AI投資で7兆円が消失?24歳の天才投資家を襲ったレバレッジ崩壊とS&P500・オルカンに潜むリスク

本記事は、YouTube動画『AI投資で7兆円が消失?24歳の天才投資家を襲ったレバレッジ崩壊』の内容を基に構成しています。

AI(人工知能)の進化が世界経済を大きく変えようとするなか、AI関連株への投資には思わぬ落とし穴が潜んでいます。

動画では、2026年7月に24歳のAI研究者が運営する巨大ヘッジファンドで、わずか1か月の間に運用資産が約67%減少したとされる事例を取り上げています。その損失規模は約5兆5,000億円に達したと説明されています。

注目すべきなのは、この投資家がAIの将来性について必ずしも間違った予測をしていたわけではないという点です。AI技術の発展を見通していたとしても、投資の方法を誤れば巨額の損失につながる可能性があります。

これは、信用取引を利用する個人投資家だけの問題ではありません。S&P500やオール・カントリー(オルカン)を積み立てている長期投資家、退職金を運用する人にとっても無関係ではないテーマです。

今回は、動画で紹介されたヘッジファンドの崩壊過程をたどりながら、AI投資のリスク、レバレッジの危険性、インデックス投資に潜む集中リスク、そして個人投資家が資産を守るために必要な考え方を解説します。

なお、動画で紹介されている2026年7月のファンド損失額や個別の取引経緯などは、提供された動画内容に基づくものであり、本記事では独立した事実確認を行っていません。

