本記事は、YouTube動画『日経平均の勢いが止まらない5つの理由』の内容を基に構成しています。
日経平均が7万円を突破した日本株市場の現在地
日経平均株価の勢いが止まりません。動画では、6月18日の終値で日経平均がついに7万円を突破し、7万1000円台に到達したことが紹介されています。年初来では約37%の上昇となっており、同じ期間のS&P500の上昇率が約8%であることを考えると、今年の日本株は米国株を大きく上回るパフォーマンスを見せていることになります。
さらに直近5年で見ても、日経平均は約146%上昇している一方、S&P500は約78%の上昇にとどまっています。これまで「日本株は長く上がらない市場」と見られてきた時代を知る投資家にとっては、まさに景色が一変したような状況です。
特に注目すべきなのは上昇スピードです。日経平均が6万円から7万円に到達するまでにかかった期間は、わずか約2ヶ月でした。一方、2万円から3万円に上昇するまでは約6年を要しています。単純比較すれば、今回の1万円上昇は過去とは比べものにならないほど速いペースだったといえます。
この状況を見て、「これは完全にバブルではないか」「さすがに上がりすぎではないか」と感じる人も少なくないでしょう。しかし動画では、今の日本株を単なるバブルと決めつけるのは早いと指摘しています。なぜなら、現在の日本株には、昔と比べて明確に「買われる理由」が増えているからです。
日本株がここまで強い背景
かつての日本株は、「割安だが買われない市場」と見られることが多くありました。企業の利益が伸びにくく、株主還元も限定的で、海外投資家から見ても魅力に欠ける面がありました。ところが現在の日本株は、その前提が変わりつつあります。
動画では、今の日本株が買われている理由として、企業業績の強さ、増配企業の増加、自社株買いの拡大、株式分割や投資単位の引き下げ、そして海外投資家の大規模な買い越しが挙げられています。
つまり、単に「株価が上がっているから買われている」のではありません。企業が稼ぎ、株主に利益を返し、市場参加者が増え、海外資金も流入し、AIや半導体といった成長テーマにも日本企業が関わり始めている。このような複数の要因が重なって、日本株の上昇を支えているという見方です。
理由1:稼げる日本企業が増えている
日本株が強い大きな理由の1つは、企業業績の改善です。動画では、2026年度の会社計画において、社数ベースで65%の企業が経常増益を見込んでいると紹介されています。つまり、6割以上の企業が今期も利益を伸ばせると見ているということです。
株価だけが先に上がっているのであれば、バブル的な過熱と見ることもできます。しかし、その裏側で企業利益も伸びる見通しであれば、話は変わります。株価は短期的には金利、為替、海外投資家の売買、地政学リスクなどによって大きく動きますが、長期的には企業の利益に引っ張られます。
そのため、日経平均が7万円を超えたという表面的な数字だけでなく、その背景で企業が本当に稼げているのかを見ることが重要です。動画では、今の日本株について「ただ上がっているだけではなく、利益という土台がある」と説明されています。
理由2:増配企業が増え、株主還元が強まっている
もう1つ重要なのが、株主還元の変化です。2026年度の会社計画では、44%の企業が増配を見込んでいるとされています。これは長期投資家にとって非常に大きな変化です。
昔の日本企業には、利益が出ても内部留保として現金をため込み、株主への還元には消極的というイメージがありました。しかし現在は、稼いだ利益を配当として株主に返す企業が増えています。
配当は、単なる現金収入ではありません。企業が株主をどのように見ているかを示す重要なサインでもあります。利益が出てもすべて社内に残す企業と、配当や自社株買いを通じて株主に還元する企業では、投資家からの評価が変わります。
現在の日本株が買われている理由は、「なんとなく景気が良さそうだから」ではありません。企業が稼ぎ、その利益を株主に返す姿勢が数字として見え始めているからこそ、投資家の評価が変わってきているのです。
理由3:自社株買いが株価の土台を支えている
動画で特に重要なポイントとして取り上げられているのが、自社株買いです。2025年度の自社株取得設定額は22兆4163億円に達しており、2026年も過去最高ペースで推移していると説明されています。
自社株買いとは、企業が自分の会社の株を市場から買い戻すことです。これによって市場に出回る株数が減ります。株数が減ると、同じ利益でも1株当たり利益、つまりEPSが上がりやすくなります。
株価は大まかにいえば、EPSとPERによって説明されます。企業全体の利益が同じでも、発行済み株式数が減れば、1株あたりの利益は増えます。その結果、株価の土台が上がりやすくなるのです。
もちろん、自社株買いには注意点もあります。本来なら成長投資に使うべき資金まで自社株買いに回してしまう場合、長期的には企業の成長力を損なう可能性があります。しかし日本企業の場合、長年の課題はむしろ現金を持ちすぎ、資本効率が低く、株主還元が弱かったことにありました。
そのため、余剰資金を自社株買いや配当に回すことは、資本効率の改善につながります。動画では、日経平均7万円という数字は結果であり、自社株買い22兆円という数字は企業の行動であると説明されています。長期投資家が見るべきなのは、結果だけでなく企業の行動です。
理由4:株式分割と投資単位引き下げで個人投資家が買いやすくなっている
次に注目すべきなのが、株式分割と投資単位の引き下げです。一見すると地味なテーマですが、新NISA時代の日本株を考えるうえでは非常に重要です。
東京証券取引所は、個人投資家が投資しやすい環境を整えるため、望ましい投資単位を50万円未満としています。動画では、2026年3月末時点で93.4%の会社が50万円未満になっていると紹介されています。
