本記事は、YouTube動画『【最大のピンチ】SBI日本高配当、ここが高配当投資信託の正念場。日経平均株価に負けるな!』の内容を基に構成しています。
SBI日本高配当が苦しい局面に入った理由
日本株市場では、日経平均株価が大きく上昇する場面が続いています。特に半導体関連株やAI関連株が相場をけん引し、日経平均は力強い上昇を見せています。
一方で、高配当株を中心に投資する投資信託を保有している人の中には、「日経平均は上がっているのに、自分の保有ファンドはあまり上がっていない」と感じている人も少なくないでしょう。
今回の動画では、SBI日本高配当株式ファンドの成績を中心に、なぜ日経平均に対して見劣りしているように見えるのか、そしてこの状況をどう考えればよいのかが解説されています。
結論から言えば、SBI日本高配当が大きく失敗しているというより、現在の相場環境が高配当株にとって不利になっているという見方ができます。日経平均を押し上げている中心は、半導体、AI、データセンター、メモリー関連などの成長テーマです。これに対して、高配当ファンドは銀行、商社、通信、医薬品など、安定配当を出しやすい銘柄を多く組み入れる傾向があります。
つまり、いま市場で一番強いテーマに乗れていないことが、相対的な出遅れにつながっているのです。
SBI日本高配当の4月成績は決して悪くない
動画では、SBI日本高配当の4月の成績について紹介されています。
前月末の基準価額は312円とされ、純資産総額はおよそ2,000億円規模まで拡大しています。ファンドの運用開始以来の収益率は74.59%とされており、長期で見れば十分に優秀な成績といえる内容です。
ただし、問題は直近の相場との比較です。
4月の日本株市場では、TOPIX配当込みが1か月でプラス6.57%、日経平均はプラス16%という非常に強い上昇を見せました。それに対して、SBI日本高配当の月間リターンはプラス2.89%にとどまっています。
数字だけを見ると、日経平均に大きく負けているように見えます。しかし、ここで重要なのは、なぜ差がついたのかを理解することです。
日経平均は、指数の性質上、ソフトバンクグループ、アドバンテスト、東京エレクトロン、ディスコといった値がさ株や半導体関連株の影響を大きく受けます。これらの銘柄が急上昇すると、日経平均全体も大きく押し上げられます。
一方、SBI日本高配当は高配当利回りを重視するため、こうした高成長・高バリュエーションの半導体銘柄を大きく組み入れにくい構造があります。そのため、半導体相場ではどうしても日経平均に対して見劣りしやすくなります。
SBI日本高配当の組み入れ銘柄と業種の特徴
SBI日本高配当の組み入れ銘柄を見ると、金融、商社、通信、医薬品といった安定配当株が中心になっています。
動画内では、上位銘柄としてソフトバンク、三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、三菱商事、JT、武田薬品工業、アステラス製薬などが挙げられています。
これらの銘柄は、配当利回りや株主還元の面では魅力があります。しかし、AIや半導体ブームの中心にいる銘柄ではありません。
高配当投資では、安定した配当収入を狙うことが大きな目的になります。そのため、ファンドの構造上、銀行、通信、商社、医薬品などの比率が高くなりやすいのです。
この特徴は、平常時には安定感につながります。しかし、相場全体が半導体やAI関連株に集中して上昇する局面では、どうしても上昇力で劣ることがあります。
日経平均に負けること自体は問題ではない
動画では、SBI日本高配当を見るときに、日経平均との比較だけで判断するのは少し注意が必要だと説明されています。
日経平均は、日本市場全体を均等に表している指数ではありません。株価の高い銘柄の影響を受けやすく、特定の大型ハイテク株が上昇すると指数全体が大きく上がります。
そのため、高配当株ファンドと比較するなら、日経平均よりもTOPIXと比較した方が実態に近いという考え方があります。
もちろん、直近1か月ではSBI日本高配当はTOPIXにも負けています。しかし、運用開始からの長期成績では、まだ十分に健闘していると動画では評価されています。
投資信託は、短期で必ず指数に勝ち続けるものではありません。特にアクティブファンドの場合、相場環境によって得意な局面と苦手な局面があります。大切なのは、負けたときにその理由が明確に説明されているかどうかです。
