金価格は2030年に9000ドルへ?急落の原因と今後の見通しを貴金属専門家が解説

本記事は、YouTube動画『金相場の急落と2030年までの金価格見通し』の内容を基に構成しています。

金(ゴールド)相場は2026年に大きく下落し、一時は1トロイオンス=4000ドルを割り込む場面がありました。しかし、貴金属市場の専門家である池水雄一氏は、今回の急落を長期的な上昇トレンドの終わりとは考えていません。

池水氏は、2026年末には4300~4500ドル、2027年には5000~5500ドル程度への上昇を予想しています。さらに2030年には9000ドルに到達してもおかしくないという強気の見通しを示しました。

こうした予想の背景には、中央銀行による金の大量購入、米ドルに対する信頼の変化、そして金の供給量が限られているという構造的な要因があります。

今回は、金相場が急落した原因から、中央銀行や機関投資家の動向、米国の金融政策、2030年に向けた長期的な価格予想まで詳しく解説します。

目次

2026年の金相場はなぜ急落したのか?

急騰の反動が大幅な下落につながった

池水氏が今回の金相場の急落について最初に挙げた原因は、それまでの価格上昇があまりにも急激だったことです。

約40年間にわたって貴金属市場を見てきた池水氏にとっても、前年の金価格の上昇は過去に経験したことがないほどの勢いだったといいます。

前年9月時点で金価格は年初から約50%上昇していました。一方、同時期のS&P500の上昇率は約15%、日経平均株価は約23%でした。

つまり、株式市場も好調だったものの、金のパフォーマンスはそれを大きく上回っていたのです。

こうした状況になると、機関投資家やファンドマネージャーは金を保有していないこと自体をリスクと考えるようになります。

市場平均に負けることを避けたい機関投資家が金を買い始め、その買いがさらに価格を押し上げるという循環が発生しました。

しかし、短期間で上昇しすぎた相場は、何らかのきっかけで投資家の売りが集中すると急落しやすくなります。

今回の下落も、こうした過熱した市場環境が背景にありました。

CMEによる証拠金引き上げが急落の引き金に

金価格の急落を直接引き起こした要因として池水氏が指摘したのが、米国の先物取引所CMEによる証拠金の引き上げです。

動画では、1月末にCMEが3日連続で証拠金を引き上げたことが説明されています。

先物取引では、投資家は取引金額の全額を用意する必要はありません。一定の証拠金を預けることで、それを上回る金額の取引ができます。

この仕組みをレバレッジ取引と呼びます。

例えば、少ない証拠金で大きな金の買いポジションを保有していた投資家にとって、取引所による証拠金の引き上げは大きな負担になります。

追加の資金を用意できなければ、保有しているポジションを縮小したり、決済したりする必要があります。

当時は多くの投資家が高いレバレッジを利用して金を買っていたため、証拠金の引き上げによって大量の売り注文が発生しました。

その結果、売りが売りを呼ぶ展開となり、金価格が急落したというわけです。

なお、先物取引所が証拠金を引き上げるのは、相場の変動が激しくなった際に決済リスクを抑える目的もあります。

市場の過熱が進むほど、こうした措置が急落の引き金になる可能性があるのです。

金と株式が同時に下落する理由

金は必ずしも株式市場の下落に強いわけではない

金は一般的に、安全資産として知られています。

株式市場が下落した場合でも金価格が上昇することがあり、資産全体の値動きを安定させる効果が期待されてきました。

ところが、近年は株式と金が同じ方向に動く場面が増えていると池水氏は指摘します。

前年は株式と金がともに上昇し、今回の急落局面では両方が下落しました。

こうした現象が起きる理由の1つが、投資家の資金繰りです。

例えば株式市場が急落すると、信用取引などを利用している投資家は追加証拠金を求められることがあります。

その際、株式の損失を補填するために、利益が出ている金を売却するケースがあります。

本来は安全資産として保有していた金であっても、資金確保のために売却されることがあるのです。

長期的な分散投資効果は期待できる

