ファンドマネージャー調査で読む次の米国株相場|5月は強気継続も6月上旬に転換点が来る可能性

本記事は、YouTube動画『【ファンドマネージャー調査から読む次の米国株】5月は強気継続も6月上旬は転換点になる可能性があります』の内容を基に構成しています。

目次

5月のファンドマネージャー調査は「強気に傾きすぎた」結果に

5月のファンドマネージャー調査では、世界の投資家心理が一気に強気へ傾いたことが示されました。

今回の動画で取り上げられているのは、バンク・オブ・アメリカが毎月実施しているファンドマネージャー調査です。これは、世界の主要な機関投資家やファンドマネージャーに対して、株式、債券、現金、商品、地域別資産、セクターなどへの投資姿勢を尋ねる調査です。

個人投資家にとっても、この調査は非常に参考になります。なぜなら、株価を大きく動かすのは、個人投資家だけではなく、巨額の資金を運用する機関投資家だからです。彼らがどこに資金を振り向けているのか、どの資産を減らしているのかを見ることで、市場全体の温度感をつかむことができます。

今回の5月調査では、株式への配分が記録的に上昇し、現金比率は4.3%から3.9%へ低下しました。現金比率が下がるということは、手元資金を減らして株式などのリスク資産に資金を振り向けているという意味です。

つまり、ファンドマネージャーたちは、かなり積極的にリスクを取り始めているということです。

株式配分の急上昇と現金比率の低下が意味すること

今回の調査で特に注目すべきポイントは、株式への配分が大きく増えたことです。

株式配分が増えるということは、ファンドマネージャーが「これから株はまだ上がる」と考えている可能性が高いということです。実際、動画内でも、EPS、つまり1株当たり利益に対する楽観論が急速に高まったと説明されています。

EPSは企業の利益力を示す重要な指標です。EPSが伸びると予想される場合、株価も上がりやすくなります。株価は長期的には企業利益に連動しやすいため、ファンドマネージャーがEPS成長を期待していることは、株式市場にとって追い風になります。

一方で、現金比率が3.9%まで下がったことには注意も必要です。

現金を多く持っている状態であれば、株価が下がったときに買い増しする余力があります。しかし、すでに現金を減らして株式を買っている場合、相場が急落したときに新たな買い支えが入りにくくなる可能性があります。

そのため、現金比率の低下は強気相場の証拠である一方、相場が過熱しているサインにもなります。

ブルベア指標は売りシグナルに近い水準へ

バンク・オブ・アメリカが出しているブルベア指標は、現在7.8という水準まで上昇していると紹介されています。

この指標は、投資家心理が強気なのか弱気なのかを見るためのものです。数値が高くなるほど強気に傾いていることを示します。そして、強気に傾きすぎると、逆に売りシグナルに近づくとされています。

なぜ強気なのに売りシグナルになるのでしょうか。

それは、市場参加者の多くがすでに株を買ってしまっている状態では、新たに買う人が少なくなるからです。株価は買いが続くことで上がります。しかし、みんなが強気になってすでに買っている場合、次に起こりやすいのは利益確定売りです。

動画内でも、6月上旬は利益確定寄りの局面になる可能性があると指摘されています。

つまり、5月は強気が続いても、6月に入ると一度調整が入る可能性があるという見方です。

景気への悲観論は大きく後退している

今回の調査では、世界経済に対する悲観論も大きく後退しています。

ハードランディングを予想するファンドマネージャーは、わずか4%まで低下しました。ハードランディングとは、景気が急激に悪化し、企業業績や雇用に大きなダメージが出るような状態を指します。

一方で、ソフトランディングを予想する割合は46%となっています。ソフトランディングとは、景気後退を避けながらインフレを抑え、経済が緩やかに安定するシナリオです。

少し前までは、米国経済の悪化や地政学リスク、インフレ再燃への警戒が強くありました。しかし、5月の調査では、そうした悲観論がかなり薄れています。

ただし、世界経済成長に対する見方が完全に明るくなったわけではありません。動画でも、経済成長の見通し自体はまだマイナス圏にあり、強気一辺倒ではないと説明されています。

