AIバブル崩壊の導火線に火がついた?CoreWeaveの破綻確率60%超、NVIDIA・OpenAIへの連鎖リスクを徹底解説

本記事は、YouTube動画『もう止められないAIバブル崩壊の導火線に着火、破綻確率60%超え』の内容を基に構成しています。

2026年10月、世界のAI関連株に新たな不安が広がっています。その震源地となっているのが、米国のAIクラウド企業「CoreWeave(コアウィーブ)」です。

同社の信用リスクを示す指標が急激に悪化し、金融市場では今後5年以内の破綻確率が60%を超える水準まで上昇しました。2026年10月15日には、倒産に備える金融商品であるCDSの価格が過去最高を記録しています。Bloomberg Law

CoreWeaveは、NVIDIAの高性能半導体を大量に購入し、その計算能力をMicrosoftやOpenAIなどに提供する企業です。AIブームを支える重要な存在である一方、巨額の借金を抱え、売上が急増しても最終赤字から抜け出せていません。

さらに市場が警戒しているのは、CoreWeave単独の財務問題ではありません。

NVIDIA、OpenAI、AMD、そしてAIデータセンター企業の間では、出資、融資、半導体購入、設備利用契約を通じて巨額の資金が循環しています。

この構造が、2000年のITバブル崩壊前夜と似ているとの指摘が出ています。

もしAIインフラ企業の資金繰りが悪化すれば、半導体メーカーの業績だけでなく、NASDAQ100やS&P500、さらには日本の新NISA投資家にも影響が及ぶ可能性があります。

今回は、過去のITバブルとの共通点、CoreWeaveの財務状況、AI業界で進む資金循環の仕組み、GPUの価値下落リスク、そして日本の投資家が注意すべきポイントを詳しく解説します。

目次

2000年のITバブル崩壊前夜に何が起きていたのか

通信機器メーカーが顧客に融資する奇妙なビジネス

現在のAI市場を理解するうえで重要な歴史的事例が、2000年前後に発生したITバブルです。

当時、インターネットの急速な普及によって、世界中で通信インフラの整備が進んでいました。

通信機器メーカーは、通信回線やネットワーク機器の需要が際限なく拡大すると期待され、株式市場でも高い評価を受けていました。

その代表的な企業が、米国の通信機器メーカーであるルーセント・テクノロジーズです。

ルーセントは当時、非常に特徴的な販売方法を採用していました。

自社の通信機器を購入する顧客に対して、ルーセント自身が資金を融資していたのです。

通常であれば、企業は銀行などから資金を借りて設備を購入します。しかし、この仕組みでは通信機器メーカーが顧客に資金を貸し付け、その資金で自社製品を購入してもらっていました。

つまり、機器メーカーが提供した資金が、製品代金として同じメーカーに戻る構造になっていたのです。

この手法は「ベンダーファイナンス」と呼ばれます。

ベンダーファイナンスそのものは現在でも存在する一般的な資金調達手段ですが、顧客の返済能力が十分でない場合、売上拡大と同時に貸し倒れリスクが膨らむ危険性があります。

