本記事は、YouTube動画『10月のファンドマネージャー調査から読み解く米国株市場と今後の投資戦略』の内容を基に構成しています。
米国株市場では、AI関連株や半導体株を中心とした強気相場が続く一方で、長期金利の上昇やAI投資の持続可能性を警戒する動きも広がっています。
こうした中、10月のファンドマネージャー調査から、世界の機関投資家がどのような資産を買い、何を売っているのかが明らかになりました。
今回の調査で特に注目されたのは、米国10年国債利回りが6%に達した場合、株式から債券への資金移動を検討するファンドマネージャーが37%に達したという点です。
さらに、ファンドマネージャーの現金保有比率は3.9%と低水準にとどまり、米国株への強気姿勢が続いている一方、債券や日本株への資金配分を増やす動きも確認されています。
AI関連株についても、引き続き市場の中心的な投資対象となっているものの、設備投資の減速や信用リスクを警戒する声が増え始めています。
今回は、10月のファンドマネージャー調査の内容を詳しく解説しながら、米国株市場の今後の方向性やAI・半導体株の投資環境について考えていきます。
10月のファンドマネージャー調査では強気姿勢が継続
ファンドマネージャー調査は、世界の機関投資家が経済や金融市場についてどのような見通しを持ち、実際にどのような資産へ投資しているのかを把握するための重要な調査です。
ファンドマネージャーとは、年金基金や投資信託などの資金を運用する専門家のことで、その投資判断は株式市場や債券市場の資金の流れに大きな影響を与えます。
今回の10月調査は、米国の中間選挙、FOMC(連邦公開市場委員会)、そして第3四半期の企業決算発表を控える中で実施されました。
調査結果を見ると、ファンドマネージャーはマクロ経済と株式市場に対して、引き続き非常に楽観的な見通しを維持しています。
特に注目されるのが、現金保有比率の低さです。
現金比率は3.9%と低水準
今回の調査では、ファンドマネージャーの現金保有比率が3.9%となりました。
前月からは若干上昇したものの、歴史的なレンジの下限とされる4%を下回っています。
現金比率が低いということは、それだけ株式や債券などの金融資産へ資金を振り向けていることを意味します。
つまり、ファンドマネージャーは現金を多く保有して相場の下落に備えるよりも、積極的に市場へ投資している状況です。
一方で、現金比率が極端に低い状態は、相場にとって必ずしも良いことばかりではありません。
すでに多くの資金が投資に回っているため、追加の買い余力が限られる可能性があるからです。
予想外の悪材料が出た場合には、現金を確保するために保有資産を売却する動きが広がることも考えられます。
今回の調査では、投資家の強気姿勢が続いている一方で、その強気姿勢がややピークアウトし始めている様子も確認されています。
米国10年国債利回り6%が株式市場の重要な転換点に
今回の調査で最も重要な結果とされたのが、米国の長期金利に対するファンドマネージャーの見方です。
調査では、株式から債券へ投資資金を移すきっかけとなる米国10年国債利回りについて質問しています。
その結果、37%のファンドマネージャーが、米国10年国債利回り6%を株式から債券へ資金を移す判断基準としていることが明らかになりました。
動画で言及された時点の米国10年国債利回りは5.1〜5.2%程度とされており、6%という水準は決して遠いものではありません。
なぜ金利6%で株式から債券へ資金が移動するのか
株式投資と債券投資は、投資家の資金を奪い合う関係にあります。
例えば、米国10年国債の利回りが3%であれば、より高いリターンを求めて株式に投資する魅力は大きくなります。
ところが、米国10年国債の利回りが6%に上昇した場合、状況は変わります。
米国国債は信用リスクが比較的低い資産とされており、満期まで保有することを前提に6%前後の利回りが期待できるのであれば、価格変動の大きい株式を保有する必要性は相対的に低下します。
もちろん、国債にも金利変動による価格下落リスクがあり、株式と債券の投資判断を単純に利回りだけで比較することはできません。