目次

AIは世界を変えても、AI株への投資が報われるとは限らない

キオクシア株の急落が示したAI投資の難しさ

近年、AIの普及を背景として半導体関連企業の株価が大きく上昇してきました。

AIの学習や推論には大量の計算能力が必要であり、そのための高性能半導体、メモリー、データセンター、電力設備などに巨額の資金が投じられています。

日本市場でも、キオクシアをはじめとする半導体関連銘柄が投資家の注目を集めました。

動画によると、キオクシア株は2026年6月に一時11万円を超え、12万円に迫る勢いを見せたものの、その後の7月には5万円台まで急落したとされています。

わずか1か月足らずで株価が半分以下になったという説明です。

ここで重要なのは、AIそのものの技術的な進歩が止まったわけではないということです。

AIの性能は引き続き改善され、企業による導入も進んでいるにもかかわらず、株価は大きく下落する場合があります。

その理由は、株価には企業の現在の業績だけでなく、将来に対する期待が織り込まれているからです。

どれほど優れた企業でも、将来の成長を過大に評価した価格で購入すれば、期待が修正された際に大きな損失が生じます。

優れた技術を見つけることと、その技術への投資で利益を得ることは別の問題なのです。

19世紀の鉄道バブルも同じ構造だった

こうした現象は、AI時代に初めて起きたものではありません。

動画では、19世紀のイギリスで発生した鉄道ブームが紹介されています。

当時、鉄道は輸送や物流のあり方を根本から変える革新的な技術でした。

鉄道の普及によって人や物の移動が効率化され、産業活動は大きく発展しました。

その将来性に期待した資金が鉄道株に流れ込み、株価は約2年半で2倍以上に上昇したとされています。

しかし、1845年の高値を境に鉄道株は下落に転じ、その後約5年間で半値以下になりました。

それでも鉄道自体が消滅したわけではありません。

むしろ鉄道網はその後も世界中に広がり、現在の交通インフラの基礎を築いています。

つまり、技術の発展を正しく予測した投資家であっても、株価が割高な時期に購入していれば大きな損失を被った可能性があるのです。

シスコ株はITバブル崩壊で約90%下落

もう1つの事例が、2000年前後のインターネットバブルです。

当時、インターネットの普及によって社会が大きく変化すると考えられ、多くのIT関連企業に資金が集中しました。

その中心的な企業の1つが、ネットワーク機器メーカーのシスコシステムズでした。

シスコはインターネットを支えるネットワーク機器を提供しており、現在のAI市場におけるNVIDIAと比較できる存在でした。

2000年3月には、シスコの時価総額が一時的に世界最大級となりました。

しかし、その後のITバブル崩壊によって株価は約2年半で90%近く下落しました。

インターネット利用者はその後も増え続け、ネットワーク機器の重要性も高まりましたが、バブル期の高値を回復するまでには約25年を要しました。

ここから分かるのは、技術の普及と株価の上昇は必ずしも同じ速度で進むわけではないということです。

AIが今後も発展すると考えることと、現在のAI関連株が適正価格であると判断することは区別しなければなりません。

24歳のAI研究者が巨大ヘッジファンドを設立

レオポルド・アッシェンブレンナーとは何者か

動画の中心となる人物は、レオポルド・アッシェンブレンナー氏です。

同氏は19歳でコロンビア大学を首席で卒業したとされるAI研究者です。

2022年には暗号資産取引所FTXの慈善事業関連部門で勤務し、FTXが破産申請する直前の同年11月に退職しました。

その後、2023年にOpenAIへ入社しましたが、2024年4月に解雇されています。

解雇の理由については、会社側が情報漏洩を問題視した一方、本人はその説明を否定したと紹介されています。

2024年6月には、約165ページに及ぶ論文「Situational Awareness(状況認識)」を公開しました。

論文では、人間と同等以上の幅広い知的能力を持つAGI(汎用人工知能)の実現が、政府や企業、投資家の予想よりも早く訪れる可能性を指摘しています。

同氏は、AIの進歩が今後数年間で大きく加速すると考え、その見通しを投資戦略へと結び付けました。

著名投資家から資金を集めた理由

アッシェンブレンナー氏は2024年、論文と同じ名前を持つヘッジファンドを設立しました。

動画によれば、当初の運用資金は数百億円規模だったとされています。

出資者として紹介されたのは、決済大手Stripeの創業者兄弟、GitHubの元CEO、MetaのAI部門に関係する幹部、そして大手トレーディング企業Jane Streetなどです。

これらの投資家が注目したのは、同氏のAI技術に関する知識と、その発展速度に対する独自の見通しでした。

特に、AIの急速な普及が半導体やデータセンターなどの関連産業に巨額の投資需要をもたらすという考え方が、投資戦略の中心だったとみられます。

動画では、このファンドが投資対象に大きな制約を設けず、レバレッジにも厳格な上限を設定していなかったと説明されています。

この自由度の高さが、その後の急成長と急激な損失の両方につながりました。

半年で439%の利益を生んだ驚異的な投資戦略

2025年に約200%、2026年前半に439%のリターン

動画によると、ファンドの運用成績は極めて好調でした。

2025年には約200%の利益を記録し、2026年前半にはさらに439%のリターンを達成したとされています。

半年間で439%の利益というのは、100万円の運用資金が約539万円になる計算です。

一般的な株式インデックス投資では考えにくいほど高いリターンですが、その背景には借入金を利用したレバレッジ戦略がありました。

動画では、2026年7月初めの運用資産が、公開株と未公開株を合わせて約7兆円に達していたと説明されています。

ただし、こうした運用資産の数字は、投資家から預かった純資産と借入金を含む投資総額を区別する必要があります。

レバレッジ5倍なら株価10%下落で元手が半減

レバレッジとは、借入金などを利用して自己資金より大きな金額を運用する仕組みです。

例えば、自己資金100万円に対して400万円を借り入れ、合計500万円分の株式を購入したとします。

この場合、実質的なレバレッジは5倍です。

株価が10%上昇すると、500万円の投資額に対して50万円の利益が発生します。

自己資金は100万円なので、利益率は50%になります。

一方、株価が10%下落すると50万円の損失が発生し、自己資金は半分の50万円に減少します。

さらに株価が20%下落した場合、損失は100万円となり、当初の自己資金がすべて失われる計算です。

株価変動投資損益自己資金100万円に対する損益率
+10%+50万円+50%
+20%+100万円+100%
-10%-50万円-50%
-20%-100万円-100%

