本記事は、YouTube動画『資産250億の個人投資家は「暴落で何を買ったか」報告書95件を全部見た』の内容を基に構成しています。
株式市場が暴落したとき、資産数百億円を築いた著名な個人投資家は、どのような行動を取っているのでしょうか。
一般的には、成功した投資家ほど市場が大きく下落した局面で積極的に株を買い集めるイメージがあります。しかし、実際の売買記録を確認すると、必ずしもそうではないことが分かります。
今回取り上げるのは、著名な個人投資家である片山晃氏、五味大輔氏、清原達郎氏の3人です。
動画では、3人が個人名義で提出した合計95件の大量保有報告書を調査し、過去の暴落局面でどのような売買を行っていたのかを分析しています。
その結果、2020年のコロナショック、2024年8月の日本株暴落、2025年4月の関税ショックという3回の暴落局面では、3人の個人名義による大量保有報告書が1件も確認されませんでした。
一方、2026年10月の株価急落では、五味氏が約7億円を投じて株式を取得したことが明らかになりました。ただし、その取得価格は当日の市場価格より約19%高く、通常の押し目買いとは事情が異なっていました。
さらに、著名投資家の大量保有報告書を見てから同じ銘柄を購入しても、必ずしも高いリターンを得られるわけではないという結果も出ています。
今回は、こうした分析結果を詳しく紹介するとともに、大量保有報告書を投資判断に活用する際の注意点について解説します。
資産数百億円を築いた3人の著名個人投資家
今回の調査対象となったのは、日本の株式市場で大きな資産を築いたことで知られる3人の投資家です。
片山晃氏は、2025年の取材で自身の資産が約250億円に達していると語った個人投資家です。
2005年に65万円から株式投資を始め、2017年には資産140億円に達したと紹介されています。主に中小型の成長株へ集中的に投資する手法で知られています。
五味大輔氏も、成長企業への長期投資によって大きな資産を築いた投資家です。特にバイオ関連企業などへの積極的な投資で知られており、1つの企業の株式を長期間にわたって買い増すことがあります。
清原達郎氏は、ヘッジファンドの運用を通じて高い実績を残した投資家です。2024年に出版された著書では、個人資産が800億円を超えると紹介されています。
3人はいずれも著名な投資家ですが、投資スタイルは大きく異なります。
今回の調査では、こうした投資家の発言や投資哲学ではなく、実際に提出された大量保有報告書から売買の足跡を追っています。
大量保有報告書とは?著名投資家の売買が分かる仕組み
大量保有報告書とは、上場企業の株式を一定割合以上保有した投資家が、金融商品取引法に基づいて提出する書類です。
原則として、ある企業の発行済み株式の5%を超えて保有するようになった場合、その事実を5営業日以内に報告する必要があります。
その後も、保有割合が1%ポイント以上増減した場合などには、変更報告書を提出することになります。
大量保有報告書から分かる情報
大量保有報告書には、誰がどの企業の株式を何%保有しているのかが記載されています。
さらに、直近60日間の株式取得や処分の状況、取得資金の内訳なども確認できます。
例えば、ある投資家が企業の株式を大量に買い増した場合、一定の報告条件を満たせば、その取引が書類に記録されます。
また、取得資金のうち自己資金がいくらなのか、借入金がいくらなのかといった情報も重要です。
著名投資家がどの企業に資金を集中させているのか、借入金を使って投資しているのかを把握する手掛かりになります。
報告書に記録されない売買もある
ただし、大量保有報告書には大きな限界があります。
まず、保有割合が5%を超えない投資については、通常、初回の大量保有報告書は提出されません。
また、既に5%を超えて保有していても、保有割合の変動が1%ポイント未満である場合には、必ずしも変更報告書が必要になるわけではありません。
そのため、報告書が提出されていないからといって、その投資家が株式を売買していないとは限りません。
さらに、報告書が公表される時点では、対象となった取引から数日が経過していることがあります。
著名投資家が購入した銘柄を知ったときには、既に株価が大きく上昇している可能性があるのです。
今回の調査は、あくまでも個人名義で提出された報告書を対象としています。投資家が法人名義で保有している株式や、報告義務の対象にならない売買までは網羅していません。
過去3回の暴落では買いの報告が0件だった
動画では、3人の個人名義による大量保有報告書を合計95件確認しています。
内訳は、片山氏が2014年以降に提出した30件、五味氏が2017年以降に提出した34件、清原氏が2023年以降に提出した31件です。
これらの書類を使い、過去の大きな株価下落局面で3人がどのような行動を取っていたのかを調査しました。
