本記事は、YouTube動画『韓国株急落でAIバブルに警戒感、S&P500・オルカン・ビットコインはどう向き合うべきか』の内容を基に構成しています。
韓国株急落が示したAI半導体バブルの危うさ
韓国株式市場で大きな動揺が起きました。23日、韓国総合株価指数であるKOSPIが10%急落し、AI半導体ブームで膨らんでいたレバレッジ取引の巻き戻しが一気に進んだと見られています。
今回の急落のきっかけは、韓国当局が個別株連動型のレバレッジETFや信用取引の過熱に警戒感を示し、規制強化への懸念が高まったことです。その結果、韓国を代表する半導体企業であるサムスン電子が12.3%安、SKハイニクスが12.5%安と大きく売られました。
重要なのは、半導体企業の業績そのものが急激に悪化したわけではないという点です。今回の下落は、AI半導体バブルを支えていた借入やレバレッジに対して、規制という針が刺さるのではないかという不安から起きたものです。
韓国株の場合、サムスン電子とSKハイニクスの2銘柄だけでKOSPI全体の54%を占めているとされます。そのため、この2銘柄が急落すると、指数全体も大きく下落しやすくなります。言い換えれば、現在の韓国総合株価指数は、実質的にAI半導体株価指数のような性格を強めているということです。
韓国株の下落は米国半導体株にも波及
韓国株の急落は、韓国市場だけにとどまりませんでした。米国の半導体株にも売りが広がりました。
23日には、米国半導体ETFであるSMHが7%下落し、半導体株の3倍レバレッジETFであるSOXLは、わずか1日で23.1%安となりました。レバレッジETFは値動きが大きくなるよう設計されているため、上昇局面では大きな利益を狙える一方、下落局面では損失も急拡大します。
また、この日の半導体株の下落によって、ナスダック総合指数は50日移動平均線を割り込みました。50日移動平均線は、短期から中期の相場トレンドを見るうえで多くの投資家が参考にする指標です。これを下回ったことで、早期の売りシグナルが点灯したと見ることもできます。
ただし、今回の下落だけでAIバブルが完全に終わったと決めつけるのは早計です。韓国KOSPIは翌日に急反発しており、S&P500も依然として50日移動平均線を上回って推移しています。ナスダック総合も、今後50日移動平均線を早期に回復する可能性があります。
「閑散に売りなし」と秋以降のリスク
相場には「閑散に売りなし」という格言があります。これは、市場参加者が少なくなる時期には大きな売りが出にくいという意味です。
ウォール街はこれから長期の夏季休暇に入るため、市場の売買が細りやすくなります。また、秋以降にはAnthropicやOpenAIのIPOが控えているとされ、AI関連への期待が相場を支える可能性もあります。そのため、動画では「それまでは相場は持つのではないか」と見ています。
しかし、問題はAI関連株の存在感が大きくなりすぎていることです。S&P500の45%、オルカンの35%をAI関連株が占めているとすれば、世界中の投資家がAIバブルという同じ船に乗っている状態です。
この船が沈むとき、多くの投資家が同時に損失を抱えることになります。その前に救命ボートへ移ることが重要であり、投資の世界でそれは「現金比率を高めること」を意味します。
現金は弱気ではなく選択肢である
多くの投資家は、現金を持つことを弱気の証明だと考えがちです。しかし、動画では、現金は投資家にとって「選択肢の確保」だと説明されています。
現金には大きく2つの役割があります。
1つ目は守りの現金です。仮に株式にフルインベストメントしている場合、株価が50%下がれば資産も大きく減少します。しかし、株式50%、現金50%で保有していれば、株式市場が半値になっても資産全体の下落は限定されます。
2つ目は攻めの現金です。AIバブルが崩壊して優良株が大きく下落した場合、現金を持っていればそこから買い向かうことができます。また、仮に今回の下げが短期調整で終わったとしても、押し目で有望銘柄を買うことができます。
つまり、現金を持つことは単に守るためだけではなく、次のチャンスに備えるための戦略でもあります。
S&P500が暴落しても「どの時代にもならない」わけではない
動画では、視聴者からの質問にも答えています。