借入金400万円、投資総額500万円、金利・手数料を考慮しない単純計算です。

このように、レバレッジは利益だけでなく損失も拡大させます。

ファンドが短期間で驚異的な運用成績を残せた背景には、この仕組みがあったと動画では説明されています。

しかし、株価が下落した際には、その高いレバレッジが経営を圧迫する原因になります。

巨大ファンドを崩壊させたマージンコールの仕組み

マージンコールとは何か

借入金を使った株式投資では、株価が下落した際に追加の担保や資金を求められる場合があります。

これがマージンコールです。

日本の信用取引では、一般に「追証(追加保証金)」という言葉が使われます。

信用取引を行う投資家は、証券会社に一定の保証金を預けなければなりません。

株価が下落して保証金の割合が必要水準を下回ると、追加で資金を入金するか、保有する株式を売却する必要があります。

例えば、最低保証金維持率が20%に設定されている場合、一定の計算方法で算出した保証金維持率がその水準を下回れば追証が発生します。

具体的な基準や計算方法は証券会社や取引条件によって異なります。

重要なのは、投資家がどれほど企業の将来性を確信していても、担保不足が生じれば強制的な売却に追い込まれる可能性があるということです。

巨大ファンドは売却そのものが株価を押し下げる

個人投資家が数百株を売却する場合、一般的には市場全体への影響は限定的です。

しかし、数兆円規模の株式を保有する巨大ファンドでは事情が異なります。

大量の株式を短期間に売却しようとすると、買い手が不足し、売却注文そのものが株価を押し下げる可能性があります。

株価が下落すれば、保有株式の評価額はさらに減少します。

その結果、追加の担保を求められ、さらに株式を売却しなければならなくなります。

これが連鎖すると、売却が売却を呼ぶ悪循環が発生します。

特に、特定の業種や少数の銘柄に資金を集中している場合、この現象は深刻になりやすくなります。

動画では、アッシェンブレンナー氏のファンドが、このような流動性の問題に直面したと説明されています。

2026年7月に何が起きたのか

AI需要への疑念が半導体株を直撃

動画によると、混乱の始まりは2026年7月1日でした。

この日、BloombergがMetaによる余剰AI計算能力の外部販売について報じたとされています。

AI向けの計算能力が不足しているという市場の見方に対し、供給能力が想定以上に拡大しているのではないかという疑問が浮上したという説明です。

AI関連企業には将来の高い成長率が織り込まれているため、需要見通しに疑念が生じると株価が大きく反応する場合があります。

さらに7月中旬には、中国のAI企業が米国の最先端モデルに匹敵するとされるAIモデルを発表したと紹介されています。

これによって米国企業の競争優位性や、AIインフラへの巨額投資が将来どの程度の利益を生むのかという点にも不透明感が広がりました。

韓国株の急落と信用取引の強制決済

AI関連株への投資が拡大していたのは米国だけではありません。

動画では、韓国市場も大きな影響を受けたと説明されています。

韓国の代表的な株価指数であるKOSPIは、2026年6月に高値を付けた後、7月中旬には約25%下落したとされています。

特に問題となったのが、借入金を利用した半導体株への投資でした。

株価の急落に伴って信用取引の強制決済が相次ぎ、その規模が日本円換算で2,000億円を超えたと動画では紹介されています。

アッシェンブレンナー氏のファンドが大量に保有していたとされるSKハイニックスも、株価が高値から約半分に下落したという説明です。

この時点でファンドの主要保有銘柄には30〜50%規模の下落が発生していたとされ、借入金を多用した運用には極めて厳しい状況となりました。

インテルの好決算後に株価が下落した理由

動画では、7月23日と24日のインテル株の動きが重要な場面として取り上げられています。

