日経平均上昇でもNTTは逆行安 踏み上げ相場は終わったのか?信用残・日証金・配当落ちから検証

本記事は、YouTube動画『日経上昇なのにNTT「逆行安」踏み上げ相場は終わったのか』の内容を基に構成しています。

9月24日の日経平均は495円上昇し、6万5513円まで上昇しました。一方、NTT株は174.9円と、前営業日から2.4円安となりました。

これまでNTTについては、信用売り残の増加を背景に「空売り勢の買い戻しによる踏み上げ」が株価上昇要因の1つとして注目されていました。そのため、指数が上昇する中でNTTだけが下落すると、「踏み上げ相場は終わったのではないか」と考える投資家もいるでしょう。

動画では、9月24日の下落だけでNTTの上昇相場が終わったと判断するのは早いとしています。

ただし、これまで株価上昇を支えてきた「踏み上げ期待」については、以前と同じ強さで見ることは難しくなっていると分析しています。

その最大の理由が、日証金の貸株残高の急減です。

目次

日経平均が上昇したのにNTTが下落した理由

まず確認しておきたいのが、9月24日は日本株全体が上昇していたわけではないという点です。

日経平均は495円上昇しましたが、TOPIXは約0.4%下落しました。

東証プライム市場でも、値上がり銘柄が674銘柄だったのに対し、値下がり銘柄は838銘柄でした。

つまり、幅広い銘柄が買われた全面高ではありません。

日経平均を大きく押し上げたのは、一部の半導体関連株でした。

アドバンテストだけで日経平均を約244円、イビデンで約191円押し上げており、この2社だけで約435円になります。

日経平均の上昇幅495円の大部分が、少数の半導体関連株によって作られていたことになります。

一方、情報・通信業は約0.4%下落し、KDDIは約1%安、ソフトバンクも約1%安となりました。

したがって、NTTが174.9円まで下落したことだけを見て、「日経平均が上がったのにNTTだけが売られた。何か重大な悪材料があるのではないか」と考えるのは早計です。

