本記事は、YouTube動画『ホルムズ開放で急騰する2銘柄がやばい』の内容を基に構成しています。
ホルムズ海峡再開期待で市場が大きく動き始めている
中東情勢をめぐる緊張が和らぎ、ホルムズ海峡の再開が近づいているとの見方が広がるなか、株式市場では原油価格や海運株、エネルギー関連株、内需株をめぐって大きな思惑が交錯しています。
動画では、WTI原油が1バレル75ドル台まで急落した局面を起点に、日本株市場でどのような銘柄が注目されているのかが解説されています。一般的には、原油価格が下がれば燃料費の負担が軽くなる航空会社や電力会社には追い風となり、反対に海運会社や資源開発会社には逆風になると考えられがちです。
しかし、動画ではこの単純な見方に注意を促しています。なぜなら、ホルムズ海峡が再開されるとしても、実際に船が安全に通れるようになるまでには物理的な問題や法的な問題が残されているからです。
つまり、表面的には「合意成立」「海峡再開」「原油安」という分かりやすいニュースが出ていても、その裏側には市場がまだ十分に織り込んでいないリスクが存在しているということです。
日経平均が強さを保つ背景
動画では、6月18日時点で日経平均株価が市場初の7万円台を突破したという前提で話が進められています。通常、日銀が1.0%への利上げを行えば、株式市場にはマイナス材料として受け止められやすくなります。金利が上がると企業の借入コストが増え、将来利益の割引率も高くなるため、株価には下押し圧力がかかりやすいからです。
それにもかかわらず日本株が強さを保っている背景には、中東情勢の緊張緩和とエネルギー価格の下落期待があります。米国とイランの戦闘終結に向けた実務協議が進み、ホルムズ海峡の再開が視野に入ったことで、市場は地政学リスクの低下を一気に織り込み始めました。
動画では、トランプ大統領やイラン側の関係者の間で電子署名が完了したとされる合意についても触れられています。この合意により、世界のエネルギー輸送の大動脈であるホルムズ海峡が再び使えるようになるとの期待が高まりました。
その結果、原油価格は急落し、投資家の間では「原油安メリット株を買い、原油高メリット株を売る」という動きが広がったと説明されています。
ホルムズ海峡再開に残る2つの大きな壁
ただし、動画ではホルムズ海峡の再開を楽観視しすぎることに警鐘を鳴らしています。合意が成立したとしても、すぐに物流が元通りになるわけではありません。
物理的な壁
まず大きいのが、物理的な安全確保の問題です。ペルシャ湾やホルムズ海峡周辺には、イラン側が敷設したとされる機雷が残っている可能性があるとされています。
仮に機雷が残っていれば、タンカーや商船が安全に航行するためには除去作業が必要になります。動画では、専門家の試算として、機雷の除去と安全な航行ルートの確保には最短でも30日、長ければ半年程度かかる可能性があると説明されています。
さらに、日本のタンカーが中東へ向かい、原油を積んで帰ってくるまでには約40日かかるとされています。つまり、機雷除去に最短30日、往復の航海に約40日を足すと、日本の製油所に実際に原油が届くまで最短でも70日程度のタイムラグが生じる計算になります。
この点は非常に重要です。市場は「ホルムズ海峡再開」というニュースだけを見て、すぐに原油供給が正常化すると考えがちですが、現実の物流には時間がかかります。
法的な壁
もう1つの壁は、通行料や制裁をめぐる法的な問題です。
動画では、米国側はホルムズ海峡の恒久的な無料通行を求めている一方、イラン側は合意後60日間は無料とするものの、その後は安全・環境・保険関連のサービス料を徴収する考えを示していると説明されています。
ここで問題になるのが、米国による二次的制裁です。もし日本の海運会社や荷主がイラン側に通行料や関連費用を支払った場合、米国財務省の制裁対象になる可能性があります。米国の金融システムから締め出されるリスクは、企業にとって非常に大きな問題です。
そのため、合意が成立したからといって、日本企業がすぐに安心してホルムズ海峡を通航できるとは限りません。法的な確認が取れるまで、海運会社や保険会社が慎重姿勢を崩さない可能性があります。