動画によると、2000年にルーセントが顧客に約束した融資枠は57億ドルに達していました。

そのなかでも、新興通信会社ウィンスター・コミュニケーションズには約20億ドルという巨額の資金を提供していました。

ところが2001年4月、ウィンスターが経営破綻します。

これによってルーセントは、融資資金の回収が困難になっただけでなく、機器販売に関連する債権についても損失リスクを抱えることになりました。

さらにウィンスターは、ルーセントを相手に100億ドル規模の訴訟を起こしました。

販売先が倒産することで、売上を拡大するために提供していた融資が逆に巨額の損失を生む結果となったのです。

シスコやノーテルも同じ仕組みに依存していた

こうした取引を行っていたのは、ルーセントだけではありません。

ネットワーク機器大手のシスコシステムズもウィンスターに約5億ドルを融資していました。

また、カナダの通信機器メーカーであるノーテル・ネットワークスも、2000年末時点で顧客向けの融資コミットメントが約41億ドルに膨らんでいました。

業界全体で、通信設備の購入を資金面から支援する仕組みが広がっていたのです。

しかし、インターネット関連企業への過剰な期待が後退すると、多くの通信事業者が資金繰りに苦しみ始めました。

動画では、ノーテルから約1億5000万ドルを借りていたネットテルという通信会社の事例も紹介されています。

同社は2000年10月に経営破綻し、同年12月には資産に対する最高入札額が約2140万ドルにとどまりました。

融資額の7分の1にも届かない金額です。

設備に巨額の資金を投じていても、需要がなくなれば資産の売却価値は大きく低下するという現実が明らかになりました。

その後、ルーセントの株価はピークから90%以上下落し、一時1ドルを下回る水準まで落ち込みました。

ノーテルも長期的な経営悪化から立ち直ることができず、2009年に経営破綻しています。

こうした過去の事例は、設備投資と融資によって急成長した企業が、需要の減速によって一転して危機に陥る可能性を示しています。

そして動画では、現在のAI業界でも、これと似た資金循環が生まれていると警告しています。

CoreWeaveの破綻確率が60%超に上昇した理由

CDSが過去最高の1194.5ベーシスポイントに

2026年10月15日、CoreWeaveの信用リスクを示すCDSスプレッドが、1194.5ベーシスポイントという過去最高水準に達しました。

CDSとは「クレジット・デフォルト・スワップ」の略で、企業などが債務不履行に陥った場合の損失を補償する金融取引です。

分かりやすく説明すると、企業の倒産リスクに備える保険に近い仕組みです。

企業の信用力が高ければ、CDSの保証料は低くなります。一方、財務状況が悪化して倒産リスクが高まると、保証料も上昇します。

今回の1194.5ベーシスポイントは、年率換算で約11.945%に相当するスプレッド水準です。

一般に100ベーシスポイントは1%に相当します。

市場では、このCDS価格からCoreWeaveの今後5年以内の累積債務不履行確率が60%を超える水準に達したと解釈されています。

ブルームバーグも、2026年10月15日の報道で、CoreWeaveの5年物CDSが過去最高となり、5年以内のデフォルト確率が60%を超える水準を織り込んだと伝えています。Bloomberg Law

ただし、この数字には注意が必要です。

CDSから算出される破綻確率は、市場価格を基にしたリスク中立的な推計であり、実際に倒産する確率が統計的に60%と確定したことを意味するわけではありません。

信用リスクだけでなく、市場の流動性や投資家が要求するリスクプレミアムなども影響します。

それでも、CoreWeaveに対する投資家の警戒感が極めて強くなっていることは確かです。

エンロン、リーマン・ブラザーズとの比較

動画では、過去に経営破綻した著名企業のCDSとCoreWeaveの水準を比較しています。

2001年に破綻した米国のエネルギー企業エンロンでは、破綻数カ月前から信用不安が広がり、CDSが急激に上昇しました。

2002年に破綻した通信大手ワールドコムでも、経営危機の深刻化とともに信用リスクが拡大しました。

2008年の世界金融危機では、ベアー・スターンズやリーマン・ブラザーズ、ワシントン・ミューチュアルなどの信用リスクが短期間で悪化しています。

動画では参考値として、エンロンの破綻約2カ月前のCDSが1500ベーシスポイント、リーマン・ブラザーズの破綻約4日前が800ベーシスポイント、ワシントン・ミューチュアルの破綻前には2000ベーシスポイントに達したと紹介しています。

