新NISAの複利効果は本当に意味があるのか?投資信託で資産が増える仕組みを初心者向けに解説

本記事は、YouTube動画『新NISAで複利効果は本当に効くのか』の内容を基に構成しています。

目次

新NISAでよく聞く「複利効果」は本当に働いているのか

新NISAで投資信託を買うとき、よく耳にする言葉の1つが「複利効果」です。

複利とは、得られた利益を元本に組み入れ、その増えた元本がさらに利益を生む仕組みを指します。資産形成の説明では非常に便利な言葉であり、「早く始めるほど有利」「長く続けるほど大きく増える」と語られることが多くあります。

しかし、投資信託は銀行預金のように毎年決まった利息が付く商品ではありません。保有している口数が勝手に増えるわけでもありません。それにもかかわらず、なぜ投資信託でも「複利で増える」と言われるのでしょうか。

今回の動画では、新NISAや投資信託における複利効果について、よくある誤解を整理しながら解説しています。結論から言えば、投資信託にも複利的な効果はあります。ただし、それは定期預金のような固定利息の複利とは別物です。

ジャックとジルの話が示す「早く始める力」

複利の説明で有名な話に、「ジャックとジル」の例があります。

動画では、この話を日本円に置き換えて説明しています。Aさんは25歳から投資を始め、毎月3万円を10年間だけ積み立てます。25歳から35歳まで積み立てた後は、追加投資を一切せず、65歳までそのまま保有します。元本は3万円×12ヶ月×10年で360万円です。

一方、Bさんは35歳から投資を始め、毎月3万円を30年間、65歳まで積み立てます。元本は3万円×12ヶ月×30年で1080万円です。

普通に考えれば、30年間積み立てたBさんの方が有利に見えます。元本もAさんの3倍です。しかし、年率7%で運用できたと仮定すると、65歳時点ではAさんが約4215万円、Bさんが約3660万円になるという結果が示されます。

つまり、Aさんは元本が360万円しかないにもかかわらず、早く始めて長く運用したことで、元本1080万円のBさんを上回る可能性があるということです。

この話は、複利の力を説明するうえで非常に分かりやすい例です。ただし、ここで注意すべき点があります。このシミュレーションは、毎年きれいに年率7%で増えることを前提にしています。

実際の株式インデックスや投資信託は、毎年7%ずつ安定して増えるわけではありません。ある年は20%上がることもあれば、別の年には15%下がることもあります。暴落によって資産が大きく減る時期もあります。

そのため、投資信託におけるジャックとジルの話は、「毎年固定で複利が付く」という意味ではありません。正しく言い換えるなら、「市場にいる時間が長いほど、企業成長や配当再投資の恩恵を受けやすい」ということです。

投資信託の複利は預金の複利とは違う

一般的な複利の説明では、元本に利息が付き、その利息が元本に組み込まれ、翌年はさらに大きな元本に対して利息が付くと説明されます。

例えば100万円を年5%で運用した場合、単利であれば毎年の利息は5万円です。30年間続ければ、利息は5万円×30年で150万円となり、元本100万円と合わせて250万円になります。

一方、複利の場合は1年目に100万円が105万円になります。2年目は105万円に対して5%が付き、5万2500円増えます。3年目はさらに増えた110万2500円に対して5%がかかります。このように、利益が次の利益を生む仕組みが複利です。

しかし、投資信託では利息が決まって付くわけではありません。投資家が保有しているのは「口数」であり、資産額は基準価額と保有口数によって決まります。

投資信託の中に入っている株式が値上がりしたり、企業から配当金が出たり、その配当金がファンド内で再投資されたりすることで、純資産が増え、基準価額が上昇していきます。

つまり、投資信託では「利息が利息を生む」というよりも、「企業利益の成長や配当再投資が基準価額を押し上げる」と考える方が正確です。

インデックス投資で買っているのは、利息が出る魔法の箱ではありません。米国や世界中の企業の利益成長を、自分の資産形成に取り込む仕組みだと考えるべきです。

配当再投資は複利的な成長を支える重要な要素

長期投資で重要になるのが、配当込みのリターンです。

ニュースでよく見るS&P500などの指数は、株価の動きだけを示す価格指数であることが多くあります。しかし、長期投資の本当の成果を見るには、配当を再投資したトータルリターンで見る必要があります。