実際には、AI・半導体関連株への資金集中によって、通信株などが相対的に弱くなったという市場全体の資金移動も影響していたと考えられます。

長期金利上昇もNTTには逆風

もう1つ無視できないのが、日本の長期金利です。

10年国債利回りは一時3.075%まで上昇しました。

一方、9月24日時点のNTTの予想配当利回りは約3.1%です。

もちろん、国債と株式を単純に配当利回りだけで比較することはできません。

株式には増配や株価上昇の可能性がある一方で、株価下落のリスクもあります。

ただし、ほぼ同じ3%台の利回りが国債から得られる環境になると、配当を目的に保有される株式の相対的な魅力が以前より低下する可能性があります。

つまり、9月24日のNTT下落については、

半導体株への資金集中、通信株全体の弱さ、長期金利上昇という複数の要因を分けて考える必要があります。

NTTの信用需給は大きく改善してきた

では、NTTの踏み上げ相場そのものはどうなっているのでしょうか。

ここで、週次の信用残を確認します。

7月10日時点では、NTTの信用買い残は約1億8665万株、信用売り残は約418万株でした。

信用倍率は44.60倍です。

信用買い残が非常に多く、信用売り残が少ない状態でした。

これは、信用取引で先回りして買っている投資家が多い一方、空売り勢が少ないため、株価が上昇した際に戻り売りが出やすく、踏み上げも起こりにくい需給構造です。

ところが、9月11日には状況が大きく変化しています。

信用買い残は6965万株まで減少しました。

7月10日から約63%減っています。

一方、信用売り残は2168万株まで増加しました。

その結果、信用倍率は3.21倍まで低下しています。

表面的に見ると、NTTの需給は大幅に改善したことになります。

実際、7月31日の終値152.4円から9月17日の180円まで、株価は約18%上昇しました。

信用買い残が減り、信用売り残が増え、その一方で株価が上昇する。

これは、踏み上げ期待が高まりやすい典型的な組み合わせです。

信用売り残はすでにピークアウトしている可能性

ただし、現在は信用倍率だけを見る段階ではありません。

信用売り残は8月28日に2624万株まで増加していました。

しかし、9月11日には2168万株まで減っています。

ピークから約17%減少したことになります。

その間、NTT株は168.6円から175.7円まで上昇しました。

つまり、増加していた信用売りの一部は、すでに買い戻された可能性があります。

これまでは、「増えた信用売りが将来の買い戻し燃料になる」という段階でした。

しかし現在は、その燃料がすでに使われ始めている可能性があります。

信用倍率3.21倍という数字だけを見て、まだ踏み上げ余地が大きいと判断するのは不十分です。

重要なのは、信用倍率が低下した理由です。

信用買い残が減ったのか、信用売り残が増えたのか、そして増加した信用売りが現在も残っているのか。

ここまで分解しなければ、本当の踏み上げ余力は分かりません。

日証金の貸株残高が約89%急減

さらに重要なのが、日証金の貸株残高です。

動画作成時点では、週次の信用残は9月11日分までしか確認できません。

そこで、より短期的な需給を見るために日証金のデータを確認しています。

日証金は、証券会社が制度信用取引に必要な資金や株券を調達する仕組みです。

ここで確認できる貸株残高は、市場全体の空売り残高ではありません。

また、機関投資家の空売りをすべて表す数字でもありません。

ただし、制度信用取引における売りが短期間でどの程度積み上がり、どの程度返済されたかを見るうえでは参考になります。

9月17日、NTTの日証金貸株残高は103万9600株まで増加しました。

この日のNTT終値は180円です。

新規貸株も98万9700株入りました。

180円近辺まで株価が上昇したところで、「これ以上は上がりにくい」と考えた空売りが増えたと見ることができます。

その後も株価が180円を超えて上昇し続ければ、空売り勢が損失回避のために買い戻しを迫られ、それがさらに株価を押し上げる可能性がありました。

まさに踏み上げが起きやすい状態です。

ところが、その後の動きは逆方向でした。

9月18日に貸株が大幅返済

9月18日には、貸株が75万300株返済され、貸株残高は28万8300株まで減少しました。

さらに連休明けの9月24日には、新規貸株が0株、返済が17万9000株となり、貸株残高は10万9300株まで減少しました。

9月17日の約104万株から見ると、わずかな期間で約89%減少しています。

一方、日証金の融資残高は9月17日の418万7000株から、24日には570万1700株まで増加しました。

融資残高を貸株残高で割ると、

9月17日は約4倍、9月18日は約18倍、9月24日には約52倍まで上昇しています。

逆日歩も発生していません。

この変化は非常に大きいといえます。

9月17日時点では売り方が増え、将来的な買い戻し圧力が高まりやすい状態でした。

しかし9月24日時点では、少なくとも日証金経由の空売り勢はかなり減少しています。

同じルートから生まれる踏み上げ燃料は、大きく減った可能性があります。

「空売りが多いから上がる」はそのまま使えない

このため、174.9円まで下落したNTTについて、「まだ空売りが多いから、いずれ自動的に踏み上がる」と考えるのは注意が必要です。

週次信用残では2168万株の信用売り残があります。

一方、日証金の貸株残高は10.9万株程度です。

数字が大きく違います。

しかし、これはどちらかの数字が間違っているわけではありません。

集計範囲と時間軸が違うためです。