それでも、6%という高い利回りは、大規模な資金を運用する機関投資家にとって魅力的な水準になり得ます。
このため、長期金利が6%に近づくほど、株式市場には資金流出の圧力がかかる可能性があります。
すでに19%の投資家が債券へ資金を移動
今回の調査では、6%への到達を待たず、すでに株式から債券へ資金を移したファンドマネージャーが19%存在することも明らかになりました。
つまり、長期金利の上昇に伴う資産配分の変更は、すでに一部で始まっていることになります。
今後、米国10年国債利回りが6%に接近する場合、株式から債券への資金移動がさらに加速する可能性があります。
ただし、37%という数字は、実際に6%に達した瞬間に全員が株式を売却することを意味するものではありません。
市場環境や企業業績によって判断は変わるため、6%は厳密な売買ラインというよりも、機関投資家が強く意識する重要な金利水準と考えるべきでしょう。
米国経済への楽観論は2022年2月以来の高水準
ファンドマネージャーの経済見通しについても、非常に強気な結果となりました。
今回の調査では、世界経済がブームに向かうと考える投資家の楽観度が2022年2月以来の高水準となっています。
景気後退を懸念するよりも、経済成長が続くと考える投資家が多い状況です。
ノーランディング予想が50%
米国経済の今後については、ノーランディングを予想するファンドマネージャーが50%となりました。
ノーランディングとは、景気後退や明確な景気減速局面を迎えることなく、経済が成長を続けるシナリオです。
一方、ソフトランディングを予想する投資家は40%となっています。
ソフトランディングとは、インフレを抑制しながらも深刻な景気後退を回避するシナリオを指します。
この2つを合わせると、調査回答者の約90%が深刻な景気後退を伴わない経済環境を想定していることになります。
ハードランディング、つまり急激な景気悪化を予想する投資家は非常に少数です。
この結果から、ファンドマネージャーの間では米国経済の底堅さに対する信頼が依然として強いことが分かります。
インフレ期待は2025年1月以来の低水準
一方で、インフレに対する見方には興味深い変化がありました。
世界の消費者物価指数(CPI)が今後上昇すると予想するファンドマネージャーは減少しており、インフレ期待は2025年1月以来の低水準となっています。
景気に対しては強気でありながら、物価上昇に対してはそれほど警戒していないという組み合わせです。
一般的に、景気が強ければ需要が増加し、インフレ圧力が高まる可能性があります。
しかし、今回の調査では経済成長の継続とインフレの落ち着きが両立すると考える投資家が多いようです。
こうした見方には、AIによる生産性向上やエネルギー価格の低下に対する期待が影響している可能性があります。
原油価格80ドルへの下落とAI設備投資が市場の注目材料
今回の調査では、今後の市場にとってプラス材料となる強気サプライズと、マイナス材料となる弱気サプライズについても取り上げられました。
強気サプライズとして注目されたのが、原油価格の1バレル80ドルへの下落です。
原油価格が低下すれば、ガソリン価格や輸送コスト、製造業のエネルギー負担が軽減される可能性があります。
その結果、家計の購買力が改善し、企業収益にもプラスの影響が期待されます。
物価上昇圧力が弱まれば、金融政策にも余裕が生まれる可能性があります。
一方、弱気サプライズとして警戒されているのが、AI関連企業による設備投資の削減です。
現在の米国株市場では、巨大IT企業のAI投資が半導体メーカーやデータセンター関連企業の業績を支える重要な要因となっています。
仮にAI向け設備投資が想定以上に縮小されれば、関連企業の成長期待が低下し、株価が大きく調整する可能性があります。
企業業績への期待は依然として高い
ファンドマネージャーの企業収益に対する見通しも、引き続き楽観的です。
今回の調査では、投資家の約60%が今後1年間で企業のEPSが2桁成長すると予想しています。
