本記事は、YouTube動画『日本株と米国株の株高が止まらない。AI第2章と半導体相場の行方』の内容を基に構成しています。
日本株と米国株が同時に急騰した背景
2026年5月7日、日本株と米国株は大きく上昇し、市場では強いリスクオンの動きが広がりました。
動画では、S&P500が市場初の7300ポイントを突破し、ナスダック100も最高値を更新したと紹介されています。さらに、日本では日経平均が前日比で3500円超上昇し、上げ幅としては2024年8月6日の3217円を超えて歴代1位を記録したと説明されています。
特に注目すべきなのは、今回の上昇が単なる全面高ではなく、半導体関連株を中心に起きている点です。AMD、Intel、Arm、東京エレクトロン、アドバンテスト、ルネサスエレクトロニクス、キオクシアなど、AIや半導体サプライチェーンに関係する銘柄へ資金が集中しています。
動画では、この流れを「AI第2章」と表現しています。これまでのAI相場は、主にNVIDIAのGPUが中心でした。しかし、今後はCPU、メモリー、データセンター、電線、検査装置、製造装置など、AIを支える幅広い産業に資金が広がっていく可能性があるという見方です。
なぜ今、半導体株がここまで買われているのか
今回の株高の中心にあるのは、半導体市場の急拡大です。
動画では、SOX指数、つまりフィラデルフィア半導体株指数が大きく上昇していることが紹介されています。SOX指数は、半導体関連の主要30銘柄で構成される指数です。動画によると、2026年4月の月間上昇率は、ITバブル期だった2000年2月以来の大きさとなり、3月末の底値から4月末までに38.7%上昇したとされています。
半導体株が買われる理由は明確です。世界の半導体売上が大きく伸びているからです。
動画内では、世界半導体統計であるWSTSのデータとして、2026年2月の世界半導体売上が前年比86.1%増、米国だけで見ると99.1%増だったと説明されています。つまり、前年と比べてほぼ倍に近い成長が起きているということです。
さらに、2026年の世界半導体市場は前年比約26%増の9750億ドル規模に達し、いよいよ1兆ドル産業に近づいていると語られています。
ここで重要なのは、半導体市場の成長が一部のGPU企業だけに限られていない点です。AIの使われ方が変化することで、半導体の需要そのものが広がり始めています。
AI第2章とは何か
これまでのAI相場はNVIDIA中心だった
これまでのAI相場では、NVIDIAが主役でした。
AIの学習や推論では、大量の計算処理が必要になります。特にAIモデルを学習させるには、同じような計算を膨大な量で繰り返す必要があります。この作業に向いているのがGPUです。
GPUはもともと画像処理に使われてきた半導体ですが、並列計算が得意なため、AIの学習に非常に適しています。そのため、ChatGPTのような生成AIブームでは、NVIDIAのGPUが圧倒的な存在感を持ちました。
動画では、これまでのAI相場を「第1章」とし、NVIDIA中心、GPU中心、学習・推論中心の相場だったと整理しています。
AI第2章ではCPUの重要性が高まる
一方、今後のAI相場では、CPUの重要性が高まると説明されています。
その理由が、エージェント型AIの普及です。
従来のAIは、ユーザーが「文章を要約して」「メールを書いて」「表を作って」と指示すれば、それに対して答えを返す形が中心でした。しかし、エージェント型AIはさらに進んでいます。
エージェント型AIは、自分で判断し、複数の作業を同時に進め、ブラウザーを操作し、結果を見て修正し、場合によっては複数のAIがチームのように動くこともあります。
このような処理では、単純な大量計算だけでなく、状況判断、条件分岐、タスク管理、複数処理の調整が必要になります。そこで重要になるのがCPUです。
動画では、Intelの資料として、AIの学習ではGPUの比率が高く、推論でもGPUが中心だった一方、エージェント型AIになるとGPUとCPUの比率が1対1に近づくと紹介されています。
つまり、AIが高度化するほど、GPUだけでなくCPUも必要になるということです。
AMDの決算がCPUルネサンスの象徴になった
この変化を象徴する存在として、動画ではAMDの決算が取り上げられています。
AMDは、Intelと競合するCPUメーカーとして知られています。動画によると、2026年1月から3月期のAMD決算では、純利益が前年比95%増、売上高が38%増、データセンター向け売上が57%増となり、市場予想を大きく上回ったとされています。
さらに、4月から6月期の見通しも市場予想を6億ドル上回る112億ドルとなり、決算翌日に株価は18%上昇、1ヶ月で2.1倍になったと説明されています。
AMDのリサ・スーCEOは、推論とエージェント型AIがサーバー向けCPUの需要を高めていると述べ、市場成長率の予想を年平均35%以上に引き上げたと紹介されています。
動画では、サーバー向けCPU市場が2030年までに1200億ドル超に拡大する可能性があると語られています。しかも、この予想はわずか半年前の見通しから2倍に上方修正されたとされています。
この流れが「CPUルネサンス」と呼ばれている理由です。
半導体サプライチェーン全体に資金が広がっている
