本記事は、YouTube動画『今週のゆるっと相場解説』の内容を基に構成しています。
日経平均は619円安、しかし相場全体は単純な下落ではない
本日の日本株市場では、日経平均株価が619円安となり、前日に到達した6万円台を維持できず、6万円割れで取引を終えました。
前日に日経平均が6万円を突破したことで、市場には大きな節目を超えたという高揚感がありました。しかし、翌日には反落し、いったん利益確定売りが出た形です。
売買代金は9.4兆円と大きく、ここ最近続いていた8兆円台を上回る水準でした。以前には10兆円近い売買代金を記録した場面もありましたが、今回もそれに近い活況です。高値圏で売買代金が膨らんでいることから、投資家の間で利益確定の動きが出ている可能性があります。
ただし、今回の相場を「日経平均が下がったから日本株全体が弱い」と見るのは少し早いかもしれません。なぜなら、日経平均は下落した一方で、TOPIXは上昇していたからです。
つまり、指数によって見えている景色が大きく違っていたということです。
日経平均6万円は定着できるのか
日経平均は6万円という大台に一度到達しましたが、現時点ではその水準にしっかり定着できるかどうかはまだ分かりません。
動画内では、今後は6万円を挟んだ攻防戦が始まる可能性があると説明されています。
株価の大きな節目では、よくこのような動きが起こります。たとえば、日経平均が3万円や4万円を突破したときも、すぐにその水準を安定して維持できるとは限りませんでした。大台に乗ると、短期投資家は「ここまで上がったなら一度利益を確定しよう」と考えやすくなります。一方で、上昇トレンドが続くと見ている投資家は押し目買いを狙います。
そのため、6万円という価格帯は、売りたい投資家と買いたい投資家がぶつかりやすい水準になります。
今回の日経平均の下落も、相場全体が崩れたというよりは、6万円という節目を前にした一時的な調整、あるいは高値圏での利益確定と見ることもできます。
日経平均は下落、TOPIXは上昇というねじれ
今回の相場で特に重要なのは、日経平均が下がった一方で、TOPIXが上がっていた点です。
日経平均を見ると619円安という大きな下落に見えます。しかし、値上がり銘柄数を見ると、日経平均採用銘柄の中でも184銘柄が上昇し、値下がりは41銘柄にとどまっていました。
つまり、多くの銘柄は上がっていたにもかかわらず、日経平均だけは下がっていたということです。
この理由は、日経平均が一部の値がさ株の影響を強く受ける指数だからです。
動画では、ソフトバンクグループとアドバンテストだけで日経平均を約900円近く押し下げ、東京エレクトロンなども含めると約1000円程度の下落寄与になっていたと説明されています。
つまり、相場全体が売られたというより、日経平均への影響度が大きい一部の銘柄が大きく下落したことで、日経平均全体が下がって見えたということです。
日経平均は日本経済を表しているのか
日経平均については、「もはや日本経済全体を表していないのではないか」という声もあります。
この見方には一定の妥当性があります。なぜなら、日経平均は上位の数銘柄の影響が非常に大きく、特にアドバンテスト、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなどの値動きに左右されやすいからです。
そのため、日本企業全体の平均的な姿を知りたい場合には、日経平均だけを見るのでは不十分です。TOPIXのように、より幅広い銘柄を反映する指数も合わせて見る必要があります。
一方で、動画では日経平均を「投資対象としてのインデックス」として見るなら、必ずしも悪い指数ではないとも説明されています。
なぜなら、日経平均で影響力が大きい銘柄は、これまで株価が大きく伸びてきた銘柄でもあるからです。伸びている銘柄の比率が自然に大きくなり、調子の良い銘柄により多く資金が配分される形になるため、結果的に指数全体のパフォーマンスを押し上げる面があります。
もしすべての銘柄を均等に扱っていたなら、日経平均はここまで大きく上昇していなかった可能性があります。
つまり、日経平均は日本経済全体を正確に映す鏡としては限界があるものの、強い銘柄に資金が集まりやすい投資対象としては、一定の合理性があるということです。
NT倍率から見る日経平均とTOPIXの差
今回の動画では、NT倍率にも注目しています。
NT倍率とは、日経平均をTOPIXで割った指標です。簡単に言えば、日経平均がTOPIXに対してどれだけ強いかを見るための数値です。
最近の相場では、日経平均だけが大きく上昇し、TOPIXがそれほど上がっていない状態が続いていました。そのため、NT倍率は大きく上昇していました。
これは、日経平均寄与度の高い一部の銘柄に資金が集中していたことを意味します。
しかし、今回の相場では日経平均が下がり、TOPIXが上がりました。これは、日経平均優位だった流れに一度変化が出た可能性があります。
動画では、日経平均が少し休み、TOPIXが追いつくターンに入る可能性があると説明されています。
これを資金のローテーションと呼びます。これまで上がっていた銘柄から、まだ出遅れている銘柄へ資金が移る動きです。