7月23日にインテルが市場予想を上回る決算を発表し、時間外取引では株価が上昇したとされています。

しかし翌24日の通常取引では、上昇分を失ったうえに下落したという説明です。

通常、好決算は株価の上昇材料になります。

もちろん好決算後の株価下落自体は珍しいことではありません。事前の期待が高すぎた場合や、将来見通しが弱い場合にも起こります。

ただし動画では、この値動きについて、巨額の株式を保有する投資家が好材料による買い需要を利用して売却していた可能性を指摘しています。

機関投資家の保有報告書を調べた市場関係者が、同ファンドの保有銘柄との関連に注目したとも紹介されています。

もっとも、保有報告書は一定期間遅れて公開されるため、この段階で売却主体を特定できたわけではありません。

追証の連鎖で5兆5,000億円規模の損失

ゴールドマン・サックスなどが追加担保を要求

動画によれば、7月下旬にはファンドに資金を貸し付けていた大手金融機関が相次いで追加担保を要求しました。

金融機関として名前が挙げられたのは、ゴールドマン・サックス、JPモルガン、バンク・オブ・アメリカです。

ファンドは保有株式の一部を売却して対応しようとしましたが、必要な担保を確保するには十分ではなかったと説明されています。

数兆円単位の株式を売ろうとしても、市場で買い手を見つけることは簡単ではありません。

売却を急げば株価が下落し、さらに担保不足が拡大するという悪循環が生じます。

ここで貸し手の金融機関が重視するのは、AI技術の将来性ではありません。

貸付金を安全に回収できるかどうかです。

つまり、どれほど優れた投資判断をしていたとしても、金融機関による担保管理の基準を満たせなければ保有株式を維持できません。

シタデルが株式を引き取ったとされる取引

動画では、ファンドの危機を収束させるため、大手ヘッジファンドのシタデルが保有株式を引き取ったと説明されています。

シタデルを率いるのは、著名投資家のケン・グリフィン氏です。

7月29日夜から30日朝にかけて交渉が行われ、公開株式のポジションが市場価格より約10%低い価格で譲渡されたとされています。

こうした市場外での大量取引は、一般にブロックトレードと呼ばれます。

大口投資家が大量の株式を一括して売却する際、市場への影響を抑えるために利用される取引方法です。

ただし、買い手は大量の株式を引き受けるリスクを負うため、市場価格より安い価格での取引になる場合があります。

動画では、この売却によってファンドの借入金が解消されたと説明されています。

ファンドの運用資産は7兆円から1兆6,000億円へ

動画で紹介された数字によると、ファンドが運用する資産は7月初めの約7兆円から、月末には約1兆6,000億円へ減少したとされています。

また、同月の運用成績はマイナス67%だったと紹介されています。

残された資産には、AI企業Anthropicへの出資分など、未公開株式が含まれていたとされています。

一方、2026年の年初来リターンについては、7月の巨額損失後も約80%のプラスだったという説明です。

この点は非常に重要です。

短期間で極めて高いリターンを達成していたため、1か月で67%下落しても年初来では利益が残るという状況でした。

しかし、運用資産の大幅な減少と借入金の解消によって、それまでの高レバレッジ戦略を継続することは難しくなりました。

なお、運用資産の減少額と投資家が負担した純損失額は同じではありません。借入金を含む投資総額や資金流出入を考慮しなければ、正確な損失額を判断することはできません。

売却直後に株価が20〜27%反発した理由

動画では、さらに興味深い値動きが紹介されています。

シタデルによる株式引き取りが決まった7月30日、ファンドが売却したとされる銘柄の株価が20〜27%上昇したというのです。

一見すると、ファンドは最悪のタイミングで株式を売却したように見えます。