半導体は1社だけでは作れない
半導体産業の特徴は、1社ですべてを完結できないことです。
半導体には、設計、製造、検査、メモリー、材料、インフラなど、さまざまな工程があります。AI需要が拡大すると、その恩恵は特定の企業だけでなく、サプライチェーン全体に広がります。
動画では、この構造を理解することで、どのニュースがどの銘柄に影響するのかが見えやすくなると説明されています。
設計企業:NVIDIA、AMD、Arm、Intel、Broadcom
まず、半導体を設計する企業です。
NVIDIAは、GPU設計の絶対王者としてAI半導体市場をけん引してきました。ただし、エージェント型AIの流れを受けて、CPU分野にも踏み込んでいると紹介されています。
AMDは、今回のCPUルネサンスの代表的な受益企業です。データセンター向けの売上が伸び、株価も大きく上昇しています。
Armは、半導体の設計図を提供する企業です。スマートフォン向けで圧倒的な存在感を持ち、ソフトバンクグループの傘下企業としても知られています。動画では、Armの1月から3月期の純利益が49%増、売上が過去最高となり、株価も1ヶ月で6割上昇したと説明されています。
Intelは、長年CPU市場の中心にいた老舗企業です。近年はAMDに押される場面もありましたが、CPUルネサンスの流れで再評価が進み、動画では1ヶ月で株価が2.6倍になったと紹介されています。
Broadcomは、ネットワーク用半導体の大手です。AIデータセンターでは、計算能力だけでなく、データセンター間の通信能力も重要になります。そのため、AIインフラ拡大の恩恵を受ける企業として注目されています。
製造企業:TSMCと東京エレクトロン
次に、設計された半導体を実際に作る製造分野です。
TSMCは、世界最大の半導体受託製造企業です。NVIDIA、AMD、Appleなど、多くの大手企業がTSMCに製造を委託しています。動画では、TSMCなしではAI半導体は作れないと言えるほど重要な存在だと説明されています。
日本企業では、東京エレクトロンが注目されています。東京エレクトロンは、半導体製造装置の世界的大手です。半導体を作るための装置を提供しているため、世界の半導体生産が増えるほど需要が高まりやすくなります。
動画では、東京エレクトロンが株式分割考慮後の上場来高値を更新したと紹介されています。
検査企業:アドバンテストとディスコ
半導体は、作れば終わりではありません。正しく動くかを検査する必要があります。
ここで重要になるのが、アドバンテストです。アドバンテストは半導体検査装置で世界トップ級の日本企業です。AIチップは非常に複雑なため、検査工程の重要性が高まっています。
動画では、アドバンテストが日経平均の上昇をけん引した銘柄の1つとして紹介されています。
また、ディスコも重要です。ディスコは、半導体ウエハーの切断や研磨装置で世界トップクラスの企業です。一見地味に見える工程ですが、半導体製造には欠かせない存在です。
メモリー企業:キオクシア、Samsung、SK hynix、Micron
AI需要の拡大で、メモリー分野にも資金が流れています。
動画では、メモリー価格が半年で4倍に急騰していると説明されています。データセンター需要が拡大する一方、生産能力が追いついておらず、供給がひっ迫しているためです。
特に注目されているのがHBMです。HBMは、高帯域幅メモリーと呼ばれ、AI処理に必要な大量データの高速処理に使われます。
キオクシアは、NAND型フラッシュメモリーで世界大手の日本企業です。動画では、キオクシアがストップ高となり、午前中は値がつかないほど買いが集まったと紹介されています。
Samsung電子、SK hynix、Micronも、AI向けメモリー需要の拡大で恩恵を受ける企業として挙げられています。
インフラ企業:ルネサス、藤倉、古河電工、ソフトバンクグループ
AI相場の広がりは、半導体そのものだけにとどまりません。
ルネサスエレクトロニクスは、車載マイコンで世界トップ級の企業ですが、動画ではデータセンター向けAI半導体の需要も伸びていると説明されています。1月から3月期の営業利益は前年比320%増となり、年初来高値を更新したと紹介されています。
また、藤倉や古河電工のような電線メーカーもAI関連株として買われています。AIが普及すると、データセンターが増えます。データセンターには大量の電力と通信ケーブルが必要です。そのため、電線やケーブルの需要も増えるという構図です。
ソフトバンクグループは、Armの親会社として、CPUルネサンスの恩恵を受ける企業として取り上げられています。
追加解説:今の相場が強い3つの理由
理由1:米国ハイテク大手の決算がAI需要の強さを示した
動画では、半導体以外にも相場を支える材料があると説明されています。
その1つが、米国ハイテク大手の決算です。
Google、Microsoft、Amazonなどのクラウド事業が好調で、AI需要が継続していることが確認されたとされています。特にGoogle Cloudは大きく伸び、黒字化したと紹介されています。
AIは半導体だけで完結するものではありません。AIモデルを動かすには、クラウド、データセンター、サーバー、電力、通信インフラが必要です。大手ハイテク企業が巨額の設備投資を続けていることは、AI投資サイクルがまだ初期段階にあるという見方につながっています。