これらは異なる時代、異なる企業、異なる市場条件で観測された数字であり、同じ基準で単純比較できるものではありません。

しかし、過去の金融危機では信用市場の警告が株式市場以上に重要な意味を持つ局面があったことは、投資家にとって見逃せないポイントです。

今回のCoreWeaveが過去の破綻企業と同じ道をたどるとは限りませんが、CDSの急騰は金融市場が資金繰りの悪化を強く警戒していることを示しています。

売上急増でも赤字拡大、CoreWeaveの財務に潜む問題

2026年4~6月期は売上25億7500万ドルでも6億2600万ドルの赤字

CoreWeaveの最大の特徴は、急速な売上成長と巨額の資金負担が同時に発生していることです。

同社が発表した2026年4~6月期の売上高は25億7500万ドルでした。

前年同期の12億1200万ドルから2倍以上に拡大しています。

AI関連サービスへの需要が急増していることが、売上面には明確に表れています。

しかし、最終損益は6億2600万ドルの赤字でした。前年同期の2億9000万ドルの赤字から損失額は拡大しています。

さらに大きな問題が、借入金に対する利息負担です。

同期間の純支払利息は6億4000万ドルに達しました。前年同期の2億6700万ドルと比較すると約2.4倍です。

売上高が大きく伸びているにもかかわらず、それを上回るようなペースで資金調達コストが増加しているのです。SEC

CoreWeaveは、データセンターの建設、設備の整備、高性能GPUの購入などに巨額の資金を投入しています。

こうした設備投資が将来的に十分な利益を生み出せば、借入金の返済は可能になります。

しかし、GPUの利用料金が下落したり、顧客の設備需要が減少したりすれば、想定した利益を確保できなくなる可能性があります。

借入金は約350億ドル規模に拡大

CoreWeaveの2026年6月末時点の有利子負債は、リース債務などを含めると約353億ドル規模に達しています。SEC

動画では、半年間で約140億ドルもの借金が増えたと説明されています。

売上を拡大するために設備を増やし、その設備を増やすためにさらに借金を重ねる構造です。

成長企業にとって借入金の活用自体は珍しくありません。

ただし、設備投資の回収には長期間を要する一方、利息の支払いは継続して発生します。

そのため、売上成長が鈍化した場合、借金が企業経営の大きな重荷になる可能性があります。

社債価格の下落と利回り15%超

CoreWeaveへの信用不安は、社債市場にも波及しています。

2026年10月中旬には、同社の一部社債の価格が大きく下落し、利回りが15%を超える水準に上昇したと報じられています。Bloomberg

債券は、原則として市場価格が下がるほど利回りが上昇する関係にあります。

企業の信用力に不安が広がると、投資家は高い利回りを要求するようになります。

この状態が続けば、企業が新たに社債を発行する際に必要な金利も高くなる可能性があります。

ただし、既存社債の市場利回りが15%になったからといって、すべての借入金の金利が直ちに15%に変わるわけではありません。

問題は、将来の借り換えや新規資金調達が難しくなることです。

AIデータセンター事業は継続的な設備投資を必要とするため、資金調達環境の悪化が事業の成長に直接影響するおそれがあります。

Microsoftへの売上依存も大きなリスク

CoreWeaveの経営において、もう1つ重要なのが顧客の集中です。

動画によると、2024年の売上高の約62%はMicrosoftからのものでした。

これは、特定の大口顧客に事業が大きく依存していることを意味します。

Microsoftは高い資金力を持つ世界的なIT企業ですが、それでも契約条件の見直しや設備投資の減速があれば、CoreWeaveの業績に影響する可能性があります。

ただし、長期契約の存在や契約解除条件によって影響の出方は異なり、Microsoftが契約を更新しなければ直ちに売上の62%が消えるという単純な構造ではありません。

重要なのは、AI市場全体が成長していても、個別の企業が安定した収益を確保できるとは限らないという点です。

NVIDIA・OpenAI・CoreWeaveの間で循環する巨額の資金

AI業界で起きている「循環取引」とは

CoreWeaveの信用不安がAI業界全体に波及する可能性を考えるうえで、最も重要なのが企業間の資金循環です。

動画では、2000年のルーセント・テクノロジーズと現在のAI業界に共通する構造として、企業同士が出資や設備購入を通じて資金を循環させている問題を取り上げています。

まず、半導体大手NVIDIAはCoreWeaveの主要株主の1社です。

CoreWeaveは、借入金や投資家から調達した資金を使ってNVIDIAの高性能GPUを大量に購入しています。

そのGPUをデータセンターに設置し、計算能力をOpenAIやMicrosoftなどに提供することで収益を得ています。

一方、OpenAIはCoreWeaveとの間で巨額の利用契約を締結しています。

2025年9月25日、CoreWeaveはOpenAIとの契約を最大65億ドル拡大し、両社の契約総額が約224億ドルに達したと発表しました。CoreWeave

さらに、NVIDIAはOpenAIに対する巨額の出資計画を公表しています。

2025年9月22日、NVIDIAとOpenAIは、最大1000億ドルの投資を含む戦略的提携について基本合意を発表しました。

この構想では、OpenAIがNVIDIAのシステムを利用するAIインフラを段階的に拡大し、それに合わせてNVIDIAが資金を投入する計画です。OpenAI

ここで資金の流れに注目すると、興味深い構造が浮かび上がります。

NVIDIAはOpenAIへの投資を計画し、OpenAIはCoreWeaveにAI計算能力の利用料を支払い、CoreWeaveはNVIDIAの半導体を購入します。

