本記事は、YouTube動画『隠れ防衛銘柄3選と防衛予算から読む注目テーマ』の内容を基に構成しています。
防衛関連株というと、まず三菱重工業のような代表的な大手企業を思い浮かべる方が多いかもしれません。実際、足元の安全保障環境の悪化や政府の防衛力強化方針を背景に、防衛関連の代表銘柄にはすでに高い注目が集まっています。
一方で、株式投資の観点では、すでに市場で広く知られている銘柄だけでなく、その周辺で恩恵を受ける企業にも目を向けることが重要です。特に、防衛装備品そのものを作る企業だけではなく、計測、通信、制御、保守、試験、システム開発などを支える企業は、今後の防衛予算拡大の恩恵を中長期で受ける可能性があります。
今回の動画では、そうした視点から「隠れ防衛銘柄」と呼べそうな企業が3社紹介されていました。この記事では、日本の防衛予算の現状を整理した上で、なぜ今、防衛関連の周辺企業に注目する余地があるのか、そして具体的にどのような企業が候補として浮上しているのかを、初心者にも分かりやすく丁寧に解説します。
日本の防衛予算はここ数年で大きく増えている
まず押さえておきたいのは、日本の防衛予算がすでに数年前とは比べものにならない水準まで拡大していることです。
動画では、ここ数年間で日本の防衛予算が高止まりしている状況が紹介されていました。従来はおおむね5兆円前後の規模だった防衛予算が、足元では9兆円規模に迫る水準にまで達しているという説明です。これは、防衛力整備計画の策定以降、政府が防衛力の強化を明確に打ち出してきたことが大きく影響しています。
また、防衛費の対GDP比も長年1%前後で推移してきたものの、足元では1.5%から2%程度へと上昇しています。これだけでも大きな変化ですが、議論はそれで終わっていません。動画では、円安や物価高、新技術への対応コスト増を考えると、今の水準でも十分ではない可能性があると指摘されていました。
つまり、名目上の予算が増えていても、装備品や部材の価格上昇が進めば、実質的に調達できる量は減ってしまいます。以前なら100個調達できたものが、今は90個、あるいは80個しか調達できないという状況が起こり得るわけです。さらに、ドローン、AI、無人アセット、サイバー防衛といった新しい分野にも継続的な投資が必要ですから、今後は予算のさらなる積み増しが求められる可能性があります。
なぜ防衛予算は今後さらに増える可能性があるのか
防衛関連株を考える際には、単に「予算が増えた」という事実だけでなく、今後も増える余地があるのかを見ることが大切です。
動画内では、東洋経済の記事を引用しながら、日本の防衛費を対GDP比で3%から3.5%程度に引き上げる必要があるのではないか、という議論が紹介されていました。さらに、世界的な安全保障環境の悪化を踏まえると、アメリカなどからは5%前後まで求める声もあるという話も出ていました。
背景にあるのは、戦後最も厳しく複雑な安全保障環境とされる現在の国際情勢です。動画ではイラン情勢などにも触れられており、地政学リスクが一気に高まる局面では、防衛力強化の必要性が改めて意識されやすくなります。日本にとっても、防衛予算を中長期で拡充していく流れは、単なる一時的なテーマではなく、構造的なテーマとして続く可能性があるという見方です。
この点は、長期投資を考える上で非常に重要です。短期的な思惑で値動きするテーマ株とは異なり、国家予算の方向性に支えられる分野は、中長期の需要を考えやすいからです。
令和8年度防衛予算から見える注目分野とは何か
動画では、令和8年度の防衛予算案についても言及がありました。新規契約ベースでは総額8兆2607億円で、前年度から継続する案件などを含めると総額で約9兆円規模になるという説明です。
ここで重要なのは、単純に前年比で伸び率が高い項目だけを見るのではなく、予算額そのものが大きい分野にも注目することです。動画の整理では、特に次の2つの観点が大切だとされていました。
1つ目は、前年からの伸びが大きい分野です。ここでは無人アセット防衛能力、防衛関係の研究開発、防衛施設の強靭化といった分野が挙げられていました。これらは新しい投資テーマとして今後の広がりが期待される領域です。
2つ目は、予算額そのものが大きい分野です。具体的には、スタンドオフ防衛能力、装備品等の維持整備、稼働確保といった分野です。こうした領域は継続的な予算執行が見込まれやすく、関連企業の売上インパクトも大きくなりやすいと考えられます。
ここから分かるのは、防衛関連株を探す際に、完成品メーカーだけを見るのでは不十分だということです。防衛の高度化が進めば進むほど、その周辺で必要になる技術やサービスの重要性も増していきます。
防衛関連株は完成品メーカーだけではない
防衛関連株というと、ミサイル、防衛装備、艦艇、航空機などを直接作る企業ばかりが注目されがちです。しかし、動画で強調されていたのは、その周辺にある「裏方」の企業こそ見逃せないという点でした。