しかし、動画では別の解釈が示されています。

それは、ファンドによる巨額の売却圧力がなくなると市場が判断したため、株価が反発したという見方です。

大口投資家が強制売却を迫られている場合、市場参加者は追加の売り注文を警戒します。

そのため、企業の業績が悪くなくても株価が上がりにくくなることがあります。

ところが、大口保有株式の売却先が決まり、追加の売り圧力が解消されれば、投資家の警戒感が和らぐ可能性があります。

このような構造は、金融市場の流動性を理解するうえで重要です。

株価は企業の将来価値だけで決まるわけではなく、その時点で誰が売りたいのか、誰が買えるのかによっても大きく変動するのです。

シタデルをめぐる利益相反の憶測

動画では、シタデルの関連会社であるシタデル・セキュリティーズについても言及されています。

同社は市場で売買の仲介やマーケットメイクを行う企業です。

売却に先立って金利に関するレポートが公表され、それがAI関連株の売り圧力につながったのではないかという憶測が紹介されています。

ただし、動画内でも、両社が意図的に株価を押し下げたことを示す証拠はないと明言されています。

そのため、この点は確認された事実ではなく、市場で語られた見方の1つとして受け止める必要があります。

ファンド崩壊の原因は「確信・集中・借金」の3つ

今回の動画で最も重要な結論は、ファンドの崩壊がAIの将来性に対する判断ミスだけで起きたわけではないということです。

動画では、3つの要素が同時に重なったことが問題だったと指摘しています。

確信が強すぎるとリスクを見落とす

最初の要素は「確信」です。

アッシェンブレンナー氏はAIの将来性に強い確信を持っていたとされています。

実際、AI関連株への投資は短期間で大きな利益を生みました。

しかし、予測が的中した経験を積み重ねるほど、自分の判断に対する自信は強くなりやすくなります。

その結果、想定外の事態が発生する可能性を過小評価してしまう危険性があります。

投資では、将来の方向性に自信を持つことよりも、自分の予測が間違った場合にどの程度の損失が発生するのかを把握することが重要です。

集中投資は同時下落に弱い

2つ目の要素は「集中」です。

動画では、ファンドの上位5銘柄が公開情報で確認できる保有株式の約76%を占めていたと説明されています。

投資先が少数の企業に集中している場合、それらの企業が同じ要因で株価を下げると、資産全体が大きく減少します。

特に、AI関連産業では半導体、データセンター、メモリー、電力などが相互につながっています。

異なる業種の企業を保有していても、AI投資という共通の成長テーマに依存している場合、同時に株価が下落する可能性があります。

銘柄数が多いだけでは、十分な分散投資にならない場合があるのです。

借金によって損失が加速した

3つ目が「借金」、すなわちレバレッジです。

株価が下落した際、自己資金だけで投資していれば、原則として株式を保有し続けるという選択肢があります。

しかし、借入金を使っている場合、担保不足によって売却を強制される可能性があります。

企業の将来性に対する予測が最終的に正しかったとしても、株価が回復するまで資産を保有できなければ利益を得ることはできません。

投資で重要なのは、予測が当たることだけではなく、予測が実現するまで市場に残り続けられることです。

この3つが重なった結果、短期間の株価下落に耐えられない運用構造になっていたことが、動画で示された最大の問題でした。

日本の信用買い残は約7兆円、個人投資家にも共通するリスク

今回の事例は、海外の巨大ヘッジファンドだけに当てはまる問題ではありません。

動画では、日本の個人投資家による信用取引の規模にも注目しています。

2026年10月9日時点の信用買い残は6兆7,080億円、同年6月26日には7兆167億円という過去最高水準を記録したと紹介されています。