それでは、金をポートフォリオに組み入れる意味はなくなったのでしょうか。

池水氏は、短期的には株式と同時に下落する可能性があるものの、長期的な分散投資効果は期待できると説明しています。

つまり、株式が下がった日に必ず金が上がるとは限りません。

金の役割は短期的な株価下落への対策というよりも、長期的な資産価値の保全にあると考えた方がよさそうです。

過去にも金価格は約30%下落していた

今回の金相場では、約30%という大幅な下落が発生しました。

しかし、池水氏によると、この程度の下落は過去にも経験されています。

代表的な例として挙げられたのが、2008年のリーマンショックと2020年の新型コロナウイルス感染拡大時です。

いずれも世界の金融市場が大きく混乱した局面で、金価格も急落しました。

今回の下落が特に大きく感じられるのは、金価格そのものが過去と比べて高くなっているためです。

例えば、金価格が1000ドルのときに30%下落すれば300ドルの値下がりですが、5000ドルから30%下落すれば1500ドルもの値下がりになります。

下落率が同じでも、価格の変動幅は大きく異なるのです。

過去の急落局面では、数カ月程度で価格が回復したケースもあったと池水氏は説明しています。

もっとも、今後も同じ期間で回復するとは限りません。

それでも池水氏は、長期的に金を保有したい個人投資家にとって、大幅な下落は購入機会になり得ると考えています。

金価格4000ドルが重要な下値支持線になる可能性

3940ドルが底値だったのか

今後の金相場を考えるうえで重要なのが、4000ドルという価格水準です。

動画によると、2026年の金価格は一時3940ドルまで下落しました。

池水氏は、この3940ドル近辺が今回の下落の底値になる可能性があると見ています。

その理由は、4000ドルを下回る水準では金を買おうとする投資家が多いためです。

特に注目されるのが、中央銀行による金の購入です。

短期投資家が売却して価格が下がったところを、中央銀行などの長期投資家が買い支える構図が生まれています。

ただし、池水氏も今後の下落リスクが完全になくなったとは考えていません。

予想外の経済情勢の変化などによって、再び4000ドルを割り込む可能性は残されています。

中国人民銀行が金を大量購入している

金価格の下落に合わせて購入量を増加

今回の動画で特に注目されたのが、中国人民銀行による金の購入動向です。

池水氏によると、中国人民銀行は金価格が上昇している局面では購入量を抑え、価格が下落すると購入量を増やしています。

動画で紹介された数字では、金価格が高騰していた時期の月間購入量は1~2トン程度でした。

ところが、2026年に金価格が下落すると、購入ペースが大きく変化しました。

月金の購入量
3月約5トン
4月約8トン
5月約10トン
6月約15トン
7~8月約20トン
9月約23トン

このように、価格が下がるほど購入量を増やしているのが特徴です。

池水氏は、中国人民銀行の購入方法を非常に合理的な逆張り投資だと評価しています。

短期投資家が金を売って価格が下落したところで、長期的な視点から金を積み増しているということです。

中央銀行の金購入は世界的な動き

金を購入しているのは中国だけではありません。

世界各国の中央銀行が金の保有量を増やしています。

この動きが強まった大きな転換点が、2022年のロシアによるウクライナ侵攻でした。

ロシアへの経済制裁によって、同国が海外に保有していた外貨準備の一部が凍結されました。

それまで米国債などのドル建て資産は、安全性の高い外貨準備資産と考えられていました。

しかし、国際政治上の対立によって、こうした資産が利用できなくなるリスクが明確になったのです。

特に米国との関係が良好ではない国々にとって、ドル建て資産への依存度を下げることが重要な課題となりました。

その代替資産として注目されているのが金です。

金は特定の国の信用だけに依存する資産ではなく、現物を自国内で保管することもできます。

そのため、中国やロシアを含む新興国を中心に、外貨準備の一部を金へ移す動きが進んでいると池水氏は説明しています。