無人化や高度化が進むほど、必要になるのはセンサー、計測、試験、通信、ネットワーク、ソフトウェア、情報処理、サイバーセキュリティといった領域です。さらに、装備品を導入した後には、維持整備、保守、更新、検査、システム運用といった継続需要も発生します。
こうした構造を考えると、防衛関連の恩恵を受ける企業は想像以上に広い範囲に存在します。特に面白いと動画で指摘されていたのは、開発試験や運用保守を支えるシステム企業、そして海外製品や先端機器の輸入導入にも関与できる技術商社です。
つまり、これからの防衛関連投資では「何を作っている会社か」だけでなく、「防衛の高度化を支えるどの工程に関わっているのか」を分解して見ることが大切になります。
隠れ防衛銘柄1 都築テクノカではなく東陽テクニカに注目する理由
動画で最初に紹介されていたのは、東陽テクニカです。欧米を中心とした先端測定機器を扱う専門商社であり、防衛、防災、海洋、情報通信、セキュリティなど幅広い領域で事業を展開しています。
この会社は資料の中でも防衛という言葉を比較的明確に使っているため、完全な意味での「隠れ銘柄」とは言いにくいかもしれません。ただし、時価総額は500億円未満と比較的小さく、一般的な個人投資家の注目度はまだ高すぎるわけではないという見方が示されていました。
東陽テクニカのどこが防衛予算と結びつくのか
東陽テクニカの強みは、防衛の現場に必要な裏方機能を幅広く担っている点にあります。センサー、計測、通信、情報セキュリティなどは、防衛装備の高度化、無人化、海洋防衛、サイバー分野の拡大と非常に相性が良い領域です。
動画では、セグメントの中にある防衛海洋関連の事業や、先進モビリティ、情報通信・情報セキュリティなどが紹介されていました。特に防衛海洋分野では大型案件の影響もあり、年度ごとの売上や利益には一定の振れが出やすいものの、受注の流れそのものは拡大傾向にあると説明されています。
また、先進モビリティ事業は無人化関連の技術や製品とのつながりが意識されており、情報通信・情報セキュリティの分野でも量子コンピューティング関連の提供があることから、間接的に防衛需要との接点がある可能性が指摘されていました。
東陽テクニカの業績と株価水準
動画撮影時点の4月9日時点では、PERが14.3倍、配当利回りが4.6%程度と紹介されていました。すでに株価は上昇基調にあるものの、代表的な防衛関連大手と比べれば、なお相対的に見やすい水準だという評価です。
さらに、受注高の推移を見ると、この直近3年間で着実に積み上がってきている点も注目材料でした。大型案件の有無によって四半期ベースでは業績がぶれやすい一方、中長期で見たときには、防衛関連の需要取り込みが徐々に進んでいる可能性があります。
隠れ防衛銘柄2 菱友システムズは三菱重工系の地味な実力株
2社目として紹介されていたのが、菱友システムズです。三菱重工系のシステム開発会社で、生産管理や資材調達システムなどを手掛けています。一見すると非常に地味な会社ですが、防衛関連の周辺需要という観点からは、かなり堅実に見やすい銘柄ではないかというのが動画の評価でした。
菱友システムズが防衛関連と考えられる理由
この会社の有価証券報告書などを見ると、主要顧客に三菱重工業が入っています。動画では、売上全体に占める三菱重工向け比率が52.8%もあると説明されていました。
三菱重工といえば、航空・防衛・宇宙分野を幅広く手掛ける日本を代表する企業です。その中で、菱友システムズはIT基盤の企画、設計、構築、運用設計までを一貫して提供し、プロダクトライフサイクルマネジメントのような統合管理にも関わっているとされています。
もちろん、有価証券報告書に「この業務が防衛案件です」と直接書かれているわけではありません。しかし、主要顧客の構成や事業内容を考えると、間接的に防衛関連のシステム業務に深く関わっているとみるのは自然です。維持整備、指揮統制、情報システム、サイバー分野の強化という予算テーマとも整合的です。
菱友システムズの魅力は安定感にある
動画撮影時点では、PERが10.4倍、配当利回りが3%超、時価総額は400億円未満と紹介されていました。防衛関連というテーマ性がありながら、極端に割高ではなく、小型株としては比較的地味な存在にとどまっています。
しかも、売上高や経常利益は順調に右肩上がりで推移しているとのことでした。派手なテーマ株のような急騰を狙うタイプというより、防衛需要の拡大が続く中で、システム面から中長期で安定的な恩恵を受ける可能性がある銘柄として見るのが適しているでしょう。
隠れ防衛銘柄3 理経は安全保障関連ソリューションが伸びる小型株
3社目に紹介されていたのが、理経です。ITや電子機器の輸出入販売を行う技術商社であり、システムソリューション、ネットワークソリューション、電子部品および機器事業などを展開しています。
動画では、この会社こそ「隠れ防衛銘柄らしい企業」として紹介されていました。その理由は、事業構造を細かく見ると、防衛関連の売上比率がかなり高いことにあります。