今回、SBI日本高配当のレポートでは、ハイテク株のアンダーウェイトがTOPIXに劣後した要因だと説明されていると動画で紹介されています。これは、投資家にとって重要な情報です。
「式の実り」との差が広がった理由
動画では、類似の高配当系ファンドとの比較も行われています。その中で特に目立っていたのが、日本株配当オープン、通称「式の実り」です。
式の実りは、SBI日本高配当に比べて純資産総額はそこまで大きくなく、100億円台規模と紹介されています。また、信託報酬も1%程度と、SBI日本高配当に比べるとかなり高めです。
しかし、直近のパフォーマンスではSBI日本高配当を大きく上回りました。
その理由として動画では、組み入れ銘柄の違いが挙げられています。式の実りには、古河電気工業、THK、村田製作所、三菱電機、東京エレクトロンなど、半導体や電機関連の上昇銘柄が入っていました。
特に古河電気工業は、データセンター関連として大きく注目され、株価が大幅に上昇しています。また、東京エレクトロンも高配当というよりは、増配力や成長力が評価される銘柄です。
このように、式の実りは高配当ファンドでありながら、成長テーマに近い銘柄をうまく取り込んでいたことが、直近の成績差につながったと考えられます。
差を生んだ3つの要因
動画では、SBI日本高配当と式の実りの差を生んだ要因として、主に3つが挙げられています。
1つ目は、AI・半導体関連銘柄の組み入れ比率です。東京エレクトロン、村田製作所、三菱電機などの銘柄は、半導体やデータセンター需要の追い風を受けやすく、直近の相場で大きく上昇しました。
2つ目は、非鉄金属の古河電気工業です。データセンター向け需要などを背景に、株価が大きく伸びました。SBI日本高配当にも一部組み入れはあるものの、ウェイトが小さかったため、恩恵は限定的でした。
3つ目は、医薬品銘柄の比率です。SBI日本高配当では武田薬品工業やアステラス製薬のような医薬品株の比率が比較的高くなっています。しかし、直近1か月では医薬品株は日経平均やTOPIXに対して出遅れました。
この3つの要因が重なったことで、式の実りとSBI日本高配当のパフォーマンス差が広がったと考えられます。
いまの相場は高配当投資にとって正念場
現在の相場では、半導体関連株が非常に強くなっています。
AIの普及、データセンター投資の拡大、HBMなどの高性能メモリー需要、半導体製造装置への資金流入などが重なり、半導体関連銘柄が日経平均を大きく押し上げています。
動画では、日経平均の上昇要因を一言で言えば「半導体」と表現しています。
一方で、高配当ファンドはこのテーマに大きく乗れていません。銀行、商社、通信、医薬品などを中心に構成されているため、半導体相場では相対的に不利です。
さらに、原油価格の下落も高配当株には逆風になり得ます。商社株や海運株は資源価格や市況の影響を受けやすいため、原油やコモディティ価格が下がると業績見通しが弱くなる可能性があります。
つまり、現在のSBI日本高配当は、半導体に乗れない一方で、商社や資源関連の逆風も受けやすいという、かなり難しい局面にいるといえます。
それでもSBI日本高配当は運用が下手なわけではない
ここで重要なのは、成績が日経平均に負けているからといって、すぐに「運用が下手」と決めつけないことです。
高配当ファンドには、高配当ファンドなりの役割があります。値上がり益を最大化することだけが目的ではなく、安定した配当や分配金、比較的落ち着いたポートフォリオを重視する投資家に向いた商品です。
もちろん、相場全体が半導体やAIに集中しているときは、見劣りすることがあります。しかし、それはファンドの構造的な特徴でもあります。
動画でも、現在が一番つらい時期かもしれないとしながらも、SBI日本高配当は思ったより踏ん張っているという見方が示されています。
高配当投資では、短期的な値上がり競争だけを見ると苦しくなる場面があります。大切なのは、自分がそのファンドに何を期待しているのかを明確にすることです。
配当や分配金を重視するのか、値上がり益を狙うのか、守りの資産として使うのか。それによって、評価の仕方は変わります。
高配当ファンドに半導体ファンドを組み合わせる考え方
動画では、SBI日本高配当に「半導体をもっと持ってほしい」と期待するのではなく、自分自身で攻めの部分を追加するという考え方が紹介されています。
