本記事は、YouTube動画『水星逆行・金星逆行と株式市場の関係についての解説』の内容を基に構成しています。
2026年10月から11月にかけて、水星逆行と金星逆行が重なる期間が訪れます。金融占星術の世界では、こうした惑星の逆行が株式市場の混乱や相場の転換点と関係すると考えられることがあります。
実際、過去の逆行期間には、株価の暴落や金融市場の大きな変動が発生した事例もあります。
しかし、惑星の逆行が株価を動かしているという科学的な証拠はあるのでしょうか。
動画では、過去の株式市場の動向や2026年に発表されたとする学術研究を取り上げながら、水星逆行・金星逆行と投資の関係について解説しています。
水星逆行・金星逆行とは何か
水星逆行や金星逆行とは、地球から観測した際に、惑星が通常とは反対方向に動いているように見える天文現象です。
実際に惑星が公転方向を逆転させているわけではありません。地球と各惑星の公転速度や位置関係によって生じる見かけ上の現象です。
水星逆行は年間3~4回程度発生し、1回につき約3週間続きます。一方、金星逆行は約18か月に1回発生し、約40~44日間継続します。
動画で紹介されている2026年の逆行期間は次のとおりです。
- 金星逆行:2026年10月3日~11月14日
- 水星逆行:2026年10月24日~11月13日
つまり、2026年10月24日から11月13日までは、両方の逆行が重なることになります。
占星術では、水星逆行は情報伝達や判断の混乱、金星逆行は価値観や価格の見直しと関連づけられることがあります。
金融市場に置き換えると、水星逆行は株価の急落や急反発、金星逆行は相場のトレンド転換と結びつけて考えられることがあります。
ただし、こうした解釈は占星術上のものであり、天文現象が金融市場を直接動かすことを意味するものではありません。
水星逆行と株価の関係を示す研究とは
動画で特に注目されているのが、2026年に発表されたと紹介される、水星逆行と株式市場に関する学術研究です。
この研究では、水星逆行そのものが株価を動かすというよりも、逆行を信じる投資家の心理が市場価格に影響する可能性が示されたと説明されています。
例えば、水星逆行の期間に株価が下落すると信じる投資家が増えた場合、実際に株式を売却したり、保有ポジションを縮小したりする可能性があります。
こうした売り注文が積み重なれば、株価に下押し圧力が生じることも考えられます。
これは行動ファイナンスの観点から説明できる現象です。
行動ファイナンスとは、投資家の心理や思い込み、感情などが金融市場に与える影響を研究する分野です。
投資家がある出来事を信じ、その信念に基づいて行動することで、実際の市場価格にも影響が及ぶという「自己実現的な予言」に近い仕組みです。
ただし、動画では研究の具体的な論文名や統計手法までは紹介されていません。そのため、研究結果の信頼性や影響の大きさについては別途検証が必要です。
一方、金星逆行については、株式市場との関係を裏付ける研究がさらに限定的とされています。
過去の金星逆行では株式市場に何が起きたのか
動画では、2018年から2025年までの金星逆行期間と、その間の金融市場の動きが紹介されています。
2018年:米中貿易摩擦と金融引き締めによる株価下落
2018年10月5日から11月16日までの金星逆行期間には、米国株式市場が大きく下落しました。
当時はFRBによる金融引き締めが進み、米国の長期金利が上昇していました。
さらに、トランプ政権による米中貿易摩擦の激化、ハイテク株の割高感、世界経済の減速懸念などが重なっていました。
株価は10月から下落し、12月24日には大幅な下落を記録しました。
ただし、これらの動きは金融政策や貿易摩擦などの経済要因で説明できます。
金星逆行の時期と株価下落が重なったとしても、それだけで逆行が原因だったとは判断できません。
2020年:新型コロナウイルスと歴史的な金融緩和
2020年5月13日から6月25日までの金星逆行期間は、新型コロナウイルスによる世界的な経済混乱と重なりました。
各国のロックダウンによって経済活動が停滞する一方、FRBは大規模な金融緩和を実施しました。
米国政府も巨額の財政刺激策を打ち出し、株式市場は同年3月の暴落から急速に回復しました。
この時期の市場変動についても、感染拡大や金融政策による影響の方が合理的な説明とされています。
2021年~2022年:インフレと金融政策の転換
2021年12月19日から2022年1月29日までの金星逆行期間には、米国でインフレ圧力が強まりました。
FRBによる金融引き締めへの警戒から米国債利回りが上昇し、特にグロース株が調整しました。
また、新型コロナウイルスのオミクロン株の感染拡大も市場の不透明感を強めました。
その後、2022年にはFRBが本格的な利上げ局面に入りました。
これも金星逆行より、インフレや金融政策の変化による影響が大きかったと考えられます。
2023年:米国長期金利の上昇と株価調整
2023年7月23日から9月4日までの金星逆行期間には、米国の長期金利が上昇しました。
動画によると、8月のS&P500は約1.6%、NASDAQは約2.1%下落しました。
米国10年債利回りは約3.96%から4.11%へ上昇し、一時4.36%に達しました。
また、ドル指数も8月に約1.7%上昇する一方、金価格は下落しました。
長期金利の上昇は株式の理論的な評価額に下押し圧力を与えるため、株価調整の説明として整合的です。
2025年:トランプ関税による市場の混乱
2025年3月2日から4月13日までの金星逆行期間にも、米国株式市場は大きく変動しました。
トランプ政権の関税政策によって米中貿易摩擦が激化し、景気後退懸念が高まりました。
S&P500は2月19日の高値から10%以上下落し、3月13日には調整局面入りしました。
一方、安全資産とされる米国債への資金流入によって利回りが低下し、金価格は3,000ドルを超える水準まで上昇しました。
原油価格は下落し、典型的なリスク回避の動きが見られました。