2020年3月のコロナショック
2020年3月には、新型コロナウイルスの感染拡大によって世界の金融市場が急落しました。
日経平均株価も同年1月の高値から約30%下落し、多くの銘柄が大幅に値下がりしました。
一般的に、こうした局面は長期投資家にとって優良株を安く購入できる機会とも考えられています。
ところが、今回調査した3人の個人名義による大量保有報告書は、対象期間中に1件も提出されていませんでした。
2024年8月5日の歴史的暴落
2024年8月5日には、日経平均株価が前営業日比12.4%下落し、終値は3万1,458円となりました。
円高の進行や米国景気への懸念などを背景に、日本株は歴史的な急落に見舞われました。
しかし、この暴落の前後約2か月間を調査しても、3人の個人名義による大量保有報告書は0件でした。
2025年4月の関税ショック
2025年4月には、米国の関税政策を巡る不透明感から世界の株式市場が動揺しました。
4月7日の日経平均株価は終値で3万1,137円となり、日本株にも大きな売り圧力がかかりました。
ところが、この暴落の前後約6週間についても、3人の報告書は確認されませんでした。
つまり、3回の大きな暴落を調べた結果、買い増しの報告だけでなく、売却やその他の変更報告も含めて、対象期間中の提出件数は0件だったのです。
ただし、これは3人が暴落時に一切売買していなかったことを証明するものではありません。あくまでも、大量保有報告書に記録される規模の取引が確認できなかったという結果です。
片山晃氏は約7年10か月も報告書を提出していなかった
投資家ごとの履歴を確認すると、さらに興味深い違いが見えてきます。
片山氏の場合、2018年4月に提出された報告書の次は、2026年2月までありませんでした。
その間、約7年10か月にわたって個人名義の報告書が提出されていなかったことになります。
2020年のコロナショック、2024年8月の暴落、2025年4月の関税ショックは、いずれもこの空白期間に含まれています。
しかし、これは片山氏が株式投資を休止していたことを意味しません。
例えば、片山氏は2025年の取材で、住信SBIネット銀行への投資によって約70億円の利益を確定したと語っています。
ところが、今回調査した個人名義の大量保有報告書には、その取引に対応する記録はありませんでした。
5%を超えない保有割合で投資していた可能性などが考えられますが、報告書だけでは詳しい売買状況は分かりません。
この事例からも、大量保有報告書に記録される取引は、著名投資家の投資活動の一部にすぎないことが分かります。
五味大輔氏は長期保有と買い増しを続ける投資スタイル
五味氏の場合、2018年8月のそーせいグループへの投資に関する報告以降、次に買いの報告が確認できたのは2022年9月でした。
つまり、2020年のコロナショックを挟んで約4年間、今回の調査対象となる買いの報告がなかったことになります。
一方、五味氏の特徴は、特定の企業の株式を長期間にわたって買い増している点です。
代表的なのが、旧そーせいグループであるネクセラファーマです。
2017年に保有割合が5%を超えた後、同社に関する買いの報告が繰り返し提出され、保有割合は5.08%から11.67%まで増加しました。
その過程では、買い付けから1年以内に株価が大きく下落したこともありました。
それでも、調査対象の書類では保有割合を減らした報告は確認されていません。
短期的な株価変動よりも、投資先企業の長期的な成長可能性を重視していることがうかがえます。
清原達郎氏は保有株式の削減が中心だった
清原氏については、片山氏や五味氏とは異なる特徴が確認されました。
2023年以降に提出された31件の報告書のうち、23件は保有割合を減らしたものでした。
一方、保有割合を増やした変更報告書は確認されていません。
2023年に提出された新規の大量保有報告書7件については、ファンドの運用終了に伴い、残された保有株式を個人で引き取ったことが背景にあると報じられています。
さらに、2026年8月6日の報告によって、清原氏が5%を超えて保有する銘柄は、今回の調査対象となる書類上ではなくなりました。
したがって、今回確認された清原氏の報告書は、新規銘柄への積極的な投資というよりも、既存の保有株式を整理していく過程を示すものでした。
同じ著名投資家でも、報告書に残る投資行動は大きく異なっていたのです。
著名投資家の買いを真似したら儲かるのか?過去20件を検証
大量保有報告書を確認する投資家の中には、著名投資家が購入した銘柄を自分も買いたいと考える人が少なくありません。
しかし、実際に報告書を見てから購入した場合、どの程度の成績になるのでしょうか。
動画では、片山氏と五味氏の買いに関する報告を使い、追随投資の成績を検証しています。