つまり、株式市場に対してはかなり強気になっている一方、経済全体についてはまだ慎重な見方も残っているということです。

EPS成長への期待が急速に高まっている

今回の調査で重要なのは、2桁のEPS成長を期待するファンドマネージャーが増えている点です。

2桁成長とは、企業利益が前年比で10%以上増えるという意味です。これは株式市場にとって非常に大きな材料です。

特に米国株の場合、S&P500やナスダック100の上昇を支える中心は、巨大テック企業や半導体関連企業です。これらの企業が高い利益成長を続けると見られているため、ファンドマネージャーは株式、特にテック株や半導体株に資金を集中させています。

ただし、期待が高まりすぎると、少しでも決算やガイダンスが期待外れだった場合に、株価が大きく下がるリスクもあります。

つまり、EPS成長期待は株価上昇の原動力である一方、期待が高すぎること自体がリスクにもなるのです。

最大の注目点は半導体株への異常な集中

今回の調査で最も印象的なのは、世界の半導体株をロングしているファンドマネージャーが73%に達している点です。

これは非常に高い数字です。動画内でも、世界の半導体株のロングが「混み合った取引」の第1位になっていると説明されています。

半導体株がここまで買われている背景には、AIブームがあります。生成AI、データセンター、GPU、クラウド投資、AIサーバーなど、今の米国株市場ではAI関連の成長期待が非常に大きくなっています。

エヌビディアを中心に、半導体関連企業には巨額の資金が流れ込んでいます。ファンドマネージャーたちも、この流れに乗る形で半導体株を大きく買っているわけです。

しかし、73%という数字はかなり偏っています。

多くの投資家が同じ方向に賭けている場合、相場が上がっている間は強い上昇が続きます。しかし、何かをきっかけに売りが出ると、同じ方向にポジションを持っていた投資家が一斉に利益確定や損切りをする可能性があります。

そのため、半導体株は今後も上昇の中心になり得る一方、短期的には急落リスクも高まっていると考えられます。

テック株へのオーバーウェイトも高水準に

半導体株だけでなく、テクノロジー株全体へのオーバーウェイトも高まっています。

テクノロジー株へのオーバーウェイトは、2024年2月以来の最高水準に達していると説明されています。これは、ファンドマネージャーが引き続きテック株を市場の主役と見ていることを示しています。

動画内でも、最後に上がってくるのはやはりテック株ではないか、という見方が示されています。

その理由は明確です。現在の米国株市場では、AI、クラウド、半導体、データセンター、通信インフラなど、成長テーマの多くがテクノロジー分野に集中しています。利益成長が期待される企業も、テック関連に多く存在します。

一方で、テック株はバリュエーションが高くなりやすい分野でもあります。将来の成長を先取りして株価が上がるため、金利上昇や利益成長の鈍化には敏感です。

そのため、テック株を無視することは難しいものの、短期的には過熱感を確認しながら慎重に見る必要があります。

債券は大きくアンダーウェイトされている

今回の調査では、債券へのアンダーウェイトも目立っています。

債券のアンダーウェイトは、2022年6月以来の大きさになっていると紹介されています。これは、ファンドマネージャーが債券をあまり持ちたくないと考えていることを意味します。

その背景には、金利上昇への警戒があります。

債券価格は金利が上がると下がります。特に長期債は金利上昇の影響を受けやすいため、インフレ再燃や長期金利上昇が意識される局面では、投資家は債券を避けやすくなります。

動画では、米国30年債利回りの目標を6%とするファンドマネージャーが62%に達したと説明されています。これは、長期金利がまだ上がる可能性を見ている投資家が多いということです。

少し前までは「FRBの利下げ」が市場の大きなテーマでした。しかし、今回の調査では、利下げ期待よりもインフレ再燃や金利上昇への警戒が強まっていることが分かります。

インフレ第2波が最大のテールリスクに

ファンドマネージャーが最も警戒しているリスクは、インフレ第2波です。

テールリスクとは、発生確率は高くないものの、起きた場合に市場へ大きな影響を与えるリスクのことです。今回の調査では、インフレ第2波を最大のテールリスクと見る割合が急増しています。

インフレ第1波は、コロナ後の供給制約、エネルギー価格上昇、労働市場の逼迫などによって発生しました。その後、FRBの利上げによってインフレはある程度落ち着きました。

しかし、もし再びインフレが強まれば、FRBは利下げどころか、高金利を長く維持する必要が出てきます。場合によっては、市場が期待していない追加的な引き締めが意識される可能性もあります。

