第一生命や生保業界で何が起きているのか?売上拡大の裏で進む個人保険離れと不祥事体質

本記事は、YouTube動画『【衝撃】第一生命や生保業界で何が起きているのか?』の内容を基に構成しています。

目次

導入:第一生命は本当に順調なのか

第一生命グループは、日本を代表する大手生命保険会社の1つです。売上や利益、株価だけを見ると、非常に順調に成長しているように見えます。

動画では、第一生命の売上水準について、2017年3月期の6.4兆円から2026年3月期には11.3兆円へ増加していると紹介されています。増加幅は4.9兆円であり、数字だけを見れば右肩上がりの成長企業です。

しかし、その一方で、第一生命の個人向け保険の保有契約は減少傾向にあります。2016年3月期に1.6兆円あった個人向け保険の保有契約は、2025年3月期には1.3兆円となり、約3000億円減少しています。しかも、これは10年連続の減少とされています。

つまり、会社全体としては成長しているように見える一方で、個人顧客との関係は弱まっている可能性があります。ここに、現在の生命保険業界が抱える大きな変化が見えてきます。

生命保険業界で進む販売モデルの変化

かつて生命保険の販売といえば、営業職員、いわゆる「生保レディ」による対面営業が中心でした。企業の職場に営業担当者が入り、社員に対して保険商品を案内する光景も珍しくありませんでした。

しかし現在では、個人情報保護やコンプライアンス意識の高まりにより、昔のような営業スタイルは難しくなっています。知らない営業担当者が自宅を訪問しても、ドアを開ける人は少なくなっていますし、会社の中で自由に営業活動を行うことも簡単ではありません。

その結果、生命保険業界では販売チャネルの見直しが進んでいます。銀行窓口での販売、代理店経由の販売、インターネット保険など、従来とは違う方法で顧客と接点を持つ流れが強まっています。

第一生命グループでも、第一生命保険だけでなく、第一フロンティア生命保険、第一ネオ生命保険など複数の会社を展開しています。動画では、第一生命本体の個人向け保険が減少する一方で、第一フロンティア生命の保有契約が大きく増えている点が取り上げられています。

第一生命の売上と利益は伸びている

動画によると、第一生命の経常利益は2017年3月期の4253億円から、2026年3月期には7536億円へ増加しています。増加幅は3283億円です。

また、第一生命ホールディングスの株価も10年で大きく上昇していると紹介されています。株価は251円から1860円となり、約7倍になったとされています。

売上、利益、株価という投資家目線の数字だけを見れば、第一生命グループは好調に見えます。しかし動画では、その裏で個人向け保険契約や顧客数が減っている点に注目しています。

特に、お客様数については、2022年度から2024年度にかけて1106万人から1078万人へ減少し、28万人減ったとされています。これは、会社としての収益性は上がっているものの、個人顧客からの支持が低下している可能性を示しています。

個人向け保険の保有契約は10年連続で減少

第一生命本体の個人向け保険の保有契約は、2016年3月期の1.6兆円から2025年3月期の1.3兆円へ減少しています。

この数字は、個人保険の販売力や顧客維持力に課題があることを示している可能性があります。生命保険は一度契約すれば長く続く商品ですが、それでも保有契約が減っているということは、新規契約の獲得や既存契約の維持が以前より難しくなっていると考えられます。

動画では、オリコン顧客満足度ランキングにも触れています。2026年のおすすめ生命保険ランキングでは、1位がライフネット生命、2位がソニー生命、3位がアフラックとされ、第一生命は24位に位置していたと紹介されています。

大手であるにもかかわらず、顧客満足度のランキングでは上位に入っていない点は、個人顧客との関係性に課題があることを示しているのかもしれません。

苦情件数から見える顧客対応の課題

動画では、第一生命の苦情件数についても紹介されています。2024年度の苦情件数は減少傾向にあるものの、2.6万件以上あるとされています。

苦情の内訳としては、契約後の手続きが21%、保険金・給付金の支払いが14.9%、保険契約への加入が9.9%、保険料の払い込みが4.3%、その他が49.9%とされています。

この内訳を見ると、契約時だけでなく、契約後の手続きや保険金支払いの段階でも不満が出ていることが分かります。生命保険は、万が一のときに役立つことを期待して加入する商品です。そのため、給付金や保険金の支払い、契約内容の説明、手続きの分かりやすさは非常に重要です。

もし営業担当者と契約者の間で十分なコミュニケーションが取れていなければ、契約後に「思っていた内容と違う」「手続きが分かりにくい」といった不満につながりやすくなります。

第一生命の多額詐取事件が与えた影響

動画では、2020年頃に発覚した第一生命の多額詐取事件についても取り上げています。

この事件は、第一生命保険の営業社員が顧客から不正に資金を集めた金融詐欺事件です。長年トップセールスを記録していた営業社員が、特別な肩書きや社内での信用を背景に、顧客へ「金利30%の特別枠」など架空の金融取引を持ちかけたとされています。