EPSとは1株当たり利益のことで、企業が発行済み株式1株当たりどれだけの利益を稼いでいるかを示す指標です。
株価は長期的に企業利益の成長と密接に関係しているため、EPSの成長率は株式投資において重要な指標となります。
ただし、2桁成長といっても10%から99%まで非常に幅があります。
10%程度の成長なのか、30%以上の高成長なのかによって、株式の適正な評価額は大きく異なります。
また、前月と比較すると企業収益の成長を強く期待する投資家の割合はやや低下しています。
そのため、企業収益に対する楽観論は続いているものの、期待の強さは若干落ち着いてきたと考えられます。
配当利回りを重視した投資は難しい状況
今回の調査では、配当をめぐる企業の資金配分についても取り上げられました。
株価が高い水準まで上昇すると、配当金が同じであっても配当利回りは低下します。
例えば、年間配当金が100円の株式について、株価が2,000円なら配当利回りは5%ですが、株価が4,000円になれば2.5%となります。
株価の上昇が続く市場では、配当収入を目的とした投資の魅力が相対的に低下することがあります。
今回の動画でも、株価上昇に伴って配当利回りを狙った投資が難しくなっている状況が指摘されています。
最も混雑している取引はAI・半導体株の買い
ファンドマネージャー調査で注目される項目の1つに「混雑した取引」があります。
これは、多くの投資家が同じ方向にポジションを取っている取引のことです。
今回の調査で最も混雑しているとされたのは、世界の半導体関連株のロングポジションでした。
回答割合は45%です。
前月は50%を超えていたため、若干低下したものの、依然として半導体株への資金集中が続いています。
半導体株への投資集中は継続
AI需要の拡大によって、半導体メーカーや関連企業の業績に対する期待は非常に高くなっています。
特にAI向けの高性能半導体やメモリー、データセンター向け設備などは、巨大IT企業による設備投資の恩恵を受ける分野です。
そのため、世界中の機関投資家が半導体関連企業に資金を集中させてきました。
しかし、多くの投資家が同じ銘柄を保有している場合、悪材料が出た際には売りが集中する可能性もあります。
例えば、決算発表で成長率が市場予想を下回った場合、利益確定やリスク削減の売りが同時に発生しやすくなります。
半導体株は依然として人気の投資対象ですが、その人気の高さ自体がリスク要因にもなり得るということです。
米国債ショートは27%
2番目に混雑している取引は、米国債のショートポジションで27%となりました。
債券のショートとは、債券価格の下落を見込んだ取引です。
債券価格と利回りは逆方向に動くため、米国債をショートしている投資家は、基本的に金利上昇を予想していることになります。
今回の調査では、金利上昇を警戒しながらも、実際には金利上昇方向へポジションを取っている投資家が一定数存在することが分かります。
ただし、金利が予想に反して低下した場合、債券ショートの買い戻しが進み、債券価格の上昇が加速する可能性もあります。
実際、今回の調査では過去1年間で最大規模の債券ショートカバーが発生したことも報告されています。
マグニフィセント7の買いも継続
マグニフィセント7と呼ばれる米国大型テクノロジー株のロングポジションも、16%の回答を集めています。
マグニフィセント7は、Apple、Microsoft、Alphabet、Amazon、NVIDIA、Meta、Teslaの7社を指します。
米国株市場ではAI関連投資の中心となる企業が多く、主要株価指数への影響も非常に大きくなっています。
半導体株への集中がやや低下する一方で、大型テクノロジー株への投資意欲も維持されていることから、ファンドマネージャーの強気姿勢が続いている様子がうかがえます。
最大のリスクは予想外の金利上昇とAIバブル
ファンドマネージャーが今後の市場における最大のテールリスクとして挙げたのは、予想外の債券利回り上昇でした。
テールリスクとは、発生確率は必ずしも高くないものの、実際に発生した場合には市場へ大きな影響を及ぼすリスクを指します。