中央銀行は年間約1000トンの金を購入

世界の中央銀行による金の購入量は、2022年を境に大きく増加しました。

池水氏によると、2021年までの中央銀行の年間購入量は平均約450トン、多い年でも600トン程度でした。

ところが2022年以降は、年間1000トンを超える規模の購入が見られるようになりました。

一方、世界の金鉱山から新たに採掘される金は年間約3800トンとされています。

仮に中央銀行が年間1000トン購入した場合、その量は新規採掘量の約26%に相当します。

中央銀行が購入した金は、通常、短期間で市場に売却されるものではありません。

そのため、新たに供給される金の相当部分が中央銀行の準備資産として長期間保有されることになります。

もちろん、金市場には既に採掘された大量の金も存在するため、中央銀行の購入量がそのまま市場供給の減少率になるわけではありません。

それでも、長期的な購入主体が年間1000トン規模で金を吸収することは、価格を支える大きな要因になり得ます。

金価格が下がっても金ETFには資金が流入

今回の金価格の下落局面では、もう1つ興味深い現象が起きているといいます。

それが金ETFへの資金流入です。

ETFとは、証券取引所に上場している投資信託のことです。

金ETFを購入すれば、金の現物を直接保管することなく、金価格に連動する投資ができます。

通常、金価格が下落すると金ETFにも売りが出て、保有残高が減少する傾向があります。

しかし、今回の相場では金価格が下落しているにもかかわらず、金ETFの残高が増加していると説明されています。

池水氏は、これを長期投資家による買いと見ています。

短期投資家は米国金利の上昇などを理由に金を売却する一方、長期投資家は価格が下落したところを購入しているという構図です。

このように、短期的な売り圧力と長期的な買い需要が同時に存在していることが、現在の金市場の特徴といえます。

米国の金利上昇は金価格にどこまで影響するのか

金利が上がると金が売られる理由

一般的に、米国の金利が上昇すると金価格には下落圧力がかかると考えられています。

その理由は、金そのものには利息が付かないためです。

例えば、米国債を購入すれば一定の利回りを得られますが、金を保有していても利息収入は発生しません。

そのため、米国債の利回りが上昇すると、金を保有する相対的な魅力が低下することがあります。

動画では、米国の長期金利が5%程度まで上昇したことが、短期投資家による金売りの理由になったと説明されています。

2026年後半の金相場を動かすFRBの金融政策

金価格の短期的な変動には、米連邦準備制度理事会(FRB)の金融政策が大きな影響を与えています。

動画では、8月に金価格が上昇した背景として、米消費者物価指数(CPI)の落ち着きや利上げ観測の後退が挙げられています。

それまで金を売っていた投資家が、利上げの可能性が低下したことでポジションを買い戻したと考えられています。

一方、9月下旬には追加利上げへの警戒感が再び強まり、金価格が下落しました。

このように、金市場ではFRBの金融政策に関する予想が変化するたびに、短期投資家の売買が活発になっています。

ただし、池水氏は今後の利上げ余地は限られていると考えています。

動画に出演した別の市場関係者も、大幅な連続利上げが続く可能性は低く、追加利上げがあったとしても1~2回程度ではないかという見方を示しました。

市場が既に一定の利上げを織り込んでいるのであれば、金価格にとっての悪材料も相当程度反映されている可能性があります。

米国の巨額債務が金価格を押し上げる可能性

池水氏が注目するもう1つの重要な要因が、米国政府の債務問題です。

動画では、米国の連邦政府債務が40兆ドル規模に達していることが取り上げられました。

政府の債務が増加すると、金利上昇による利払い負担も大きくなります。

池水氏は、こうした状況ではFRBも大幅な利上げを継続しにくいと考えています。

さらに重要なのは、金利上昇に対する市場の見方そのものが変わる可能性です。

従来は金利が上がると金が売られるという関係が意識されてきました。

