本記事は、YouTube動画『NTTがついに170円まで急騰。信用売り残2600万株で踏み上げは始まったのか』の内容を基に構成しています。
NTT株が2026年8月26日に170円まで上昇し、年初来高値を更新しました。しかし、今回の値動きで本当に注目すべきなのは、単純な株価上昇だけではありません。
8月21日時点の信用売り残は2605万8200株まで増加しました。7月10日時点では418万4800株だったため、わずか約6週間で約6.2倍に膨らんだことになります。その一方で、株価は7月10日の147.6円から170円まで約15%上昇しました。つまり、「売り方が増えているのに株価も上昇する」という、需給面で非常に興味深い状況が発生しています。
こうした値動きを見ると、「空売り勢が追い込まれ、踏み上げ相場が始まったのではないか」と考えたくなります。ただ、動画では現段階を本格的な踏み上げ相場とは捉えていません。
むしろ現在は、業績の再評価、自社株買い、信用買い残の整理によって株価が上昇し、その上昇に逆らう形で新しい信用売りが積み上がっている段階と分析しています。
今後、この信用売りが買い戻しへ転じれば、NTT株の上昇を加速させる新たな燃料になる可能性があります。
NTT株で起きている最大の変化は「信用買い残の急減」
今回のNTT株の需給を考えるうえで、2600万株を超えた信用売り残だけを見るのは十分ではありません。
より重要なのが、信用買い残の急激な減少です。
7月10日時点でNTTの信用買い残は1億8664万9000株ありました。それが8月21日には6819万8300株まで減少しています。約63%もの減少です。
一方、同じ期間に信用売り残は418万4800株から2605万8200株へ約6.2倍に増加しました。その結果、信用倍率は44.60倍から2.62倍まで急低下しています。
信用倍率とは、信用売り残に対して信用買い残が何倍あるかを示す指標です。
信用倍率44.60倍という状態は、信用買い残が信用売り残の約45倍存在していることを意味します。
信用買い残が大量に積み上がると、株価が少し下落しただけでも含み損を抱える投資家が増えます。その後、株価が戻ったところで「やれやれ売り」が出やすくなるため、株価の上値を抑える要因になります。
しかし現在の信用倍率は2.62倍まで低下しています。
依然として信用買い残の方が多いため、完全な売り長になったわけではありません。それでも、7月と比較すると上値を抑えていた信用買いの圧力は大きく軽減されています。
つまり現在のNTT株は、「空売りが増えたから上がっている」のではありません。
信用買い残が大幅に整理されながら株価が上昇し、その上昇に対して売りポジションが増えているという点が重要なのです。
170円までの上昇は、すでに踏み上げが始まった証拠なのか
NTT株は8月19日の終値159.4円から、8月26日の高値170円まで約7%上昇しました。
8月21日には166.1円まで上昇し、出来高も約3億株まで膨らみました。出来高を伴った上昇であることから、単なる薄商いによる値上がりとは性質が異なります。
ただし、ここで注意が必要です。
最新の信用取引データを見ると、株価が上昇しているにもかかわらず、信用売り残は前週からさらに約374万株増加していました。
典型的な踏み上げ相場では、株価上昇によって売り方が含み損に耐えられなくなり、空売りを買い戻します。そのため、株価が上昇する一方で売り残が減っていくという動きが見られやすくなります。
ところがNTTでは、現時点では逆の現象が起きています。
株価が上昇しているにもかかわらず、信用売り残は増加しています。
そのため、現在は「売り方がすでに大量に買い戻している相場」というよりも、「上昇に逆らって新しい売りが積み上がっている相場」と考える方が自然です。
8月14日の終値162.7円時点では売り残が約2231万株、8月21日の終値166.1円時点では約2606万株でした。少なくとも直近では、160円台で新たに売りポジションを増やした投資家が存在すると考えられます。
170円まで上昇したことで、こうした売り方の一部はすでに含み損になっている可能性があります。
ただし、信用残データから個々の投資家の売値までは分かりません。
2600万株すべてが170円付近で含み損になっていると考えるのは適切ではありません。
信用売り残2600万株は本当に「巨大」なのか
2605万株という数字だけを見ると、非常に大きく感じます。
