日本株は夏に向けてさらに上昇するのか?AI・半導体相場、米国株調整、日銀利上げ、イラン後の注目セクターを徹底解説

本記事は、YouTube動画『【木野内栄治×つばめ投資顧問 栫井駿介】日本株は夏に向けてさらに急騰?/AI・半導体相場は年内安泰か/米国株が調整局面へ?/日銀の6月利上げ/イラン戦争終結後に急騰期待のセクター【マーケット超分析】』の内容を基に構成しています。

目次

日本株は夏に向けてさらに強含む可能性がある

今回の動画では、大和証券のチーフテクニカルアナリストである木野内栄治氏と、つばめ投資顧問の栫井駿介氏が、日本株、米国株、金利、AI・半導体相場、そして今後注目すべきセクターについて幅広く議論しています。

足元の日本株は、日経平均株価が終値ベースで6万5158円19銭まで上昇し、史上最高値を更新する展開となりました。動画内では、ゴールデンウィーク明けからの日経平均の上昇幅が3300円に達し、歴代でも極めて大きな上昇だったことが紹介されています。

この急騰の背景には、米国ハイテク株高、AI・半導体関連への期待、米国とイランの戦闘終結期待、そして日本株への海外資金流入など、複数の要因が重なっています。

ゴールデンウィーク明けの急騰は「踏み上げ相場」だった

木野内氏は、連休明けの相場について、当初はSQ週の需給要因から下方向に振れた場合のリスクを警戒していたと説明しています。しかし実際には、相場は予想と逆に大きく上昇しました。

この背景には、いわゆる「踏み上げ」があったと見られます。踏み上げとは、株価下落を見込んで売りポジションを持っていた投資家が、予想に反して株価が上昇したため、損失回避のために買い戻しを迫られる動きです。この買い戻しがさらに株価を押し上げることで、上昇が加速することがあります。

動画では、過去にも大幅上昇日が相場の底打ちや上放れのサインになったケースがあると紹介されています。特にSQ週の前後では、オプション取引や先物取引の需給が株価を大きく動かすことがあり、今回もそのような需給要因が上方向に働いた可能性があるという見方です。

6万8000円が意識される一方で注意も必要

日経平均が6万5000円台まで上昇したことで、市場関係者の予想レンジも上方修正されつつあります。動画内では、年初時点では5万4000円から6万4000円程度を高値予想とする声が多かったものの、すでにその上限を抜けてきたことが指摘されています。

多くの市場関係者が予想していた水準を上回ると、それまで弱気だった投資家が見方を変え、さらに買い戻しや新規買いを入れることがあります。その結果、相場は一段高しやすくなります。

ただし、木野内氏は、最近では6万8000円という予想が増えてきている点に注意を促しています。多くの投資家が同じ水準を意識し始めると、その手前で利益確定売りが出やすくなるためです。

つまり、6万8000円まで上昇する可能性はあるものの、そこが強い抵抗帯になる可能性もあり、ここから上は相場の変化を丁寧に確認する必要があるという見方です。

日本株が7月初めまで強くなりやすい理由

動画では、日本株が7月初め頃まで強くなりやすい理由として、いくつかの重要な材料が挙げられています。

まず1つ目は、季節性です。過去20年程度の平均的な動きを見ると、米国株は5月から6月にかけて上値が重くなりやすい一方、日本株は7月初め頃まで堅調に推移しやすい傾向があると説明されています。

米国株には「Sell in May」という相場格言があります。これは「5月に株を売れ」という意味で、米国株が夏場にかけて弱くなりやすいという経験則を表したものです。

しかし、日本株については、米国株と異なり、5月から6月末にかけて比較的強い動きになりやすいという点が注目されます。

バフェット効果と海外資金の流入

2つ目の材料は、海外投資家による日本株買いです。

動画では、米国上場の日本株ETFへの資金流入が続いていることが紹介されています。その背景の1つとして、ウォーレン・バフェット氏率いるバークシャー・ハザウェイによる日本株評価があります。

バフェット氏は、これまでも日本の商社株への投資で大きな注目を集めてきました。今回の動画では、東京海上ホールディングスへの出資に関する発言にも触れられており、バフェット氏が日本企業を単なる短期投資対象ではなく、長期的な事業パートナーとして見ていることが示唆されています。

過去の例では、バフェット氏の日本株に関する発言や投資行動が出た後、3ヶ月程度は海外投資家の日本株買いが続きやすい傾向があったとされています。その意味でも、夏場にかけて日本株を支える材料になる可能性があります。