動画では、S&P500の長期リターンのうち、配当が約31%、値上がりが約69%を占めてきたというデータが紹介されています。つまり、長期リターンの約3割は配当が作ってきたということです。

ただし、配当再投資そのものが複利のすべてではありません。配当がなくても、企業の利益成長によって株価が長期的に上昇すれば、資産は複利的に増える可能性があります。

複利的な資産形成は、企業の利益成長、株価の上昇、配当、自社株買い、低コスト、長期保有などが重なって生まれるものです。

分配金が多い投資信託には注意が必要

資産形成期に注意したいのが、投資信託の分配金です。

分配金が出ると「お金がもらえた」と感じるかもしれません。しかし、分配金は外から降ってくるボーナスではありません。基本的には、ファンドの中の資産を投資家に払い出しているものです。

老後の生活費として取り崩す段階であれば、分配金型の商品にも一定の意味があります。しかし、これから資産を増やしていく段階では、分配金を受け取ることで効率が落ちる場合があります。

特に課税口座では、分配金に税金がかかります。税金が引かれた後に再投資することになるため、資産の増加スピードが下がります。

例えば、毎年2%の分配金を受け取り、そのたびに約20%課税されると、2%のうち約0.4%分が税金で失われます。たった0.4%と思うかもしれませんが、30年という長期で見ると大きな差になります。

長期投資では、年0.1%、年0.2%、年0.4%といった小さな差が、時間とともに大きな差になります。複利は味方にすると強力ですが、コストや税金もまた複利的に効いてくる点には注意が必要です。

商品や口座を分けると複利効果は弱くなるのか

複利についてよくある誤解の1つが、「商品や口座を分けると複利効果が弱くなるのではないか」というものです。

例えば、S&P500連動型の投資信託を楽天証券と別の商品で分けて持っている場合や、NISA口座と特定口座に分かれている場合、1つにまとめた方が複利が効くように感じるかもしれません。

しかし、同じリターンの商品であれば、基本的に分けてもまとめても結果は同じです。

100万円を年7%で30年間運用すると約761万円になります。では、50万円ずつ2つに分けて、それぞれ年7%で30年間運用した場合はどうなるでしょうか。片方が約380万円、もう片方も約380万円となり、合計は約761万円です。

重要なのは、口座や商品を1つにまとめることではありません。何に投資しているのか、コストはいくらか、税金はどうか、そして自分が長く続けられるかどうかです。

1000万円を超えると複利が効き始めるわけではない

もう1つの誤解が、「資産1000万円を超えると複利が効き始める」という考え方です。

確かに、100万円の7%は7万円ですが、1000万円の7%は70万円です。1億円の7%なら700万円です。同じ7%でも、資産額が大きくなるほど増える金額は大きくなります。

そのため、1000万円を超えたあたりから資産の増え方が変わったように感じる人は多いです。

しかし、正確には1000万円から複利が効き始めるわけではありません。複利は1万円でも10万円でも100万円でも働いています。ただし、資産額が小さいうちは増える金額も小さいため、実感しにくいだけです。

小さな雪玉を転がしても、最初はなかなか大きくなりません。しかし、雪は確実についています。雪玉が大きくなると、同じ距離を転がしているだけでも、付着する雪の量が増えていきます。

投資も同じです。1000万円は複利のスイッチではなく、複利を実感しやすくなる1つの節目にすぎません。

分配金が出ない投資信託にも複利効果はある

「分配金が出ない投資信託には複利効果がない」という誤解もあります。

例えば、オルカンやS&P500に連動する低コスト投資信託は、基本的に分配金を出さない商品が多くあります。分配金が出ないため、「再投資されていないのではないか」「複利ではなく単利なのではないか」と感じる人もいるかもしれません。

しかし、分配金が出ていないからといって、配当が消えているわけではありません。ファンドが受け取った配当金は、基本的にファンド内部で再投資されます。

投資家の口座に分配金として出てこないだけで、ファンド内では資産形成に活用されているのです。

むしろ資産形成期には、分配金を出さずに内部で再投資するタイプの投資信託の方が効率的になりやすいです。分配金を受け取り、税金を引かれてから再投資するよりも、ファンド内部で再投資される方が手間も少なく、長期投資に向いています。