つまり、NVIDIAが投資した資金の一部が、複数の企業を経由してNVIDIAの半導体売上に戻る可能性があるのです。

もちろん、発表された投資枠がすべて実行されたわけではなく、各企業の契約も独立した商業上の目的を持っています。

しかし、AI関連企業が互いの顧客であり、同時に投資家でもあるという複雑な関係は、市場全体のリスクを考えるうえで重要です。

AI需要が順調に拡大している間は、この仕組みが成長を加速させます。

ところが、どこかの企業が資金調達に失敗したり、設備投資を縮小したりすれば、その影響が取引先にも広がる可能性があります。

AMDもOpenAIに株式取得権を付与

こうした動きはNVIDIAだけではありません。

2025年10月、米国の半導体メーカーAMDもOpenAIとの大型契約を発表しました。

契約では、OpenAIがAMDのGPUを最大6ギガワット規模で導入する計画が示されています。

さらにAMDは、OpenAIに対して最大1億6000万株のAMD株式を、1株0.01ドルで取得できる権利を付与しました。

これは株式取得権であるワラントと呼ばれるものです。

最大数まで権利が行使された場合、OpenAIはAMDの株式を約10%保有する可能性があります。

ただし、この権利は無条件で付与されるものではありません。AMD製GPUの導入量やAMDの株価など、一定の条件を満たすことが必要です。Advanced Micro Devices, Inc. (AMD)

この契約には、OpenAIによるAMD製GPUの導入を促進するとともに、双方の長期的な利害を一致させる狙いがあります。

一方で、動画ではこうした仕組みが2000年のベンダーファイナンスと似ていると指摘しています。

2000年には、通信機器メーカーが融資によって顧客の設備購入を支えていました。

今回は株式取得権という異なる仕組みですが、顧客による製品購入を資金面や経済的利益によって後押しするという共通点があります。

ただし、AMDのワラントと過去の融資を同一視することはできません。前者は条件付きの株式取得権であり、後者は返済義務のある融資だからです。

問題は、こうした取引が業界全体に広がることで、最終的な需要の強さを投資家が判断しにくくなる可能性があることです。

AI関連企業の売上が増えていても、その裏側でどの程度の資金支援や設備投資が必要になっているのかを確認する必要があります。

CoreWeave創業者が約33億ドルの株式を売却

株価下落のなかで進む創業者の保有株売却

CoreWeaveに対する市場の不安を強めている材料の1つが、創業者による巨額の株式売却です。

ブルームバーグによると、同社の共同創業者であるマイケル・イントレーター氏、ブライアン・ベントゥーロ氏、ブラニン・マクビー氏の3人は、2025年3月の新規株式公開以降、合計約33億ドル相当の株式を売却しました。