対象となったのは、新規に5%を超えて保有した報告と、その後の買い増しによって保有割合が1%ポイント以上増加した報告です。
同じ日に同じ銘柄について提出された報告を整理すると、買いと確認できたものは35件ありました。
このうち、購入後1年間の株価を評価できる20件を分析しています。
1年後に株価が上昇した割合は60%
検証では、報告書の提出を確認した投資家が、次の営業日の終値で株式を購入したと仮定しています。
そして、その1年後の終値を比較しました。配当金は計算に含めていません。
結果は次の通りです。
| 検証項目 | 結果 |
|---|---|
| 1年後まで検証できた件数 | 20件 |
| 1年後に株価が上昇 | 12件 |
| 株価上昇率 | 60% |
| TOPIXを上回った件数 | 10件 |
| TOPIXに勝った割合 | 50% |
| 途中で30%以上下落した件数 | 8件 |
| 30%以上の下落を経験した割合 | 40% |
注目したいのは、株価そのものが上昇した割合は60%だったものの、TOPIXを上回った割合は50%にとどまった点です。
TOPIXは東証株価指数のことで、日本株市場全体の値動きを示す代表的な指標です。
つまり、著名投資家の買いを参考にしても、市場平均を上回る成績を残せるとは限らなかったことになります。
なお、検証対象は20件と少ないため、この数字だけで将来の成績を予測することはできません。
2倍以上に上昇した銘柄もある
一方で、大きく上昇した銘柄も確認されています。
片山氏が投資したトレンダーズは、報告書を見て購入したと仮定した場合、1年後に株価が2.55倍となりました。
2016年のトリケミカル研究所は2.47倍、2014年の日本ライフラインは2.07倍でした。
さらに、20件のうち4件は、購入から1年以内に株価が一時2倍以上になっています。
成功した銘柄の上昇率が非常に大きいことは、成長株への集中投資の魅力を示しています。
ただし、これは全ての銘柄が高いリターンを生み出したという意味ではありません。
1年で約70%下落した銘柄も
失敗例もあります。
五味氏の投資銘柄では、2017年12月の買いに関する報告を基にした銘柄が、1年後に69.9%下落しました。
また、2017年2月に5%超の保有が確認されたそーせいグループは25.4%下落、2022年のステムリムは1.8%下落という結果でした。
片山氏についても、2014年のチャーム・ケア・コーポレーションに関する2件の報告は、いずれも1年後の株価がマイナスでした。
さらに重要なのは、1年後の株価がどうなったかだけでなく、その途中の値動きです。
20件のうち8件は、購入後1年以内に一時30%以上下落していました。
つまり、著名投資家の銘柄を真似した場合、過去の検証では40%の確率で30%以上の含み損を経験していた計算になります。
1年後に利益が出ていたとしても、その途中で大幅な含み損に耐えなければならないケースがあったのです。
片山晃氏と五味大輔氏では追随投資の成績が大きく違った
同じ著名投資家でも、報告書を参考にした投資成績には大きな差がありました。
片山氏の報告書を基にした9件では、7件が1年後にTOPIXを上回りました。
一方、五味氏の11件では、TOPIXを上回ったのは3件でした。
| 投資家 | 検証件数 | TOPIXを上回った件数 | 勝率 |
|---|---|---|---|
| 片山晃氏 | 9件 | 7件 | 77.8% |
| 五味大輔氏 | 11件 | 3件 | 27.3% |
| 合計 | 20件 | 10件 | 50.0% |
この差は非常に大きいものです。
ただし、この結果から片山氏の投資能力が五味氏より優れていると判断することはできません。
今回の検証は、あくまでも報告書の提出後に第三者が購入した場合の成績です。
実際の本人の取得価格や保有期間、投資目的は異なります。
特に、長期的な成長を見込んで何年も保有する投資家の場合、報告書提出から1年という短い期間で成績を判断することには限界があります。
また、同じ銘柄に対する複数の買い増し報告を除き、最初の報告だけに絞った場合も検証しています。
その結果、1年経過した11件のうち7件で株価が上昇し、6件がTOPIXを上回りました。
市場平均に勝った割合は約55%です。
銘柄ごとの最初の大量保有報告書だけを参考にしても、圧倒的な優位性が確認されたわけではありませんでした。
片山晃氏の大量保有報告書を見て買うと9回中9回が高値だった
今回の調査で特に興味深いのが、報告書を見て購入する投資家と、本人の買い付けタイミングとの価格差です。
片山氏が初めて5%を超えて保有した日の終値と、報告書が提出された翌営業日の終値を比較しました。
対象となった報告は9件です。
その結果、9件全てで報告書提出後の購入価格が高くなっていました。