高配当ファンドを守りのエンジンとするなら、半導体関連ファンドを攻めのエンジンとして組み合わせるという発想です。
具体的には、日本の半導体関連に投資するファンドやETFとして、eMAXISの日経半導体株インデックス系ファンド、グローバルXの半導体関連ETF、三井住友トラスト系の低コストファンド、SBI岡三系の半導体JAPANアクティブファンド、アジア半導体関連フォーカスファンドなどが紹介されています。
それぞれ特徴は異なります。
日経半導体株系のファンドは、日本の半導体関連30銘柄などに投資するタイプで、キオクシアのようなメモリー関連銘柄のウェイトが高い点が特徴とされています。
グローバルX系の半導体関連ETFは、半導体製造や製造装置の売上比率に注目するタイプです。
低コストを重視するなら、三井住友トラスト系のファンドも選択肢になります。
アジア半導体関連フォーカスファンドは、日本だけでなく台湾TSMC、SKハイニックス、サムスン電子など、アジア全体の半導体関連企業に投資できる点が特徴です。ただし、信託報酬は高めです。
つまり、高配当ファンドだけでは半導体相場に乗りにくいと感じるなら、別枠で半導体ファンドを持つことで、守りと攻めを分けることができます。
SBIのNASDAQ100新ファンドについて
動画の後半では、SBIから新たに登場したNASDAQ100インデックスファンドについても解説されています。
SBIではすでに「雪だるま」シリーズでNASDAQ100に連動するファンドを出していました。しかし、今回新しく登場したSBI・NASDAQ100インデックスファンドは、より低コストで運用できる可能性がある商品として紹介されています。
違いのポイントは、投資方法です。
新しいSBI・NASDAQ100インデックスファンドは、マザーファンドを通じて米国株式に直接投資する形です。一方、既存の雪だるまNASDAQ100は、ETFを通じてNASDAQ100に投資する仕組みです。
ETFを通じる場合、ETF自体のコストがかかります。そのため、直接投資型の新ファンドの方が、長期的にはコスト面で有利になる可能性があります。
ただし、すでに雪だるまNASDAQ100を特定口座で保有し、含み益が出ている人は注意が必要です。
乗り換えるために売却すると、含み益に対して税金が発生します。たとえば、100万円で買ったものが120万円になっている場合、20万円の利益に税金がかかります。その税金を支払ってまで乗り換える価値があるかどうかは、信託報酬の差だけで判断すると回収に非常に長い時間がかかる可能性があります。
動画では、20%の含み益があるケースでは、コスト差で税金分を回収するのに約68年かかるというシミュレーションが紹介されています。
このため、すでに大きな含み益がある人は、無理に乗り換える必要はないという見方が示されています。一方で、新規購入する場合や、含み益がほとんどない場合、NISA口座で税金の問題が小さい場合などは、新しい低コストファンドを選ぶ意味がありそうです。
低コストだけで乗り換えると損をする可能性がある
投資信託では、信託報酬の低さは非常に重要です。長期投資では、わずかなコスト差が将来のリターンに影響するからです。
しかし、すでに保有している投資信託を売却して乗り換える場合は、税金も含めて考える必要があります。
特定口座で大きな含み益がある場合、売却時に税金が発生します。その税金を支払ってでも乗り換える価値があるかどうかは、単純な信託報酬差だけでは判断できません。
動画では、含み益が小さい場合や含み損の場合は乗り換えを検討してもよい一方で、10%以上の含み益がある場合は慎重に考えた方がよいと説明されています。
これは、投資初心者にとって非常に重要な視点です。
「新しいファンドの方が安いからすぐ乗り換える」という判断は、一見合理的に見えます。しかし、税金を払った結果、かえって不利になることがあります。
投資では、商品選びだけでなく、税金や口座の種類も含めて判断することが大切です。
バンガードのアクティブ増配ETFにも注目
動画の最後では、バンガードが出したアクティブ増配ETFについても紹介されています。
このETFは、バンガード・ウェリントン・ディビデンド・グロース・アクティブETFという商品で、S&P US Dividend Growers Indexを上回ることを目指すアクティブETFです。