そのうち約24億ドルは2026年に入ってからの売却です。Bloomberg

CoreWeaveの株価は、2025年の上場後に急騰しました。

AIインフラ需要の急増によって投資家の期待が高まり、株価は公開価格から大きく上昇しています。

しかし、その後は借入金の増加や収益性に対する懸念が強まり、株価は高値から大幅に下落しました。

こうした状況のなかで創業者が大量の株式を売却したことは、市場の警戒感を高める要因となっています。

もっとも、創業者の株式売却が必ずしも経営悪化を予測していることを意味するわけではありません。

資産の分散、税金の支払い、事前に設定した売却計画など、さまざまな理由が考えられます。

したがって、売却額だけで経営陣が会社の将来を悲観していると判断することは適切ではありません。

それでも、信用不安が高まっている局面で多額の株式売却が続いていることは、投資家が確認すべき材料といえます。

CoreWeaveはもともと暗号資産のマイニング企業だった

CoreWeaveには、もう1つ特徴的な歴史があります。

同社は2017年に設立されましたが、当初からAIインフラを専門としていたわけではありません。

創業当初は、Atlantic Cryptoという名称で暗号資産のマイニング事業を手掛けていました。

特にイーサリアムなどの暗号資産を採掘するため、大量のGPUを導入していたのです。

その後、暗号資産市場の環境が変化し、GPUの需要先としてAIや高性能計算分野が拡大しました。

同社は保有するGPUや設備運用の経験を活用し、AIクラウド事業へと転換していきました。

現在では、世界的なAI企業に計算能力を提供する企業へと成長しています。

動画では、暗号資産ブームからAIブームへ事業を転換してきた点にも注目しています。

ただし、事業転換それ自体は企業経営において珍しいことではありません。

重要なのは、現在のAI需要が持続し、これまでの巨額投資を回収できるかどうかです。

GPUの価格下落がAIデータセンターの経営を圧迫する可能性

NVIDIA製GPUのレンタル価格が大幅下落

CoreWeaveの財務リスクを考えるうえで、動画が特に重要視しているのがGPUの価値です。

GPUとは、もともと画像処理に使われていた半導体ですが、大量の計算を並列処理できることから、現在ではAIの学習や推論に不可欠な存在となっています。

CoreWeaveのようなAIクラウド企業は、NVIDIAの高性能GPUを大量に購入し、その計算能力を企業に貸し出して収益を得ています。

ところが、GPUのレンタル価格が下落すれば、同じ設備から得られる売上も減少する可能性があります。

動画によると、NVIDIAのH100を1時間利用するレンタル価格は、2024年後半のピーク時には約8ドルでした。

しかし、2025年末には約3ドル前後まで下落したと説明されています。

ピーク時との比較では、最大で約64%の下落になります。

この価格はサービス内容、契約期間、GPUの構成、利用条件などによって異なるため、業界全体で一律に64%下落したことを意味するものではありません。

それでも、GPUの供給量増加や新世代モデルへの移行によって、旧世代GPUの価格競争が激しくなる可能性は十分に考えられます。

GPUの価値下落が借入金の担保に影響

問題は、CoreWeaveがGPUなどの設備資産を裏付けとして資金を調達していることです。

仮に100億ドルの資金を借り入れてデータセンターを整備したとしても、その設備の収益力や資産価値が低下すれば、金融機関が想定していた担保価値が十分でなくなる可能性があります。