IMF見通しでも日本は相対的に評価されている

3つ目の材料は、IMFの経済見通しです。

動画では、IMFが世界経済見通しを全体として引き下げる中で、日本については主要先進国の中で相対的に良い評価を受けていることが紹介されています。各国の見通しが下方修正される中で、日本だけが目立って悪化していないという点は、海外投資家が日本株を見直すきっかけになります。

特にヨーロッパの投資家は、まず国ごとの投資配分を決める傾向が強いと説明されています。IMFの見通しで日本が相対的に良いと判断されれば、日本株への資金配分が増えやすくなるということです。

6月の配当再投資が日本株を押し上げる

4つ目の材料は、配当再投資です。

日本企業は3月決算が多く、その配当金が6月に支払われます。動画では、集計されているだけでも13兆円程度の配当金が投資家に戻ると説明されています。

個人投資家であれば配当金を現金として使う場合もありますが、投資信託や年金基金などの機関投資家は、受け取った配当金を再び株式市場に投資する必要があります。つまり、6月には配当金の再投資による買い需要が発生しやすいのです。

さらに、6月末には株主総会が集中します。企業としても株主総会を迎える前に株価が堅調であれば、株主に対して良い印象を与えやすくなります。そのため、自社株買いなども含めて、6月末にかけて株価を支える要因が出やすいと考えられます。

長期投資家は相場予想よりも対応力が重要

栫井氏は、長期投資の立場から、相場予想そのものに過度に依存しない姿勢を示しています。

短期的に日経平均が上がるか下がるかを完全に当てることは困難です。そのため、長期投資では、予想に賭けるというよりも、実際に出てきた相場の動きに素直に対応することが重要だと述べています。

たとえば、相場が強く上昇しているなら、無理に売らずに保有を続ける。逆に下がるなら、良い企業を安く買う機会として捉える。このような考え方です。

これは、個人投資家にとって非常に重要な視点です。上昇相場では「もう高いのではないか」と不安になり、早く売りたくなることがあります。一方で、下落相場では恐怖から買えなくなることもあります。しかし長期投資では、短期の値動きに振り回されず、企業価値を見ながら対応する姿勢が大切になります。

米国株は「Sell in May」と中間選挙前の調整に注意

一方、米国株については、日本株ほど楽観的には見られていません。

木野内氏は、今年の米国株は「Sell in May」を意識しなければならない条件が整っていると説明しています。米国では、2月から5月にかけて税還付金が個人に戻ってくるため、その資金が株式市場に流入しやすくなります。しかし、その税還付金による買い需要は5月頃で一巡しやすく、6月以降は上値が重くなる可能性があります。

また、今年は中間選挙を意識する年でもあります。米国株は、中間選挙の前に様子見ムードが強まりやすく、相場が一時的に調整しやすい傾向があると説明されています。

ガソリン価格が米国株の重要なカギになる

米国株の今後を考えるうえで、動画内で特に重視されていたのがガソリン価格です。

米国では、ガソリン価格が家計や消費者心理に大きな影響を与えます。特に夏場はドライビングシーズンと呼ばれ、車で旅行や移動をする人が増える時期です。この時期にガソリン価格が高いままだと、消費者の不満が高まり、政権への支持にも影響します。

そのため、トランプ政権としてもガソリン価格を下げたい意向があると見られます。イラン情勢が落ち着き、原油価格やガソリン価格が下がれば、米国株の調整リスクも和らぐ可能性があります。

イラン戦争終結後に注目されるリバウンドセクター

動画では、米国とイランの緊張が長引かない可能性についても触れられています。

木野内氏は、米国の防衛株の動きが弱くなっていることを挙げ、マーケットはイラン問題が長期化するとは見ていない可能性があると説明しています。防衛株は、戦争や地政学リスクが高まる局面で買われやすい銘柄群です。その防衛株がアンダーパフォームしているということは、市場が戦争長期化を織り込んでいないサインとも考えられます。

もしイラン情勢が落ち着くなら、これまで売られていたセクターにリバウンド期待が出てきます。動画内では、不動産、建設、空運、水産・農林などが例として挙げられています。

たとえば建設セクターは、資材不足やコスト高の影響を受けやすい業種です。空運セクターは、中東上空の飛行制限やジェット燃料価格の上昇が逆風になります。こうした悪材料が後退すれば、売られすぎた銘柄が反発する可能性があります。