しかし、NTTという銘柄の流動性を考慮すると印象は変わります。
8月25日のNTT株の出来高は約1億8585万株、8月21日は約3億73万株でした。
2605万株の信用売り残は、8月25日の1日出来高に対して約14%、8月21日に対しては約7%にすぎません。
小型株であれば、数日分の出来高に匹敵する空売り残高が存在することで、買い戻しが株価を大きく押し上げることがあります。
しかしNTTは発行済み株式数が約905億株あり、時価総額も15兆円を超える巨大企業です。
そのため、「信用売り残が2600万株もあるから、巨大な踏み上げ相場になる」と単純に考えるのは危険です。
重要なのは、空売り残高そのものの大きさではありません。
新しく売った投資家の損益が悪化し、その買い戻しと現物投資家の買い、さらに自社株買いなどの買い需要が同じ方向へ重なるかどうかです。
2605万株という売り残だけなら、NTTの日々の売買量から考えて市場が吸収できる規模とも考えられます。
しかし、そこに別の買い需要が重なれば状況は変わってきます。
その代表がNTT自身による自社株買いです。
最大2000億円の自社株買いがNTT株の需給を支える
NTTは2026年5月、最大14億株、最大2000億円の自己株式取得を決議しています。
取得期間は2026年5月11日から2027年3月31日までです。
7月31日までの累計取得株数は2億3978万3600株、取得金額は約360億5400万円でした。つまり金額ベースでは、上限まで約1639億円の余力が残っています。
もちろん、NTTが残りの枠を必ずすべて使うとは限りません。
毎日一定額を購入するわけでもなく、株価や市場環境によって取得ペースは変化します。
それでも170円で単純計算すると、残る取得金額の上限は約9億6000万株分に相当します。
信用売り残2605万株と比較すると、約37倍に相当する規模です。
ただし、「NTTの自社株買いが空売りをすべて踏み上げる」という意味ではありません。
重要なのは、売り方が株価上昇を止めようとする一方で、その反対側に企業自身による買い付け余力が存在しているという需給構造です。
さらに信用買い残も大幅に減っています。
以前のNTTでは、株価が下がるたびに信用買いが増え、それが将来の戻り売りにつながるという構造がありました。
現在はその信用買いが減少し、企業側には大規模な自己株式取得枠が残されています。
この点は7月時点との大きな違いです。
自社株買いだけで170円突破が保証されるわけではない
一方で、自社株買いを過大評価するのも危険です。
取得上限が大きくても、NTTがいつ、どの価格で、どれだけ取得するかは分かりません。
株価が170円を超えて上昇すれば、同じ金額で購入できる株数も減少します。
したがって、自社株買いは下値を支える可能性のある材料ではありますが、170円突破やその後の上昇を保証する材料ではありません。
また、7月末までにNTTが取得した約2億3978万株は、最新の信用売り残2605万株の約9倍に相当します。
それだけの自社株買いが行われているにもかかわらず信用売り残は増加しました。
つまり、現在のNTT市場では企業による買い、現物投資家の買い、短期投資家による売りが同時に存在し、その綱引きの中で株価が上昇していると考えるべきでしょう。
逆日歩0円、本格的な踏み上げ相場ではない理由
本格的な踏み上げ相場かどうかを判断するには、信用売り残だけでなく貸借取引の状況も確認する必要があります。
動画によると、8月21日の貸借取引では逆日歩は0.00円でした。
さらに8月24日時点では融資残高が約348万9000株、貸株残高が約194万9000株となっており、貸株が極端に不足している状態ではありませんでした。
逆日歩とは、空売り需要が急増して貸し出せる株が不足した場合に、売り方へ追加で発生するコストです。
激しい踏み上げ相場では、株を借りたい投資家が殺到し、貸株不足から逆日歩が発生することがあります。
しかし現在のNTTでは、そうした「売り方が強制的に追い詰められている」状況は確認されていません。
ここは非常に重要なポイントです。
信用売り残が2600万株まで増えていることと、貸株市場が逼迫していることは同じではありません。
また、信用売り残には制度信用と一般信用が含まれています。
それぞれ期限やコスト、取引条件が異なるため、2600万株すべてが同じタイミングで買い戻されるわけではありません。