担保価値が下落すると、新たな借入金の調達が難しくなったり、融資条件が厳しくなったりすることがあります。

さらに、契約内容によっては追加担保の提供などが必要になる可能性もあります。

ここで注意したいのは、GPUのレンタル料金が64%下落したとしても、GPUの担保価値が必ず64%下落するわけではないという点です。

担保価値は中古市場での売却価格、設備の残存耐用年数、将来の収益力など、複数の要素によって決まります。

しかし、GPUの収益性が想定よりも早く低下すれば、巨額の借入金を抱える企業にとって大きな負担になることは間違いありません。

GPUは故障リスクも抱えている

GPUに関するもう1つの問題が、機器の故障や保守費用です。

動画では、Metaが2024年に公表した大規模AIモデルの学習に関する報告を紹介しています。

Metaは、約1万6384個のNVIDIA H100を使用して大規模AIモデル「Llama 3」の学習を進めました。

その際、54日間で419回の予期しない処理中断が発生したと報告されています。

単純計算では約3時間に1回、何らかの中断が起きたことになります。

原因にはGPU本体の故障、メモリー障害、ネットワークやソフトウェアの問題などが含まれていました。

GPU本体の故障による中断は148件、HBM3メモリーの障害は72件と報告されています。DCD

ただし、この数字は約1万6000個のGPUを同時利用する巨大なシステム全体で観測されたもので、個々のGPUが3時間ごとに故障するという意味ではありません。

また、Metaはこうした障害に対応しながら90%を超える実効学習時間を確保したとしています。

つまり、GPUの故障は確かにコスト要因ですが、適切な保守体制によって管理できる部分もあります。

それでも、AIデータセンターの運営には、半導体の購入代金だけでなく、故障対応、交換部品、冷却設備、電力、通信ネットワークなど多額の費用がかかります。

そのため、GPUの利用料金が下落する一方で設備維持費が高止まりすれば、収益性が悪化するおそれがあります。

NVIDIAやOracleにも信用不安が波及する可能性

CoreWeaveの問題はAIインフラ全体の問題なのか

2026年10月中旬には、CoreWeaveだけでなく、AIインフラ関連企業の株価にも売り圧力が広がりました。

動画では、10月14日にCoreWeaveの株価が約15%下落したほか、AIデータセンター関連企業やOracleなども大幅に下落したと紹介しています。

投資家が警戒しているのは、AI需要そのものが消滅することではありません。

AIインフラの整備に投じられている巨額の資金が、想定どおりの利益を生み出せるのかという問題です。

現在、AI関連企業はデータセンター建設、高性能GPUの購入、電力設備の整備などに巨額の資金を投じています。

こうした投資は長期的な需要拡大を前提としていますが、収益化が遅れれば、財務負担が拡大する可能性があります。

特に借入金への依存度が高い企業では、金利上昇や信用市場の悪化が経営に直接影響します。

NVIDIAへの影響は半導体需要の減速

CoreWeaveのような企業の資金繰りが悪化した場合、最も注目されるのがNVIDIAへの影響です。

NVIDIAはAI向けGPU市場で非常に強い競争力を持ち、データセンター向け半導体の販売を急速に拡大してきました。

しかし、AIクラウド企業が設備投資を縮小すれば、GPUの新規購入にも影響が出る可能性があります。

例えば、あるAIデータセンター企業が予定していたGPUの購入を延期すれば、NVIDIAの受注や売上計画に影響することが考えられます。

さらに、複数の企業が同時に設備投資を減らせば、AI向け半導体市場全体の成長率が鈍化する可能性もあります。

ただし、NVIDIAの顧客はCoreWeaveだけではありません。

Microsoft、Amazon、Alphabet、Metaなど、巨額の資金力を持つ企業もAIインフラへの投資を進めています。

そのため、CoreWeaveの経営問題が直ちにNVIDIA全体の業績悪化につながるとは限りません。

重要なのは、AIインフラ企業の信用不安が、大手IT企業の設備投資計画にまで広がるかどうかです。

日本への影響は?ソフトバンクグループと新NISAにも注意

ソフトバンクグループはNVIDIA株を売却しOpenAIへ投資

AI関連市場の信用不安は、日本の投資家にとっても無関係ではありません。

特に注目されるのが、ソフトバンクグループの投資戦略です。

同社は2025年10月、保有していたNVIDIA株式をすべて売却しました。

売却額は約58億3000万ドルでした。

一方、ソフトバンクグループはOpenAIへの巨額投資を進めており、AI分野への積極的な投資姿勢を維持しています。StockWeather

動画では、NVIDIA株を売却してOpenAIへの投資を拡大する動きを、AI業界内で循環する資金の流れに深く関与するものとして捉えています。

ただし、NVIDIA株の売却代金がそのまま全額OpenAIへの投資に充てられたと断定することはできません。

ソフトバンクグループは複数の事業や投資案件を抱えており、資金調達や資産売却を総合的に進めています。

それでも、OpenAIへの巨額投資によって、同社の企業価値がAI市場の成長見通しに左右されやすくなっていることは重要です。

日経平均株価にも影響が及ぶ可能性

ソフトバンクグループは日経平均株価を構成する主要銘柄の1つです。

日経平均は株価平均型の指数であり、個別銘柄の株価変動が指数に与える影響は単純な時価総額比率とは異なります。

ソフトバンクグループに加えて、アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体関連企業も、日経平均の動きに大きな影響を与えることがあります。

