本記事は、YouTube動画『米株急落4つの理由|エヌビディア-19%暴落|大手銀行がプライベートクレジットへ多額融資発覚|買い時の優良個別株STRLとは?|米国株vs日本株の最新状況【米国株投資】2026.3.23』の内容を基に構成しています。
導入
2026年3月の米国株市場は、これまで相場を牽引してきたAI関連株やマグニフィセント7の失速が目立ち、市場全体に不安が広がっています。
とくにエヌビディアが高値から約19%下落し、マイクロソフトも大幅安となるなど、これまで「強い」とされてきた大型テック株ですら売られる状況が続いています。
一方で、S&P500全体を見ると、確かに地合いは悪化しているものの、指数そのものはまだ歴史的暴落と呼べる水準ではありません。そのため、今の下落をどう捉えるべきか、AIバブル崩壊の始まりなのか、それとも一時的な調整なのかを冷静に見極める必要があります。
今回の動画では、米国株が急落している背景として4つの大きな要因が整理されていました。
さらに、そうした不安定な相場の中でも注目できる個別株として、スターリング・インフラストラクチャー(STRL)が紹介され、米国株と日本株をどう比較し、どのように投資を継続すべきかという考え方まで詳しく語られています。
本記事では、動画内容をできるだけ削らずに整理しながら、初心者にも分かるよう背景や補足も加えつつ、今の米国株相場で何が起きているのかを丁寧に解説します。
背景説明
2025年から2026年にかけて、世界の株式市場ではAI関連投資が最大のテーマになっていました。マイクロソフト、アマゾン、グーグル、メタ、オラクルといった巨大企業は、データセンターやAI半導体、クラウド設備に巨額の資金を投じ、AIを新たな成長の柱として本格的に育てようとしてきました。
しかし、市場は常に先回りして動きます。AIが将来有望であること自体に異論はなくても、「今の株価は本当にその成長を正しく反映しているのか」「これほどの投資額に見合う利益は本当に生まれるのか」という疑問が出てくると、相場は急に不安定になります。
しかも、今回はAI懸念だけではありません。中東情勢の悪化による原油高、インフレ再燃への警戒、利下げ期待の後退、さらにはプライベートクレジット市場への不安まで重なっています。こうした複数の悪材料が同時に出ると、株式市場では「どの材料を優先して見ればよいのか」が分かりにくくなり、投資家心理が一気に悪化しやすくなります。
今の相場は、単純に「業績が悪いから下がる」という局面ではなく、投資家が将来の不確実性に対して、より強く反応している局面だと言えます。そのため、表面的な株価の上下だけを見るのではなく、なぜ売られているのか、その背景にある金利、資金調達、地政学リスク、セクターごとの違いまで見ていくことが重要になります。
動画内容の詳細解説
1つ目の理由 AI楽観論が揺らぎ始めた
動画の中でまず紹介されていたのが、モルガン・スタンレーのレポートです。そこでは、2026年初から続いてきたAI楽観論に陰りが見え始めていると指摘されていました。
その背景には、AI構築に必要な巨額投資と、その投資対効果への疑問があります。世界のデータセンター建設やAIハードウェア投資は、2029年までに3兆ドル規模に達するとの予測もあり、ハイパースケーラーと呼ばれる巨大企業群は設備投資を急拡大させています。去年だけでも約3000億ドル規模だった投資が、今年は6000億ドルから7000億ドル規模にまで膨らむ可能性があるとされ、そのうち75%がAI関連になる見通しです。
ここで問題になるのが、AI向けGPUなどの寿命です。技術革新のスピードがあまりにも速いため、実際の経済的寿命は2年から3年程度と見られる一方、会計上の償却期間は6年程度とされることが多く、現実と会計上の扱いにズレがあります。つまり、投じた資金が本当に回収できるのか、投資効率は適正なのかという懸念が強まっているわけです。
この不安は、株価の動きにもはっきり表れています。マグニフィセント7は2025年10月末の高値から約16%下落しており、エヌビディアも約19%下落しています。しかも、これは決算が悪かったからではありません。エヌビディアは売上高、データセンター売上、EPS、粗利益率などがいずれも市場予想を上回る好決算だったにもかかわらず、株価は大きく下げています。
この点は非常に重要です。通常、業績が良ければ株価は上がりやすいのですが、今は「良い決算を出しても売られる」状態になっています。これは市場が、足元の業績ではなく、その先のAI投資の持続性や収益化に対して疑いを持ち始めていることを示しています。