海運株は原油安だけでは判断できない
動画で最初に注目されているのが海運株です。日本郵船や商船三井などの海運会社は、紅海やホルムズ海峡の混乱によって航路が複雑化し、運賃上昇の恩恵を受けてきたと説明されています。
そのため、終戦合意やホルムズ海峡再開によって運賃プレミアムが剥がれ落ちると見られ、海運株には下落圧力がかかりやすくなります。
しかし、ここでも単純に「原油安だから海運株は売り」と考えるのは危険です。動画では、海運株の信用取引の需給に注目しています。日本郵船では個人投資家の買い残が積み上がる一方、売り残も一定量存在しており、銘柄によっては売りが買いを上回る珍しい状態も見られるとされています。
これは、機関投資家やヘッジファンドが運賃下落を見越して空売りを仕掛けている可能性を示唆します。
海運株が下落するシナリオ
海運株が下落するシナリオは、合意が順調に履行されるケースです。
機雷除去が想定より早く進み、60日間の核協議も順調に進み、さらにイラン側が通行料の請求を取り下げれば、海運市場は一気に正常化へ向かいます。この場合、スポット運賃が下落し、海運会社の収益期待も低下します。
その結果、機関投資家の空売りが正当化され、買い残を抱えた個人投資家が含み損に耐えられず、売りに回る可能性があります。
海運株が急騰するシナリオ
一方で、海運株が急騰するシナリオもあります。
通行料をめぐる法的問題が解決せず、機雷除去も遅れる場合です。表面的には合意が成立しているのに、実際には船が動かないという状況になれば、市場は再び海運リスクを意識します。
さらに、イスラエルが軍事作戦を継続し、イランが反発するような展開になれば、ホルムズ海峡の安全性に対する不安が再燃します。その場合、運賃は下がるどころか、リスクプレミアムによって再び上昇する可能性があります。
このとき、空売りを仕掛けていた投資家は買い戻しを迫られます。個人投資家の買いも重なれば、海運株が一気に節目を突破する展開も考えられるというのが動画の見立てです。
INPEXは原油安で売られるが反発余地もある
次に取り上げられているのが、資源エネルギー株のINPEXです。
WTI原油が75ドル台まで急落したことで、INPEXの株価も売り込まれたと説明されています。動画では、株価が3378円まで下落した場面に触れながら、同社の信用倍率が高い水準にある点を指摘しています。
信用倍率が高いということは、信用買いをしている投資家が多いということです。原油安は一時的だと考えた個人投資家が押し目買いを続けた結果、含み損を抱えた買い残が大量に積み上がっている可能性があります。
INPEXがさらに下落するシナリオ
INPEXにとって弱気シナリオとなるのは、イラン産原油が大量に国際市場へ戻ってくるケースです。
米国がイランの凍結資産を段階的に解除し、イランが制裁緩和に応じて原油輸出を拡大すれば、世界の原油需給は緩みます。供給が増えれば、原油価格には下落圧力がかかります。
その結果、WTIが70ドルを割り込むような展開になれば、INPEXの業績期待はさらに低下し、信用買いをしていた投資家の投げ売りが出る可能性があります。
INPEXが急反発するシナリオ
一方で、原油価格が再び上昇に転じるシナリオもあります。
動画では、WTI75ドルという水準は、地政学リスクの後退を過剰に織り込んだ下落である可能性があると説明されています。専門家の見方としても、当面の下限は70ドル台半ば程度であり、開戦前の60ドル台に戻る可能性は低いとの見方が紹介されています。
さらに、60日間の核協議で米国とイランが再び対立すれば、制裁解除の期待は後退します。その場合、市場は原油供給の不透明感を再び意識し、原油価格が90ドルを目指して反発する可能性があります。
この場合、INPEXは売られすぎからの強いリバウンドを見せる可能性があります。空売り勢の買い戻しも加われば、年初来高値を再び狙う展開も考えられます。
千代田化工建設は中東復興需要の思惑で注目
