本記事は、YouTube動画『金持ちが絶対に現金を持たない理由|インフレ時代に富を増やす人の共通点』の内容を基に構成しています。
現金は本当に「安全資産」なのか
これまで日本では、「お金は銀行に預けておくのが安全」「定期預金でコツコツ貯めるのが堅実」という考え方が長く信じられてきました。
たしかに、親世代や祖父母世代にとっては、それは合理的な選択でした。1970年代から1980年代の日本では、定期預金の金利が5%から6%、郵便局の定額貯金では実質8%近い利回りが期待できた時期もありました。
しかし、現在の状況は大きく変わっています。普通預金の金利は0.1%から0.2%前後、ネット銀行の優遇金利でも0.3%から0.5%程度にとどまるケースが多く、100万円を1年間預けても増える利息は1,000円から5,000円ほどです。
一方で、物価は2%から3%台で上昇する年が出てきています。仮に預金金利が0.2%で、物価が2.5%上がれば、実質的には毎年2%以上、お金の価値が減っている計算になります。
つまり、通帳の数字は減っていなくても、そのお金で買えるものは少しずつ減っているのです。
お金持ちが現金を持ちすぎない理由
動画では、お金持ちが銀行口座に大量の現金を寝かせたままにしない理由として、「現金はゆっくり溶けていく氷に近づいている」と説明されています。
これは非常にわかりやすい表現です。
たとえば、ここ6年から7年で金の価格は1gあたり5,000円台から2万6,000円台まで上昇したとされています。以前なら100万円で約200g近い金を買えたのに、現在では40g前後しか買えないということです。
これは、金が上がったという見方もできますが、反対に言えば「円の購買力が金に対して大きく下がった」とも言えます。
お金持ちは、現金をまったく持たないわけではありません。生活費や緊急資金として必要な現金は確保します。しかし、余剰資金まで日本円の普通預金や定期預金に偏らせることは避けます。
その代わりに、株式、投資信託、不動産、金、外貨、美術品、ヴィンテージ時計など、インフレや通貨価値の変化に合わせて価値が上がりやすい資産に分散しています。
インフレは一時的では終わらない可能性がある
動画では、今後10年、20年にわたってインフレが何度も戻ってくる可能性があると説明されています。
その背景にあるのが、グローバル化の変化です。
これまで世界は、中国、ベトナム、インドネシアなどの安い労働力を活用し、低コストで商品を作ることで物価上昇を抑えてきました。企業は生産拠点を海外に移し、消費者は安い商品を買うことができました。
しかし現在は、地政学リスクや経済安全保障の観点から、生産拠点を自国や友好国に戻す動きが強まっています。半導体、エネルギー、食料、レアアースなどは、単なる商品ではなく、国家戦略の道具にもなっています。
その結果、製造コストや物流コストが上がりやすくなり、商品価格に反映されやすくなります。
さらに、各国の政府債務も大きく膨らんでいます。政府債務が大きくなると、政治的には「インフレによって借金の実質負担を薄める」という方向が選ばれやすくなります。
つまり、今後の世界では、インフレは「たまたま来た一時的な現象」ではなく、何度も戻ってくる前提で考えた方がよいということです。
資産価格には4つの段階がある
動画では、資産価格の上昇には4つの段階があると説明されています。
第1段階は、株、不動産、金、暗号資産など、あらゆるものが上がる「みんな上がる相場」です。
第2段階は、リスク資産が20%、30%と大きく調整する局面です。多くの人はここで「もう終わった」と考え、損切りして退場してしまいます。
第3段階は、少数の銘柄だけが指数を引っ張る相場です。指数は上がっているのに、実際に上がっているのは半導体関連、AI関連、防衛関連、一部の値がさ株などに偏っている状態です。
第4段階は、すべてが一斉に崩れる「エブリシング・クラッシュ」です。
動画では、1999年のドットコムバブルが例として挙げられています。当時も最初は多くの銘柄が上昇しましたが、最後はMicrosoft、Cisco、Intelなど一部の主力銘柄だけが指数を押し上げる形になりました。そして、その後に大きな崩壊が起きました。
現在の日経平均も過去最高値圏にあり、一時6万円台に乗せる場面が出てきた一方で、上昇を牽引している銘柄は一部に偏っているという見方が示されています。
重要なのは、「今すぐ暴落する」と決めつけることではありません。自分が今どの局面にいるのかを冷静に判断することです。
混乱の時代ほど逆転が起きやすい
動画の大きなテーマの1つが、「経済が荒れている時ほど、追い越しと逆転が起きやすい」という考え方です。
安定した時代には、すでに資本、人脈、実績を持っている先行者が有利です。しかし、金利、為替、地政学、AI、人口構造などが大きく変わる時代には、過去の成功パターンが通用しにくくなります。
これは、後発者にとってチャンスでもあります。
1997年から1998年のアジア通貨危機の時期には、日本の金融機関や大企業が大きな苦境に立たされました。一方で、ユニクロやソフトバンクのように、その後大きく成長する企業も出てきました。
2008年のリーマンショックの時期も、AppleのiPhone、App Store、Tesla、クラウドサービスなど、次の時代を作る産業が本格的に動き始めました。
つまり、経済が大きく揺れる時代は、すでに成功した人にとっては危険である一方、これから資産を作る人にとっては大きなチャンスにもなり得るのです。
20代・30代がやるべきこと