信用買い残とは、投資家が証券会社から資金を借りて購入し、まだ決済していない株式の残高です。

信用買い残が大きく積み上がっている局面では、株価下落によって含み損が拡大した投資家が、保有株式を売却する可能性があります。

その売却がさらに株価を押し下げ、追加の強制決済につながることも考えられます。

動画では、2026年10月中旬に日経平均が約1週間で3,700円下落した事例にも言及しています。

株価指数の下落率が数%であっても、信用取引を利用している投資家の自己資金は、それ以上の割合で減少する可能性があります。

重要なのは、日経平均が何%下がるかだけではありません。

自分の保有銘柄が何%下落すれば保証金維持率が危険水準に達するのかを、事前に計算しておく必要があります。

退職金2,000万円を集中投資する危険性

借金がなくても大きな損失は発生する

レバレッジを利用しなければ安全というわけでもありません。

動画では、特に退職金を運用する中高年の投資家に注意を呼びかけています。

例えば、退職金2,000万円を受け取り、その大部分をAI関連株や半導体株に投資したとします。

仮に投資先の価格が30%下落すれば、評価損は600万円になります。

さらに50%下落すれば1,000万円の損失です。

借入金を利用していなければ追証は発生しませんが、資産が大きく減少すること自体は変わりません。

また、退職後は現役時代と比べて給与収入が少なくなる場合があり、損失を労働収入で補うことが難しくなる可能性があります。

年齢によって取れるリスクは変わる

同じ30%の下落でも、25歳の投資家と65歳の投資家では意味が異なります。

若い投資家には、将来の給与収入を利用して追加投資したり、長い時間をかけて資産形成を続けたりする余地があります。

一方、退職後の生活費として運用資産を取り崩す人には、資産の回復を待つ時間が十分にない場合があります。

特に、退職直後に大きな下落が発生すると、値下がりした資産を売却して生活費を確保しなければならなくなる可能性があります。

これは資産の取り崩し期における重要なリスクです。

したがって、投資判断では期待リターンだけでなく、年齢、今後の収入、生活費、必要な現金の額を踏まえた資産配分が求められます。

S&P500とオルカンもAI関連株への依存が強まっている

S&P500は500社に分散していても上位銘柄の影響が大きい

S&P500は米国の主要企業約500社で構成される株価指数です。

多数の企業に分散して投資できることから、長期投資の代表的な対象となっています。

しかし、S&P500は各企業の時価総額に応じて組入比率が決まるため、時価総額の大きい企業ほど指数への影響力が大きくなります。

動画では、2026年時点で上位10社が指数全体の約40%を占めていると説明されています。

その上位には、AIへの投資やAI関連事業を積極的に展開する巨大テクノロジー企業が数多く含まれます。

つまり、500社に分散投資していたとしても、指数全体の値動きが少数の大型テクノロジー株に左右される状況が生まれているのです。

オルカンも米国大型株の影響を受ける

全世界株式に投資するオルカンも、米国市場の影響を大きく受けます。

オルカンは世界中の企業に投資する商品ですが、時価総額加重型の指数に連動するため、世界の株式市場で大きな割合を占める米国企業の組入比率も高くなります。

そのため、米国の大型テクノロジー企業が大きく下落すれば、オルカンも影響を受ける可能性があります。

ただし、S&P500やオルカンを保有することが、特定のAI関連株に集中投資することと完全に同じというわけではありません。

オルカンには米国外の企業やAIと直接関係しない事業も含まれており、分散の程度は異なります。

それでも、指数の組入銘柄や業種別構成を確認することには意味があります。

分散投資をしているつもりでも、複数の投資商品を通じて同じ企業や業種を重複保有している可能性があるためです。

S&P500は過去にも長期低迷を経験している