動画で3つ目に取り上げられているのが、プラントエンジニアリング関連の千代田化工建設です。
中東情勢が安定すれば、原油価格の下落だけでなく、破壊されたインフラの再建やLNGプラント、石油化学プラントの新規建設需要が生まれる可能性があります。この文脈で、千代田化工建設や日揮ホールディングスが注目されています。
千代田化工建設は、LNGプラントの設計・建設で世界的な競争力を持つ企業として紹介されています。
動画では、同社の株価が798円と、年初来高値の1830円から大きく調整した位置にあると説明されています。また、2026年6月30日に三菱商事が保有する優先株の一部を総額約551億円で取得し、償却する予定がある点にも触れられています。
この優先株問題は、同社にとって長年の財務上の足かせでした。残りの優先株も2028年までに償還する計画があり、普通株への復配や株式市場での評価見直しにつながる可能性があります。
千代田化工建設が下落するシナリオ
弱気シナリオとしては、優先株の償却に伴う巨額のキャッシュアウトが懸念されるケースです。
約551億円という資金流出によって、成長投資や運転資金の自由度が低下すると投資家が判断すれば、株価には下落圧力がかかります。
また、合意が不安定なものに終わり、中東での新規案件獲得が先送りされれば、期待先行で買われていた分の巻き戻しが起こる可能性があります。動画では、理論株価の下値として589円から626円付近まで調整するリスクにも触れています。
千代田化工建設が急騰するシナリオ
一方で、強気シナリオは非常に大きなものになる可能性があります。
合意が想定以上に強固なものとなり、イランへの制裁が段階的に解除され、中東全域でインフラ投資が再開される場合です。動画では、中東復興計画の規模が約3000億ドルに上る可能性があると説明されています。
この復興需要と、千代田化工建設の優先株償還による財務改善が重なれば、海外の大口投資家が同社の復活シナリオに注目する可能性があります。
買い残を吸収しながら上昇トレンドを形成できれば、理論株価の上値である1343円から1508円を突破し、再び年初来高値の1830円を目指す展開も考えられるとされています。
航空・電力・鉄道など内需株にも注目が集まる
最後に、動画では航空会社、電力会社、鉄道会社などの内需株にも触れています。
ANAホールディングスや日本航空は、ジェット燃料価格の低下によるコスト削減効果が期待されます。燃料費は航空会社にとって大きなコスト項目であるため、原油安は業績改善につながりやすい材料です。
また、九州電力については信用需給が比較的落ち着いており、アナリストの目標株価から見ても一定の上昇余地が期待されると説明されています。さらに、データセンター誘致による電力需要増加という独自の成長ストーリーもあります。
JR九州についても、配当利回りが3.5%程度とされ、内需の防衛銘柄として一定の存在感を持つと紹介されています。
内需株にとっての日銀利上げリスク
ただし、内需株を見るうえで見落としてはならないのが、日銀の利上げです。
航空会社、電力会社、鉄道会社はいずれも設備投資のために多額の借入を抱える傾向があります。金利が上がれば、支払い利息の負担が増えます。
もし中東合意が破綻して原油価格が再び急騰し、同時に日銀の利上げによる金利負担も重なれば、これらの企業は燃料費増加と利息負担増加という2重の逆風を受けることになります。
反対に、合意が守られて原油価格が70ドル台で安定すれば、エネルギー価格の低下によって国内インフレ圧力が和らぎます。そうなれば、日銀が追加利上げを急ぐ必要性も低下し、金利上昇への警戒感が和らぐ可能性があります。
この場合、内需企業にとっては燃料安による利益率改善と、金利安定による資金調達コストの抑制という2つの追い風が重なることになります。
SWOT分析で見る今後の日本株相場
動画では、明日以降のポートフォリオを考えるうえで、SWOT分析の視点も紹介されています。
強み
