本記事は、YouTube動画『米国NRCの規制緩和で覚醒する核融合株 5年で10倍狙える最強銘柄』の内容を基に構成しています。
核融合関連株は「夢の技術」から現実の投資テーマへ移行している
核融合エネルギーは、かつてはSFや遠い未来の技術として語られることが多い分野でした。しかし、2026年6月現在、その位置づけは大きく変わりつつあります。
日本政府は、内閣府や文部科学省を通じて、核融合スタートアップの技術開発に対し、3年間で200億円規模の支援を打ち出しています。英国でも、ノッティンガムシャー州で進められるSTEPプログラムに対し、5年間で25億ポンド、日本円で約5000億円規模の投資が決定されています。
つまり核融合は、単なる夢物語ではなく、国家が本格的に資金を投じる現実の産業テーマになりつつあるということです。
ただし、ここで注意すべきなのは、「国が支援するなら関連株は必ず上がる」という単純な話ではない点です。株式市場では、将来への期待が大きければ大きいほど、その期待は早い段階で株価に織り込まれます。そして期待が織り込まれすぎた状態では、どれほど良いニュースが出ても株価が上がらないどころか、材料出尽くしとして売られることがあります。
この典型例として動画内で取り上げられていたのが、電線大手のフジクラです。
フジクラの暴落が示した「期待値の重力」
2026年5月14日、フジクラは売上高、営業利益、経常利益、当期純利益のすべてで過去最高を更新するという、非常に強い決算を発表しました。
通常であれば、これほど好調な決算は株価上昇の材料になりそうです。しかし実際には、発表直後に株価はストップ安水準まで急落しました。その後も下落は続き、2026年6月11日時点では4136円まで売られています。年初来高値から見ると、ほぼ半値以下の水準です。
なぜ完璧に見える決算で株価が暴落したのでしょうか。
その理由は、株価がすでに将来の好材料を大きく織り込んでいたためです。フジクラは、AIデータセンター向けの光ケーブル需要に加え、核融合関連の超電導線材への期待から、短期間で株価が大きく上昇していました。つまり、市場はすでに「完璧な決算以上の未来」まで株価に織り込んでいた可能性があります。
期待が頂点に達した瞬間、良いニュースは買い材料ではなく売りのきっかけになります。動画ではこの現象を「期待値の重力」と表現しています。
核融合関連株を見るうえでは、この視点が非常に重要です。技術力が高い企業であっても、株価が先に上がりすぎていれば、好材料が出ても下落する可能性があります。
米国NRCの規制緩和が核融合業界を大きく変えた
核融合業界の構造を変える大きな転換点として、米国NRC、つまり米国原子力規制委員会による規制方針の変更があります。
2026年2月26日、NRCは核融合炉の商業規制に関する画期的な規則案を発表しました。これまで市場が懸念していたのは、核融合炉が従来の原子力発電所と同じような厳格な規制対象になり、許認可に非常に長い時間がかかるのではないかという点でした。
しかしNRCは、核融合を通常の原子力発電所とは異なる枠組みで規制する方針を示しました。具体的には、粒子加速器などと同じ「Part 30」と呼ばれる副産物質の枠組みで扱う方向です。
核融合反応は、従来の原子力発電と異なり、電源を切れば反応が止まります。連鎖反応や臨界を伴わないという物理的な特性が、法的にも認められた形です。
ただし、これですべての問題が解決したわけではありません。むしろ規制の焦点は、炉心そのものから、トリチウムの取り扱いや放射性物質の管理へと移ったと考えるべきです。
今後の核融合ビジネスで重要になるのは、華やかなプラズマ実験だけではありません。トリチウムを安全に管理し、増殖し、抽出する技術を持つ企業が、実は本当の主役になる可能性があります。
核融合最大の課題はトリチウム不足にある
核融合の主流とされる方式では、重水素とトリチウムが燃料として使われます。重水素は海水から大量に取り出せる一方、トリチウムは自然界にごくわずかしか存在しません。
動画では、現在地球上に存在する民間用トリチウムの総量は約25kgとされています。その多くはカナダの重水炉から抽出されたものです。
さらにトリチウムは、半減期が約12年の放射性物質です。保管しているだけでも自然に崩壊し、約12年後には半分がヘリウム3に変わってしまいます。
一方で、商業用核融合プラントが1つ本格稼働した場合、年間55kg以上のトリチウムを消費すると試算されています。現在の備蓄が約25kgで、1つの商業炉が年間55kg以上を必要とするのであれば、今ある備蓄だけでは最初の商業炉を1年も動かせない計算になります。
これが「トリチウム枯渇問題」です。