今回の調査結果は次の通りです。
- 予想外の債券利回り上昇:31%
- AIバブル:23%
- インフレ第2波:約20%
- AIハイパースケーラーの信用問題:11%
上位3項目は、ここ数カ月にわたって市場が警戒してきたテーマと共通しています。
特に長期金利の上昇は、株価のバリュエーションに直接的な影響を及ぼします。
将来の利益成長を織り込んで高いPERが許容されている企業ほど、金利上昇による株価への影響が大きくなる場合があります。
こうした点からも、米国10年国債利回り6%という水準が重要視されている理由が理解できます。
AIハイパースケーラーの信用リスクに新たな懸念
今回の調査で新たに注目されたのが、AIハイパースケーラーの信用リスクです。
ハイパースケーラーとは、巨大なクラウドサービスやデータセンターを運営する企業を指します。
AI需要の拡大に伴い、これらの企業は半導体、サーバー、電力設備、データセンターなどに巨額の投資を行っています。
問題となるのは、こうした投資が十分な収益を生み出すかどうかです。
設備投資の規模が拡大する一方で、AIサービスの収益化が期待通りに進まなければ、企業のキャッシュフローや財務状況に対する懸念が強まる可能性があります。
信用イベントの原因としてAI投資が39%
信用イベントを引き起こす可能性のある要因として、AIハイパースケーラーの設備投資を挙げた回答は39%となりました。
一方、政府関連の債務を挙げた回答は28%でした。
信用イベントとは、企業や政府などの債務返済能力への不安が高まり、金融市場に混乱が生じるような出来事です。
AI関連企業が多額の借り入れを通じて設備投資を拡大している場合、その投資が十分な利益を生み出せなければ、金融市場全体に影響が波及する可能性があります。
もちろん、設備投資の拡大が直ちに信用問題につながるわけではありません。
ただ、これまでAI関連株の成長を支えてきた巨額投資そのものが、新たなリスクとして認識され始めた点は重要です。
57%はAI設備投資の削減を予想していない
一方で、AI設備投資がすぐに減速するとの見方が多数派になっているわけではありません。
今後AI関連の設備投資が削減されるかという質問に対しては、削減されないと回答した投資家が57%、削減されると回答した投資家が30%となりました。
つまり、多くのファンドマネージャーはAI投資の継続を予想しています。
AIハイパースケーラーの信用リスクを意識する一方で、設備投資そのものは引き続き拡大、または高い水準を維持すると考えているわけです。
このように、AI投資に対する強気姿勢とリスクへの警戒が同時に存在していることが、現在の市場の特徴となっています。
2027年までにAIバブルが発生すると予想する投資家は45%
今回の調査では、2027年までにAIバブルが発生するかという質問も行われました。
その結果、AIバブルが発生すると回答したファンドマネージャーは45%となりました。
一方、発生しないと回答した投資家は32%でした。
この結果は、非常に興味深いものです。
AIバブルの発生を予想する投資家が相当数存在するにもかかわらず、AI関連株は依然として最も人気のある投資対象になっています。
つまり、将来的な過熱を懸念しながらも、その過程で発生する株価上昇を取り込もうとする投資家が存在すると考えられます。
ただし、バブルの発生を予想することと、実際に株価が上昇する時期や下落するタイミングを正確に予測することは別問題です。
AIバブルへの警戒が高まっているからといって、直ちにAI関連株が下落するとは限りません。
逆に、設備投資の拡大が続いていても、企業業績が期待に届かなければ株価が調整する可能性があります。
今後はAI投資の規模だけでなく、実際にどれだけの収益が生み出されているかを確認することが重要になるでしょう。
ファンドマネージャーは債券と日本株を買い増し
今回の調査でもう1つ重要なのが、ファンドマネージャーによる資産配分の変化です。
前月と比較して何を増やし、何を減らしたかを調べたところ、最も買い増しが目立ったのは債券でした。
