした。「利息がつかない資産」という理由から、株式投資の方が魅力的と考える人が多かったのです。
しかし2025年、ゴールドは年間約65%上昇し、1979年以来の大幅高となりました。国内価格も1gあたり約2万8000円と歴史的高値圏に到達し、2020年の約5500円と比較すると約4倍以上に上昇しています。
この結果、投資家の認識は一変します。「ゴールドが熱い」「持っていないことがリスク」という声が一気に増加しました。
この現象は「ハーディング効果(群衆心理)」と呼ばれます。人は、多くの人が買っている資産を「正しい選択」と感じやすく、自分だけ違う行動をとることに不安を感じるのです。
本来、投資の原則は「安いときに買う」ことですが、実際には「上がった後に買う」行動が繰り返されてしまいます。
SCHDの事例:期待と現実のギャップで売ってしまう
次に紹介されるのが、高配当ETFであるSCHDの事例です。
2024年には、日本でも連動ファンドが登場し、「配当+値上がり」の魅力から大きな人気を集めました。
しかし2025年、S&P500やオルカンが上昇する中で、SCHDは伸び悩みます。その結果、「思ったより上がらない」「やはり他の投資先の方が良かった」と感じて売却する投資家が増えました。
ところがその後、2025年の銘柄入れ替えによってポートフォリオが改善され、2026年に入ると価格は回復。結果的に、売却してしまった人は上昇を取り逃すことになります。
この現象は「アンカリング効果」によって説明されます。最初に抱いた期待(配当+値上がり)が基準となり、それに達しないと過剰に失望してしまうのです。
つまり、資産が悪かったのではなく、「期待が高すぎた」ことが問題であるケースも多いのです。
インド株の事例:直近の下落に振り回される
3つ目はインド株です。
2024年には成長期待から人気が急上昇し、多くの資金が流入しました。しかし2024年10月に高値をつけた後は下落に転じ、2025年以降は資金流出が続きます。2025年10月には、過去最大の681億円が流出しました。
この流れを見て「もうダメだ」と感じて売却する人も増えました。
しかし、実態を見ると、インド経済の成長ストーリーは崩れていません。GDP成長率は7.3%と高く、2026年には日本を抜いて世界第4位になるとの予測もあります。
ここで働くのが「リセンシーバイアス(直近偏重)」です。人は直近の値動きを過大評価し、長期的な成長性を見失ってしまうのです。
さらに、下落局面では悪いニュースばかりに目が向く「確証バイアス」も重なり、冷静な判断が難しくなります。
すべての行動は「プロスペクト理論」で説明できる
これらの行動はすべて、「プロスペクト理論」によって説明できます。
この理論では、人間は「利益よりも損失の方を約2倍強く感じる」とされています。
その結果、
・上昇している資産を見て「乗り遅れる恐怖」を感じる
・動かない資産に対して「期待外れ」と感じる
・下落している資産を「耐えられない損失」と感じる
といった行動が生まれます。
つまり、投資家が感情に振り回されるのは「意志の弱さ」ではなく、「脳の構造」によるものなのです。
長期投資を成功させるための実践的対策
ではどうすればよいのでしょうか。
最も重要なのは、「商品から入らないこと」です。
まず自分のポートフォリオ全体を設計し、それぞれの資産に役割を持たせます。
例えば、
・ゴールド:守り・リスク分散
・SCHD:配当と値動きの安定
・インド株:成長期待
といった形で位置づけを明確にします。
そのうえで、投資判断の前に一度立ち止まり、「この資産は自分のポートフォリオのどこに入るのか」を確認することが重要です。
この一手間だけで、群衆心理・アンカリング・直近バイアスといった心理的罠にブレーキをかけることができます。
まとめ:長期投資で勝つ人の共通点
長期投資で成功する人は、毎回完璧な判断をしているわけではありません。
むしろ、
・迷うことがある
・他の投資先が良く見える
・不安になる
こうした感情は誰にでもあります。
重要なのは、そのたびに「なぜこの資産を持っているのか」という原点に戻れるかどうかです。
株価が下がり、誰も話題にしなくなったときでも、自分の方針を維持できるかどうか。それが長期投資の成否を分けます。
長期投資は簡単ではありません。しかし、その難しさこそがリターンの源泉でもあります。
不安定な相場だからこそ、自分の投資方針を見直し、「市場に居続ける力」を養うことが、これからますます重要になると言えるでしょう。


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