マイクロソフトも同様で、高値から約30%下落していると紹介されていました。こちらも業績自体は堅調で、クラウドやAI関連需要の伸びが確認されているにもかかわらず売られています。つまり、AI関連銘柄は、業績の良し悪しよりも「期待が先に膨らみすぎていた反動」で調整している局面に入っていると考えられます。
2つ目の理由 プライベートクレジットへの不安が金融市場を揺らしている
2つ目の要因として挙げられていたのが、民間信用、つまりプライベートクレジット市場への懸念です。
プライベートクレジットとは、銀行を通さずに非公開の形で企業向け融資を行う仕組みのことで、近年はブラックストーン、アポロ、KKRなどの大手オルタナティブ運用会社が成長分野として拡大してきました。高金利環境の中でも高い利回りを狙えるため人気化していましたが、景気悪化や信用不安が高まると、一気に問題が表面化しやすい領域でもあります。
動画では、こうしたプライベートクレジット関連銘柄が2026年に入って約30%下落していることが紹介されていました。そしてさらに重要なのは、こうした分野にアメリカの大手銀行も深く関与していることです。JPモルガン、バンク・オブ・アメリカ、ウェルズ・ファーゴなどが、合計で3000億ドル規模の融資を実行しているとされ、とくにウェルズ・ファーゴはイギリスなど海外のプライベートクレジットにも融資していると説明されていました。
もし信用不安が現実化すれば、貸倒引当や損失処理の問題が表面化し、金融セクター全体に悪影響が及ぶ可能性があります。そのため、セクター別パフォーマンスでも金融セクターが大きく下げている点が強調されていました。
金融株が下がると、投資家はそれを「市場全体への警戒信号」として受け止めがちです。なぜなら、金融機関は景気の血流のような存在であり、銀行が傷むと企業活動全体に影響が広がる可能性があるからです。今回の下落相場では、テック株だけでなく金融株も弱いことで、相場全体への不安がさらに強まっている構図が見えてきます。
3つ目の理由 イラン戦争によるエネルギーショックとスタグフレーション懸念
3つ目の理由は、イラン戦争によるエネルギーショックです。中東情勢が悪化すると、まず意識されるのが原油供給への影響です。とくにホルムズ海峡のような重要航路に不安が生じると、市場は原油価格にリスクプレミアムを上乗せしやすくなります。
動画では、原油価格が一時的に下落した場面はあっても、依然として高水準にあることが説明されていました。たとえば4月限の原油先物が98ドル付近にあるということは、市場が「この先すぐにはエネルギー問題が解消しない」と考えていることを意味します。
さらに、イランによるドローン発射数は減少傾向にある一方で、戦争が終わる見通しは依然として不透明とされていました。アメリカ国防長官が、対イラン戦争関連として2000億ドル規模の予算申請を行ったことも紹介されており、市場はこの動きを「長期化への備え」と受け止めています。
エネルギー価格の上昇は、企業のコスト増加につながります。物流費、製造コスト、電力料金などが上がれば、企業収益を圧迫し、同時に消費者物価も押し上げます。これがインフレ懸念の再燃につながります。
問題は、景気が怪しくなっているのに物価が高いという、いわゆるスタグフレーション的な状況が意識されることです。通常、景気が悪ければ中央銀行は利下げで支えに入れますが、物価が高いと利下げしにくくなります。結果として、株にとっても債券にとっても厳しい環境になります。
実際、VIX指数は30近くまで上昇した後も26前後にとどまり、恐怖と不安が市場に残り続けていることが示されていました。さらに、複数のセンチメント指標を組み合わせた恐怖指数でも「極端な恐怖」水準にあるとされており、投資家心理はかなり冷え込んでいる状況です。
4つ目の理由 相場の主役が変わり始めている
4つ目の理由として、今のような複雑な市場環境では、これまでの主役だった大型ハイテク株から、工業株や素材株、エネルギー株、あるいは金や不動産へと資金が分散し始める可能性があると説明されていました。
これは非常に興味深い視点です。実際に、S&P500構成銘柄の年初来上昇率上位には、サンディスク、テキサス・パシフィック・ランド、モデルナ、ライオンデルバゼル、CFインダストリーズ、ダウ、APAなど、AIど真ん中ではない銘柄が多く並んでいます。ストレージ、資源、素材、肥料、エネルギー、インフラなど、より実物経済に近い分野が上昇していることが分かります。
ただし、ここで難しいのは「セクター全体が強い」とは限らないことです。動画でも、素材セクター全体では直近1か月で最も下がっている一方、個別には強い銘柄が存在すると指摘されていました。つまり、今は単純に「このセクターが強い」と決め打ちするのではなく、同じセクターの中でも銘柄選別が極めて重要な局面だということです。