これは、株式市場に対する強気姿勢が維持される中でも、一定の資金を債券へ振り向ける動きが進んでいることを意味します。
日本株も買い増しの対象に
今回の調査では、債券に続いて日本株の保有比率も増加しました。
さらに、英国株、公益事業、通信関連株なども買い増しの対象となっています。
日本株が買い増されたことは、日本市場にとって注目すべき材料といえます。
米国株を中心に投資してきた機関投資家が、地域やセクターを分散させる動きを強めている可能性があるためです。
ただし、日本株を買い増した理由が企業業績への期待なのか、相対的な割安感なのか、あるいは地域分散を目的としたものなのかについては、今回の調査結果だけで断定することはできません。
それでも、世界のファンドマネージャーの資金配分において、日本株の存在感が増している点は注目されます。
米国株と銀行株は売却対象に
反対に、前月から保有比率が減少した資産には、米国株、銀行株、一般消費財、保険、素材、ヘルスケアなどが挙げられています。
特に銀行株については、2023年3月以来で最大規模の買いポジション削減となりました。
米国株全体についても、ネットのロングポジションが49%から44%へ低下しています。
これは、米国株に対して弱気へ転換したというよりも、これまで積み上げてきたポジションの一部を調整している動きと捉えることもできます。
実際、株式全体では引き続きオーバーウェイトとなっており、ファンドマネージャーの強気姿勢が崩れたわけではありません。
テクノロジー株と新興国株は依然としてオーバーウェイト
ベンチマークに対する資産配分を見ると、ファンドマネージャーは株式を大きくオーバーウェイトしています。
オーバーウェイトとは、運用の基準となる指数などと比較して、特定の資産やセクターの保有比率を高くしている状態です。
反対に、アンダーウェイトは基準よりも保有比率を低くしている状態を指します。
今回の調査では、株式の中でもテクノロジー株と新興国株が大きくオーバーウェイトとなっています。
特にテクノロジー株については、前月からオーバーウェイトが拡大する動きも見られました。
AIバブルを警戒しながらも、実際の投資行動ではテクノロジー株の保有を続けていることになります。
これは、ファンドマネージャーがAI関連企業の成長力を引き続き評価していることを示しています。
一方、債券や一般消費財、生活必需品などはアンダーウェイトとなっています。
債券は前月比では買い増されましたが、ベンチマークとの比較では依然として保有比率が低い状態です。
この違いは重要です。
買い増したという事実だけで、その資産がすでに主力の投資対象になったと判断することはできません。
不動産・一般消費財・生活必需品は大幅なアンダーウェイト
ファンドマネージャーが保有を抑制している分野として、不動産や一般消費財、生活必需品が挙げられています。
不動産関連株は、金利上昇の影響を受けやすいセクターの1つです。
借入金利の上昇は不動産事業の資金調達コストを押し上げるほか、債券利回りが高くなることで不動産投資信託(REIT)の相対的な魅力が低下する場合があります。
今回の調査でも、不動産関連資産は大幅なアンダーウェイトとなっています。
一般消費財は2008年7月以来の低い保有比率
特に注目されるのが、一般消費財セクターです。
今回の調査では、一般消費財のアンダーウェイトが2008年7月以来の大きさとなりました。
一般消費財とは、自動車、衣料品、旅行、娯楽など、消費者が必ずしも購入する必要のない商品やサービスを扱う企業群です。
景気や個人消費の変化に影響を受けやすい特徴があります。
ファンドマネージャーがこの分野の保有比率を大きく引き下げている一方で、最近の市場では一般消費財株に買いが入る場面も見られると動画では指摘されています。
これまで売られ過ぎていた銘柄やセクターに、資金が戻り始めている可能性があります。
生活必需品についても同様に、ファンドマネージャーの保有比率は低い状態です。
生活必需品は食品や日用品など、景気の影響を比較的受けにくい商品を扱うセクターです。