しかも、価格差の中央値は20.9%でした。
例えば、片山氏が5%を超えた日の終値を1,000円とすると、報告書を見た投資家が購入する時点では、中央値に相当するケースで約1,209円まで上昇していたことになります。
これは、同じ企業の株式を購入しても、本人と追随する投資家では出発点が大きく異なることを意味します。
片山氏は5%に達するまでに株式を買い集めているため、実際の平均取得価格はさらに低い可能性もあります。
ただし、今回の20.9%という数字は本人の平均取得単価との差ではなく、5%を超えた日の終値と報告後の終値との差です。
五味大輔氏の場合は価格差が小さい
五味氏についても同様の検証が行われています。
5%超の報告8件のうち、5件では報告書を見て購入する価格の方が高くなっていました。
価格差の中央値は2.3%です。
片山氏の20.9%と比較すると、かなり小さい数字です。
この違いには、投資対象となる企業の規模や流動性、株価上昇のタイミングなどが影響している可能性があります。
特に中小型株では、著名投資家の大量保有が明らかになることで市場の注目が集まり、株価が急上昇することがあります。
そのため、大量保有報告書は有望な企業を探す参考資料にはなっても、そのまま買いのタイミングを教えてくれるものではないと考える必要があります。
2026年10月の日本株暴落で3人は何を買ったのか
動画では、2026年10月に発生した日本株の急落についても調査しています。
動画によると、日経平均株価は10月6日から10月26日までに終値ベースで12.0%下落しました。
10月15日には1日で3,318円下落し、株式市場に大きな動揺が広がりました。
10月27日の終値は6万3,268円で、年間高値から大幅に低い水準にありました。
こうした急落の中で、著名投資家3人の個人名義による大量保有報告書を調べたところ、提出されていたのは2件でした。
その2件はいずれも五味氏によるカルナバイオサイエンスの報告でした。
五味氏は急落したカルナバイオサイエンスを買い増し
2026年10月7日、カルナバイオサイエンスの株価は前日比12.0%下落し、終値は360円となりました。
この日、五味氏は市場で14万株を購入しています。
さらに、10月6日から13日までの市場での購入株数を合計すると、17万1,000株に達しました。
報告書によると、カルナバイオサイエンスの保有株式全体の取得資金のうち、約3億6,000万円が証券会社からの借入金でした。
借入金を活用した投資は、自己資金だけで投資する場合よりもリスクが大きくなる可能性があります。
株価が大きく下落すると、保有株式の評価損に加えて、担保の追加差し入れなどが必要になる場合もあるためです。
今回確認された95件の中で、暴落局面に市場で株式を買い付けたことが明確に確認できたのは、この五味氏によるカルナバイオサイエンスの取引でした。
五味大輔氏が暴落中に約7億円を投資した本当の理由
五味氏の取引で、さらに注目されるのが10月14日の約7億円に上る株式取得です。
この日、五味氏はカルナバイオサイエンスが新たに発行した株式170万9,000株を引き受けました。
取得価格は1株409.5円で、投資金額は約7億円です。
この取引によって、五味氏の保有割合は6.66%から13.68%へと大幅に増加しました。
ところが、10月14日のカルナバイオサイエンスの終値は343円でした。
五味氏が払い込んだ409.5円は、市場価格より約19%高い水準だったことになります。
通常、株価が大きく下落した局面では、安くなった株式を市場で購入することが考えられます。
しかし、五味氏は市場で購入するよりも高い価格で、多額の資金を払い込んでいたのです。
株式取得の条件は暴落前に決まっていた
この取引を理解するうえで重要なのは、株式の取得条件が決まった時期です。
カルナバイオサイエンスの取締役会が新株発行を決議したのは、2026年9月28日でした。
当時、株価はまだ450円前後にありました。
つまり、五味氏が約7億円を払い込むことになった条件は、10月の暴落より前に決定されていたのです。
その後、株式市場が急落し、カルナバイオサイエンスの株価も下がりました。
それでも五味氏は、事前に決まっていた条件に従い、約7億円の払い込みを実行しました。
したがって、この取引を単純に「暴落を見て7億円分を買い向かった」と解釈することは適切ではありません。
暴落前に決まっていた株式取得を、結果として暴落期間中に実行したというのが実態です。
この点は、大量保有報告書を読む際に非常に重要です。
報告書には取引の日付や取得価格が記載されていますが、なぜその条件で取引が成立したのかについては、企業側の適時開示なども合わせて確認する必要があります。
2026年10月の暴落で著名投資家の保有株はどうなった?