まず、「S&P500が50%も下落する時が来たら、どの時代にもならないのではないか」という質問に対して、そうではないと説明しています。
S&P500が大きく下落する場合、欧州株や新興国株も同様に下落する可能性はあります。しかし、これまで米国株一強の時代が続いた分、欧州株や新興国株は米国株ほど下げない可能性があると見ています。
また、米国の景気後退局面は平均すると1年程度続く傾向がありますが、その後の景気拡大局面で再び米国株一強の時代が復活するとは限りません。むしろ、欧州株や新興国株が何年にもわたって米国株をアウトパフォームする時代になる可能性があるとしています。
実際、2000年代のS&P500の年平均リターンは-2.7%だった一方、新興国株ETFであるEEMは+9.3%と大きく上昇しました。当時はブラジル、ロシア、インド、中国の頭文字を取ったBRICsが注目され、新興国株の時代だったと言えます。
このように、米国株が低迷しても、世界のどこにもチャンスがなくなるわけではありません。必ず別の地域や資産に投資機会が生まれるという見方です。
ビットコインは下落基調を予想
次に、ハイテク株が低迷するなかで、仮想通貨は本当に上がるのかという質問に対して、動画ではビットコインは下がると予想しています。
その理由として、ビットコインの半減期サイクルが挙げられています。過去の傾向では、半減期の翌々年にあたる年は、4年サイクルの中で最もパフォーマンスが悪くなりやすいとされています。
過去3回を振り返ると、2014年は高値から最大77%安、2018年は最大84%安、2022年は最大78%安と、およそ80%の暴落を経験しました。今回も同じようなサイクルをたどるなら、2026年10月から12月頃にかけて、最大80%程度下落する可能性があると見ています。
ただし、ビットコインは値動きが非常に大きいため、一直線に下がるわけではありません。短期的には10万ドルに回復する場面もあるかもしれませんが、基本的には下落基調が続くと予想しています。
ビットコインはポートフォリオの一部にとどめる
ビットコインをこのまま保有してよいのかという質問に対しては、動画では「買い持ちする」と答えています。
ただし、これは誰にでも同じように当てはまる助言ではありません。投資判断は、その人の投資スタイルやリスク許容度によって変わります。
例えば、半減期を起点とした4年サイクルを手がかりに数年単位で投資しているなら、ビットコインが50週移動平均線をブレイクダウンした11月時点で売っていなければならなかったと説明しています。
また、ポートフォリオに占めるビットコインの割合が20%を超えている場合、それはかなりハイリスクな状態です。米国が景気後退に入る前に、資産配分を見直す必要があります。
一方、動画ではビットコインでお金持ちになることを目的にしているのではなく、時代の潮流に乗れないリスクへの備えとして、ポートフォリオの1%から5%の範囲内で保有していると説明しています。そのため、今後暴落する可能性があっても、引き続き買い持ちするという考えです。
今後10年は米国株より欧州株・新興国株に注目
これから10年ほど、米国株への積立投資をやめて、欧州株や新興国株に積み立てるのはどうかという質問に対して、動画では、その方がパフォーマンスは高くなる可能性があると述べています。
S&P500の予想PERは22倍とされており、過去の傾向から見ると、向こう10年の年間平均トータルリターンは0%から2%程度にとどまる可能性があるとしています。
特に、前回の景気拡大局面で大きなブームになった投資対象は、その後の景気拡大局面で長期低迷する傾向があります。そのため、米国株は向こう10年間、低迷すると考えるのが自然だという見方です。
一方で、欧州株は財政出動や軍備増強をテーマに注目されています。また、米中対立の激化を背景に、グローバルサウスへの投資も注目されています。こうした地域は、米国株と比べて伸びしろが大きいと見ています。
10年前の米国株推奨と現在の逆転現象
動画では、バフェット太郎氏が過去に米国株を推奨した際、投資家界隈から全否定された経験についても語られています。
2016年1月当時、個人投資家の間では、先進国株インデックスファンド、新興国株インデックスファンド、日本株、日本国債、外国債に分散投資することが主流でした。その中で、米国株は低リスク・低リターンの債券のような存在として見られていました。