新NISAで複利的な力を味方にする5つの方法

新NISAで複利的な力を味方にするには、難しいことをする必要はありません。動画では、非常にシンプルな考え方が紹介されています。

まず大切なのは、早く始めることです。完璧なタイミングを待ち続けて時間を失うことは、長期投資では大きな機会損失になります。底値で買えなくても、最高の商品を最初から選べなくても、低コストで分散された商品を無理のない金額で始めることには大きな意味があります。

次に重要なのが、低コストの商品を選ぶことです。将来のリターンは誰にも分かりません。しかし、信託報酬などのコストは事前にかなり分かります。コストは確実なマイナスリターンであり、自分でコントロールできる数少ない要素です。

例えば、毎月5万円を30年間積み立て、元本1800万円を投資した場合、年5%で運用できると約4161万円になります。一方、コストなどによって実質リターンが年4%になれば、約3470万円にとどまります。たった年1%の差でも、30年では約691万円の差になるのです。

3つ目は分散です。米国株だけでも一定の分散はされていますが、全世界株ならさらに広く分散できます。どちらが絶対に正解という話ではありません。大切なのは、自分が納得して長く持てる商品を選ぶことです。

4つ目は、資産形成期には分配金をなるべく出さない商品を選ぶことです。内部で再投資される投資信託の方が、資産形成期には効率的になりやすいからです。

5つ目は、売買を減らすことです。頻繁に売買すると、課税口座では税金が発生します。新NISAでは運用益が非課税ですが、それでも売買を繰り返せば市場にいる時間が短くなり、複利的な効果を受けにくくなります。

長期投資で大切なのは、完璧な売買タイミングを当てることではありません。自分が決めた方針を続けることです。

新NISAは複利を生む魔法の箱ではなく、複利を邪魔しにくい器

新NISAは、投資すれば自動的に資産が増える魔法の制度ではありません。何を買うか、どれくらいリスクを取るか、どれくらい長く持てるかによって結果は大きく変わります。

しかし、新NISAには大きなメリットがあります。それは、運用益が非課税になることです。

通常、特定口座で利益を確定すると、利益に対して約20%の税金がかかります。分配金や配当金にも課税されます。これにより、資産形成の効率は下がります。

一方、新NISAでは運用益が非課税です。利益を税金で削られにくいため、長期投資における複利的な力を邪魔しにくい制度だと言えます。

ただし、新NISAに入れたからといって、どんな商品でもよいわけではありません。高コストの商品を買ったり、テーマ型の商品に乗り換えたり、暴落時に慌てて売ったりすれば、せっかくの制度のメリットを活かしきれません。

新NISAで大切なのは、低コストで広く分散された商品を選び、無理のない金額で、長く市場に居続けることです。

まとめ

今回の動画では、新NISAや投資信託における複利効果について、初心者にも分かりやすく整理されていました。

投資信託の複利は、定期預金のように毎年決まった利息が付く仕組みではありません。保有口数が自動的に増えるわけでもありません。投資信託における複利的な力とは、企業の利益成長、株価上昇、配当再投資、長期保有が重なり、基準価額が時間をかけて成長していく仕組みです。

ジャックとジルの話が示しているのは、単に「早く始めれば必ず勝てる」ということではありません。市場にいる時間が長いほど、企業成長や配当再投資の恩恵を受ける機会が増えるということです。

また、商品や口座を分けると複利が弱くなる、1000万円を超えないと複利が効かない、分配金が出ない投資信託には複利効果がない、といった考え方は誤解です。

新NISAで複利的な力を味方にするには、早く始めること、低コストの商品を選ぶこと、分散すること、分配金をなるべく出さない商品を選ぶこと、そしてむやみに売買しないことが重要です。

新NISAは複利を生む魔法の箱ではありません。しかし、税金で運用益を削られにくいという意味で、長期投資の複利的な力を邪魔しにくい非常に強い器です。

長期投資は、短期間で大きく勝つ派手な勝負ではありません。今日の小さな積み立てが、10年後、20年後、30年後の自分を支える土台になります。焦らず、しかし着実に続けることが、資産形成では何より大切だと言えるでしょう。

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