1990年代の急騰とITバブル崩壊

動画では、S&P500の過去の値動きにも注目しています。

1990年の安値から2000年にかけて、S&P500は約420%上昇したと紹介されています。

この時期は、米国経済の成長とインターネット関連企業への期待が株価を押し上げていました。

しかし、2000年のITバブル崩壊によって株価は急落し、2002年にはピーク時の約半分まで下落しました。

その後、2007年には再び高値を回復しましたが、翌2008年には世界金融危機が発生しました。

リーマンショックによって株価は再び大きく下落し、S&P500が2000年の高値を持続的に上回るようになったのは2013年でした。

つまり、2000年の高値付近で購入した投資家は、株価指数の水準だけを見ると、約13年間にわたって大きな利益を得にくい状況に置かれていたことになります。

ただし、この比較は主に株価指数そのものの動きであり、配当再投資や積立投資の効果を含めた実際の運用成果とは異なります。

積立投資なら必ず安全というわけではない

積立投資には、価格が下落した際に同じ金額で多くの口数を購入できるという利点があります。

そのため、長期的に価格が回復する局面では、下落期間中の積み立てが将来のリターンを改善する場合があります。

一方、積立投資によって株価下落のリスクそのものがなくなるわけではありません。

資産を取り崩す時期に大きな下落が発生した場合には、生活設計に影響を及ぼす可能性があります。

また、過去に株価が回復したからといって、将来も同じ期間で回復するとは限りません。

動画では、仮に過去と同様の長期低迷が発生した場合、指数が元の水準を回復するまで20年近くかかる可能性も考慮すべきだと指摘しています。

これは将来の株価下落を予測したものではなく、投資家が想定しておくべきリスクシナリオの1つです。

投資の実力と運をどう見分けるか

今回のファンド崩壊では、運用成績と投資家の実力の関係も重要なテーマとなっています。

動画によれば、ファンドは2025年に約200%、2026年前半に439%という驚異的な成績を残しました。

しかし、短期間の高いリターンだけでは、その投資戦略に持続的な優位性があるのかを判断できません。

例えば、強い上昇相場で半導体株を集中保有し、さらにレバレッジをかけていれば、非常に高いリターンを得られる可能性があります。

しかし、同じ方法を下落相場でも続ければ、大きな損失を被るかもしれません。

重要なのは、上昇相場でいくら利益を得たかだけでなく、下落相場でどの程度の損失を被るのかという点です。

439%という数字だけで運用能力は判断できない

投資戦略を評価する際には、単純な利益率以外にも注目すべき指標があります。

代表的なものが最大ドローダウンです。

最大ドローダウンとは、運用資産が過去の最高値からどの程度減少したかを示す指標です。

例えば、100万円が500万円になった後、150万円まで減少した場合、最高値からの下落率は70%になります。

最初の100万円から見ると利益が残っていたとしても、ピーク時からは大きな損失が発生していることになります。

また、運用成績を評価する際には、リターンの変動幅、レバレッジの大きさ、市場全体との相関、異なる相場環境での再現性なども重要です。

短期間の高いリターンは魅力的ですが、それが運用能力によるものなのか、相場環境によるものなのかを区別しなければなりません。

個人投資家が確認すべき3つの視点

動画の終盤では、今回のような損失を避けるために必要な考え方として、3つの視点が紹介されています。

自分の投資判断は業績に基づいているか

最初に確認したいのは、投資判断の根拠です。

AIが世界を変えるという大きな物語だけで投資を判断するのではなく、その企業がどの程度の売上や利益を生み出しているのか、現在の株価が将来の成長をどの程度織り込んでいるのかを確認する必要があります。