たとえば、半導体関連や値がさ株が一服し、銀行株、素材株、内需株、輸出株などに資金が広がっていくような展開です。もしこの流れが続けば、日経平均は横ばいでも、個別銘柄では上昇する銘柄が増える可能性があります。
TOPIXのチャートは良い形に見える
動画では、TOPIXのチャートについても前向きな見方が示されています。
TOPIXは右肩上がりの流れの中で、一度100日移動平均線付近まで押し、その後反発している形です。さらに、下値を切り上げながら中期線や長期線に支えられているように見えるため、チャートの形としては悪くありません。
もし今後、高値を抜いてくるようであれば、次の上昇局面に入る可能性もあります。
日経平均だけを見ると「6万円割れで弱い」と感じるかもしれませんが、TOPIXを見ると、むしろ相場全体には底堅さが残っているようにも見えます。
この点は、個人投資家にとって非常に重要です。
日経平均が下がっているニュースだけを見ると、保有株もすべて危ないように感じてしまうかもしれません。しかし、実際には多くの銘柄が上がっている日もあります。指数の見方を間違えると、相場全体の判断も誤りやすくなります。
日銀会合は現状維持、ただし反対票が3人
今回の相場では、日銀会合も大きな材料になりました。
日銀は金融政策について現状維持を決定しました。ただし、反対票が3人あったことが注目されました。
発表直後のドル円相場では、円高方向に大きく動きました。これは、市場が「日銀は今後、利上げに近づいているのではないか」と受け止めた可能性があります。
しかし、その後の会見では流れが変わりました。
日銀側は、物価の上振れリスクを気にしているものの、現時点で直ちに利上げで対応するほどの緊急度はないという趣旨の説明をしました。
この発言を受けて、為替市場では再び円安方向に動きました。結果として、日銀会合前よりも円安が進む形になりました。
円安は株式市場にプラス材料になる可能性
円安が進むと、日本株にとってはプラス材料になることがあります。
特に、自動車、機械、電機、半導体関連など、海外売上比率の高い輸出企業にとっては、円安が利益を押し上げる要因になります。
たとえば、海外で得たドル建ての利益を円に換算するとき、円安であれば円ベースの利益が増えます。そのため、円安は輸出企業の業績見通しを支える材料になります。
また、日銀が利上げを急がないという見方が広がれば、株式市場にとっては安心材料になります。金利が上がると企業の借入コストが増え、株式の相対的な魅力も低下しやすくなります。逆に、利上げが急がれないのであれば、株価にはプラスに働きやすくなります。
ただし、円安にはデメリットもあります。輸入コストが上がるため、原材料価格やエネルギー価格が上昇しやすくなります。特に、原油やナフサなどの価格が上がれば、化学メーカーや素材メーカーには負担になる可能性があります。
海外投資家は4月に大きく日本株を買い越し
動画で特に強調されていたのが、海外投資家の買い越しです。
4月に入ってから、海外投資家は日本株を大きく買い越しており、その金額は約4.5兆円規模に達していると説明されています。
これはかなり大きな金額です。動画内では、アベノミクス序盤の水準に迫る勢いだとも表現されています。
日本株がここまで上昇してきた背景には、海外投資家の資金流入が大きく影響していると考えられます。
ただし、ここで重要なのは「海外投資家はこれからも買ってくれるのか」という点です。
株価が上がった後に海外勢の買いが止まれば、相場は一服する可能性があります。一方で、海外から見て日本株にまだ割高感がないのであれば、さらに資金が入ってくる可能性もあります。
海外投資家から見た日本株はまだ割高に見えていない可能性
動画では、海外投資家が見ている日本株の指数として、MSCI Japan ETFのような指標にも触れています。
海外投資家の目線では、日本株は日経平均だけでなく、TOPIXに近い広い指数で見られることが多いです。そのため、日経平均が6万円を突破していても、海外投資家から見た日本株全体は、まだ過去最高値を更新していないように見える場合があります。
さらに、円安が進んでいることもポイントです。
海外投資家はドルなどの外貨ベースで日本株を見るため、円安になると日本株が相対的に安く見えることがあります。円建てでは高値に見えても、ドル建てではまだそこまで割高ではないという状況が起こり得ます。
そのため、海外投資家から見ると、日本株にはまだ投資余地があると判断されている可能性があります。
PERは高水準、今後はEPSの伸びが重要
一方で、日経平均のバリュエーションには注意が必要です。
動画では、日経平均のPERが直近のレンジを上抜け、かなり高い水準に来ていると説明されています。
PERとは、株価が企業利益の何倍まで買われているかを示す指標です。一般的には、PERが高くなるほど、将来の利益成長に対する期待が大きく織り込まれていると考えられます。
今回の動画では、PERの妥当レンジとして23倍から26倍程度が意識されています。しかし、株価上昇によってPERはそのレンジを上抜けつつあります。