背景には、2000年のドットコムバブル崩壊によってハイテク株が長期停滞し、一方でBRICsを中心とした新興国投資がブームになっていたことがあります。
そのような環境の中で、バフェット太郎氏は「長期的な資産形成がしたいだけなら米国株1択でよい」と主張しました。なぜなら、長期的なパフォーマンスを見ると、米国株は世界平均を上回る一桁台後半のリターンが期待できると考えたからです。
結果として、過去10年の年間平均トータルリターンは、S&P500ETFが+14.7%、欧州株ETFが+8.4%、新興国株ETFが+7.6%、日本株ETFが+7.2%となり、米国株が世界の株式を大きくアウトパフォームしました。
しかし現在は、逆に多くの個人投資家が「米国株1択でよい」と信じています。その中で、今後10年は米国株を外すべきだと言うと、今度は「バフェット太郎は何も分かっていない」と否定される状況になっています。
動画では、30年後、40年後という超長期で見れば米国株1択でもよいとしながらも、10年後という時間軸では必ずしも答えは同じではないと説明しています。
金ETFは需要がなくなっても金価格に連動する
金ETFについても質問がありました。
金ETFなどのペーパーゴールドは金価格に連動しているだけで、今後需要がなくなれば下落するのではないかという懸念に対して、動画では金ETFの需要がなくなることはないと説明しています。
代表的な金ETFであるSPDRゴールド・シェア、ティッカーシンボルGLDは、単に金価格に連動するだけではなく、実際に金地金をロンドンで保管しています。大まかに言えば、GLDを100万円分購入すれば、ロンドンで保管されている金地金のうち100万円分を間接的に保有しているような仕組みです。
また、仮に金ETFの需要が減っても、金価格そのものが上がれば金ETFの価格も上がります。実際、2022年以降、FRBが大幅な利上げに踏み切ったことで機関投資家が金ETFを売却し、需要は減退しました。それでも金ETFの価格は大きく上昇しました。
そのため、金ETFの需要がなくなると価格も下がるという単純な話ではないと説明されています。
NISAのS&P500やオルカンは売るべきか
AIバブル崩壊に備えて、NISAで保有しているS&P500やオルカンを売るべきかという質問に対して、動画では「売る必要はない」と結論づけています。
投資で資産を増やす方法には、大きく分けて「習慣」と「スキル」があります。
習慣による投資とは、毎月の手取り収入の1割をS&P500やオルカンに積み立て続けるような方法です。この方法は、銘柄分析もマーケットタイミングの判断も必要ないため、誰でも始めることができます。
ここで重要なのは、習慣による投資は途中でやめないことです。もちろん、リストラ、ボーナスカット、病気、事故などで収入が減った場合、一時的に中断したり、一部を現金化したりする必要が出ることもあります。しかし基本的には、あらかじめ決めたルールを守り続けることが大切です。
なぜなら、ほとんどの個人投資家は、マーケットタイミングを見計らって売買するよりも、バイアンドホールドでできるだけ長く株を保有していた方が、長期的には資産を増やせる可能性が高いからです。
ただし、習慣だけが唯一の正解ではありません。資産の一部でスキルを使った投資を行い、資産の最大化を目指すこともできます。入金力と時間だけに頼る投資では、若いうちに大きな資産を築くのは難しい場合もあります。
そのため、NISAのS&P500やオルカンは基本的に売る必要はありませんが、その人がどのような人生を歩みたいかによって投資判断は変わるとしています。
子供に残すべきものはお金か、習慣か
小学生の子供のジュニアNISAがプラス150万円になっているため、今後の景気後退や米国株の下落を考えて売却した方がよいかという質問も紹介されました。
これに対して動画では、子供に何を残したいかによると説明しています。
親は子供にできるだけ多くのお金を残したいと考えるものです。しかし本当に望んでいるのは、子供が社会で活躍し、自分でお金を稼ぎ、自分で資産形成できるようになることではないでしょうか。