著名投資家が大量保有する銘柄も、10月の株価急落によって大きな影響を受けました。
動画では、2026年10月6日から10月27日までの株価騰落率を比較しています。
以下は動画で紹介された期間の騰落率です。
著名投資家の主な保有銘柄の株価騰落率
2026年10月6日〜10月27日、動画内の数値
-40%-25%-10%5%20%AIメカテック第一工業製薬ミラティブネクセラファーマ内海造船日本ファルコムカルナバイオ日経平均
片山氏の保有銘柄は日経平均以上の下落
片山氏の主な保有銘柄では、AIメカテックが35.7%下落しました。
第一工業製薬も21.8%下落し、ミラティブは12.4%下落しています。
同期間の日経平均株価の下落率は10.5%だったため、これら3銘柄はいずれも日経平均より大きく下落したことになります。
特にAIメカテックの下落幅は大きく、わずか約3週間で株価が3分の1以上失われました。
ただし、AIメカテックは2026年2月に片山氏の大量保有報告書が提出された後、大幅に上昇していました。
10月27日の時点でも、2月の報告後に購入したと仮定した価格から約86%上昇していた計算になります。
つまり、短期的には大幅に下落したものの、長い期間で見れば依然として大きな含み益が残っている状況でした。
一方で、同銘柄は一時、報告後の購入価格から約2.98倍まで上昇していました。
その後の暴落で株価が30%以上下がったことを考えると、利益を確定せずに保有し続ける難しさも浮き彫りになります。
なお、今回の調査では片山氏がこの期間に保有割合を減らしたという報告は確認されていません。
ただし、変更報告書は取引から一定期間を経て公表されるため、直近の売買がまだ反映されていない可能性があります。
五味氏のネクセラファーマは逆行高
一方、五味氏の保有銘柄では、ネクセラファーマが11.4%上昇しました。
日本株全体が大幅に下落する中で、逆に株価が上昇したことになります。
五味氏は同社の株式を長年にわたって買い増しており、保有割合は11.67%まで増加していました。
その一方、他の保有銘柄では内海造船が17.7%下落、日本ファルコムが10.1%下落、カルナバイオサイエンスが14.7%下落しています。
同じ投資家の保有銘柄でも、わずか3週間の株価騰落率はプラス11%台からマイナス17%台まで大きく分かれたのです。
この結果は、著名投資家が保有しているという理由だけで、暴落に強い銘柄だと判断できないことを示しています。
著名投資家の大量保有報告書をどう活用するべきか
今回の検証結果から、大量保有報告書には有益な情報が含まれる一方、その使い方には注意が必要であることが分かります。
既に同じ銘柄を持っている場合
著名投資家と同じ銘柄を保有している場合、変更報告書は投資家の保有状況を確認する参考資料になります。
ただし、報告書が提出されるのは、対象となる取引が行われた後です。
本人が既に売却していたとしても、その事実をすぐに知ることができるとは限りません。
また、保有割合を減らした報告書が提出されていないことも、今後の株価上昇を保証するものではありません。
今回のAIメカテックのように、保有割合を減らした報告が確認されないまま、株価が短期間で35%以上下落するケースもあります。
したがって、報告書だけではなく、業績や株価水準、保有企業を取り巻く環境の変化も確認する必要があります。
これから著名投資家の銘柄を買う場合
著名投資家の大量保有報告書を参考に投資する場合、特に注意したいのが購入価格です。
今回の検証では、片山氏が5%を超えた9件全てで、報告書を見て購入する価格が高くなっていました。
価格差の中央値は20.9%です。
さらに、報告書を見てから購入した20件のうち、1年後にTOPIXを上回ったのは半分の10件でした。
加えて、8件では途中に30%以上の下落が発生しています。
この数字を踏まえると、著名投資家が買ったという事実だけを理由に、すぐに購入するのは慎重に考えるべきでしょう。
本人がその企業をどのように評価しているのか、現在の株価が業績や成長性に見合っているのかを調べることが重要です。