この状態を正当化するには、今後のEPS、つまり1株あたり利益が伸びる必要があります。
株価が高くなっても、企業利益がそれ以上に伸びれば、PERは自然に下がります。反対に、企業利益が伸びなければ、株価だけが先に上がりすぎた状態になり、調整リスクが高まります。
動画では、今期の企業予想が5%から10%程度伸びるのであれば、日経平均6万円台も説明できる可能性があるとされています。逆に、EPSの伸びが5%にも届かない場合には、やや危ない水準に見えるという見方です。
決算発表で企業は強気見通しを出せるのか
今後の最大の注目点は、企業決算です。
ゴールデンウィーク明けに決算発表がピークを迎えるため、そこで各企業がどのような業績予想を出すかが重要になります。
動画では、新越化学、積水化学、アイシンなどの決算にも触れています。
新越化学は、2027年3月期の通期業績予想について、現時点で合理的に予想することが難しいとして、一旦未定としました。これは、不透明感が強いことを示しています。
積水化学については、微増益の見通しが示されている一方で、中東情勢悪化による原材料価格上昇については、現時点では大きく織り込んでいないようです。ナフサ価格などが今後上昇すれば、影響を受ける可能性があります。
また、アイシンについては、自動車関連企業として減益見通しが示されており、中東情勢の影響が150億円程度あるとされています。
このように、企業によって見通しには差があります。
日経平均が6万円を超える水準を維持するには、全体として強い業績見通しが必要です。しかし、地政学リスク、原材料価格、為替、金利など不確定要素が多い中で、企業がどこまで強気の予想を出せるかはまだ分かりません。
なぜ「日経平均が下がったのに持ち株は上がる」ことが起こるのか
今回の相場は、個人投資家にとって非常に学びの多い内容です。
多くの人はニュースで「日経平均619円安」と聞くと、日本株全体が大きく下がったように感じます。しかし、実際には値上がり銘柄の方が多く、TOPIXは上昇していました。
これは、日経平均の仕組みによるものです。
日経平均は225銘柄で構成されていますが、すべての銘柄が同じ影響力を持っているわけではありません。株価水準の高い値がさ株の影響が大きくなります。そのため、一部の大型値がさ株が大きく下がると、多くの銘柄が上がっていても日経平均は下がることがあります。
一方、TOPIXは東証プライム市場全体に近い動きを反映するため、より広い相場の体温を示しやすい指数です。
そのため、個人投資家は日経平均だけでなく、TOPIX、値上がり銘柄数、業種別指数、売買代金、為替、海外投資家動向などを合わせて見ることが大切です。
5月相場とセルインメイの注意点
動画の最後では、今後のカレンダーにも触れています。
5月にはFOMCの発表があり、日本では連休に入ります。また、5月相場では「セルインメイ」という有名なアノマリーも意識されます。
セルインメイとは、「5月に株を売れ」という意味の相場格言です。必ず当たるものではありませんが、春先まで上昇した相場が、5月以降にいったん材料出尽くしとなるケースがあるため、投資家の間で意識されやすい言葉です。
特に今回は、日経平均が6万円という大台に到達し、決算発表も集中するタイミングです。好決算でさらに上がる可能性もありますが、期待が高すぎる場合には、決算が悪くなくても「期待ほどではなかった」と判断され、売られる可能性もあります。
つまり、5月相場では「決算内容そのもの」だけでなく、「市場の期待に届いたかどうか」が重要になります。
まとめ:日経平均6万円割れだけで弱気になる必要はないが、決算とEPSには注意
今回の動画では、日経平均が6万円を一時突破した後、619円安となって6万円割れで終わった相場について解説されていました。
一見すると大きな下落に見えますが、実際にはTOPIXが上昇し、値上がり銘柄数も多く、相場全体が弱かったわけではありません。日経平均は、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、東京エレクトロン、ファーストリテイリングなど、一部の値がさ株の影響を強く受けるため、指数だけを見ると実態を誤解しやすい面があります。
一方で、日経平均が6万円台を安定して維持するには、企業業績の裏付けが必要です。PERは高水準にあり、今後はEPSがどれだけ伸びるかが焦点になります。
海外投資家は4月に大きく日本株を買い越しており、海外目線ではまだ日本株に割高感が出ていない可能性もあります。円安や日銀の利上げ慎重姿勢も、株式市場にはプラス材料になり得ます。
ただし、決算発表が本格化する中で、企業が5%から10%程度の利益成長を示せるかどうかが今後の大きな分かれ道になります。
日経平均6万円は、日本株市場にとって大きな節目です。しかし、その水準が単なる一時的な達成で終わるのか、それとも新たな上昇相場の入り口になるのかは、これから発表される企業業績と海外投資家の動向にかかっていると言えそうです。


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