ただし、輸送用機器や金融については注意が必要とされています。円高気味になる場合、自動車などの輸出関連株はリバウンドしにくい可能性があります。また、金利が下がる局面では金融株にとって追い風が弱くなるため、単純に売られたから買いとはならない点に注意が必要です。

米国長期金利は4.2%が重要な節目

動画では、株式市場にとって重要な要素として、米国長期金利も取り上げられています。

木野内氏は、米国長期金利の4.2%という水準を重要なマジックナンバーとして説明しています。過去の動きを見ると、長期金利が4.2%を上回る場面では、ニューヨークダウがピークアウトしやすい傾向があるとされています。

ただし、長期金利が4.2%を下回らなければ株が上がらないというわけではありません。重要なのは、金利が上昇し続けるのか、それともピークアウトして低下方向に向かうのかです。金利がピークアウトすれば、株式市場にとっては追い風になりやすいと説明されています。

FRB新議長への不安とインフレ鈍化の可能性

動画内では、FRB議長交代への市場の警戒感にも触れられています。

新しいFRB議長候補としてウォーシュ氏の名前が挙がり、同氏が量的引き締めに積極的な「タカ派」と見られる可能性があると説明されています。タカ派とは、インフレ抑制を重視し、利上げや金融引き締めに前向きな立場を指します。

しかし木野内氏は、新議長が就任直後に急激な政策変更を行う可能性は低いと見ています。過去のFRB議長も、就任直後は前任者の政策をある程度引き継ぎ、慎重に行動する傾向があったためです。

また、米国のインフレについても、家賃の伸びが今後鈍化する可能性があると説明されています。米国のコアCPIにおいて家賃は大きな割合を占めています。住宅価格がすでに鈍化しているなら、遅れて家賃も鈍化し、結果としてコアCPIも落ち着く可能性があります。

このため、FRBが過度にタカ派的な姿勢を強める必要はないのではないかという見方が示されています。

日銀は6月に利上げする可能性があるが、本来は急ぐ必要がない

日本の金融政策については、6月の日銀会合で利上げが行われる可能性が議論されています。

木野内氏は、6月利上げについて「しなくていいが、してしまうかもしれない」という見方を示しています。

その理由は、日本のインフレが本格的な需要主導のインフレではないためです。動画では、日本のコアCPIが1.4%程度まで下がってきていること、サービス物価が安定していることが説明されています。

サービス物価が安定しているということは、賃金上昇と消費拡大による健全なインフレが強く起きているわけではないという見方につながります。一方で、輸入物価の上昇はコストプッシュ型インフレであり、企業や家計に負担を与える側面があります。

そのため、本来であれば日銀が急いで利上げする必要はないという判断です。

物価基準改定が日銀の判断を難しくする

それでも6月利上げの可能性がある理由として、物価統計の基準改定が挙げられています。

日本の消費者物価指数は、5年に1度、基準年が改定されます。基準改定が行われると、物価上昇率が0.5%ポイント程度低く見直されることが多いと説明されています。

これは、家計が価格の上がったものを買い控え、価格があまり上がっていないものを多く買うようになるためです。つまり、現実の消費行動を反映すると、実際の物価上昇率は現在の統計よりも低かったと判明する可能性があります。

7月以降にその基礎統計が見えてくると、日銀は利上げしにくくなる可能性があります。そのため、もし利上げをするなら6月に行う可能性があるという見方です。

政府と日銀のスタンスには温度差がある

動画では、政府と日銀の間にスタンスの違いがあることも指摘されています。

日銀は物価抑制を重視する姿勢を示しています。一方、政府側は、物価対策については政府が激変緩和措置や重要物資の代替調達などで対応しており、日銀には強い経済成長と安定的な物価上昇の両立を求めていると説明されています。

つまり、日銀はインフレ抑制を重視し、政府は景気や成長を重視しているという構図です。

さらに、今後の日銀総裁人事にも政治的な影響が及ぶ可能性があると動画では語られています。日銀が政府の意向をまったく無視して強引に引き締めを進めることは難しいのではないかという見方です。

金利が落ち着けば注目は再びテック株へ

金利が落ち着いてくる局面で注目されるセクターとして、木野内氏はテック株、特にNVIDIAを中心とするAI・半導体関連を挙げています。

動画では、NVIDIAの決算が市場予想を上回り、今後の売上見通しも非常に強かったことが紹介されています。特に、前年同期比で売上がほぼ倍になるような見通しが示されている点は、AI需要の強さを象徴しています。