被害者は21名、被害総額は当初約19億円と見られていましたが、書類送検時には約22億円に膨らんだとされています。

生命保険会社にとって、顧客からの信頼は最も重要な資産です。特に高齢者や長年の契約者は、営業担当者を信頼して大きな金額を預けることもあります。その信頼関係を悪用した事件は、企業イメージに大きな傷を残します。

第一フロンティア生命が伸びている理由

一方で、第一生命グループ全体を見ると、すべてが縮小しているわけではありません。動画では、第一フロンティア生命の個人向け保険の保有契約が大きく伸びている点が紹介されています。

第一フロンティア生命の保有契約は、2016年3月期の1642億円から2025年3月期には7346億円へ増加しており、5704億円増えています。

第一フロンティア生命は、主に銀行などの代理店経由で保険を販売している会社です。商品ラインナップも、定額年金保険、定額終身保険、年金保険などに絞られていると紹介されています。

一方、第一生命本体は、医療保険、所得保障保険、先進医療保険、個人年金保険、学資保険など、幅広い商品を扱っています。

この違いから、第一生命グループは従来型の営業職員による個人販売を減らし、銀行窓口などの代理店販売を強化している可能性があります。これは、時代に合わせた販売モデルの変化とも言えます。

「お客様第一」と情報持ち出し問題の矛盾

第一生命は、2025年6月30日に「お客様第一の業務運営方針にかかる取り組み状況について」を公表しています。そこでは、お客様の最善の利益を追求し、高い専門性と職業倫理を持って誠実に業務へ取り組む姿勢が示されています。

しかし動画では、その後に発覚した情報持ち出し問題にも触れています。

第一生命ホールディングスでは、生命保険会社から銀行などへの出向者による情報の無断持ち出しが、28社で計1155件あったと発表されたとされています。さらに、大手4社全体では持ち出し件数が約3500件にのぼったと紹介されています。

これは第一生命だけでなく、生命保険業界全体において情報管理やコンプライアンス上の問題が広がっていた可能性を示しています。

顧客の個人情報や金融機関の内部情報は、極めて慎重に扱われるべきものです。それが無断で持ち出されていたとなれば、「お客様第一」という方針との間に大きな矛盾が生じます。

営業職員の評価制度とインセンティブの問題

動画では、第一生命が営業職員の評価制度を見直す方針であることにも触れています。

2021年の記事として、営業職員の給与制度を安定的な形へ移行する考えが紹介されています。背景には、営業職員による多額詐取事件などがあり、大量採用・大量離職を前提とした営業職員制度を見直す必要があったとされています。

生命保険営業では、長年にわたり成果報酬やインセンティブが重要な役割を果たしてきました。営業成績を上げれば収入が増える一方で、契約を取ることが目的化しすぎると、顧客にとって本当に必要な商品かどうかよりも、営業担当者の手数料が優先されるリスクがあります。

かんぽ生命の不正契約問題でも、販売員の手数料を増やすために不必要な乗り換えや二重契約が行われていたとされています。このような問題は、個人の不正だけでなく、業界全体の評価制度や営業文化にも原因があると考えられます。

ライフネット生命が評価される理由

動画では、オリコン顧客満足度ランキング1位のライフネット生命にも注目しています。

ライフネット生命の個人向け保険の保有契約は、2016年3月期の93億円から2025年3月期には266億円へ増加しており、173億円伸びています。

ライフネット生命は、インターネット専業の生命保険会社として知られています。動画では、同社が2008年に保険料の原価にあたる部分と、会社の運営経費にあたる付加保険料を開示したことが紹介されています。

例えば、20歳男性の保険料2297円のうち、純保険料が1689円、付加保険料が608円というように、保険料の内訳を開示していたとされています。

生命保険は、一般の消費者にとって仕組みが分かりにくい商品です。その中で、保険料の内訳を開示する姿勢は、顧客からの信頼につながりやすいと考えられます。

もちろん、ライフネット生命にも業務委託先での個人情報漏洩などの問題はあったとされています。ただ、動画では、同社自体が直接起こした巨額詐欺やインサイダー取引のような不祥事は確認されていないと紹介されています。

ソニー生命やかんぽ生命でも不祥事は起きている

動画では、第一生命だけでなく、他の大手生命保険会社の問題にも触れています。

ソニー生命は、個人向け保険の保有契約が2016年3月期の7518億円から2025年3月期には9390億円へ増加し、1872億円伸びていると紹介されています。しかし、2026年5月には営業社員4人が顧客14人から約1.2億円を不正に受け取っていたと報じられたとされています。