原油高が続けば、素材関連企業は一見追い風にも思えますが、同時にエネルギーコスト上昇が利益を圧迫する面もあります。そのため、同じ素材セクターでも、価格転嫁できる企業とできない企業で株価の差が大きくなります。今の相場では、まさにそうした「セクター間の差」ではなく「個別銘柄間の差」が拡大しているのです。
注目個別株として紹介されたSTRLとは何か
動画の中で、こうした難しい相場の中でも注目銘柄として紹介されていたのが、スターリング・インフラストラクチャー(STRL)です。
この企業は工業セクターに属し、データセンター、ファイバーネットワーク、道路などのインフラ建設を手がける会社です。AI相場の恩恵を、半導体やソフトウェアではなく、インフラ整備という裏方の立場から受けている企業と言えます。
紹介されたポイントの1つは、決算の強さです。売上高もEPSも市場予想を約18%上回り、さらに来年のガイダンスでも売上25%増、利益26%増という力強い見通しを示していました。こうした内容を受け、相場全体が不安定でも株価は比較的しっかりしていると説明されていました。
また、この会社は受注残、いわゆるバックログが非常に大きく、前年末時点で30億ドル規模、前年比で約8割増という水準に達しているとされます。建設・インフラ企業にとって受注残は将来売上の見通しに直結するため、ここが厚いというのは大きな強みです。
一方で、リスクも明確に語られていました。STRLの成長シナリオは、データセンター需要やハイパースケーラーの設備投資継続に依存しています。もし大手テック企業がAI投資の効率性を見直し、設備投資を抑え始めれば、新規受注の鈍化につながる可能性があります。
そのため、動画では「優良銘柄に見えても、最初から大きく買うのではなく、まずはサテライトとして少額から入るべき」とされていました。個別株は値動きが大きく、半値になることも珍しくないため、自分の中で企業理解が十分深まるまでは、あくまで補助的なポジションとして持つのがよいという考え方です。
S&P500は暴落しているのか
今回の動画では、個別の大型株は大きく下がっている一方で、S&P500全体はまだ10%も下がっていないという点も重要なポイントとして扱われていました。
これは投資判断においてとても大切です。ニュースやSNSでは「米国株崩壊」「AIバブル崩壊」といった刺激的な表現が並びますが、指数全体で見れば、まだ本格的な暴落というよりは調整の範囲内とも言えます。
もちろん、200日移動平均線を割り込むなど、チャート上では下落基調入りを示すシグナルも出ています。しかし、それでも指数全体がまだ壊滅的な下げに至っていないという事実は、冷静に受け止める必要があります。
相場では、体感と実際の数字がずれることがよくあります。特に、保有しているテック株が20%から30%下がると心理的ダメージは大きく、「市場全体も終わっている」と感じやすくなります。しかし、指数ベースで見ればまだ局所的な下落に近い可能性もあるため、自分が何を持っていて、どの指標で市場を見ているのかを整理することが大切です。
FOMC後に強まった利下げ期待の後退
動画では、FOMC後の金利見通しが市場に与えた影響についても詳しく解説されていました。
2026年の金利見通しは、前回よりも高い水準に修正され、以前は2.9%程度が中心視されていたのに対し、今回は3.1%から3.6%程度が意識されるようになりました。さらに、パウエル議長が記者会見で「利上げも議論した」と述べたことが市場にとってサプライズとなり、10年債利回りは4.39%付近まで上昇しました。
金利上昇は、株式市場にとって逆風です。特にグロース株は、将来の利益を現在価値に割り引いて評価する性質が強いため、割引率となる金利が上がると理論上の株価は下がりやすくなります。テスラのようにローン金利が需要に直結する業種でも悪影響が出やすくなります。
また、金利上昇は債券価格の下落も意味します。つまり、株も下がり、債券も下がるという、投資家にとって非常に厳しい環境になっているわけです。これが、今回の相場が「単なる株安」ではなく、「資産全体が苦しい局面」である理由の1つです。
追加解説
なぜ米国株は割高でも買われ続けるのか
動画後半では、米国株と日本株の比較を通じて、「それでもなぜ米国株を継続して持つのか」という本質的な話が展開されていました。