理経の売上構造を見ると防衛関連色が強い
理経の売上のうち、電子部品および機器事業が70.6%を占めていると紹介されていました。そして、この事業の中にはコンポーネントソリューションと安全保障関連ソリューションがあり、売上構成比の91.4%が安全保障関連ソリューションだという説明でした。
これは非常にインパクトの大きい数字です。つまり、会社全体として見ても、防衛や安全保障に関わる事業がかなり大きな柱になっているということです。
具体的に扱っている製品やサービスとしては、エンジンの国内外修理、航空機関連商材、ヘリコプター向け給油システム、チャフ・フレア、防弾板、フライトシミュレーターなどが挙げられていました。納入先も航空宇宙や安全保障関連が中心とされており、防衛需要との結びつきはかなり明確です。
理経は小型であるぶん値動きも注目されやすい
動画撮影時点では、PERが12.7倍程度、時価総額は100億円未満のかなり小型の企業とされていました。売上高や営業利益は大きく伸びており、利益率も高まってきているとの説明です。
このような企業は、業績拡大が続けば株価の見直し余地が生まれやすい一方で、案件単位の変動や流動性の低さには注意が必要です。それでも、防衛関連の恩恵を比較的ストレートに受けやすい企業としては、興味深い存在だと言えるでしょう。
防衛関連株を選ぶときに注意したいポイント
ここまで3社を見てきましたが、動画では重要な注意点も強調されていました。それは、防衛関連案件は1件あたりの規模が大きくなりやすく、受注のタイミングや売上計上のタイミングによって、四半期業績が大きくぶれやすいことです。
つまり、ある四半期に業績が急伸したからといって、すぐに持続的成長と判断するのは危険です。逆に、一時的に数字が落ちたからといって、成長ストーリーが終わったと考えるのも早計です。
防衛関連株を中長期で考えるなら、次のような視点が重要になります。
一過性の受注か、継続需要かを見極める
受注そのものが大きくても、単発で終わる案件なのか、それとも保守、更新、追加導入、関連システム整備までつながる継続案件なのかで、企業価値への影響は大きく変わります。
四半期よりも通期、さらに中期で見る
四半期決算だけを見ると、どうしても受注時期のズレに振り回されやすくなります。防衛関連では、通期の業績見通しや、数年単位での受注残高の推移を見ることがより重要です。
完成品メーカー以外にも視野を広げる
今回紹介された3社に共通するのは、完成品メーカーではなく、防衛の高度化を支える周辺企業だという点です。今後の防衛需要拡大では、こうした企業の存在感が増す可能性があります。
今後の防衛関連投資で見るべき切り口
動画の最後では、今回の3社以外にも、維持整備や基地の強靭化に絡む企業など、まだ発掘余地のある隠れ防衛関連銘柄があるのではないかと述べられていました。
実際、防衛予算の内訳を見ると、単に武器や装備を買うだけではなく、その周辺で必要になる設備、保守、通信、ソフトウェア、訓練、試験、データ処理など、多くの分野にお金が流れていきます。個人投資家としては、「防衛関連」という言葉が資料に書いてある企業だけを追うのではなく、防衛予算のどの項目に関係するのかを逆算して企業を探す視点が有効です。
特に今後は、無人アセット、研究開発、施設強靭化、維持整備、情報システム、サイバー防衛といった分野の重要性が増していく可能性があります。そこに関わる企業を、時価総額、PER、配当利回り、受注残、主要顧客構成などから丁寧に見ていくことで、まだ市場で十分に評価されていない銘柄に出会える可能性があります。
まとめ
今回の動画では、日本の防衛予算が5兆円前後から9兆円規模に迫るまで拡大してきたこと、そして今後も地政学リスクや円安、物価高、新技術対応などを背景に、防衛費がさらに増える可能性があることが解説されていました。
その上で注目されていたのは、三菱重工業のような代表的な防衛銘柄だけではありません。無人化、通信、サイバー、維持整備、運用保守といった周辺分野で恩恵を受ける企業にも投資機会があるという視点です。
具体的には、東陽テクニカ、菱友システムズ、理経の3社が紹介されていました。いずれも大型防衛株ほど知名度は高くない一方、防衛予算の拡大と相性の良い事業を持ち、かつ動画撮影時点ではPERや時価総額の面で比較的見やすい水準にあるとされていました。
ただし、防衛関連案件は四半期ごとの業績変動が大きくなりやすいため、短期の数字に一喜一憂するのではなく、中長期で需要が続くのか、継続案件につながるのかを見極めることが重要です。
防衛関連株は、今後も日本株市場で繰り返し注目されるテーマになる可能性があります。だからこそ、有名銘柄だけではなく、その周辺で静かに恩恵を受ける「隠れ防衛銘柄」に目を向けることが、長期投資では大きな差につながるかもしれません。


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