本記事は、YouTube動画『金の下落が止まりません』の内容を基に構成しています。
金価格が最高値から約3割急落、安全資産ゴールドに何が起きたのか
金価格の下落が止まらない状況となっています。動画では、金が最高値から約3割も急落したことを取り上げ、安全資産とされるゴールドがなぜここまで売られているのかを解説しています。
金は「有事の金」「守りの資産」と呼ばれ、株式市場が不安定なときや地政学リスクが高まる局面で買われやすい資産です。そのため、金が短期間で大きく下落すると、多くの投資家は「安全資産ではなかったのか」と不安を感じます。
動画内では、1月の最高値5595ドルから6月24日時点の3974ドル付近まで下落し、約30%の下落になったと説明されています。仮に最高値付近で1000万円分の金を購入していた場合、評価額は約700万円となり、約300万円の損失です。3000万円なら約900万円、5000万円なら約1400万円規模の評価損になる計算です。
このように見ると、金は決して値動きの小さい資産ではありません。安全資産という言葉だけで考えると誤解しやすいですが、金は短期的には大きく上がることもあれば、大きく下がることもある資産です。
金が下落した最大の理由はFRBの利上げ観測
今回の金価格下落の大きな要因として、動画ではFRBの利上げ観測が挙げられています。
金には利息がつきません。株式であれば配当があり、債券であれば利息があり、預金にも金利があります。しかし、金は保有しているだけでは利息を生みません。
そのため、米国の金利が上昇する局面では、投資家は「利息のつかない金を持つより、米国債やドルを持った方がよい」と考えやすくなります。これが金価格にとって大きな逆風になります。
さらに、利上げ観測が高まるとドル高も進みやすくなります。金は国際的にドル建てで取引されるため、ドルが強くなると、ドル以外の通貨を使う投資家にとって金が割高に見えやすくなります。その結果、金の買い需要が弱まり、価格下落につながります。
つまり、今回の金下落には「高金利」と「ドル高」という2つの逆風が同時に吹いているのです。
インフレに強い金でも、必ず上がるわけではない
金はインフレに強い資産とよく言われます。通貨の価値が下がる局面では、実物資産である金が買われやすいためです。
しかし、動画では「インフレになれば必ず金が上がるわけではない」と説明されています。
インフレが進むと、中央銀行は物価を抑えるために利上げを検討します。利上げが進むと実質金利が上がり、ドルも強くなります。すると、利息を生まない金にとっては逆風となります。
つまり、インフレそのものは金にとって追い風になり得ますが、インフレを抑えるための利上げやドル高が強くなると、金は下落することがあります。今回起きているのは、まさにそのような局面だといえます。
直近では暴落でも、2020年から見るとまだ大きく上昇している
動画で重要なポイントとして語られているのが、短期と長期では見える景色がまったく違うという点です。
直近だけを見れば、金価格は最高値から約3割下落しており、かなり大きな暴落に見えます。しかし、2020年頃から見れば、金価格は現在でも約3倍前後に上昇していると説明されています。
つまり、今回の下落は「金が終わった」というよりも、ここ数年で急激に上がりすぎた金が、金利上昇とドル高によって本格的に調整している局面と見ることもできます。
近くで見ると崖のように見える下落でも、長期チャートで見ると上昇相場の途中にある谷に見えることがあります。投資では、短期の値動きだけで判断すると、資産の本質を見誤ることがあります。
ゴールドは安全資産だが、価格が下がらない資産ではない
金は安全資産と呼ばれますが、それは「価格が絶対に下がらない」という意味ではありません。
動画では、金は安全資産である一方、かなり値動きの大きい資産でもあると説明されています。実際、2022年9月に1620ドルだった金価格が、2026年1月には5595ドルまで上昇し、約3年半で約3.45倍になったとされています。その後、約29%下落しているため、上がるときも大きく、下がるときも大きい資産であることが分かります。
過去を振り返っても、金は暴騰と暴落を繰り返してきました。リーマンショック後の2008年から2011年にかけて大きく上昇した後、約37%下落した局面もあります。
金は守りの資産ではありますが、短期的には決して大人しい資産ではありません。この点を理解せずに「安全資産だから大丈夫」と考えるのは危険です。
株と金が同時に下がることもある
金は株式市場が下落したときに守りになると考えられがちです。しかし、動画では「危機の種類によって金の動きは変わる」と説明されています。
金融危機やパンデミックのように、金融システムへの不安が高まり、中央銀行が利下げや金融緩和に動く局面では、金は比較的強さを発揮しやすくなります。通貨価値への不安が高まり、実質金利が下がるためです。
一方で、インフレと利上げが原因で市場が崩れる局面では、株も金も同時に下がることがあります。動画では2022年の例が紹介されています。2022年はNASDAQが年間で大きく下落し、S&P500も下落しましたが、金も春の高値から秋にかけて苦しい展開となりました。
つまり、金はすべての暴落に効く万能薬ではありません。株が下がる理由によって、金が上がることもあれば、同時に下がることもあるのです。