暴落時に買うかどうか迷っている場合
株式市場が暴落すると、著名投資家の行動が参考にされることがあります。
しかし、今回の調査では、過去3回の暴落局面において、3人の個人名義による買いの報告は確認できませんでした。
2026年10月の暴落では五味氏によるカルナバイオサイエンスの買いが確認されましたが、約7億円の新株引き受けについては、暴落前に条件が決められていました。
この事実から考えると、著名投資家が暴落時に必ず大量の株式を購入するというイメージは、少なくとも今回の調査対象では裏付けられませんでした。
重要なのは、暴落しているから買うという判断ではなく、投資対象企業の価値と現在の株価を比較することです。
大量保有報告書の調査から見える3つの重要なポイント
今回の95件の調査からは、投資判断に役立つ教訓が浮かび上がります。
まず、著名投資家の売買をそのまま真似しても、同じ成績を得られるわけではありません。
本人は報告書の公表前に株式を取得しており、その後に購入する投資家とは取得価格が違います。
また、資金量や投資期間、損失に耐えられる範囲も異なります。
次に、大量保有報告書に記録される取引は、投資家の売買全体を示しているわけではありません。
5%に満たない保有や、報告条件に該当しない小規模な売買などは、今回の分析では把握できません。
したがって、報告書が提出されていないことを、何も売買していない証拠と考えるべきではありません。
そして、著名投資家の間でも投資スタイルは大きく異なります。
片山氏は特定企業への集中投資を行い、五味氏は同じ企業の株式を長期間買い増し、清原氏は今回の調査期間では既存の保有株式を減らす動きが中心でした。
著名投資家という共通点だけで、3人の売買を同じように解釈することはできないのです。
まとめ:資産250億円の個人投資家は暴落で何を買ったのか
今回の動画では、片山晃氏、五味大輔氏、清原達郎氏の個人名義による大量保有報告書95件を調査し、過去の暴落時の行動と、報告書を参考にした追随投資の成績が分析されました。
その結果、2020年3月のコロナショック、2024年8月の暴落、2025年4月の関税ショックでは、対象となる3人の大量保有報告書は提出されていませんでした。
2026年10月の暴落でも、片山氏の個人名義による新たな買いの報告は確認されていません。
一方、五味氏はカルナバイオサイエンスを市場で買い増したほか、約7億円を投じて新株を引き受けました。
ただし、新株の取得条件は暴落前に決まっており、株価急落を受けて新たに7億円の投資を決断したというわけではありませんでした。
また、著名投資家の大量保有報告書を見てから投資した場合、過去20件の検証では1年後に株価が上昇した割合は60%、TOPIXを上回った割合は50%でした。
さらに、40%のケースでは途中に30%以上の株価下落が発生しています。
特に片山氏の場合、5%を超えた報告9件の全てで、報告書を見て購入する投資家の価格が高くなっていました。
今回の分析が示しているのは、成功した投資家の銘柄を知ることと、その投資で成功することは別だという点です。
大量保有報告書は、投資家の資金の動きや注目企業を把握するための貴重な資料です。しかし、それだけで売買のタイミングや将来の株価を判断することはできません。
著名投資家が何を購入したのかを知るだけでなく、なぜその企業に投資する価値があるのか、現在の株価は割安なのか、どの程度の下落リスクがあるのかを検討する必要があります。
成功した投資家の銘柄をそのまま真似するのではなく、投資判断の根拠を自分自身で確認することが、長期的な資産形成において重要といえるでしょう。
※本記事の株価、騰落率、投資家の保有状況などは、原則として動画で紹介された2026年10月27日までの情報に基づいています。文字起こしで明らかに誤変換と判断できる名称や年号は文脈に沿って補正していますが、個別の大量保有報告書との照合は行っていません。本記事は特定銘柄の売買を推奨するものではありません。


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