日本株市場全体としては、日経平均が大きく上昇してもなお底堅さを保っているとされています。これは、日本企業の業績基盤や海外資金の流入が支えになっているためです。
弱み
一方で、今回取り上げられた銘柄の多くは、信用取引の需給に偏りがあります。買い残が積み上がっている銘柄では、悪材料が出たときに急速な売りが発生しやすくなります。
これは、個人投資家が感情に流されやすい局面でもあります。含み損が大きくなると、冷静な判断が難しくなり、結果として安値で投げ売りしてしまう可能性があります。
機会
市場全体がホルムズ海峡再開を楽観視しすぎているなら、その裏側にある物理的・法的な壁を理解している投資家にはチャンスがあります。
他の投資家が表面的なニュースに反応して動く前に、冷静にシナリオを整理できれば、より有利な判断がしやすくなります。
脅威
最大の脅威は、署名式や合意成立といった表面的なニュースだけに反応してしまうことです。
機雷除去の遅れ、通行料をめぐる米国とイランの対立、保険会社や海運会社の慎重姿勢など、実務上の壁を無視して投資判断を下すことは大きなリスクになります。
長期投資家はどう向き合うべきか
動画の最後では、長期投資家として最も大切なのは、株価の上下を一発で当てに行くことではないと説明されています。
重要なのは、「こうなったらこの銘柄はこう動きやすい」という複数のシナリオをあらかじめ持っておくことです。
たとえば、署名が行われても通行料に関する米国の明確な声明がなく、保険会社が引き受けを渋っているようであれば、それは「合意したのに船が動かない」という混乱の始まりかもしれません。この場合、空売りが積み上がっている海運株や、原油安で売られたINPEXの反応を見る価値があります。
反対に、米国が凍結資産の解除に柔軟な姿勢を示し、機雷除去が国際協力のもとで予想以上に早く進むようであれば、エネルギー株や海運株から、燃料安と金利安定の恩恵を受ける内需株へ資金が流れる可能性があります。
どちらのシナリオが実現するにしても、表面的な見出しだけで判断しないことが重要です。その裏側にある需給データ、実務上の制約、企業ごとの財務イベントを確認する習慣が、投資判断の精度を高めます。
まとめ
今回の動画では、ホルムズ海峡の再開期待を背景に、海運株、INPEX、千代田化工建設、航空・電力・鉄道などの内需株がどのような影響を受ける可能性があるのかが解説されました。
一見すると、原油安は航空株や電力株に追い風であり、海運株や資源株には逆風と考えられます。しかし、実際の相場はそれほど単純ではありません。
ホルムズ海峡の再開には、機雷除去という物理的な壁があります。また、通行料や米国の二次的制裁をめぐる法的な壁も残されています。さらに、イランの核開発問題やイスラエルの軍事行動など、合意の外側にある不確実性も無視できません。
そのため、投資家は「合意成立だから安心」「原油安だからこの銘柄は買い」といった短絡的な判断を避ける必要があります。
海運株では、運賃低下による下落シナリオと、物流停滞による急騰シナリオの両方があります。INPEXでは、原油安による下落リスクと、地政学リスク再燃による反発余地があります。千代田化工建設では、優先株償還による財務負担と、中東復興需要による大きな成長期待が同時に存在します。
長期投資家にとって大切なのは、ニュースの見出しに振り回されることではありません。複数のシナリオを持ち、需給や実務上の壁を確認しながら、冷静にポートフォリオを見直すことです。
今回の相場は、地政学リスク、原油価格、信用需給、金利、企業財務が複雑に絡み合う局面です。だからこそ、表面的なニュースだけでなく、その裏側にある構造を理解することが、今後の投資判断において大きな武器になるといえるでしょう。
なお、本記事は動画内容を基にした情報提供を目的としたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。投資判断は、ご自身のリスク許容度や資産状況を踏まえて慎重に行う必要があります。


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