その意味では、米国株を売却して投資対象を頻繁に変えるよりも、S&P500インデックスファンドに積み立て続ける姿勢を見せることの方が価値があるかもしれません。
なぜなら、そこには「習慣の力」があるからです。習慣の力はすぐに成果として現れるものではありません。しかし、子供が成人し、30代以降になったとき、複利の力とともに大きな効果を発揮します。
動画では、相場観として米国株は長期停滞局面を迎えると予想しつつも、親が子に何を残すかを考えた場合、投資対象を頻繁に変えるよりも、積立投資の習慣を残した方がよいと述べています。
VXUSは投資妙味があるが、国別ETFやADRも選択肢
バンガード・トータル・インターナショナル・ストックETF、ティッカーシンボルVXUSに投資妙味があるかという質問に対して、動画では2040年頃までを見れば、S&P500やオルカンよりも投資妙味があるとしています。
オルカンは米国株が63%程度を占めているため、米国株が長期停滞局面に入ると、指数全体の足を引っ張る可能性があります。そのため、見た目ほど国際分散投資ができているとは言えないという考えです。
一方、VXUSは米国を除く世界株式に投資するETFです。構成比率は欧州株38%、新興国株28%、アジア太平洋26%、北米8%とされ、米国株の低迷の影響を受けにくい特徴があります。
国別では、日本15%、中国9%、イギリス9%、カナダ8%、台湾6%、フランス5%、インド5%、ドイツ5%、スイス5%、オーストラリア4%といった構成です。
ただし、動画ではVXUSそのものよりも、国別ETFやADRに投資したいとも述べています。特に、グローバルサウスの台頭によってインドに注目しているほか、財政出動に大きく舵を切ったドイツ、さらに新興国よりも規模の小さいフロンティア諸国にも注目しているとしています。
今後の相場見通しは2027年10月底打ち予想
最後に、動画では今後の相場観が示されています。
S&P500が史上最高値圏で推移していることを踏まえると、景気後退を伴う本格的な下落相場は秋以降になると予想しています。3月の急落によって、セルインメイの可能性は低下したという見方です。
しかし、労働市場と個人消費に減速の兆候が見られることから、ここから米国株の大相場が始まるというよりも、最後の上昇相場になる可能性が高いとしています。
歴史的に見ると、S&P500の景気後退を伴う下落相場は、天井をつけてから平均15ヶ月後に底打ちする傾向があります。また、3月と10月は相場の転換点になりやすい時期です。
これらを踏まえ、動画では2027年10月頃に底打ちすると予想しています。
S&P500の最大下落率は50%、円建てでは60%程度を想定しています。欧州株や新興国株、金も同様に下落するとしながらも、欧州株や新興国株の下落幅は米国株よりやや浅いと見ています。
そして、2025年12月末を起点とした2040年までのS&P500の年率平均リターンは一桁台前半にとどまる一方、欧州株、新興国株、コモディティ、暗号資産は2桁台の比較的高いパフォーマンスになると予想しています。
つまり、次の景気拡大局面は、米国株一強ではなく、国際分散投資の時代になるという見方です。
まとめ
今回の動画では、韓国株の急落をきっかけに、AI半導体バブルの過熱、米国株の今後、ビットコイン、金ETF、NISA、ジュニアNISA、VXUS、そして2040年までの長期相場見通しまで幅広く解説されました。
最大のポイントは、現在の世界株式市場がAI関連株に大きく依存しているということです。S&P500やオルカンに投資している人も、実質的にはAI関連株の影響を強く受けています。そのため、AIバブルが崩壊すれば、多くの投資家が同時にダメージを受ける可能性があります。
一方で、だからといってNISAのS&P500やオルカンをすぐに売る必要はありません。積立投資は習慣として続けることに意味があります。ただし、資産の一部で現金比率を高めたり、欧州株、新興国株、コモディティ、金、暗号資産などに分散したりすることで、次の時代に備えることも重要です。
これまでの10年は米国株が圧倒的に強い時代でした。しかし、これからの10年も同じとは限りません。過去の成功体験に縛られすぎず、相場環境の変化を見ながら柔軟に資産配分を考えることが、今後の投資ではより重要になりそうです。


コメント