しかし、政府の債務が巨額になっている状況では、金利上昇によって財政の持続可能性に対する不安が強まる場合があります。

その場合、金利が上昇しても、通貨や国債への信用不安から金が買われる可能性があるのです。

池水氏は、米国だけでなくフランスなどの財政問題にも言及し、各国政府の債務と利払い負担が長期的な金需要を支える可能性を指摘しています。

過去20年間で金価格は約834%上昇

短期的には大きな変動がある金ですが、長期的なパフォーマンスは非常に高かったと説明されています。

動画では、過去20年間の金価格と株価指数の上昇率を比較しています。

その結果、金価格は約834%上昇しており、S&P500の約400%強という上昇率を大きく上回ったと紹介されています。

比較する期間や通貨によって結果は異なりますが、動画で示された期間では、金が非常に優れたパフォーマンスを記録していたことになります。

池水氏は、こうした長期的な上昇傾向を踏まえ、金は短期売買よりも長期保有に適した資産だと考えています。

金を買った後に頻繁に売買するのではなく、資産全体の一部として長期間保有するという方法です。

金価格が長期的に上がる3つの理由

池水氏は、今後も金価格が上昇すると考える理由として、3つの構造的な要因を挙げています。

1. 中央銀行による金の購入

1つ目は、中央銀行による金の保有量の増加です。

世界経済では、米国を中心とした国際秩序から、複数の大国が影響力を持つ多極化への変化が進んでいると池水氏は指摘しています。

こうした状況では、中央銀行が資産を米ドルや米国債だけに集中させることへの警戒感が強まります。

その結果、金の保有比率を高める動きが続く可能性があります。

2. 米ドルなど法定通貨に対する不信感

2つ目は、通貨の供給量が長期的に増加することです。

池水氏は、金価格の上昇を単純に金の価値が高まった結果と考えるのではなく、金に対する通貨の価値が低下している現象として捉えています。

この考え方を理解するうえで重要なのが、1971年のニクソン・ショックです。

それ以前のブレトンウッズ体制では、米ドルと金の交換比率が1トロイオンス=35ドルに固定されていました。

しかし、1971年に米国はドルと金の交換停止を発表しました。

その後、ドルの供給量は金との交換義務に直接制約されない仕組みへと変化しました。

米国の通貨供給量は長期的に増加し、特にリーマンショックや新型コロナウイルスの感染拡大時には大規模な金融緩和が実施されました。

こうした政策によって、市場に供給される通貨の量は大きく増加しました。

一方、金の供給量は短期間で大幅に増やすことができません。

池水氏は、通貨供給量が長期的に増える一方で金の供給が限られていることが、金価格上昇の根本的な理由だと考えています。

金価格が35ドルから約5500ドルまで上昇したという比較は、その長期的な変化を象徴しています。

ただし、これはドルの購買力があらゆる商品やサービスに対して同じ割合で低下したことを意味するものではありません。あくまで金との交換比率で見た変化です。

3. 金の供給量が限られている

3つ目は、金の希少性です。

世界では毎年約3800トンの金が新たに採掘されています。

しかし、採掘量を急激に増やすことは簡単ではありません。

金鉱山の発見から実際の採掘開始までには、長い時間と巨額の投資が必要になるためです。

また、金は鉄などと異なり、通常の環境では腐食しにくい金属です。

そのため、過去に採掘された金の多くは、宝飾品や金地金などの形で現在も地上に存在しています。

動画では、2024年時点で人類が採掘した金の累計量が約21万6000トンと紹介されています。

一方、地中に存在する経済的に採掘可能な金の量については、約5万4000トンという数字が示されました。

ただし、地中にある金のすべてが現在の技術や価格で採掘できるわけではありません。

金価格が上昇すれば、それまで採掘コストが高すぎて採算が合わなかった鉱床も、採掘対象になる可能性があります。

このため、金が近い将来に完全に枯渇するという見方は適切ではありません。

重要なのは、金の供給量を需要の増加に合わせて簡単に拡大できないことです。

新たな金鉱脈の発見で金価格が暴落する可能性は?