動画内では、FRBがビハインド・ザ・カーブになるリスクにも触れられています。これは、インフレが強まっているにもかかわらず、FRBの対応が遅れてしまう状態です。

もし市場が「FRBはインフレ対応に遅れている」と判断すれば、長期金利が上昇し、株式市場には逆風となります。

地政学リスクへの警戒はやや後退

今回の調査では、地政学リスクへの警戒は前回よりも低下しています。

動画内では、イランへの懸念やホルムズ海峡のボトルネックについて、66%が今後数カ月以内に解消されると見ていると紹介されています。

ホルムズ海峡は、世界のエネルギー供給にとって重要な海上交通路です。ここで緊張が高まると、原油価格や天然ガス価格が上昇し、世界経済に大きな影響を与える可能性があります。

ただ、今回の調査では、ファンドマネージャーの多くがこのリスクについてやや楽観的になっています。

とはいえ、地政学リスクは完全に消えたわけではありません。市場心理は短期間で大きく変わるため、現在は楽観に傾いていても、新たなニュースが出れば再びリスク回避に動く可能性があります。

クレジットイベントへの警戒も残る

今回の調査では、クレジットイベントへの警戒も示されています。

クレジットイベントとは、企業や金融機関、ファンドなどの信用不安が表面化し、債務不履行や資金繰り悪化などが市場に波及することです。

動画では、クレジットイベントのリスクとして、シャドーバンキングとAIハイパースケーラーが挙げられています。

シャドーバンキングとは、通常の銀行規制の外側で行われる金融仲介のことです。ファンド、ノンバンク、証券化商品などを通じて資金が動くため、問題が起きたときに見えにくいリスクになりやすい特徴があります。

AIハイパースケーラーとは、巨大クラウド企業やデータセンター事業者など、大規模なAIインフラ投資を行う企業群を指します。AI関連の設備投資が過熱しすぎると、将来的に収益性への疑問や資金調達リスクが出てくる可能性があります。

つまり、AIブームは株価上昇の原動力である一方、過剰投資や信用リスクの火種にもなり得るということです。

逆張り投資家なら何を買うべきか

動画では、今回のファンドマネージャー調査を逆張りの視点で見ると、どの資産が候補になるかも説明されています。

ファンドマネージャーが大きく買っているのは、株式、コモディティ、テクノロジー、半導体、新興国資産などです。逆に、売られているのは債券、米ドル、英国資産、消費関連株などです。

逆張り投資家の視点では、みんなが売っているものを買い、みんなが買いすぎているものを減らすという考え方になります。

そのため、逆張りで見るなら、債券、米ドル、英国資産、消費関連株などが候補になります。一方で、コモディティ、株式、テック、半導体のロングは少し縮小するという考え方です。

ただし、逆張りは簡単ではありません。

市場で人気がない資産には、人気がないだけの理由があります。例えば、消費関連株が売られている背景には、インフレによる消費者の負担増や景気敏感度への懸念があります。債券が売られている背景には、金利上昇リスクがあります。

したがって、単純に「売られているから買う」というよりも、なぜ売られているのか、その理由が今後変わるのかを考える必要があります。

シクリカル株への強気姿勢が目立つ

今回の調査では、シクリカル株への強気姿勢も目立っています。

シクリカル株とは、景気循環に影響を受けやすい株のことです。例えば、半導体、工業、素材、金融、一般消費財などが該当します。景気が良くなると業績が伸びやすい一方、景気が悪くなると業績が落ち込みやすい特徴があります。

一方、ディフェンシブ株は、景気に左右されにくい株です。生活必需品、ヘルスケア、公益などが代表例です。

今回の調査では、ファンドマネージャーがディフェンシブ株よりもシクリカル株を選んでいることが分かります。これは、景気悪化への警戒よりも、景気回復や企業利益拡大への期待が強まっていることを示しています。

ただし、シクリカル株への資金集中も、相場が強気に傾いているサインです。もし景気見通しが悪化すれば、シクリカル株は大きく売られる可能性があります。

消費関連株は不人気になっている

今回の調査では、消費関連株が不人気であることも示されています。

特に生活必需品や一般消費財、保険などがアンダーウェイトされていると説明されています。これは、ファンドマネージャーが消費関連セクターに対して慎重になっていることを意味します。