こうしたディフェンシブ株がアンダーウェイトとなっていることは、機関投資家が景気後退への備えよりも、成長株への投資を優先していることを示唆しています。
逆張り投資の対象は債券・不動産・一般消費財
今回の調査結果を逆張り投資の観点から見ると、興味深い構図が浮かび上がります。
逆張り投資とは、多くの投資家が買っている資産を売り、反対に売られている資産を買う投資戦略です。
市場参加者のポジションが一方向に極端に偏った場合、その偏りが修正される過程で反対方向への値動きが発生することがあります。
今回の調査に基づくと、逆張りの買い対象として考えられるのは、債券、不動産、一般消費財、生活必需品などです。
反対に、テクノロジー株、銀行株、新興国株などは、逆張りの観点では売りを検討する対象になり得ます。
ただし、これはファンドマネージャーのポジションの偏りから考えた投資戦略であり、必ずしも反転が始まることを意味するものではありません。
人気のあるセクターがさらに買われ続ける場合もあれば、売られているセクターが長期間低迷する場合もあります。
重要なのは、ポジションの偏りに加えて、企業業績や金利動向、景気の変化を確認することです。
銀行株のポジション削減と金融市場への影響
今回の調査で注目したいのが、銀行株に対するポジションの大幅な削減です。
銀行株は、金利が上昇すれば必ず上昇するという単純な関係にはありません。
一般的には、金利上昇によって貸出金利が高くなれば、銀行の利ざやが拡大する可能性があります。
しかし、金利が急激に上昇した場合、保有債券の評価損が拡大するほか、資金調達コストの上昇や融資先の信用リスク増加といった問題も生じます。
特に、長期金利の上昇が金融システム全体に不安を与える状況では、銀行株が売られやすくなることがあります。
今回の調査では、予想外の金利上昇が最大のリスクとして挙げられていることからも、銀行株への慎重姿勢が強まっている背景には、こうした懸念が存在する可能性があります。
ただし、今回の銀行株売却が金利リスクだけを理由としたものなのか、それとも株価上昇後の利益確定や資産配分の変更によるものなのかについては、追加の検証が必要です。
リスクを抑えているという回答と実際の投資行動の違い
今回の調査で意外だったのが、ファンドマネージャーのリスク認識です。
通常と比較してどの程度のリスクを取っているかという質問に対して、ファンドマネージャーは普段よりもリスクを抑えていると回答しています。
しかし、実際のポートフォリオを見ると、テクノロジー株や新興国株がオーバーウェイトとなっており、株式全体への投資比率も高い水準です。
一見すると矛盾しているように見えます。
ただし、リスクは株式の保有比率だけで決まるわけではありません。
銘柄分散やヘッジの有無、デリバティブの利用、借入比率などによって、ポートフォリオ全体のリスクは変化します。
また、回答者が認識しているリスクと、市場全体から見たリスクが必ずしも一致するとは限りません。
重要なのは、ファンドマネージャー自身は慎重に運用していると考えている一方で、全体の資産配分を見る限り、成長株や株式への積極的な投資が続いている点です。
半導体株は再び上昇するのか?今後の決算が重要
動画の終盤では、今後の米国株市場について、特にテクノロジー株と半導体株の動向が重要になると指摘されています。
現在のファンドマネージャーの投資行動を見ると、半導体株は依然として最も混雑した取引であり、テクノロジー株全体も大幅なオーバーウェイトとなっています。
一方で、一般消費財や生活必需品など、これまで売られていたセクターに資金が移る動きも見られます。
このため、半導体株やテクノロジー株が一時的に売られたとしても、それが直ちに長期的な弱気相場への転換を意味するとは限りません。
これまで大きく上昇してきた銘柄の利益を確定し、出遅れていた銘柄へ資金を移すリバランスの可能性もあります。
好決算が出れば再び半導体株に資金が戻る可能性
今後の第3四半期決算で、AI関連企業が市場予想を上回る業績や強い見通しを示した場合、半導体株に再び資金が集中する可能性があります。
特に重要なのは、AI向け設備投資の継続性です。