動画では、巨大な金鉱脈が新たに見つかった場合、金価格が下落するのではないかという質問も出されました。

池水氏は、金鉱山の探査技術は発達しているものの、大規模な新規鉱床の発見は非常に難しくなっていると説明しています。

動画では、大規模な鉱床が最後に発見されたのは約15年前という見解も示されました。

鉱山会社は大規模な調査チームを組織して新しい鉱床を探していますが、商業的に採算が取れる鉱床を見つけることは容易ではありません。

日本国内でも北海道や鹿児島などで金の採掘が行われていますが、新しい大規模な金鉱山を開発するには、採掘量だけでなくコストや設備投資も重要になります。

仮に金価格が大幅に上昇すれば、これまで採算が合わなかった鉱床の開発が進む可能性はあります。

ただし、それによって短期間で金の供給量が急増するとは限りません。

人工的に金を作る「錬金術」は実現するのか

金の希少性を考えるうえで、興味深い話題として取り上げられたのが、人工的に金を製造する技術です。

近年では人工ダイヤモンドの製造技術が進歩しており、天然ダイヤモンドと同じ結晶構造を持つダイヤモンドを人工的に作ることができます。

それでは、金も同じように人工的に大量生産できるのでしょうか。

池水氏は、人工ダイヤモンドと人工金は根本的に異なると説明しています。

ダイヤモンドは炭素原子の結晶構造を変えることで作ることができます。

しかし、金は原子番号79の元素です。

金を人工的に作るには、原子核そのものを変化させなければなりません。

現代の科学技術では、粒子加速器などを用いて別の元素から金の原子核を生成すること自体は可能です。

実際に、欧州の研究施設CERNでも金の原子核が生成される現象が確認されています。

ただし、生成できる量は極めて少なく、製造コストも非常に高いため、商業的な金の生産方法として利用することは現実的ではありません。

つまり、人工ダイヤモンドと同じように人工金が大量生産され、金の希少性が失われる可能性は、現在の技術では極めて低いと考えられます。

2030年の金価格は9000ドルに到達するのか

池水氏は2030年に9000ドルを予想

動画の終盤では、2030年に向けた長期的な金価格の予想が示されました。

池水氏は、2030年に金価格が9000ドル程度まで上昇しても不思議ではないと考えています。

この予想の参考になっているのが、投資調査会社インクレメンタムが公表した長期的な金価格予想です。

動画で紹介されたレポートでは、2020年時点で2030年までの金価格の推移が予測されていました。

当時の金価格は1500ドル程度でしたが、インクレメンタムは将来の経済環境について複数のシナリオを設定していました。

主なものは、インフレが比較的落ち着いているベースケースと、インフレが強まるインフレーションシナリオです。

池水氏によると、その後の金価格はインフレーションシナリオの予想を上回るペースで上昇してきました。

同シナリオでは、2030年の金価格が9000ドル近辺に達する見通しが示されているといいます。

こうした分析を踏まえ、池水氏も2030年に9000ドルという水準を現実的な可能性として捉えています。

9000ドル到達にはどの程度の上昇が必要か

現在の金価格を4000ドルと仮定すると、2030年に9000ドルへ到達するためには、価格が2.25倍になる必要があります。

上昇率に換算すると125%です。

一方、2027年に池水氏が予想する5000~5500ドルまで上昇した場合、そこから2030年に9000ドルへ到達するために必要な上昇率は約64~80%となります。