核融合は無尽蔵のクリーンエネルギーとして語られることがありますが、実際には燃料供給という大きなボトルネックを抱えています。この問題を解決する技術を持つ企業こそ、今後の核融合関連株の中で注目される可能性があります。
古河電気工業はAIと核融合の2つのテーマを持つ銘柄
最初に紹介されていた銘柄は、古河電気工業、証券コード5801です。
古河電気工業は1884年創業の歴史ある非鉄金属メーカーです。核融合の文脈で注目されている理由は、1960年代から継続してきた超電導技術にあります。
磁場閉じ込め方式の核融合炉では、超高温のプラズマを真空容器内に閉じ込めるため、非常に強力な磁場が必要です。その磁場を発生させる高温超電導マグネット用の線材は、核融合炉にとって骨格ともいえる重要部品です。
2026年6月15日、同社は英国の核融合スタートアップであるトカマクエナジーと、英国における高温超電導線材の製造供給体制構築に向けた協業を強化すると発表しました。英国政府や英国核融合エネルギー機関からも支援レターを受領しているとされ、国家レベルのエネルギー安全保障に日本企業が関わる構図が生まれています。
ただし、現在の株価を押し上げている主因は、核融合というよりもAIデータセンター向けの光ケーブル需要です。2026年3月期決算では、営業利益が前期比36%増の639億円となり、当期純利益も前期比117%増と大きく回復しました。
つまり古河電気工業は、AIデータセンターという第1エンジンに加え、核融合という第2エンジンを持つ銘柄と見ることができます。
上昇シナリオとしては、株式分割によって個人投資家の資金が流入し、さらに英国での高温超電導線材工場の建設計画や、海外核融合スタートアップへの供給契約が相次いで発表される展開です。その場合、単なる電線メーカーではなく、次世代エネルギーのグローバルプラットフォーマーとして評価が切り替わる可能性があります。
一方で、実績PBRが7倍を超えるなど、製造業としては割高感もあります。フジクラと同じように、期待が高まりすぎた局面で材料出尽くしとなれば、株価が大きく調整するリスクもあります。
助川電気工業はトリチウム枯渇問題の解決に関わる銘柄
次に紹介されていたのが、助川電気工業、証券コード7711です。
同社は茨城県に本社を置く、計測技術や研究開発型の企業です。核融合分野で注目されている理由は、液体金属ブランケット試験装置「GALOP」の存在です。
トリチウム枯渇問題を解決するためには、核融合炉の内部でリチウムに中性子を当て、トリチウムを増殖させる必要があります。しかし、トリチウムを作るだけでは不十分です。増殖させたトリチウムを安全に回収しつつ、1億度を超える炉心から熱を取り出し、発電設備へ輸送する必要があります。
助川電気工業が関わる液体金属ブランケット技術は、液状のリチウム合金を炉の内部で循環させ、冷却剤としての役割とトリチウム増殖剤としての役割を同時に担う技術です。動画では、核融合炉の心臓部であり血液でもある存在と表現されています。
米国NRCの規制転換によって、今後はトリチウムの安全な取り扱い能力がプラント建設の許認可を左右する可能性があります。その意味で、液体金属の流量や熱を精密に制御できる技術の価値は非常に大きいといえます。
ただし株価の現状は厳しいものがあります。2026年2月に9890円の高値をつけた後、6月には4515円まで下落し、年初来安値を更新しています。高値圏で買った個人投資家の信用買い残が上に積み上がっている可能性があり、需給面では重い状態です。
上昇シナリオとしては、GALOPによる液体金属ポンプの性能実証で画期的なデータが得られ、海外核融合スタートアップへの技術供給や部品供給契約につながる展開です。時価総額が小さいため、コアコンポーネント企業として再評価されれば、大きな上昇余地があります。
一方で、液体金属特有の腐食問題や漏洩リスクの解決に時間がかかれば、実用化ロードマップが後退します。その場合、現在の期待値を業績だけでは支えきれず、株価が長期間低迷するリスクがあります。
高島科学工業はレーザー核融合を支える透明セラミックス銘柄
3つ目の銘柄は、高島科学工業、証券コード4026です。
同社は一見すると地味な化学メーカーですが、レーザー物理学の分野では透明YAGセラミックスの開発と量産技術で知られています。大阪大学レーザー科学研究所内に共同研究部門を設置し、商業用レーザー核融合プラントの開発を目指すエクストラフュージョンを支える存在です。
レーザー核融合とは、小さな燃料ペレットに超高出力レーザーを四方八方から一斉に照射し、その反作用でペレットを爆縮させ、超高温・超高圧のプラズマを作り出す方式です。