AI向け半導体では、これまでHopperやBlackwellといった世代のGPUが注目されてきました。今後はRubin世代、さらにCPUであるVeraにも注目が集まっています。

AIエージェント時代にCPUの重要性が再評価されている

動画で興味深い点は、GPUだけでなくCPUの重要性が再評価されているという話です。

これまでAI半導体といえば、NVIDIAのGPUが主役でした。GPUは大量の計算を並列処理するのに適しており、生成AIの学習や推論に欠かせない存在です。

しかし、AIエージェントの時代になると、複数のAIモデルを切り替えたり、さまざまな操作を自動で行ったりする必要が出てきます。その結果、GPUだけではなくCPUの役割も大きくなる可能性があります。

これまでGPU8個に対してCPU1個という構成だったものが、将来的にはGPU8個に対してCPU2個、あるいは4個、さらにはGPU1個に対してCPU1個が必要になる可能性もあると説明されています。

その流れの中で、NVIDIAはVeraというCPUを投入し、VeraとRubinを組み合わせた製品を展開しようとしています。これが大きな売上につながる可能性があり、NVIDIA株がもう1四半期程度は強含む可能性もあると木野内氏は見ています。

AI・半導体相場には期待とリスクの両方がある

栫井氏は、長期投資の観点からAI・半導体相場について、ポジティブな面とネガティブな面の両方があると指摘しています。

ポジティブな面は、NVIDIAのような企業の業績成長が非常に力強いことです。これほどの売上成長を実現している企業は珍しく、AIという巨大テーマの中心にいることは間違いありません。

一方で、リスクは株価や製品価格がすでに非常に高くなっていることです。AI関連サービスの利用料が高まりすぎると、企業側が費用対効果を疑問視する可能性があります。動画では、Microsoftが社員に対してClaudeのコード利用料が高すぎると注意したという話題にも触れられています。

つまり、AIの利用が拡大している一方で、コストが高くなりすぎると、企業が設備投資やAI利用を抑える可能性もあるということです。

ただし、新世代の半導体は価格が高くなる一方で、性能向上によって単位あたりのコストは下がる可能性があります。性能が大きく向上すれば、結果的にAI利用のコストが下がり、さらに利用が広がる可能性もあります。

追加解説:個人投資家は「上がる相場」と「下がる相場」で戦略を分けるべき

今回の動画から個人投資家が学べる重要なポイントは、相場全体の方向性だけでなく、自分の投資スタイルに応じた対応を考えることです。

短期投資家であれば、6万8000円付近の節目、SQ週の需給、米国金利、イラン情勢、NVIDIA決算後の株価反応などを細かく確認する必要があります。

一方、長期投資家であれば、相場の上下を完全に当てようとするよりも、良い企業を適切な価格で保有し続けることが重要になります。栫井氏が述べているように、上がるなら持ち続け、下がるなら買い場として検討するという考え方は、長期投資において非常に現実的です。

ただし、上昇相場では楽観に傾きすぎないことも大切です。特にAI・半導体関連は成長性が高い一方で、株価に多くの期待が織り込まれています。期待が少しでも下振れした場合、株価が大きく調整する可能性があります。

まとめ:日本株は夏まで堅調期待、ただし高値圏では慎重さも必要

今回の動画では、日本株が夏に向けてさらに強含む可能性がある一方で、6万8000円付近では注意が必要であることが語られました。

日本株を支える材料としては、海外資金の流入、IMFによる日本経済への相対的評価、6月の配当再投資、自社株買い、そして7月初めまでの季節性が挙げられます。これらを踏まえると、短期的には日本株に追い風が吹きやすい局面と考えられます。

一方で、米国株については、税還付金による買い需要の一巡、中間選挙前の様子見、ガソリン価格、イラン情勢などが不透明要因です。さらに、米国長期金利やFRBの政策スタンスも株式市場に大きな影響を与えます。

AI・半導体相場については、NVIDIAを中心に業績の強さが確認されており、年内も注目テーマであり続ける可能性があります。ただし、株価水準やAI投資の費用対効果には注意が必要です。

個人投資家にとって大切なのは、相場の短期予想に振り回されすぎず、自分の投資期間とリスク許容度に合わせて行動することです。上昇相場では利益確定の誘惑が強まり、下落相場では不安が強まります。しかし、長期的に成長する企業を見極め、冷静に対応することが、最終的な投資成果につながるといえるでしょう。

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