もし米国のAI関連企業が大幅に下落すれば、AIインフラ投資の減速が意識され、日本の半導体関連株にも売り圧力が広がる可能性があります。

その結果、日本企業の業績が直ちに悪化していなくても、株式市場全体が大きく下落する局面が生まれるかもしれません。

特にAI関連銘柄の株価上昇が日経平均の上昇を支えている状況では、相場の反転による影響が大きくなる可能性があります。

オルカン・S&P500・NASDAQ100にもAI関連株が含まれる

新NISAを通じて米国株や全世界株式に投資している個人投資家も、AI関連株の影響を受けています。

代表的なのが、S&P500やNASDAQ100、全世界株式指数に連動する投資信託です。

S&P500にはNVIDIAをはじめ、Microsoft、Amazon、Alphabet、Metaなどの大型IT企業が含まれています。

NASDAQ100も大型テクノロジー企業の影響が大きい指数です。

さらに、全世界株式指数であるMSCI ACWIなども米国株の比率が大きいため、米国の大型IT企業の値動きから影響を受けます。

つまり、個別のAI関連株を直接購入していなくても、投資信託を通じて間接的にAI関連企業へ投資していることになります。

ただし、オルカンやS&P500は多数の企業に分散投資しており、AI関連株だけで構成されているわけではありません。

AI関連株が下落した場合でも、ほかの業種が上昇すれば、指数全体への影響が緩和される可能性があります。

一方、NASDAQ100にレバレッジをかけた投資信託、いわゆるレバナスでは、指数の大幅下落が投資資産に与える影響も大きくなりやすいため注意が必要です。

AIバブルは本当に崩壊するのか?反論材料も存在

CoreWeaveには1040億ドルの受注残高がある

ここまでCoreWeaveの信用不安や財務負担を中心に見てきましたが、同社の将来を悲観する材料ばかりではありません。

CoreWeaveが2026年8月に発表した決算によると、同年6月末時点の売上バックログは約1040億ドルに達しています。

バックログとは、既存契約などに基づいて将来売上として認識されることが見込まれる金額です。

同社の2026年4~6月期の売上高が約25億7500万ドルだったことを考えると、非常に大きな契約規模であることが分かります。SEC

これは、AI計算能力に対する顧客需要が長期間にわたって存在する可能性を示しています。

ただし、バックログがそのまま利益になるわけではありません。

契約に基づくサービス提供には設備投資や運営費用が必要であり、契約の履行条件や顧客側の事情によって売上計上の時期も変わります。

重要なのは、契約総額の大きさだけでなく、将来の売上から十分な利益とキャッシュフローを確保できるかどうかです。

資金力のある大手IT企業が顧客になっている

2000年のITバブルとの大きな違いは、現在のAI市場では資金力のある巨大企業が重要な顧客となっていることです。

当時の通信機器市場では、事業実績が乏しく、資金調達に依存する新興通信会社が急速に設備投資を拡大していました。

一方、現在のAI市場ではMicrosoft、Amazon、Alphabet、Metaなど、巨額の売上やキャッシュフローを生み出す企業が大規模な設備投資を進めています。

これらの企業は、一定の期間にわたって巨額の設備投資を継続できる財務基盤を持っています。

そのため、現在のAI関連市場が2000年のITバブルと完全に同じ状況にあるとはいえません。

また、AIは単なる期待先行の技術ではなく、実際に企業の業務効率化やソフトウェア開発、情報分析などに利用されています。

問題はAI技術が普及するかどうかではなく、AIインフラへの投資額に見合う利益が、いつ、どれだけ生み出されるかという点です。

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOも需要拡大に自信

NVIDIAのジェンスン・フアンCEOは、AI向け半導体需要の長期的な拡大に強い自信を示しています。

動画によると、2026年10月15日にはCoreWeaveについて財務体質が改善しているとの見方を示し、NVIDIAによる追加支援の必要性を否定する趣旨の発言をしたとされています。

