本記事は、YouTube動画『【S&P500】10年に一度級の下落局面?長期で見た上昇余地と注意点をデータ解説』の内容を基に構成しています。
S&P500は珍しく6月に下落、しかし米国株の基調は崩れていない
2026年6月の米国株市場は、やや重い展開となりました。
動画内では、S&P500が6月にマイナスで着地したことについて触れられています。特に注目すべきは、2016年から2025年までの10年間で、6月にS&P500が下落したのは2022年の1回だけだったという点です。
つまり、過去の傾向だけで見れば、6月は比較的上昇しやすい月でした。しかし今回はその傾向に反してマイナスとなり、投資家にとってはやや厳しい月だったといえます。
ただし、月中で大きく崩れたまま終わったわけではありません。安いところからはある程度戻しており、ナスダックも何とか踏みとどまった形です。そのため、6月単体では弱さが目立ったものの、米国株全体の上昇基調が完全に崩れたと見るには早い状況です。
6月の主役はスペースX上場とナスダック100への組み入れ期待
6月の米国市場で大きな話題となったのが、スペースXの上場です。
動画では、スペースXが6月29日にはオルカに組み入れられ、さらに7月7日にはナスダック100に組み入れられる予定だと紹介されています。
ナスダック100は、米国の大型ハイテク株を中心に構成される代表的な指数です。そこにスペースXのような注目企業が加わることは、指数全体への関心を高める材料になります。
一方で、動画内では慎重な見方も示されています。スペースXは将来性の大きな企業である一方、現時点での株価には将来の期待がかなり織り込まれている可能性があります。そのため、仮に組み入れ後に株価が下落すれば、ナスダック100全体の足を引っ張る要因にもなりかねません。
期待が大きい銘柄ほど、期待値が高すぎる場合には調整も大きくなりやすい点には注意が必要です。
セクター別では半導体が圧倒的に強い
6月のセクター別の動きを見ると、エネルギーが下落し、市場全体の重しとなりました。テクノロジーは何とか横ばい圏で踏みとどまりましたが、通信サービスはやや弱い動きとなっています。
一方で、資金が明確に向かっているのが半導体関連です。
動画では、ヘッジファンドなどの資金が一般的な大型ハイテク株、いわゆるマグニフィセント7から一部流出する一方で、半導体には大きく資金が入っていると説明されています。
特に4月から6月までの第2四半期で見ると、ナスダックは大きく上昇し、テクノロジーセクターも強い動きでした。その中でも半導体は、わずか3ヶ月で94%という非常に大きな上昇を見せたとされています。
これは単なる短期的なテーマ株物色ではなく、AI需要やデータセンター投資などを背景に、半導体企業の業績見通しそのものが大きく変わっていることを示しています。
半導体株はバブルなのか、それとも割安なのか
半導体株が大きく上昇すると、多くの投資家は「買われすぎではないか」と警戒します。
しかし動画では、単純な株価上昇率だけで判断するのではなく、バリュエーションを見ることが重要だと強調されています。
例えば、2000年のドットコムバブル時代には、利益が出ていない企業の株価が大きく上昇していました。PERが100倍を超える企業や、そもそも利益がないためPERが計算できない企業まで買われていたのです。
一方、現在の半導体企業は状況が異なります。AI需要やデータセンター需要によって、実際に利益が伸びている企業が多く、将来の業績見通しに対して株価がむしろ割安に見えるケースもあると説明されています。
そのため、現在の半導体相場を2000年のITバブルと単純比較するのは適切ではないという見方です。
S&P500にはまだ約2割の上昇余地がある可能性
動画の中で特に重要なのが、S&P500のボトムアップターゲットプライスに関する解説です。
ボトムアップターゲットプライスとは、指数を構成する各企業の業績や目標株価を積み上げて、指数全体の理論的な水準を計算する考え方です。
動画では、現在のS&P500の株価水準に対して、企業収益を積み上げた本来の価値はまだ上にあり、約2割程度の上昇余地があると説明されています。
特に、コミュニケーションサービスや情報技術セクターには、まだ株価が上がる余地が残されているとされています。
これは、市場がまだ企業業績の強さを十分に織り込めていない可能性を示しています。短期的には株価が上下することはありますが、バリュエーションから見れば、S&P500はまだ上昇余地を残しているという見方です。
マグニフィセント7は売られすぎ、Microsoftに注目
6月は、マグニフィセント7が非常に弱い動きとなりました。動画では、これらの大型ハイテク株が約12%下落した一方、それらを除いた指数は実はプラスだったと説明されています。
つまり、米国株全体が一斉に崩れたというより、一部の大型株が大きく売られたことで指数が押し下げられた面があるということです。
その中で特に注目銘柄として挙げられているのがMicrosoftです。
動画では、Microsoftについて「バリュエーションから見ても安い」と評価されています。業績が大きく悪化するイメージが持ちにくく、AI関連やクラウド事業などの成長期待も残っているため、売られすぎた反動で戻りが出る可能性があるという見方です。
ゴールドとシルバーは調整局面、相場として見るか資産として持つかが重要
6月は、ゴールドやシルバーも弱い動きとなりました。
動画では、以前はゴールドやシルバーに大きく資金が入っていたものの、足元では資金が抜けていると説明されています。
ただし、ここで重要なのは、ゴールドやシルバーを短期売買の対象として見るのか、長期的な資産保全の手段として見るのかを分けることです。