背景には、インフレへの警戒があります。

物価が上がると、消費者の実質的な購買力は低下します。食品、エネルギー、家賃、ローン金利などの負担が増えると、消費に回せるお金が減ります。その結果、消費関連企業の売上や利益に影響が出る可能性があります。

また、金利が高い状態が続くと、クレジットカード、自動車ローン、住宅ローンなどの負担も重くなります。そのため、消費関連株が避けられていると考えられます。

逆に言えば、今後インフレが落ち着き、金利低下が見えてくれば、消費関連株が見直される可能性もあります。

銀行株やコミュニケーションサービスにも注目

動画内では、今後注目すべきセクターとして、テック、銀行、コミュニケーションサービス、インダストリアルズなどが挙げられています。

銀行株は、金利上昇局面で注目されやすいセクターです。金利が上がると、銀行の利ざやが改善しやすくなるためです。ただし、急激な金利上昇は債券含み損や信用不安を引き起こす可能性もあるため、単純に金利上昇がすべてプラスとは限りません。

コミュニケーションサービスには、巨大ITプラットフォーム企業や通信関連企業が含まれます。AI、広告、クラウド、動画配信、デジタルサービスなどの成長テーマと関係が深いため、テック株と同じく注目されやすい分野です。

インダストリアルズは、設備投資やインフラ投資の恩恵を受けやすいセクターです。AIデータセンター、電力網、製造業回帰、防衛関連などのテーマが重なる場合、資金が入りやすくなります。

6月上旬が転換点になる可能性

今回の動画の重要な結論は、5月は強気継続でも、6月上旬に転換点が来る可能性があるという点です。

その理由は、ファンドマネージャーがすでにかなり強気に傾いているからです。

株式配分は高く、現金比率は低く、半導体株へのロングは73%に達しています。テック株も大きく買われ、シクリカル株への配分も増えています。これは、相場が上がりやすい環境である一方、利益確定売りが出やすい環境でもあります。

特に、短期間で急激にセンチメントが改善した点には注意が必要です。

3月や4月には地政学リスクや景気不安で慎重だった投資家が、5月には一気に強気に戻っています。このような急激な心理変化は、相場の過熱感を示すことがあります。

そのため、6月に入ってからは、株価の動き、出来高、金利、半導体株の反応を確認することが重要になります。

個人投資家はどう見ればよいのか

個人投資家にとって大切なのは、ファンドマネージャー調査を「そのまま真似する材料」として見るのではなく、「市場の偏りを知る材料」として使うことです。

今回の調査から分かるのは、機関投資家が株式、特にテック株と半導体株に強気であるということです。これは、相場の中心がまだテック株にあることを示しています。

一方で、半導体株へのロングが73%という数字は、かなり混み合った取引であることも示しています。上昇の勢いに乗ることは重要ですが、買われすぎた銘柄を高値で追いかけると、短期調整に巻き込まれる可能性もあります。

そのため、個人投資家としては、次のような視点が重要になります。

テック株や半導体株の上昇トレンドは無視しないこと。

ただし、すでに大きく上がった銘柄を一気に買いすぎないこと。

6月上旬に利益確定売りが出る可能性を考えておくこと。

金利上昇やインフレ再燃のリスクを常に確認すること。

このように、強気相場に乗る姿勢と、過熱感への警戒を両立させることが大切です。

まとめ

今回の5月ファンドマネージャー調査では、世界の機関投資家が一気に強気へ傾いたことが明らかになりました。

株式配分は記録的に上昇し、現金比率は3.9%まで低下しました。EPS成長への期待も高まり、ハードランディングを予想する投資家はわずか4%まで減少しています。

特に注目すべきは、世界の半導体株へのロングが73%に達していることです。これは、AIブームやテック株主導の相場が続いていることを示す一方、ポジションがかなり偏っていることも意味します。

また、債券は大きくアンダーウェイトされ、インフレ第2波や長期金利上昇への警戒も強まっています。FRBの利下げ期待だけで相場を見るのではなく、金利とインフレの動きも慎重に確認する必要があります。

5月の米国株は強気が継続しやすい環境にありますが、6月上旬には利益確定売りが出る可能性があります。特に、半導体株やテック株がどこまで買いを集め続けられるのかが、今後の相場を見るうえで重要なポイントになります。

個人投資家としては、テック株の強さを無視せず、同時に過熱感にも注意しながら、冷静にポジションを調整していくことが求められます。

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