将来性の高い企業でも、株価が割高であれば投資リターンが低くなる可能性があります。

何%の下落まで耐えられる設計になっているか

2つ目は、損失に対する耐久力です。

信用取引を利用している場合には、保有株式が何%下落すると追証が発生するのかを把握しておく必要があります。

現物株のみを保有している場合も、30%や50%の下落が発生した際に、生活資金や将来の支出に問題が生じないかを確認しておくことが重要です。

例えば、資産2,000万円が30%下落すれば600万円の評価損になります。

その損失を一時的なものとして受け入れられるかどうかは、投資家の収入や資産状況によって異なります。

売りたいときに売れる資産なのか

3つ目は、流動性です。

取引量が少ない株式や、大口投資家の保有比率が高い銘柄では、売却したいときに希望する価格で売却できない可能性があります。

また、市場全体が混乱している局面では、普段は流動性の高い銘柄でも売買条件が悪化する場合があります。

流動性の問題は、巨大ヘッジファンドだけでなく、取引量の少ない小型株を保有する個人投資家にも関係します。

アルケゴスの破綻にも共通するレバレッジの危険性

動画の最後では、過去の金融市場で発生した巨額損失事件にも触れています。

その代表例が、2021年に経営破綻したアルケゴス・キャピタル・マネジメントです。

アルケゴスは高いレバレッジを利用して少数の銘柄に巨額の投資を行っていました。

しかし、保有銘柄の株価下落によって追加担保を求められ、保有株式の大量売却につながりました。

その結果、取引先の金融機関にも巨額の損失が発生しました。

特に、野村ホールディングスやクレディ・スイスなどが大きな影響を受けたことで知られています。

この事例でも、レバレッジ、集中投資、流動性不足という問題が重なっていました。

今回の動画で紹介されたファンドの事例と共通するのは、投資対象の将来性よりも先に、借入金の返済や担保不足への対応が必要になるという点です。

金融市場では、投資判断が長期的に正しかったとしても、短期的な資金繰りに失敗すれば投資を継続できなくなることがあります。

FXでも重要なのはレバレッジ倍率より資金管理

動画では、株式投資だけでなくFXについても言及されています。

FXはレバレッジを利用できる金融商品であり、少ない証拠金で大きな金額の取引が可能です。

そのため、適切な資金管理を行わなければ短期間で大きな損失を被る可能性があります。

ただし、レバレッジを利用すること自体が必ずしも無謀な投資を意味するわけではありません。

重要なのは、どの程度の値動きが発生した場合に、自己資金の何%を失うのかを理解しているかどうかです。

例えば、同じレバレッジを利用していても、損切り幅やポジションサイズを適切に設定している場合と、資金の大部分を1回の取引に投入している場合では、リスクが大きく異なります。

動画では、投資とギャンブルを分ける重要な要素として、ルールに基づいて取引しているかどうかという考え方が示されています。

ただし、ルールが存在するだけで投資の優位性が保証されるわけではありません。

そのルールに合理的な根拠があり、損失が発生する場面も想定されていることが重要です。

株式投資でもFXでも、利益を追求する前に、損失が拡大した場合にどのような対応を取るのかを決めておく必要があります。

まとめ:AIの将来性よりも重要なのは投資を続けられる設計

今回の動画では、AIの将来性を高く評価していた24歳の投資家が、巨額の資金を運用するなかで急激な損失に直面したとされる事例が紹介されました。

その原因として指摘されたのは、AIの将来性を見誤ったことではなく、「確信」「集中」「借金」という3つの要素が重なったことでした。

AIが将来も発展し続けるとしても、関連企業の株価が常に上昇するわけではありません。

19世紀の鉄道バブルや2000年のITバブルが示すように、革新的な技術が社会を変えることと、その技術への投資が利益を生むことは別の問題です。

また、信用取引を利用しない投資家であっても、特定の業種への集中投資や、退職金の一括投資によって大きな損失を被る可能性があります。

S&P500やオルカンなどのインデックス投資についても、分散投資の効果を理解しつつ、実際にどのような企業や業種へ資金が配分されているのかを確認することが大切です。

そして、短期間で高いリターンを得たとしても、それが持続的な運用能力によるものなのか、良好な市場環境によるものなのかは慎重に判断する必要があります。

今回の事例から得られる最大の教訓は、投資の成功には将来を正しく予測する能力だけでなく、その予測が外れた場合や実現までに時間がかかった場合でも、資産を守れる仕組みが必要だということです。

株価が好調な時期ほど、想定外の下落への備えが後回しになりがちです。

しかし、本当に重要なのは上昇相場でどれだけ利益を得られるかだけではありません。

大きな下落が訪れたときに、自分の資金でどこまで耐えられるのか。そして、その後も投資を継続できるのか。

AI関連株への投資が広がる現在だからこそ、企業の成長性と同じくらい、ポートフォリオ全体のリスク管理を重視する必要があるでしょう。

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