短期相場として見る場合、価格の上下に振り回されやすくなります。一方で、ポートフォリオ全体の一部として保有するのであれば、下落時に買い増す、上昇時に比率を調整するという考え方もできます。
動画では、相場として耐えられない人は無理に持ち続ける必要はない一方、資産全体の中でどの程度ゴールドを持つかという視点が大切だと説明されています。
原油価格は下がりにくく、インフレ再燃リスクに注意
エネルギーは6月に下落したものの、年初来で見るとまだプラスを維持しています。
動画では、原油価格が下がりにくくなっている点にも注意が必要だとされています。特に、中東情勢やホルムズ海峡に関するリスクが完全に消えたわけではありません。
突発的なニュースが出なくなっているにもかかわらず原油価格が大きく下がらないということは、何か悪材料が出た場合には一気に上昇する可能性があります。
原油価格の上昇は、インフレ懸念を再燃させる要因になります。そしてインフレ懸念が高まれば、金利上昇を通じて株式市場には逆風となります。
そのため、株式投資をするうえでも、原油価格やエネルギー市場の動きは無視できません。
ドル円は162円台、為替リスクにも注意が必要
動画では、ドル円が162円台に入ったことにも触れられています。
円安が進むと、日本から米国株に投資している人にとっては、円換算の評価額が上がりやすくなります。しかし、これは為替による押し上げ効果であり、株価そのものの上昇とは分けて考える必要があります。
また、160円から162円程度の動きであれば大きな差ではないかもしれませんが、今後逆方向に円高が進んだ場合には、為替差損が大きくなる可能性もあります。
動画では、165円、170円、180円といった極端な円安を期待して投資するのは避けた方がよいと説明されています。金利差から見ても、すでにかなり異常な水準に来ている可能性があるためです。
米国経済は雇用が改善する一方、不動産には不安もある
米国経済については、ポジティブな材料とネガティブな材料の両方が紹介されています。
まず雇用面では、仕事をしたい人に対して求人がどれくらいあるかを示すデータで、1人に対して1.03人の求人がある状況だと説明されています。これはギリギリではあるものの、1を上回っており、労働市場が改善しつつあることを示しています。
一方で、商業用不動産には不安があります。
オフィスやビルなどの商業用不動産では、賃料支払いの延滞率がリーマンショック後の水準を上回っていると説明されています。さらに、住宅ローン、学生ローン、自動車ローンなどでも延滞率の上昇が指摘されています。
これらの問題は、明日すぐに大きな危機につながるものではありません。しかし、2年から3年程度の時間差を置いて、経済に影響を与える可能性があります。
マネーサプライ増加が株式市場を支えている
一方で、米国のマネーサプライは増加しており、市場にはまだ資金があると説明されています。
マネーサプライとは、世の中に出回っているお金の量を示す指標です。これが増えているということは、景気や株式市場を支える資金が残っていることを意味します。
そのため、商業用不動産やローン延滞といった不安材料はあるものの、すぐに株式市場全体が崩れると見る必要はないという見方です。
第2四半期決算への期待は高い
6月が終わり、4月から6月までの第2四半期決算が意識される時期に入っています。
動画では、第2四半期の予想利益成長率について、エネルギーが120%、情報技術が60%超、S&P500全体でも20%を超える増益が見込まれていると説明されています。
特に情報技術セクターの60%超の利益成長は非常に大きな数字です。半導体やAI関連企業の収益力が強く、市場がその強さをまだ十分に織り込んでいない可能性があります。
この業績の強さが確認されれば、株価が再び上方向に動く材料になる可能性があります。
7月前半は上昇しやすいが、後半以降は注意
動画の最後では、S&P500の季節性についても解説されています。
過去50年のデータを見ると、7月は比較的上昇しやすい月です。特に7月前半は強い傾向があります。
一方で、7月後半からは相場が重くなりやすく、9月は過去50年平均でマイナスとなっています。
そのため、短期的には7月前半にどこまで上昇できるかが重要です。もし7月前半で上値を伸ばせなければ、7月後半から9月にかけては調整に注意する必要があります。
長期投資家にとっては短期の季節性に過度に振り回される必要はありませんが、追加投資や短期売買を考えている人にとっては、7月前半の動きが1つの判断材料になります。
まとめ
今回の動画では、6月のS&P500下落をきっかけに、米国株市場の現状と今後の見通しがデータをもとに解説されました。
6月のS&P500は過去10年でも珍しいマイナス着地となり、マグニフィセント7も大きく売られました。しかし、指数全体を細かく見ると、米国株の基調が完全に崩れたわけではありません。
特に半導体や情報技術セクターは、業績面から見ても非常に強く、バリュエーション面でもまだ割安に見える銘柄があります。S&P500全体についても、企業収益を積み上げた理論値から見れば、約2割の上昇余地がある可能性が示されています。
一方で、原油価格の下げ渋り、円安の進行、商業用不動産の延滞率上昇、ローン延滞の増加など、注意すべき材料もあります。
つまり、米国株はまだ上昇余地を残している一方で、短期的には7月後半から9月にかけて調整リスクにも注意が必要な局面です。
長期投資家にとっては、短期の下落に過度に動揺するよりも、企業業績やバリュエーションを確認しながら、冷静に投資方針を維持することが重要です


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