通常、バンガードといえば低コストのインデックスファンドで有名です。しかし今回は、アクティブ運用で増配株を選ぶETFを出してきた点が注目されています。
保有銘柄数は32銘柄程度とされ、40銘柄以内に絞った集中型のポートフォリオです。経費率は0.4%で、連続増配ETFのVIGと比べるとかなり高めです。
銘柄選定では、現在の配当利回りだけでなく、10年後、20年後も配当を増やせる企業かどうかを重視しています。
具体的には、強いバランスシート、安定したキャッシュフロー、株主還元への姿勢、参入障壁の高さ、低いレバレッジなどが重視されます。
アクティブファンドの魅力と難しさ
このバンガードのアクティブ増配ETFでは、VIGには入っていない銘柄も採用されています。
たとえば、Googleの親会社であるAlphabetやMeta、ウェルズ・ファーゴ、TJXなどです。AlphabetやMetaは配当を始めてからの期間が短く、連続増配年数という条件では一般的な増配ETFに入りにくい銘柄です。
しかし、アクティブ運用であれば、「今後長期的に増配できる可能性が高い」と判断して組み入れることができます。
これがアクティブファンドの魅力です。
一方で、動画ではこのETFが登場してからの短期成績は、SCHDやVIGに大きく劣後しているとも紹介されています。つまり、アクティブファンドは魅力的な銘柄選定ができる一方で、短期的には指数や他のETFに負けることもあるのです。
これはSBI日本高配当にも通じる話です。
アクティブファンドは、うまくいけば指数を上回る可能性があります。しかし、常に勝ち続けるわけではありません。投資家は、なぜそのファンドを保有するのか、どのような局面で強く、どのような局面で弱いのかを理解しておく必要があります。
高配当投資家が今考えるべきこと
今回の動画全体を通じて重要なのは、高配当投資と成長投資を混同しないことです。
高配当投資は、配当利回りや安定したインカムを重視する投資スタイルです。一方、半導体やAI関連株は、将来の成長期待を買う投資です。
どちらが正しいという話ではありません。目的が違うのです。
日経平均が半導体株によって大きく上昇しているとき、高配当ファンドが出遅れるのは自然なことです。そのたびに不安になって乗り換えを繰り返すと、長期投資の軸がぶれてしまいます。
一方で、相場の強いテーマをまったく無視する必要もありません。高配当ファンドを守りの中心にしながら、半導体関連ファンドやNASDAQ100などを一部組み合わせることで、攻めと守りのバランスを取ることができます。
たとえば、安定配当を狙う部分はSBI日本高配当、成長を狙う部分は半導体ファンドやNASDAQ100というように役割を分ける考え方です。
このように考えると、SBI日本高配当が日経平均に負けている局面も、単なる失敗ではなく、自分のポートフォリオ全体を見直すきっかけになります。
まとめ
今回の動画では、SBI日本高配当が日経平均に対して出遅れている理由が詳しく解説されていました。
直近の日本株市場では、AIや半導体関連株が相場を強くけん引しています。日経平均は、こうした値がさの半導体関連銘柄の影響を大きく受けるため、非常に強い上昇を見せています。
一方、SBI日本高配当は、銀行、商社、通信、医薬品などの安定配当株を中心に構成されています。そのため、半導体主導の相場ではどうしても出遅れやすくなります。
しかし、これは必ずしも運用が失敗しているという意味ではありません。高配当ファンドには高配当ファンドの役割があり、短期的な値上がりだけで評価するべきではないからです。
また、SBI日本高配当だけで半導体相場に乗ろうとするのではなく、必要であれば別途半導体関連ファンドやNASDAQ100を組み合わせるという考え方も紹介されていました。
投資で大切なのは、1つのファンドにすべてを期待しすぎないことです。守りの資産、攻めの資産、インカムを狙う資産、成長を狙う資産というように、それぞれの役割を明確にすることで、相場の変化にも冷静に対応しやすくなります。
SBI日本高配当にとって、現在は確かに正念場といえる局面です。しかし、半導体相場に乗れていないからといって、すぐに見限る必要はありません。なぜ出遅れているのかを理解し、自分の投資目的に合っているかを確認することが、長期投資では何より重要です。


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