週次信用残は、市場全体の信用取引を比較的広く確認する数字です。

一方の日証金データは、その中でも日証金を経由する貸借取引の短期的な変化を見る数字です。

したがって、踏み上げ分析をする際に、この2つを同じ空売り残高として単純に足し合わせることはできません。

現在のNTTを見るうえで重要なのは、

週次では依然として信用売り残が多い一方、日次では短期的な貸株残高が急速に減少しているという2つの事実を同時に見ることです。

9月17日から18日の動きが示す重要な変化

9月17日、NTTは177.2円で始まり、180円まで上昇し、そのまま180円で取引を終えました。

出来高は約1億7200万株です。

この日に日証金では約99万株の新規貸株が入りました。

180円まで株価が上昇したことで、「これ以上は上がりにくい」と考える売り方が増えた可能性があります。

もし翌日以降も180円を超えて上昇すれば、この売り方が含み損を抱え、買い戻しを迫られる可能性がありました。

しかし9月18日は、一時180.1円まで上昇したものの、終値は177.3円まで下落しました。

出来高は約2億5100万株まで増加しています。

そして、その日に75万300株の貸株が返済されました。

つまり、17日に増加した空売りのかなりの部分が、株価が下落した18日に返済されたことになります。

ここは踏み上げを考えるうえで重要です。

踏み上げは、空売りが存在するだけでは発生しません。

空売りした投資家の予想に反して株価が上昇し、損失を抱えた売り方が買い戻すことで上昇が加速する現象です。

今回の17日から18日の動きでは、空売りが増えた直後に株価が下落し、その下落局面で貸株の返済が進みました。

少なくとも日証金の範囲では、売り方が追い込まれて買い戻したというよりも、株価下落によって売りポジションを閉じやすくなったと見る方が自然です。

9月24日は新規貸株が0株

さらに9月24日は、新規貸株が0株でした。

一方で、17万9000株が返済されています。

つまり、9月17日に見られた「高値圏で新しい空売りが増加する」という動きは、24日時点では続いていません。

これが、「踏み上げ相場はまだ続いている」と単純には言えない大きな理由です。

ただし、別の見方もできます。

貸株残高が減少したにもかかわらず、株価が174.9円付近でとどまっているのであれば、株価下落の原因を空売りだけに求めることもできません。

空売り勢が減っているにもかかわらず株価が弱いのであれば、現物投資家による利益確定売りなど、別の売り圧力が存在している可能性があります。

したがって、

「空売りが減ったから安心」とも言えず、「空売りが減ったから踏み上げ相場終了で弱気」とも言えません。

重要なのは、空売り勢が減った後に、誰が次の買い手になるのかという点です。

出来高を見る限り「投げ売り」ではない

踏み上げ期待が弱まっている一方で、NTTの上昇相場そのものが終わったとはまだ判断できません。

その理由の1つが出来高です。

9月24日の出来高は約2億株でした。

直近20営業日の平均は約2億600万株です。

つまり、ほぼ平均的な出来高でした。

もし180円到達後に投資家が一斉に逃げ始めているのであれば、株価下落と同時に出来高が大きく膨らみ、平均を大幅に上回る売買が続く形を警戒する必要があります。

しかし、9月24日は下落したものの、出来高を見る限り異常な投げ売りが起きているとまでは言えません。

180円では売り圧力が強かった

出来高は量だけでなく、「どの日に増えたのか」も重要です。

高値をつけた9月17日の出来高は約1億7200万株でした。

翌18日は約2億5100万株まで増えています。

株価が180円で引けた日に出来高が最大だったわけではありません。

180.1円をつけた後、177.3円まで押し戻された日に売買が大きく増えています。

これは180円近辺で買いと売りが強くぶつかったことを示します。

一方、24日の約2億株は18日の出来高を下回り、直近平均とも大きな差がありません。

したがって、180円近辺で売り圧力が強かったことは確認できても、174円台まで売りが加速して相場そのものが崩れているとはまだ言えません。

「180円突破を止められたこと」と、「175円付近の土台まで崩れたこと」は別問題です。

175円付近が重要な価格帯

価格の位置も確認しておきます。

9月17日の終値は180円、18日の高値は180.1円でした。

そこから24日の174.9円までは、約3%の下落です。

一方、9月10日の終値は175.2円、11日は175.7円でした。

つまり174.9円という水準は、直前の上昇が始まる前の175円近辺まで戻ってきた位置です。

現時点では、「175円を割ったから上昇トレンド終了」と見るよりも、「180円突破に失敗し、以前のもみ合い水準まで戻った」と見る方が値動きには合っています。

もちろん、175円付近が必ず下値支持線になるわけではありません。

今後重要なのは、この価格帯で出来高を伴った売りが続くのか、それとも売りが一巡し、再び177円から180円を試す展開になるのかです。

配当権利落ちで値動きの判定が難しくなる

さらに、この時期のNTTは配当の影響も考える必要があります。

NTTの中間配当の基準日は9月30日です。

会社予想の中間配当は1株2.70円。

権利付最終日は9月28日、権利落ち日は9月29日です。

特に注意が必要なのが9月29日の値動きです。

権利落ち日には、理論上は配当分だけ株価が下落する要因があります。

仮に9月29日に2円から3円程度下落したとしても、それだけで「需給崩壊」「踏み上げ終了」と判断すると、配当落ちによる機械的な値下がりと、本当の売り圧力を混同してしまいます。