したがって、「2600万株の空売りが一斉に買い戻される」という単純なシナリオは現実的ではないでしょう。
NTTの好決算も170円上昇を支えている
NTT株の上昇を需給だけで説明するのも適切ではありません。
動画では、8月6日に発表された第1四半期決算も株価上昇の重要な要因として挙げています。
第1四半期の営業収益は約3兆177億円で前年同期比約11%増、営業利益は約4251億円で約5%増となりました。
第1四半期として営業収益は過去最高となり、全セグメントで増収増益となった点も評価されています。
つまり現在のNTT株には、単なる需給相場ではなく、「業績の再評価」という現物投資家が買う理由も存在します。
ただし、年間業績予想を見ると慎重に考える必要があります。
動画では、2026年度の営業利益予想は1兆7100億円で前年度比ほぼ横ばい、当期利益は9800億円で前年度から約6%減少する計画と説明されています。
第1四半期が好調だったからといって、NTTが急激な利益成長企業へ変わったわけではありません。
今後170円以上の株価を正当化するには、通期業績の上振れ期待がどこまで高まるかも重要になります。
NTT株170円上昇を生んだ4つの要因
ここまでを整理すると、今回のNTT株上昇には大きく4つの要因が重なっています。
第1に、第1四半期の増収増益です。
第2に、最大2000億円の自社株買いです。
第3に、信用買い残の大幅減少です。
そして第4に、株価上昇へ逆らう形で信用売り残が増えていることです。
特に重要なのは、株価が一直線に170円へ上昇したわけではないという点です。
NTT株は7月29日に一時161.2円まで上昇しましたが、7月31日の終値では152.4円、8月4日には150.4円まで押し戻されました。
その後、8月6日の第1四半期決算を経て、8月7日は158.5円、8月14日は162.7円、8月21日は166.1円、そして8月26日に170円へ到達しました。
つまり今回の高値更新は、1日の踏み上げだけで突然起きたものではありません。
一度160円台から150円付近まで売られ、その後に決算、信用需給の改善、自社株買いなどを確認しながら徐々に切り返してきた上昇です。
170円突破後に考えられる3つのシナリオ
ここからNTT株には、大きく分けて上昇、中立、下落の3つのシナリオが考えられます。
上昇シナリオ
最も強い展開は、170円を一時的につけるだけではなく、高値圏で終値を維持することです。
170円は年初来高値であるだけでなく、心理的にも分かりやすい節目です。
ここを維持した状態で、次回の信用残高データで信用売り残が減り始めれば、需給構造が「新規売りが増える上昇」から「売り方の買い戻しによる上昇」へ変わった可能性が高まります。
その場合、175円や180円といった次の心理的節目を試す展開も考えられます。
ただし、170円を超えても信用売り残がさらに増えるのであれば、売り方はまだ撤退していません。
その状態でも株価が上がるなら現物買いの強さを示しますが、踏み上げ相場が始まった証拠とは言えません。
中立シナリオ
170円付近で株価がもみ合い、信用売り残も高止まりするケースです。
この場合、売り方はまだ損失に耐えられる一方、買い方も高値を追わないため、166円前後から170円台前半で時間をかけて需給を消化する可能性があります。
この局面では、信用買い残が再び増えないかが重要です。
株価が高値圏にあるにもかかわらず信用買い残だけが急増すると、せっかく軽くなった上値の売り圧力を再び作ることになります。
下落シナリオ
170円を維持できず、8月21日の終値166.1円を明確に下回り、さらに8月14日の162.7円付近まで押し戻されるケースです。
この展開では、直近で増えた信用売りが利益になる方向へ動くため、売り方に対する踏み上げ圧力は弱まります。
さらに159円台まで戻れば、8月19日以降の急上昇の多くを打ち消すことになります。
最も重要なのは「売り残が減る瞬間」
踏み上げ相場を考えると、多くの投資家は空売り残高が最も多くなった瞬間に注目しがちです。
しかし動画では、より重要なのはその後だと説明しています。
売り残が増えている間は、売り方がまだ株価下落を期待している段階です。
一見すると弱気材料ですが、それでも株価が下がらないのであれば、それだけの売り注文を別の買い手が吸収しているということでもあります。
7月10日から8月21日までの間に、信用売り残は約2187万株増えました。