金の役割は爆益ではなくエアバッグ
長期投資家にとって、金の役割は短期で大きな利益を狙うことではありません。動画では、金の役割を「爆益ではなくエアバッグ」と表現しています。
金に期待される役割は、主に次の3つです。
・株式と違う値動きをすること
・通貨価値の低下に備えること
・ポートフォリオ全体の下落を和らげること
ただし、金は株式が下がったときに必ず上がるわけではありません。市場がパニックになると、投資家は現金を確保するために、利益が出ている金を売ることがあります。そのため、暴落の初期には金も一緒に売られることがあります。
それでも、株式100%のポートフォリオと比べると、金や現金を一部持つことで下落幅を抑えられる可能性があります。動画では、リーマンショック型、コロナショック型、2022年の利上げショック型のシミュレーションを通じて、金と現金を組み入れることで資産全体のダメージが軽くなる例が紹介されています。
金は常に完璧な保険になるわけではありません。しかし、危機の種類によっては、ポートフォリオのエアバッグとして機能する可能性があります。
今は金の仕込み時なのか
では、金価格が大きく下がった今は仕込み時なのでしょうか。
動画では、今が底だとは断言していません。年齢、資産額、収入、リスク許容度によって、今買うべきかどうかは変わるからです。
大切なのは、金を買うかどうかよりも、金をどう見るかです。
短期的には、FRBのタカ派姿勢、利上げ観測、高金利、ドル高など、金にとって逆風となる材料が多くあります。一方で、中長期では金を支える構造的な要因も残っています。
各国の財政赤字、通貨発行の増加、中央銀行による金購入、脱ドル依存、外貨準備の分散、地政学リスクなどは、金を支える要因になり得ます。特に新興国を中心に中央銀行が金を買い続けている点は、長期的に注目すべき材料です。
金は誰かの債務ではありません。米国債は米国政府の債務であり、預金は銀行の債務であり、社債は企業の債務です。しかし、金は誰の借金でもない無国籍資産です。この特徴が、通貨不安や地政学リスクの高まりの中で評価される理由です。
資産形成の主役は株式、金は補助的な守り
動画では、資産形成の主役はあくまで株式であると説明されています。
株式は企業の成長に投資する資産です。企業は工場を建て、商品やサービスを作り、利益を出し、配当や株価上昇を通じて投資家にリターンをもたらします。
一方、金は工場を建てるわけでも、AIを開発するわけでも、決算を発表するわけでもありません。そのため、資産形成の中心を金に寄せすぎるのは慎重に考える必要があります。
金を持つなら、目的を明確にすることが重要です。短期の値上がり益を狙うのか、インフレ対策なのか、通貨不安への備えなのか、株式暴落時のクッションなのか、老後資産の守りなのか。この目的があいまいなままだと、下落するたびに不安になり、売買判断がブレやすくなります。
金価格の下落局面で投資家が見直すべきこと
今回の金価格下落は、金を保有している投資家にとって、自分の投資目的を見直す良い機会でもあります。
数ヶ月前まで金は非常に強い資産として語られていました。しかし、約3割下落すると、市場の空気は一変します。高値では「まだ上がる」と強気になり、下落すると「もう終わった」と不安になる。動いているのは資産価格だけではなく、投資家の心でもあります。
長期投資で重要なのは、明日勝つことではありません。10年後、20年後も市場に残っていることです。そのためには、短期の値動きに振り回されず、自分のポートフォリオ全体の中で、それぞれの資産にどのような役割を持たせるかを考える必要があります。
金は一夜でお金持ちにしてくれる魔法の資産ではありません。しかし、株式市場が荒れたとき、通貨の信頼が揺らいだとき、世界情勢が不安定になったとき、ポートフォリオの中で静かに支えてくれる可能性があります。
まとめ
今回の動画では、金価格が最高値から約3割下落した背景と、長期投資家がゴールドとどう向き合うべきかが解説されました。
金価格の下落には、FRBの利上げ観測、高金利、ドル高という大きな逆風があります。金は利息を生まないため、金利が上がる局面では相対的な魅力が低下しやすくなります。また、ドル高が進むと、ドル建てで取引される金は買われにくくなります。
一方で、金は2020年頃から見れば現在でも大きく上昇しており、今回の下落は大相場の中の本格的な調整と見ることもできます。
重要なのは、金を「価格が下がらない安全資産」と誤解しないことです。金は安全資産と呼ばれる一方で、短期的には大きく値動きする資産です。株式と同時に下がることもあり、すべての市場ショックに効く万能薬ではありません。
それでも、金は通貨価値の低下や地政学リスク、金融不安に備える資産として、ポートフォリオの一部に組み入れる価値があります。役割は爆益を狙う主役ではなく、資産全体を守るエアバッグです。
長期投資家にとって大切なのは、金を買うかどうかよりも、なぜ金を持つのかを明確にすることです。短期の値動きに振り回されるのではなく、自分の資産全体の中で金にどのような役割を持たせるのかを考えることが、今回の下落局面で最も重要な視点だといえます。


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