理由2:中東リスクの後退が成長株に追い風
2つ目の理由は、中東リスクの後退です。
動画では、米国とイランの戦闘終結に向けた合意が近いとの報道が出ていると紹介されています。中東情勢が落ち着けば、原油価格が下落しやすくなります。原油価格が下がれば、インフレ懸念が和らぎます。
インフレ懸念が後退すると、金利上昇への警戒が弱まり、成長株には追い風になりやすくなります。
3月の安値の要因がイラン情勢だったとすれば、その巻き戻しが大きく出ているという説明です。
理由3:日本株には自社株買いと企業改革の追い風がある
3つ目の理由は、日本株独自の材料です。
動画では、2025年の自社株買い取得枠が22兆3250億円となり、5年連続で過去最大を更新したと紹介されています。
自社株買いは、企業自身が市場で自社の株を買うことです。これにより市場の需給が改善し、1株利益であるEPSが上がりやすくなります。
また、東京証券取引所がPBR1倍割れ企業に改善を求めていることも、日本株再評価の材料になっています。企業は資本効率を意識し、自社株買い、増配、政策保有株の売却などを進めるようになっています。
海外投資家から見ると、日本企業が変わり始めているように見えるため、日本株への資金流入につながりやすいという見方です。
長期投資家はこの相場をどう考えるべきか
上昇が一部銘柄に偏っている点には注意が必要
動画では、強気材料だけでなく注意点にも触れています。
その1つが、上昇の偏りです。
NT倍率が16.3倍台となり、過去最高水準にあると紹介されています。NT倍率とは、日経平均をTOPIXで割った指標です。日経平均に影響の大きい一部の値がさ株が強く買われると、NT倍率は上がりやすくなります。
今回の日経平均急騰も、半導体関連の一部大型株が大きく貢献している面があります。一方で、任天堂やソニーグループなど、下落している銘柄もあると動画では説明されています。
つまり、指数全体が大きく上がっているように見えても、すべての企業が均等に買われているわけではありません。
PERだけで割高と判断しない
動画では、長期投資家が見るべきポイントとして、企業業績の成長が挙げられています。
株価は大きく分けると、PERとEPSで説明できます。PERは市場の期待を表し、EPSは企業の利益を表します。
PERが高いから危険という単純な話ではありません。企業のEPSが伸び続けていれば、高めのPERが維持されることもあります。
動画では、S&P500のEPSが2026年通年で前年比15%以上の増益見通しであり、6四半期連続の2桁増益が見込まれていると紹介されています。
重要なのは、株価が高いか安いかだけを見るのではなく、企業の利益が本当に伸びているかを見ることです。
乗り遅れたと感じても焦らない
急騰相場では、「もう乗り遅れた」と感じる人が増えます。
しかし動画では、乗り遅れたと思う人は永遠に乗り遅れ続けると指摘されています。
S&P500は、リーマンショック、コロナショック、地政学リスクなど、何度も「もう終わりだ」と言われてきました。それでも長期的には回復し、最高値を更新してきました。
長期投資を前提にするなら、目先の上げ下げに振り回されるよりも、自分の投資ルールを守ることが重要です。
お祭り相場の日こそ冷静さが必要
動画の最後では、急騰相場の日こそ冷静になるべきだと語られています。
上がっているからといって飛び乗らない。下がっているからといって慌てて売らない。インデックス投資をしている人であれば、先月も今月も来月も、同じ金額を淡々と積み立てることが基本になります。
相場が大きく動く日は、感情も大きく動きます。しかし、長期投資では感情的な売買が最も大きな失敗につながりやすいです。
まとめ:AI相場はGPU中心からサプライチェーン全体へ広がり始めている
今回の動画では、日本株と米国株の急騰について、その中心にある半導体相場とAI第2章の流れが解説されていました。
これまでのAI相場は、NVIDIAのGPUを中心とした「AI第1章」でした。しかし、エージェント型AIの普及によって、CPUの重要性が高まり、AMD、Intel、Armなどが再評価されています。
さらに、AI需要は設計企業だけでなく、TSMC、東京エレクトロン、アドバンテスト、ディスコ、キオクシア、Micron、藤倉、古河電工、ルネサスエレクトロニクスなど、半導体サプライチェーン全体へ広がっています。
一方で、相場の上昇が一部の半導体関連銘柄に偏っている点には注意が必要です。急騰局面では、どうしても「今すぐ買わなければ」と焦りやすくなります。しかし、長期投資家にとって大切なのは、相場の熱気に流されることではなく、企業業績の成長、自分の投資方針、積み立てルールを冷静に確認することです。
AI相場は、単なるブームではなく、データセンター、半導体、電力、通信、メモリー、製造装置など、幅広い産業構造を変える可能性があります。
その意味で、今回の株高は単なる一時的な急騰ではなく、AI時代が次の段階へ進み始めたことを示す動きとして見ることができます。


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