また、かんぽ生命については、個人向け保険の保有契約が2016年3月期の5兆円から2025年3月期には2.8兆円へ減少し、2.2兆円減ったと紹介されています。

かんぽ生命では、2014年4月から2019年3月の間に、不適切な契約が多数あったとされています。販売員の手数料を増やすために、顧客に不必要な二重契約をさせたり、無保険期間を作らせたり、本来は特約変更で済む内容を新規契約に切り替えさせたりしたケースがあったとされています。

これは、顧客本位とはほど遠い行為です。保険は万が一のときの備えであるにもかかわらず、販売員の都合によって顧客が不利益を受ける構造があったことになります。

日本生命やプルデンシャル生命にも広がる問題

日本生命についても、動画では情報持ち出し問題が取り上げられています。日本生命グループでは、金融機関から計1543件の情報を無断取得していたと紹介されています。

また、プルデンシャル生命についても、顧客から金銭を騙し取るなど、総額31億円を不適切に得ていた問題が紹介されています。不正は1991年から2025年まで続き、顧客被害は500人超、不正に関わった社員や元社員は100人以上とされています。

ここまで見ると、生命保険業界の問題は特定の1社だけに限られたものではないことが分かります。営業担当者の属人的な力に依存し、契約獲得を強く求める構造が、長年にわたって不正の温床になっていた可能性があります。

第一生命は今後どこへ向かうのか

第一生命は、個人向け保険では苦戦している一方で、法人向け保険では比較的粘っていると動画では紹介されています。

法人向けの団体保険保有契約高は、2016年3月期の48兆円から2025年3月期には47.3兆円となっており、個人保険ほど大きく減ってはいないとされています。

また、第一生命は2024年5月に約3000億円を投じてベネフィット・ワンを買収しました。ベネフィット・ワンは福利厚生サービスを展開する企業です。動画では、この買収により、福利厚生サービスと法人向け保険を組み合わせた販売を強化する狙いがあるのではないかと指摘しています。

これは、従来の個人向け訪問営業から、法人向けの福利厚生、団体保険、銀行窓口販売、ネット販売へと軸足を移す流れの一部と考えられます。

黒字リストラと構造改革

動画では、第一生命が構造改革の一環として黒字リストラを実施し、1000人の募集に対して約2倍の応募があり、1800人をリストラしたと紹介されています。

黒字リストラとは、会社が赤字に陥ってから人員削減を行うのではなく、業績が悪化する前に将来を見据えて人員構成を見直すことです。

生命保険業界では、対面営業中心の人員体制から、銀行代理店、ネット販売、法人向けサービス、デジタル化へと移行する流れがあります。その中で、従来型の営業職員を大量に抱えるモデルは見直しを迫られていると考えられます。

ただし、インセンティブを減らして固定給型に近づければ、すぐに不正がなくなるわけではありません。給与体系の変更により営業職員の不満が生まれる可能性もありますし、組織文化そのものを変えなければ、別の形で問題が残る可能性もあります。

追加解説:生命保険業界の本質的な課題

生命保険業界の本質的な課題は、商品が複雑で、顧客と販売側の情報格差が大きいことです。

保険商品は、保障内容、特約、解約返戻金、予定利率、手数料、税制など、多くの要素が絡み合っています。一般の消費者がすべてを正確に理解するのは簡単ではありません。

そのため、顧客は営業担当者の説明を信じて契約することになります。ここで営業担当者が顧客本位であれば問題はありません。しかし、手数料やノルマが強く働くと、顧客にとって最適ではない商品が勧められるリスクがあります。

特に高齢者や金融知識が少ない人に対して、複雑な保険商品や投資性商品を販売する場合、説明責任は非常に重くなります。

今後、生命保険会社が信頼を取り戻すためには、単に「お客様第一」と掲げるだけでは不十分です。保険料の透明化、販売手数料の開示、契約後のフォロー体制、情報管理の徹底、営業職員の評価制度改革など、具体的な仕組みの改善が求められます。

まとめ:生保業界は変わろうとしているが、不信感はまだ根深い

第一生命は、売上、利益、株価という面では成長を続けています。しかし、個人向け保険の保有契約は10年連続で減少しており、顧客数も減少しています。

一方で、第一フロンティア生命のような銀行窓口販売型の会社は伸びており、生命保険業界全体が従来の訪問営業モデルから新しい販売モデルへ移行していることが分かります。

ただし、第一生命の多額詐取事件、情報持ち出し問題、かんぽ生命の不正契約問題、ソニー生命や日本生命、プルデンシャル生命での不祥事を見ると、生命保険業界全体に根深い構造的課題があることも否定できません。

生命保険は、本来であれば人々の不安に備えるための商品です。しかし、販売側の都合や手数料目的の営業が前面に出れば、顧客の信頼は失われてしまいます。

今後の生命保険業界には、売上や利益の拡大だけでなく、顧客にとって分かりやすく、納得できる商品提供と、透明性の高い営業体制が求められます。第一生命を含む大手生保各社が本当に変われるのかどうかは、今後の構造改革と不祥事防止への本気度にかかっていると言えるでしょう。

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