一方、権利付最終日の28日まで配当取り需要が意識される局面でも株価が弱いのであれば、確認すべき材料になります。

9月24日時点の予想配当利回りは約3.1%でした。

それでも株価が下落していることから、「高配当だから必ず買われる」という単純な相場ではないことも分かります。

権利取り前後は信用需給も動きやすい

配当権利取りの前後は、信用取引の需給も通常より動きやすくなります。

配当を受け取りたい現物投資家の買い、権利落ちを避けたい短期投資家の売り、信用取引の返済など、目的の異なる注文が重なるためです。

そのため、9月25日や28日に株価が上昇したとしても、それだけで踏み上げ相場が復活したとは言えません。

逆に、29日に下落したとしても、それだけで上昇相場が終了したとは判断できません。

権利付最終日前と権利落ち後を、同じ基準で単純比較しないことが重要です。

NTTは1株当たりの価格が低く、個人投資家も参加しやすい銘柄です。

配当を意識した売買が増える時期には、短期的な需給変化が普段以上に大きく見える可能性があります。

したがって、本格的な判断は9月30日以降まで確認する必要があります。

踏み上げ以外の買い手として自社株買いにも注目

NTTの株価を考える際には、踏み上げ以外の買い需要にも注目する必要があります。

NTTは2026年5月、上限2000億円の自己株式取得を決議しました。

取得期間は2027年3月31日までです。

動画では、8月31日までの取得状況を踏まえ、今後も自己株式取得余地が残っている点に注目しています。

また、8月だけでも1億54万9500株を市場から取得したとされています。

自社株買いは、空売りの買い戻しとは性質が異なります。

空売りによる踏み上げは、売りポジションが減れば買い戻し需要も減っていきます。

一方、自社株買いは空売り残高が減ったからといって必ず消える買い需要ではありません。

もちろん、会社が毎日同じ量を買うわけではありません。

市場環境によって取得量は変化します。

それでも、短期的な貸株残高が減少した後も、会社による市場買付けが続く余地が残っている点は重要です。

今後の自己株式取得状況の開示で、9月中にどの程度の株式を取得したのかが確認できれば、174円台から180円近辺の需給を読み直す材料になります。

踏み上げ終了と上昇相場終了は同じではない

今回の動画で特に重要なのが、この点です。

「踏み上げ相場が終わること」と「NTTの上昇相場が終わること」は同じではありません。

仮に空売りの買い戻しによる上昇圧力が弱くなったとしても、自社株買い、配当目的の現物買い、長期投資資金、業績への期待など、別の買い手が売りを吸収すれば株価は維持できます。

反対に、信用売り残が減り、自社株買いも存在する中で175円近辺を維持できず、出来高を伴って下落が続くのであれば、「需給改善だけで上昇する局面」が終わった可能性を考える必要があります。

現在のNTTは、空売りの買い戻しが主役だった上昇から、通常の現物買いによって高値圏を維持できるかを試す局面に移りつつあると動画では分析しています。

今後確認したい3つの数字

今後のNTTを見るうえでは、特に3つのポイントが重要です。

1.日証金の貸株残高

9月24日時点では、貸株残高は10万9300株まで減少しています。

今後、貸株残高が再び増加し、それでも株価が下がらず推移するのであれば、新たな空売りが積み上がり、再び買い戻し燃料が作られる可能性があります。

反対に、貸株残高が低いままであれば、短期的な株価上昇を踏み上げだけで説明する根拠は弱くなります。

2.週次の信用売り残

9月11日時点では、信用売り残2168万株、信用買い残6965万株、信用倍率3.21倍でした。

見るべきなのは倍率そのものではありません。

9月18日分以降の信用売り残が再び増加するのか、それとも8月28日の2624万株をピークに減少し続けるのかが重要です。

信用売り残が減少しているのに株価も上昇しないのであれば、買い戻し需要を消化しても高値を維持できていない可能性があります。

一方、信用売り残が再び増加しても175円付近を維持できるのであれば、新たな踏み上げ余地が生まれる可能性があります。

3.権利落ち後の株価と出来高

9月29日は、中間配当2.70円が意識される権利落ち日です。

そのため、29日の株価だけで判断せず、30日以降の値動きまで確認する必要があります。

配当落ちをこなした後、175円付近へ戻せるのか。

177円から180円を再び試すのか。

それとも、直近平均を大きく上回る出来高を伴って175円を下回る売りが続くのか。

この違いが、一時的な調整なのか、上昇局面そのものが変化しているのかを判断する材料になります。

まとめ

9月24日のNTTは174.9円まで下落しましたが、この1日の値動きだけで上昇相場が終了したと判断するのは早いと考えられます。

一方で、これまで株価上昇を支えてきた踏み上げ期待については、以前と同じ前提で見ることは難しくなっています。

特に重要なのが、日証金の貸株残高です。

9月17日時点では約104万株ありましたが、24日には10.9万株まで急減しました。

そのため、「空売りが大量に残っているから、いずれ買い戻しで自動的に株価が上がる」という説明をそのまま使うことはできません。

また、9月24日に日経平均が上昇したにもかかわらずNTTが下落した背景には、NTT固有の需給だけではなく、半導体株への資金集中、通信株全体の弱さ、長期金利上昇なども影響しています。

今後重要になるのは、1日の株価だけを見ることではありません。

日証金の貸株残高が再び増えるのか、週次の信用売り残がどう変化するのか、そして権利落ち後に175円付近を維持・回復できるのか。

この3点を確認することで、踏み上げ期待が再び高まるのか、それとも相場の主役が別の買い手へ移っているのかを、より冷静に判断しやすくなります。

なお、本記事は動画内容を基にした情報整理を目的としたものであり、特定銘柄の売買を推奨するものではありません。

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