このように、AI関連企業の将来に対する市場の評価は分かれています。

信用市場では負債の増加や資金調達コストが警戒される一方、事業面ではAI計算能力の需要が引き続き拡大すると期待されています。

AI市場の成長と、個別企業の財務悪化は同時に起こり得るものです。

したがって、AI技術の将来性を評価することと、現在のAI関連株が適正な価格で取引されているかを判断することは、分けて考える必要があります。

投資家が今後注目すべき3つのポイント

1. CoreWeaveのCDSスプレッド

最も重要な指標の1つが、CoreWeaveのCDSスプレッドです。

2026年10月15日に記録した1194.5ベーシスポイントという水準は、信用市場が同社の財務状況を強く警戒していることを示しています。

今後、この数値が低下すれば、信用不安が和らいでいる可能性があります。

反対に、さらに上昇するようであれば、債務返済や資金調達に対する市場の不安が強まっていると考えられます。

ただし、CDSは金利動向や市場の流動性にも左右されるため、単独で企業の破綻を予測できるわけではありません。

社債利回りや資金調達状況、キャッシュフローなどと合わせて確認する必要があります。

2. GPUのレンタル価格と設備の収益性

2つ目は、NVIDIAのH100をはじめとするGPUのレンタル価格です。

AIクラウド企業の収益は、GPUをどれだけ高い価格で、どれだけ高い稼働率で貸し出せるかによって大きく変わります。

レンタル価格が下がり続ければ、データセンターの収益性が悪化する可能性があります。

特に多額の借入金を使って設備を整備した企業では、収益力の低下が資金繰りの悪化につながるおそれがあります。

一方、GPUの価格低下によってAIサービスの利用コストが下がれば、利用者が増加し、需要がさらに拡大する可能性もあります。

したがって、レンタル単価だけでなく、GPUの稼働率や設備投資の回収状況も重要です。

3. 大手IT企業の設備投資と減価償却

3つ目は、Microsoft、Amazon、Alphabet、Metaなどの決算で示される設備投資額と減価償却費です。

AIデータセンターでは、高性能GPUやサーバーなどの設備に巨額の資金を投じます。

こうした設備は購入した年に全額を費用計上するのではなく、一般的には使用できると見込まれる期間に分けて減価償却します。

例えば、100億ドルの設備を5年間で均等に償却する場合、単純計算では年間20億ドルの費用が発生します。

一方、設備の耐用年数を4年間に短縮すると、年間の償却費は25億ドルに増えます。

設備の利用可能期間が想定より短いと判断されれば、将来の減価償却費が増え、利益を押し下げる可能性があります。

特にAI半導体は技術革新のスピードが速く、新しい世代のGPUが登場することで、旧世代の設備の経済的価値が低下する場合があります。

そのため、投資家は設備投資の増減だけでなく、サーバーやGPUの耐用年数の見積もりが変更されていないかにも注目する必要があります。

減価償却期間が短縮された場合、それは設備の経済的寿命に対する見方が変わった可能性を示します。

ただし、耐用年数の変更は会計上の見積もりの更新であり、それだけで企業が利益を過大計上していたと断定することはできません。

NASDAQ100やレバナスへの影響はどこまで広がるのか

NASDAQ100は、米国NASDAQ市場に上場する大型の非金融企業を中心に構成される株価指数です。

NVIDIAやMicrosoftなど、AI関連企業の株価が指数全体に大きな影響を与えます。

仮にCoreWeaveの信用不安がさらに強まり、AIクラウド企業全体の設備投資が減速すれば、半導体メーカーの業績見通しにも影響が及ぶ可能性があります。

さらに、市場がAI関連企業の成長期待を引き下げれば、業績そのものが大きく悪化していなくても株価が下落することがあります。

株価は将来の利益成長を先取りして動くためです。

特にレバナスのようなレバレッジ型投資信託では、指数の下落による影響が拡大しやすくなります。

レバレッジ型投資信託の多くは、対象指数の日々の値動きに一定倍率で連動することを目指しています。

そのため、下落と上昇を繰り返す相場では、長期的な運用成績が指数の単純な倍率とは異なる場合があります。

例えば、指数が10%下落した後に約11.1%上昇すれば、指数はほぼ元の水準に戻ります。

しかし、日々の値動きの2倍に連動する商品では、同じ2日間の変動によって元本が回復しないことがあります。

AI関連株の価格変動が大きくなる局面では、こうした仕組みによる影響も無視できません。

もちろん、AI市場が今後も拡大し、関連企業の利益成長が続く可能性もあります。

そのため、AI関連銘柄への投資を一律に避ける必要があるというわけではありません。

重要なのは、投資対象の集中度やレバレッジの大きさを把握し、想定以上の下落が発生した場合にも対応できる資産配分を考えることです。

まとめ:AIバブル崩壊の導火線は本当に着火したのか

2026年10月、CoreWeaveの信用リスクが急上昇したことで、AIインフラ投資の持続可能性に対する懸念が強まっています。

2026年10月15日にはCDSスプレッドが1194.5ベーシスポイントまで上昇し、市場が織り込む5年以内の債務不履行確率は60%を超える水準に達しました。

同社は売上を急速に拡大していますが、同時に借入金や利息負担も増加しています。

さらに、NVIDIA、OpenAI、AMD、CoreWeaveなどの企業間で出資や設備購入、長期契約を通じた資金循環が形成されており、1社の信用不安がほかの企業に波及する可能性も指摘されています。

こうした構造には、2000年のITバブル崩壊前夜に見られたベンダーファイナンスと共通する部分があります。

しかし、現在のAI市場ではMicrosoftやAmazon、Metaなどの資金力のある巨大企業が設備投資を支えており、2000年と全く同じ状況にあるわけではありません。

また、CoreWeaveには1040億ドル規模の売上バックログがあり、AI計算能力に対する長期的な需要も存在しています。

現時点で確認できるのは、AIバブルがすでに崩壊したという事実ではなく、AIインフラ投資を支える信用市場で深刻な警戒感が生まれているということです。

今後は、CoreWeaveのCDS、GPUのレンタル価格、大手IT企業の設備投資や減価償却の動向が重要な判断材料になります。

もしAIクラウド企業の資金調達環境がさらに悪化し、それが半導体メーカーの受注や巨大IT企業の投資計画に影響し始めれば、NASDAQ100やS&P500、さらには日本の半導体関連株にも下落圧力が広がる可能性があります。

特に新NISAで米国株に投資している人や、NASDAQ100にレバレッジをかけた商品を保有する人にとっては、AI関連株への投資集中がどの程度になっているかを把握しておくことが重要です。

AI技術の普及が長期的に続くことと、現在のAI関連企業すべてが投資に見合う利益を生み出せることは、必ずしも同じではありません。

2000年のITバブル崩壊後もインターネットは成長を続けましたが、その過程で多くの企業が市場から姿を消しました。

今回のAIブームでも、技術の発展と株式市場の評価が異なる方向に進む可能性があります。

投資家には、AIの将来性に対する期待だけでなく、企業の財務状況、資金調達コスト、設備の収益性を冷静に見極める姿勢が求められています。

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