ここで使われていたのが、株価は利益成長を現在価値に割り戻したものだという考え方です。簡単に言えば、企業が将来どれだけ稼ぐか、その利益を今の価値に直したものが株価です。そのため、利益が伸びる企業は長期的に株価も上がりやすくなります。
現在の米国株は、10年債利回りと比べると割高感があると説明されていました。つまり、金利が高い割に、株式の益回りはそれほど高くないため、理論上は「債券の方が魅力的ではないか」という状態になっています。それでも米国株が長期で上がってきたのは、企業の利益成長力が高いからです。
動画では、S&P500企業のROEが19.5%から22%程度と非常に高い一方、日本企業は9.5%から11%程度にとどまっていると説明されていました。ROEとは、企業が株主資本をどれだけ効率的に利益へ変えているかを見る指標です。この差は、経営効率や資本活用力の差でもあります。
さらに研究開発費でも、アメリカ企業は圧倒的です。トップ10企業合計で年間56.8兆円、日本は5.9兆円程度という差は、将来の成長に対する投資姿勢の違いを象徴しています。アマゾン1社だけで、日本のトップ10企業全体の数倍規模の研究開発費を投じているという話は、米国企業の成長力を理解するうえで非常に印象的です。
日本株が悪いのではなく、米国株の優位性がなお大きい
動画では、日本株が上がっていること自体は否定されていませんでした。実際、日本企業の資本効率改善やPBR1倍割れ是正の流れを受けて、日本株にも一定の魅力があります。視聴者アンケートでも、米国株47%に対して日本株42%と、かなり拮抗した支持になっていたことが紹介されていました。
ただし、世界全体の時価総額に占める割合を見ると、アメリカが44%を占める一方、日本は4.9%、インドでも6.9%程度にとどまると説明されていました。つまり、世界のお金は依然としてアメリカに集中しているという現実があります。
この点は長期投資を考えるうえで重要です。短期的には日本株が強い年もありますし、為替や政策の影響で日本株が有利に見える時期もあります。しかし、企業規模、利益成長、研究開発、資本効率、世界の投資マネーの集まり方を総合すると、やはり米国株の優位性はまだ大きいというのが、この動画の結論でした。
不安定相場での基本戦略はコアを崩さないこと
動画の中では、こうした相場でもS&P500ETFやゴールドを継続的に買い増していることが紹介されていました。具体的には、S&P500連動ETFを約1万5000ドル分、ゴールドETFを約9300ドル分買い増したと語られていました。
ここで伝えたかったのは、相場が不安定だからこそ、まず指数などの「コア資産」をしっかり持ち、そのうえで個別株は「サテライト」として慎重に扱うべきだということです。
初心者の方ほど、相場が荒れると「今は何を買えば一番儲かるのか」に意識が向きやすいものです。しかし、本来大切なのは、一時的なテーマ株を追いかけることではなく、自分の資産形成の土台をどう守り、どう育てるかです。その意味で、S&P500やゴールドを軸にしながら、良さそうな個別株は少額で試すという考え方は、非常に実践的だと言えるでしょう。
まとめ
今回の動画では、米国株が急落している背景として、AI投資の過熱修正、プライベートクレジット不安、イラン戦争による原油高とスタグフレーション懸念、そして相場の主役交代という4つの理由が整理されていました。
特に印象的なのは、エヌビディアやマイクロソフトのように、業績が良くても株価が下がる局面に入っていることです。これは、企業業績そのものよりも、将来への期待値とその反動が相場を動かしていることを示しています。今は「良い会社かどうか」だけでなく、「その良さが株価にどこまで織り込まれていたか」まで考える必要がある局面です。
一方で、S&P500全体で見ればまだ本格的な暴落とは言い切れず、米国企業の利益成長力や資本効率、研究開発力を考えると、長期での優位性は依然として高いと考えられます。だからこそ、目先の不安やSNS上の極端な悲観論に流されるのではなく、仕組みを理解したうえで淡々と投資を継続する姿勢が重要になります。
個別株ではSTRLのような有望銘柄もありますが、こうした銘柄は最初から大きく賭けるのではなく、まずはサテライトとして小さく持ち、企業理解を深めながら育てていくという考え方が現実的です。
相場が不安定になると、投資家は「今すぐ正解を知りたい」と焦りやすくなります。しかし実際には、短期的な正解を当て続けることよりも、長期的に再現性のある考え方を持つことの方がずっと大切です。今回の動画は、そのことを改めて考えさせてくれる内容だったと言えるでしょう。


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