決して小さな上昇ではありませんが、過去の金市場では数年間で大幅な価格上昇が発生した時期もありました。

ただし、9000ドルという数字は確定した将来価格ではなく、インフレや通貨の信用、中央銀行の需要などの条件を前提とした予測です。

金価格9000ドル予想が外れるのはどんな場合か

池水氏は、2030年の9000ドルという予想が実現しない可能性についても説明しています。

最大の要因として挙げられたのが、世界経済がデフレに向かうケースです。

デフレとは、物価が持続的に下落する経済状況のことです。

金価格の長期的な上昇を支える要因の1つが、通貨供給量の増加とインフレです。

もしインフレが大幅に沈静化し、反対にデフレが定着するような経済環境になれば、金価格が想定ほど上昇しない可能性があります。

つまり、2030年9000ドルという予想の背景には、今後も世界的なインフレ圧力や通貨価値の変化が続くという見方があるのです。

金投資を始めるなら積立投資が有力

金への投資方法は複数ある

金への投資には、金地金や金貨などの現物を購入する方法のほか、純金積立、金ETF、投資信託などがあります。

池水氏は、これから金投資を始める個人投資家に対して、積立投資を有力な方法として挙げています。

その理由は、短期的な価格変動を予測する必要がなく、一定額を定期的に購入できるためです。

特に、金ETFの積立設定が利用できるのであれば、コスト面でも合理的な選択肢になり得るとしています。

また、対象となる金ETFであれば、新NISAの成長投資枠を利用できる場合もあります。

ただし、すべての金ETFがNISAの対象になるわけではないため、購入前に商品の対象区分を確認する必要があります。

金は短期売買より長期保有が基本

池水氏は、金を購入した後は頻繁に売買しない方がよいという考えを示しています。

投資家が陥りやすい行動として、価格が下落したときには損切りしたくなり、上昇したときには利益を確定したくなるという2つを挙げました。

しかし、長期的な資産保全を目的とするのであれば、短期的な値動きに振り回されずに保有し続けることが重要だと考えています。

池水氏自身も長年金を保有しており、基本的に売却したことがないと説明しています。

もっとも、投資資金が必要になった場合や、保有割合が過度に高まった場合などには、資産配分を見直すことも必要です。

金の現物投資とETFでは税金が違う

動画では、金を現物で保有する場合と、ETFで保有する場合の税金についても議論されました。

日本国内では、個人が金地金を売却して利益を得た場合、原則として譲渡所得として総合課税の対象になります。

一方、一般的な上場株式等として扱われる金ETFの売却益は、通常20.315%の申告分離課税が適用されます。

現物の金地金では、保有期間が5年を超えるかどうかが重要です。

5年以内の売却益は短期譲渡所得、5年を超える場合は長期譲渡所得として扱われます。

長期譲渡所得では、原則として50万円の特別控除などを適用した後の譲渡益の2分の1が課税対象になります。

つまり、5年以上保有していた場合、課税対象となる所得が小さくなる仕組みです。

ただし、税金そのものが必ず半額になるわけではありません。

実際の税負担は所得水準や売却益などによって変わります。

一方、金ETFをNISA口座で保有できれば、制度の範囲内で売却益が非課税になるというメリットもあります。

税制面では、現物とETFのどちらが有利かは保有期間や所得状況、利用する口座によって異なります。

2027年の金価格は5000~5500ドルを目指す可能性

最後に、短期的な金価格の見通しを整理します。

池水氏は、2026年末には4300~4500ドル程度、2027年には5000~5500ドル程度への上昇が期待できると説明しています。

動画で示された過去最高値は5594ドルで、2027年にはこの水準への再挑戦も考えられるとしています。

こうした見通しの背景には、短期投資家による売り圧力が弱まる一方、中央銀行や長期投資家による購入が続くという予想があります。

また、米国の利上げが終盤に差しかかっているのであれば、金価格にとっての金利面からの逆風も弱まる可能性があります。

ただし、金価格の上昇が一直線に続くとは限りません。

米国の金融政策、インフレ率、国債利回り、ドル相場などによって、短期的には大きく下落する場面も想定されます。

日本の投資家にとっては、さらに為替相場も重要です。

国際的な金価格がドル建てで上昇しても、同時に円高が大きく進めば、日本円で見た金価格の上昇率が小さくなる場合があります。

反対に円安が進めば、ドル建て金価格が横ばいでも円建ての金価格が上昇することがあります。

そのため、日本で金投資を行う場合は、ドル建て金価格だけでなく為替変動にも注意が必要です。

まとめ:金価格の急落は長期上昇トレンドの終わりなのか

2026年の金相場は、先物市場での証拠金引き上げや、米国の金利上昇への警戒感などを背景に大幅な下落を経験しました。

しかし、池水氏は今回の急落を、金に対する長期的な需要が失われた結果とは考えていません。

短期投資家が金を売却する一方、中国をはじめとする中央銀行や金ETFを通じた長期投資家の購入が続いているためです。

特に、2022年以降に強まった中央銀行の金購入は、金市場の需給構造を変える重要な要因となっています。

さらに、米国をはじめとする各国の巨額債務、通貨供給量の増加、米ドルへの依存を減らそうとする動きも、長期的な金需要を支える要因として注目されています。

池水氏は、2027年に5000~5500ドル、2030年には9000ドルという強気の予想を示しました。

もちろん、こうした予想が実現する保証はありません。世界的にインフレが沈静化し、デフレ的な経済環境に移行する場合などには、金価格の上昇が想定を下回る可能性があります。

それでも今回の解説からは、金を短期的な値上がり益を狙う商品としてだけではなく、長期的な通貨価値の変化に備える資産として考える重要性が読み取れます。

金価格の急落に注目が集まる今だからこそ、目先の価格変動だけでなく、中央銀行の動向や世界の金融・財政環境を含めて、中長期的な視点で判断することが重要といえそうです。

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