20代、30代にとって最も大切な資産は、お金そのものよりも「時間」です。
この世代は、まだ大きな資産を持っていないことが多いため、資産価格が上がっても、40代や50代ほど大きな恩恵を受けにくい面があります。その焦りから、ミームコイン、3倍レバレッジ商品、値動きの激しい小型株などに手を出してしまう人もいます。
しかし、動画では、20代・30代が本当に使うべきレバレッジは「時間」だと説明されています。
短期売買で1日中チャートを見るよりも、本業のスキルアップ、副業、小さな事業、収入を増やす力に時間を使う方が、長期的なリターンは大きくなる可能性があります。
理想は、時間の90%を自己成長に使い、投資は10%程度に抑えて自動化することです。
たとえば、給料日に自動で証券口座へ一定額を移し、eMAXIS Slim 全世界株式、いわゆるオルカンや、S&P500型のインデックス投資信託を積み立てる。新NISAのつみたて投資枠を活用すれば、一定範囲内で運用益が非課税になります。
重要なのは、チャートを追いかけないことです。市場のタイミングを読もうとするのではなく、毎月淡々と積み立て、空いた時間を自分の能力向上に使うことが、20代・30代にとって合理的な戦略になります。
40代・50代が注意すべきこと
40代・50代は、20代・30代とは状況が異なります。すでに住宅、不動産、金融資産など、一定の資産を持っている人が多い世代です。
特に日本では、住宅ローンを組んで自宅を購入し、それが資産形成の中心になっているケースが少なくありません。
しかし、動画では「過去30年の成功体験を、これからの30年にもそのまま当てはめるのは危険」と指摘されています。
過去30年は、金利が大きく下がる時代でした。住宅ローン金利も非常に低くなり、不動産を買うことが有利に働いた局面がありました。
しかし、今後も同じとは限りません。日本でも2024年にマイナス金利が解除され、金利のある世界へ少しずつ移行し始めています。金利が上がれば、住宅ローンや不動産投資ローンの負担は増えます。
過去には「安い金利で借りて不動産を買い、値上がりを待つ」という戦略が通用しました。しかし、金利がある時代には、この戦略が重荷になる可能性があります。
40代・50代がやるべきことは、不動産を否定することではありません。不動産だけに偏りすぎないことです。
ドル資産、米国株ETF、全世界株式、金、債券、海外資産などに少しずつ分散し、資産の置き場所を複数に分けることが重要です。
60代以上が最も警戒すべきもの
60代以上にとって、最も怖い敵は株価の短期的な値動きではなく、インフレです。
過去30年の日本は、デフレに近い時代でした。物価があまり上がらなかったため、現金や年金の購買力が大きく削られにくい環境でした。
しかし、近年は物価が2%から3%台で上昇する年が出てきています。これまでのように「現金で持っていれば安心」とは言い切れなくなっています。
たとえば、老後資金として2,000万円を持っていたとしても、インフレ率が2%から3%で続けば、10年後には実質的な価値が1,500万円台程度まで下がる可能性があります。つまり、何もしなくても400万円から500万円分の購買力が失われる計算になります。
だからといって、60代や70代の人が大きなリスクを取って株式に集中投資する必要はありません。
大切なのは、資産の100%を日本円預金に置かないことです。
退職資産の一部を、金、ドル資産、全世界株式ETF、安定配当型の投資信託、新NISAの成長投資枠などに分散するだけでも、インフレに対する防御力は変わります。
動画では、あくまで一例として、退職資産の20%から30%を日本円以外やインフレに強い資産に振り分ける考え方が紹介されています。
これからの時代に必要なのは資産配分の見直し
今回の動画で繰り返し語られているのは、「現金をゼロにしろ」という話ではありません。
現金は生活費や緊急時の備えとして必要です。問題は、余剰資金まで日本円の預金に置きっぱなしにすることです。
インフレ、円安、金利上昇、地政学リスク、AIによる産業構造の変化など、今の世界では多くの前提が変わっています。
その中で、過去30年の常識だけに頼ると、知らないうちに購買力を失ってしまう可能性があります。
お金持ちが現金を持ちすぎない理由は、特別な情報を知っているからではありません。現金は価値が縮みやすく、資産は時代とともに増えやすい場所へ置く必要があると理解しているからです。
まとめ
現金は、かつての日本では安全で合理的な資産でした。高金利の時代には、銀行に預けるだけで資産が増えたからです。
しかし現在は、預金金利が低い一方で、物価は上がり、円の購買力も低下しています。通帳の数字は変わらなくても、そのお金で買えるものは少しずつ減っています。
20代・30代は、短期売買に時間を奪われるのではなく、自己成長と長期積立を組み合わせることが重要です。40代・50代は、過去の不動産成功体験に偏りすぎず、資産を分散する必要があります。60代以上は、インフレによって老後資金の実質価値が削られるリスクに備えることが大切です。
これからの時代に必要なのは、現金を盲目的に信じることではなく、自分の資産配分を見直すことです。
日本円の現金、株式、投資信託、不動産、金、外貨などを、自分の年齢、収入、生活費、リスク許容度に合わせてバランスよく持つことが、インフレ時代に資産を守る基本になります。


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