さらに、2025年4月から2026年2月末までに266社が株式分割を決議し、そのうち約7割は分割後の投資単位を10万円台まで引き下げることを狙っているとされています。
株式分割をしても、企業価値そのものが急に増えるわけではありません。しかし、個人投資家にとっての買いやすさは大きく変わります。1単元を買うのに100万円必要な株と、10万円台で買える株では、心理的なハードルがまったく違います。
特に新NISAでは、個人投資家が年間投資枠の中でどの銘柄を買うかを考えます。1銘柄に100万円を使うのは重く感じても、10万円台なら分散投資もしやすくなります。つまり、株式分割や投資単位の引き下げは、個人投資家の入り口を広げる行動なのです。
理由5:海外投資家の買いが急増している
現在の日本株を語るうえで、海外投資家の存在も欠かせません。動画では、2026年の年初から5月第3週までに、海外投資家の日本株現物買い越し額が約10.9兆円に達したと説明されています。
2025年の1年間における海外投資家の現物買い越し額は約5.4兆円でした。つまり、2026年は5月時点ですでに前年1年分を大きく上回っていることになります。これは非常に大きな資金流入です。
海外投資家が日本株を買っている背景には、これまで説明してきた企業業績の改善、株主還元の強化、自社株買いによるEPSの向上、AIや半導体関連の成長テーマなどがあります。
また動画では、米国とイランの戦争が終戦方向に向かっていることも、日本株にとって追い風になる可能性があると説明されています。日本はエネルギー輸入国であるため、原油価格や地政学リスクの低下は企業活動や投資家心理にプラスに働きやすいからです。
AI・半導体ブームの裏側で存在感を高める日本企業
日本には、米国のNVIDIAのようにAIブームの表舞台に立つ巨大企業は多くありません。しかし、AIを動かすためには半導体、電子部品、素材、製造装置、基板、電力、通信インフラなどが必要です。
日本企業は、この「舞台裏」の分野に強みを持っています。動画では、村田製作所、キーエンス、イビデン、東京エレクトロンなどが日経平均を押し上げている例として紹介されています。
これは、日本株の主役が変わりつつあることを示しています。かつての日本株は、割安さや景気敏感株として見られることが多かったかもしれません。しかし現在は、AIや半導体という世界的な成長テーマの中で、日本企業が重要な役割を担い始めています。
それでも短期的な過熱感には注意が必要
ここまで見ると、日本株には非常に前向きな材料が多いことが分かります。しかし、動画では同時に、短期的な過熱感にも注意すべきだと指摘されています。
日経平均が7万円台に到達したことは大きな節目です。特に短期間で急上昇しているため、投資家の間には「乗り遅れたくない」「今買わないと置いていかれる」という心理が生まれやすくなります。いわゆるFOMOです。
しかし、強い相場ほど下がるときも速いものです。特に日経平均は値がさ株の影響を受けやすい指数です。AIや半導体関連の一部銘柄が大きく上がれば指数も押し上げられますが、逆にそれらの銘柄が調整すれば、指数も大きく下がる可能性があります。
そのため、「日本株が強いから全力で買う」という考え方は極端です。一方で、「日経平均が7万円だからすべてバブルだ」と切り捨てるのも、今の日本企業の変化を見落としている可能性があります。
長期投資家は日本株とどう向き合うべきか
動画の結論は非常にシンプルです。長期投資家は、浮かれすぎるべきではありません。しかし、昔の日本株のイメージだけで切り捨てるべきでもありません。
重要なのは、日本株を買うか買わないかの2択で考えることではなく、ポートフォリオの中にどう組み込むかです。
たとえば、オールカントリー型の投資信託で世界に分散しながら、その一部として日本株を持つ方法があります。S&P500をコアにしながら、日本株を少し加える考え方もあります。TOPIXで広く分散する方法もあれば、日経平均で主力企業に寄せる方法もあります。高配当株でインカムを狙う方法や、AI・半導体関連をサテライト投資として持つ方法もあります。
大切なのは、なぜ日本株を持つのか、どれくらい持つのか、どの程度の下落なら耐えられるのかを事前に決めておくことです。上がった日に焦って飛びつくのではなく、下がった日に怖くなって逃げるのでもなく、自分のルールに沿って淡々と向き合う姿勢が求められます。
まとめ
日経平均が7万円を突破し、7万1000円台に到達したことで、日本株に対する注目度は一段と高まっています。年初来で約37%上昇し、直近5年でもS&P500を大きく上回るパフォーマンスを見せていることから、短期的な過熱感を警戒する声が出るのも自然です。
しかし、現在の日本株は単に勢いだけで上がっているわけではありません。企業業績の改善、増配企業の増加、自社株買いの拡大、株式分割による投資単位の引き下げ、海外投資家の大規模な買い越し、そしてAI・半導体関連の成長テーマなど、複数の買われる理由が重なっています。
昔の日本株は「安いけれど買われない市場」でした。しかし今の日本株は、「企業が変わっているから買われる市場」へと変化しつつあります。
もちろん、日経平均7万円台という水準には短期的な警戒も必要です。焦って飛びつくのではなく、自分の投資方針に合わせて、どのように日本株を組み込むかを考えることが重要です。
日本株の未来に前向きな見方を持ちながらも、浮かれすぎず、冷静に向き合うこと。それが、これからの長期投資家に求められる姿勢といえるでしょう。


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