このレーザーを増幅するための媒質には、従来ガラスやYAG単結晶が使われてきました。しかし単結晶には、大型化が難しく、育成に時間がかかり、添加物を均一に混ぜることが難しいという弱点があります。
高島科学工業が開発した透明セラミックスは、微細な粉末を焼き固めて製造する多結晶材料です。形状の自由度が高く、大型化しやすく、ガラスより高い熱伝導率を持つとされています。これにより、レーザー核融合を基礎実験から商業プラントへ引き上げるうえでの重要なボトルネックを突破する可能性があります。
同社は2025年5月、レーザーセラミックスの製品化と事業展開が評価され、第17回レーザー学会産業賞の優秀賞を受賞しています。
上昇シナリオとしては、世界中のレーザー施設で同社の透明セラミックスが標準採用される展開です。その場合、同社は単なる化学メーカーではなく、世界的なオプティクスプラットフォーマーとして評価される可能性があります。
ただし、信用倍率が14倍を超えるなど、信用買いが多く積み上がっている点には注意が必要です。全体相場が下落した場合、信用買いの投げ売りによって、業績とは関係なく株価が下落するリスクがあります。
また、エクストラフュージョンの実証スケジュールが前倒しになるという公式発表は現時点ではないため、上昇シナリオはあくまで開発が順調に進んだ場合の可能性として見る必要があります。
JTECコーポレーションはプラズマ計測とショートスクイーズが注目点
4つ目の銘柄は、JTECコーポレーション、証券コード3446です。
同社は大型放射光施設向けの高精度X線ミラーで世界トップシェアを持つ企業です。核融合分野では、プラズマ計測機器のコア部品としての役割が注目されています。
核融合炉では、1億度を超えるプラズマの温度、密度、挙動をリアルタイムで精密に観測する必要があります。それができなければ、磁場による閉じ込めやレーザー照射のタイミング制御は不可能です。JTECコーポレーションの精密加工技術は、核融合炉の「目」として機能する可能性があります。
この銘柄で特に注目されているのは、技術だけではなく株式需給です。信用倍率が0.82倍と、信用買いより信用売りの方が多い売り長状態になっています。
同社は研究機関や半導体メーカーへの装置納入が年度末に集中しやすいビジネスモデルです。そのため、第3四半期時点で売上進捗率が低く見えることがあります。この数字を根拠に、通期予想の未達を見込んだ空売りが積み上がっている可能性があります。
もし第4四半期に大型納入が計画通り計上され、業績が会社予想を達成した場合、空売り勢は買い戻しを迫られます。その買い戻しがさらなる買いを呼び、ショートスクイーズが発生する可能性があります。
一方で、装置の仕様変更や部材不足によって売上がずれ込み、業績の下方修正が発表された場合、空売り勢の読みが当たることになります。その場合、株価が急落するリスクもあります。
この銘柄は、技術的な評価に加えて、決算に向けた需給の綱引きという側面が非常に強い銘柄です。投資する場合は、大きなボラティリティを覚悟する必要があります。
マイクロ波化学は核融合燃料の製造プロセスに関わる銘柄
5つ目の銘柄は、マイクロ波化学、証券コード9227です。
同社は大阪大学発のディープテック企業で、文部科学省のSBIRプログラムから20億円規模の公的支援を獲得しています。核融合分野では、トリチウム増殖剤であるリチウムと、中性子増倍材であるベリリウムのマイクロ波プロセスが注目されています。
マイクロ波化学の技術を理解するには、電子レンジをイメージすると分かりやすいです。電子レンジは容器を外から温めるのではなく、食品内部の分子を直接振動させて加熱します。同社はこの原理を、化学反応や工業プロセスに応用しています。
核融合炉の内部でトリチウムを増殖させるには、ブランケット内に敷き詰めるリチウム系材料を大量かつ安定的に作る必要があります。従来の製造プロセスでは、高温加熱に大量の化石燃料を使い、熱効率が悪いという課題がありました。
マイクロ波プロセスでは、対象物質の分子をピンポイントで振動させ、内部から直接加熱できます。そのため、エネルギー消費を抑えながら、均一で高品質なトリチウム増殖剤を大量生産できる可能性があります。
上昇シナリオとしては、核融合プラントの開発が進むにつれて、市場の関心が炉そのものから燃料供給や素材製造に移る展開です。その局面でマイクロ波化学が燃料生成ラインとして採用されれば、現在の株価水準から大きな上昇を狙える可能性があります。
一方で、スタートアップ型企業特有の資金繰りリスクもあります。新しいプラント建設や大規模実証には多額の設備投資と研究開発費が必要です。核融合の商業化スケジュールが遅れれば、収益化までの期間が長くなり、資金調達を繰り返す必要が出てくる可能性があります。