このケースでも市場変動の背景には明確な経済・政治的要因があり、金星逆行との因果関係は確認できません。
水星逆行と株価暴落の過去事例
2020年:コロナショック
2020年2月から3月の水星逆行期間には、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う歴史的な株価暴落が発生しました。
株式が急落し、ドルや金などの市場も大きく変動しました。
しかし、これは世界的な感染拡大という突発的な外部ショックが引き起こしたものであり、水星逆行だけで説明できるものではありません。
2023年:米国金利の上昇
2023年8月23日から9月15日までの水星逆行期間には、米国の長期金利上昇を背景として株式市場が軟調に推移しました。
ただし、この時期は金融引き締めの長期化が意識されていたため、株安には合理的なマクロ経済上の説明がありました。
2024年:8月5日の世界同時株安
2024年8月5日には、世界的な株価急落が発生しました。
背景には、米国雇用統計の弱さによる景気後退懸念、円キャリートレードの巻き戻し、AI関連株の下落などがありました。
ただし、その後の市場は急速に回復しました。
動画では、S&P500が8月30日時点で月間約0.9%のプラスになったことが紹介されています。
つまり、水星逆行の期間中に急落が発生した一方で、同じ期間に急反発も起きていたのです。
この事実は、水星逆行だから株価が下がるという単純な投資判断が成立しないことを示しています。
金星逆行で株価のトレンドは転換するのか
動画では、1965年から2025年までの約60年間に発生した37件の金星逆行を分析した事例にも触れています。
その分析では、金星逆行が始まる時期に株価のトレンドが反転する傾向が見られたと紹介されています。
しかし、こうした動きは一般的な平均回帰によって説明できる可能性があります。
平均回帰とは、価格や収益率などが長期的な平均から大きく離れた場合、平均に近づく方向へ動く傾向を指します。
株価が上昇を続けた後に調整したり、大幅に下落した後に反発したりすることは、金星逆行と無関係でも発生します。
また、過去のデータで相関が見つかったとしても、それが将来の売買に利用できるとは限りません。
金星逆行の開始日をトレンド転換の売買シグナルとして採用するには、より厳密な統計分析や再現性の確認が必要になります。
投資家が本当に確認すべきマクロ経済指標
動画では、水星逆行や金星逆行を売買の直接的なシグナルとして使うのではなく、金融市場の状態を再確認するきっかけとして利用する考え方が提案されています。
具体的には、以下のような指標です。
- VIX指数:株式市場の予想変動率を示す指標
- S&P500:米国株式市場全体の動向
- 米国10年債利回り:長期金利の変化
- ドル指数・ドル円:為替市場の動向
- ハイイールド債スプレッド:信用リスクの高まり
- ゴールド:安全資産への需要
- 原油価格:景気やインフレに関する手掛かり
- EPS:企業利益の動向
例えば、株価が下落すると同時に、長期金利が低下し、ゴールドが上昇、原油価格が下落している場合、景気後退への警戒やリスク回避の動きが広がっている可能性があります。
一方、VIX指数が低下し、株価が上昇、企業利益も改善している場合は、金融市場が比較的安定していると判断できます。
こうした状況で水星逆行が始まったからといって、直ちに保有株を売却する必要はありません。
投資判断の基準とすべきなのは、惑星の動きではなく実際の金融市場の状態です。
2026年10月~11月の相場で注意すべきこと
2026年10月24日から11月13日までは、水星逆行と金星逆行が重なります。
金融占星術を意識する投資家にとっては注目される期間かもしれません。
しかし、動画では、この期間に株価が必ず下落するという見方には慎重な姿勢が示されています。
むしろ重視すべきなのは、FRBの金融政策、米国の長期金利、インフレ動向、企業決算、株式市場のバリュエーション、米国中間選挙などです。
例えば、インフレが再加速し、長期金利が上昇する一方で企業業績が悪化すれば、株式市場には下落圧力が生じる可能性があります。
反対に、金利が安定し、企業利益の拡大が続いているのであれば、逆行期間中であっても株式市場が上昇する可能性は十分にあります。
重要なのは、あらかじめ株価の方向を決めつけず、実際の市場環境を観察することです。
まとめ:水星逆行・金星逆行は投資判断に使えるのか
今回の動画で示された結論は、水星逆行や金星逆行が株式市場を直接動かしているという科学的な因果関係は確認できないというものです。
一方、水星逆行を信じる投資家の行動が市場価格に影響する可能性については、行動ファイナンスの観点から考察する余地があるとされています。
今回のポイントは、次の3つです。
- 水星逆行と株価の関係には投資家心理が関与する可能性があるものの、直接的な因果関係は確認されていません。
- 金星逆行と株価のトレンド転換については、投資戦略に利用できるほどの十分な証拠がありません。
- 逆行期間に相場が不安定になった場合でも、金利、インフレ、金融政策、企業業績などのマクロ経済要因を優先して分析することが重要です。
過去には、惑星の逆行期間と株価暴落が重なった事例が確かに存在します。しかし、その多くは金融政策の変更や景気後退懸念、感染症の拡大、貿易摩擦などで説明することができます。
したがって、水星逆行だから売る、金星逆行だからトレンドが転換するといった機械的な判断は避けるべきでしょう。
むしろ、逆行期間を市場環境の点検機会と捉え、マクロ経済指標が悪化している場合にポジションの縮小やリスク管理を検討するという姿勢が現実的です。
金融占星術を単なる迷信として切り捨てるのではなく、それを信じる投資家の心理が市場に及ぼし得る影響として考えることは、投資家行動を理解するうえで興味深い視点といえます。
ただし、実際の売買判断においては、検証可能な経済データと市場動向を優先することが重要です。


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