その一方で、信用買い残は約1億1845万株減少しています。
それにもかかわらず、株価は147.6円から166.1円まで約13%上昇しました。
つまり今回の上昇は、信用買いによるレバレッジ投資だけでは説明しにくい動きです。
現物投資家の需要や自社株買いなど、信用取引以外の買いが株価形成に大きな役割を果たしている可能性があります。
そして、ここから信用売り残が減少へ転じると状況が変わります。
これまで「売り注文」だったポジションが、決済のための「買い注文」へ変わるからです。
動画が最も注目しているのは、まさにこの転換点です。
2605万株から3000万株へ売り残が増えて株価も高値を維持するなら、踏み上げの燃料はさらに増えます。
しかし、その段階ではまだ本格的な踏み上げは完成していません。
一方、売り残が2605万株から明確に減少し、それでも株価が170円前後を維持するなら、売り方の買い戻しが株価上昇に加わった可能性が高くなります。
次回の信用残で確認したい「本物の踏み上げ」の条件
今後、NTT株で本格的な踏み上げが始まったかどうかを判断するうえで、最も重要なのが次回の信用残高です。
動画では、理想的な踏み上げの条件として、株価が170円近辺またはそれ以上を維持しながら、信用売り残が減少し、信用買い残が低水準を保つことを挙げています。
現在の信用買い残は6819万8300株です。
これが再び8000万株、9000万株と急増すれば、上昇を見た個人投資家による信用買いが再び積み上がった可能性があり、需給改善の質は低下します。
反対に、株価が高値を維持しながら売り残が減少し、信用買い残が低水準を保つのであれば、踏み上げ相場へ進む条件はかなり整ってきます。
さらに貸借市場が逼迫し、逆日歩などが発生すれば、売り方がコスト面でも追い込まれていることを確認しやすくなります。
NTTの踏み上げシナリオは現在「第1段階」
動画では、NTTの踏み上げシナリオを3段階に分けています。
現在は第1段階です。
信用売り残が急増し、信用買い残が急減しながら株価が高値を更新している「燃料蓄積」の段階です。
第2段階は、170円台を維持しながら信用売り残が減少へ転じる局面です。
ここで初めて、売り方の買い戻しが上昇へ加わった可能性が強くなります。
第3段階は、さらに貸借市場が逼迫し、逆日歩などが発生して売り方がコスト面でも追い込まれる状態です。
動画では、現在は第1段階から第2段階へ移れるかを確認する局面であり、第3段階の証拠はまだないとしています。
そのため、「170円を突破したからすぐ買い」「信用売り残2600万株だから必ず踏み上げる」と考えるのはいずれも早計でしょう。
まとめ|NTT株170円突破より重要なのは次の信用残
NTT株は2026年8月26日に170円まで上昇し、年初来高値を更新しました。
一方で、信用売り残は7月10日の418万4800株から8月21日には2605万8200株へ約6.2倍に増えています。
それだけを見ると踏み上げ相場を期待したくなりますが、現時点ではまだ本格的な踏み上げが始まったと断定できる状況ではありません。
むしろ重要なのは、信用買い残が1億8664万9000株から6819万8300株まで減少し、信用倍率が44.60倍から2.62倍まで改善する中で、株価が約15%上昇したことです。
さらに、最大2000億円の自社株買い、第1四半期の増収増益というファンダメンタルズ面の支えもあります。
現在のNTT株は、「空売りの買い戻しだけで上昇している相場」というより、「業績と需給改善で株価が上昇する一方、将来の買い戻しにつながる可能性のある売りポジションが積み上がっている相場」と捉える方が適切でしょう。
今後最大の注目点は、170円という価格そのものではありません。
株価が170円前後を維持した状態で、2600万株を超えた信用売り残が減少へ転じるかどうかです。
さらに信用買い残が再び膨らまないか、自社株買いが継続するか、そして第2四半期以降の業績が市場予想を上回れるかも重要になります。
動画では、7月10日に44.60倍だった信用倍率が2.62倍まで低下し、その間に株価が約15%上昇したことを、NTTの需給構造が大きく変化した証拠として重視しています。
NTT株が「売り方が増えても上がる相場」から、「売り方が買い戻すことでさらに上がる相場」へ変化するのか。


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