新株予約権などによる増資が続けば、既存株主の持ち分価値が希薄化し、株価が長期低迷するリスクもあります。
核融合関連株には強気材料だけでなく冷静な反論も必要
核融合関連株には大きな夢があります。しかし、冷静な投資家であるためには、強気シナリオだけでなく反論にも向き合う必要があります。
まず大きな懸念は、莫大なコストと技術的ハードルです。核融合炉の開発には数千億円から1兆円規模の資金が必要になる可能性があり、高温プラズマに耐える壁材、トリチウムの安定供給、長時間運転など、未解決の課題が多く残っています。
実用化は2050年以降にずれ込むという慎重な見方もあります。どれほど周辺技術が優れていても、核融合プラントそのものの完成が大きく遅れれば、関連株への資金流入が弱まる可能性があります。
もう1つの懸念は、日本の人材不足です。日本の大学における核融合研究の比重や博士課程への進学率は低下傾向にあり、ITERにおける日本人職員の割合も高いとはいえません。一部企業の技術力が高くても、国家レベルで次世代研究人材が不足すれば、産業全体の成長を妨げる可能性があります。
核融合は夢のあるテーマですが、夢だけで投資判断をするのは危険です。
5銘柄に共通する強みと弱み
今回紹介された5銘柄に共通する強みは、核融合の中でも特定のボトルネックを解決する固有技術を持っている点です。
古河電気工業は高温超電導線材、助川電気工業は液体金属ブランケット、高島科学工業は透明セラミックス、JTECコーポレーションは精密光学部品、マイクロ波化学はマイクロ波プロセスというように、それぞれが核融合の商業化に必要な周辺技術を担っています。
これらは一朝一夕に模倣できる技術ではありません。国家プロジェクトや海外プレイヤーとの協業が進んでいる点も、長期的な評価材料になります。
一方で弱みは、株価がすでに一定の期待を織り込んでいることです。信用買いが大きく積み上がっている銘柄では、好材料が出ても株価が素直に上がらないことがあります。逆に、材料が出ていなくても需給悪化だけで大きく下落することもあります。
また、核融合全体の商業化が遅れれば、関連株全体の期待が剥落するリスクもあります。金利上昇や地政学リスクなど、マクロ環境の悪化も、期待先行型の銘柄には大きな逆風になります。
長期投資家は一括投資ではなく段階的に向き合うべき
動画の結論として重要なのは、核融合関連株は一撃必殺の短期トレードで狙うテーマではないという点です。
核融合の実用化には、実証データの発表、大型契約の締結、量産化、本格採用といった複数のマイルストーンがあります。株価もそれに合わせて段階的に評価される可能性があります。
そのため、1度に大きく買い込むのではなく、技術の進捗や需給状況を確認しながら、時間をかけて積み上げていく姿勢が重要です。
特にフジクラの暴落が示したように、どれほど優れた企業であっても、株価が期待を織り込みすぎた状態で飛び乗ることは大きなリスクになります。
投資家に求められるのは、夢のあるテーマに興奮することではなく、市場の期待値が高まりすぎていない局面を冷静に待つことです。そして、信用需給や業績進捗、技術的マイルストーンを確認しながら判断することが、機関投資家の罠に巻き込まれないための重要な視点になります。
まとめ
核融合関連株は、AI、半導体、防衛、エネルギー安全保障と並ぶ次世代の重要テーマとして注目されています。米国NRCの規制緩和によって、核融合は従来の原子力発電とは異なる規制枠組みで扱われる可能性が高まり、商業化への期待も一段と強まっています。
しかし、核融合にはトリチウム不足、素材開発、プラズマ制御、燃料製造、巨額の開発費、人材不足といった多くの課題があります。今回紹介された5銘柄は、そうした課題の一部を解決する技術を持つ企業として注目されています。
古河電気工業はAIと核融合の2つの成長テーマを持ち、助川電気工業はトリチウム増殖に関わる液体金属ブランケット技術で注目されています。高島科学工業はレーザー核融合に必要な透明セラミックスを手がけ、JTECコーポレーションはプラズマ計測を支える精密光学技術を持っています。マイクロ波化学は、核融合燃料の製造プロセスに関わる可能性を持つ企業です。
ただし、どの銘柄にも上昇シナリオと下落シナリオがあります。技術力があるから必ず株価が上がるわけではありません。むしろ、期待が先行しすぎた局面では、好材料が出ても売られることがあります。
核融合関連株に向き合う際は、夢の大きさだけでなく、株価に織り込まれた期待、信用需給、商業化までの時間軸、資金調達リスクを冷静に見る必要があります。
核融合は未来を変える可能性を持つ技術です。しかし投資においては、その未来がどのタイミングで、どの企業の業績に、どの程度反映されるのかを見極めることが重要です。


コメント