巨大IT企業が引き続きデータセンターやAI半導体への巨額投資を計画しているのであれば、関連企業の収益成長に対する期待は維持されやすくなります。
その一方で、設備投資計画の縮小や収益性への懸念が明らかになれば、これまで高く評価されていた半導体株が調整する可能性もあります。
動画では、半導体株がもう1度上昇する場面があっても不思議ではないとの見方が示されています。
ただし、最終的な株価の方向性を決めるのは市場参加者の売買であり、企業価値と株価のバリュエーションが重要になると指摘しています。
半導体株が上昇しなければ市場全体にも影響
現在の米国株市場では、主要なテクノロジー企業が株価指数に占める割合が大きくなっています。
そのため、半導体株や大型テクノロジー株が上昇しなくなれば、他のセクターが堅調でも株価指数全体の上昇が鈍る可能性があります。
さらに、AI関連企業の業績見通しが悪化すれば、株式市場全体が長期的な調整局面に入る可能性も否定できません。
今後の市場では、単にAI需要が拡大しているかどうかだけでなく、すでに株価に織り込まれている成長期待を上回る業績が実現できるかどうかが重要になります。
11月の中間選挙とFOMC、企業決算が今後の焦点
今回の調査は、重要なイベントを控える中で実施されました。
10月28日のFOMCについては、76%のファンドマネージャーが利上げは行われないと予想しています。
この数字は、金利政策に対する市場の事前期待を示したものです。
金融政策については、政策金利そのものだけでなく、FRBが今後のインフレや景気をどのように評価するかが重要になります。
市場の予想と異なる発言や政策判断が示された場合、長期金利や株式市場が大きく反応する可能性があります。
さらに、11月の米国中間選挙や主要企業の決算発表を経て、投資家の経済見通しや資産配分がどのように変化するかも注目されます。
特に次回のファンドマネージャー調査では、債券への資金移動がさらに進むのか、AI関連株への投資集中が再び強まるのかが重要な確認ポイントとなるでしょう。
まとめ:米国株は強気相場が続く一方、金利6%とAI投資に警戒
10月のファンドマネージャー調査では、世界の機関投資家が米国経済と株式市場に対して引き続き強気の見方を維持していることが明らかになりました。
現金保有比率は3.9%と低く、ノーランディングとソフトランディングを予想する投資家が合わせて約90%に達するなど、景気後退への警戒感は限定的です。
また、テクノロジー株や半導体株、新興国株への積極的な投資も続いています。
一方で、これまでの強気姿勢に変化の兆しも見られます。
特に注目されるのは、米国10年国債利回り6%を株式から債券への資金移動の判断基準としている投資家が37%に達し、すでに19%が資金を移動させているという結果です。
実際、今回の調査では債券が最も買い増された資産となり、日本株や英国株などへの資金配分も増加しました。
さらに、AI関連企業による設備投資の持続可能性や信用リスクに対する懸念も広がり始めています。
それでも、AI設備投資が削減されないと考える投資家は57%に達しており、半導体株やテクノロジー株への成長期待が大きく崩れたわけではありません。
今後の米国株市場を考えるうえでは、長期金利の動向とAI関連企業の決算が特に重要になります。
AI投資が継続し、企業業績が市場予想を上回るのであれば、半導体株を中心とした上昇相場が再び勢いを増す可能性があります。
反対に、長期金利の上昇やAI設備投資の減速が明らかになれば、これまで高く評価されてきた成長株を中心に株価調整が進む可能性もあります。
今回の調査から読み取れるのは、機関投資家の強気姿勢は続いているものの、その裏側では債券への資金移動や投資先の見直しが少しずつ始まっているということです。
今後は、ファンドマネージャーの強気・弱気の判断だけでなく、実際の資金配分の変化と企業業績を合わせて確認することが、相場の転換点を見極めるうえで重要になるでしょう。


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