1929年大暴落前夜に似ている?AI相場・信用取引・景気後退リスクから考える今後の株式市場

本記事は、YouTube動画『1929年大暴落前夜に似ている?AI相場・信用取引・景気後退リスクから考える今後の株式市場』の内容を基に構成しています。

目次

1929年の大暴落前と現在の株式市場は本当に似ているのか

米CBSが放送した「60ミニッツ」の特集で、現在の株式市場が1929年の世界恐慌前夜に似ているのではないか、というテーマが取り上げられました。

通常、株式市場が史上最高値を更新している局面では、「投資家が大きな利益を得ている」「株価上昇が続いている」といった前向きな報道が目立ちます。しかし今回の特集では、そうした楽観的な見方ではなく、1929年の大暴落前と現在の市場環境に共通点があるのではないか、という警戒感に焦点が当てられていました。

1928年から1929年9月まで、米国株式市場は約90%上昇しました。当時も多くの人々が株式投資に熱狂し、経済は大きく成長しているように見えていました。しかし、その後にバブルは崩壊し、株式市場は数年かけて約89%下落しました。これが世界恐慌へとつながっていきます。

現在の米国株式市場も、AIブームや大型テック株の上昇を背景に高値圏で推移しています。そのため、今回の動画では、CBSの特集内容を基に、現在の市場がなぜ1929年と比較されているのか、そして当時とは何が違うのかを整理しています。

1920年代の米国を支えた「電気」という新技術

1929年の大暴落を理解するには、その前に起きていた「狂騒の20年代」と呼ばれる時代を知る必要があります。

1920年代の米国では、電気という新しい技術が急速に普及しました。電気の普及によって工場の生産性は高まり、家電製品や自動車などの新しい産業も成長しました。企業はより多くの商品を生産できるようになり、経済全体が大きく拡大していきました。

この流れは株式市場にも波及しました。企業の成長期待が高まり、投資家は株を買い、株価は上昇し、さらに多くの人が市場に参加するようになりました。まさに新技術が経済を押し上げ、人々の投資熱を高めていた時代だったのです。

そして現在、これに似た役割を果たしているのがAIです。人工知能への投資は世界中で急拡大しており、データセンター、半導体、クラウドサービス、ソフトウェア企業など、幅広い分野に巨額の資金が流れ込んでいます。

動画では、現在のAIブームについて「ゴールドラッシュなのか、それとも一時的なシュガーラッシュなのかは、数年経たないと分からない」と説明されています。つまり、AIが本当に長期的な経済成長を支える技術なのか、それとも過剰な期待によって膨らんだ投資ブームなのかは、現時点では判断が難しいということです。

現在の市場にある3つの懸念点

CBSの特集で主に取り上げられていた懸念は、3つに整理できます。

1つ目は投機の増加です。2つ目は借金、つまり信用取引やレバレッジの拡大です。3つ目は投資家を守るための規制やガードレールが緩められていることです。

ただし、重要なのは、これらの要素が単独で存在しているだけなら必ずしも大問題とは限らないという点です。問題は、投機、借金、規制緩和が同時に進むことで、市場全体のリスクが大きくなっている可能性があることです。

AIブームは本物の成長か、それとも投機なのか

まず問題となるのが投機です。

投資と投機は似ているようで、考え方が異なります。投資は、企業の収益力や将来性、財務内容などを見て、長期的に価値があると判断して資金を投じる行為です。一方で投機は、「価格が上がりそうだから買う」「周りが儲かっているから自分も買う」といった心理に基づく行動です。

バブルが発生する時には、多くの場合、最初は合理的な成長期待があります。1920年代であれば電気、現在であればAIです。しかし、価格が上がり続けると、人々は企業価値よりも値上がりそのものに注目し始めます。

「なぜ買うのか」という理由が、「良い企業だから」ではなく、「短期間で儲かりそうだから」に変わっていくと、市場は投機色を強めていきます。

現在、AI関連企業には数千億ドル規模の投資が流れ込んでいます。AIが社会を大きく変える可能性があることは事実ですが、その期待があまりにも早く株価に織り込まれすぎている場合、将来の成長が期待に届かなかった時に大きな調整が起きる可能性があります。

信用取引の増加が市場下落を大きくする可能性

次に重要なのが借金です。

1920年代には、株を現金だけで買うのではなく、借金を使って買う「信用取引」が広がりました。例えば100ドル分の株を買う時に、自分のお金は10ドルだけ出し、残りの90ドルは証券会社から借りるという仕組みです。

このような取引は、株価が上がっている時には非常に魅力的に見えます。自分のお金が少なくても、大きな金額の株を持つことができるため、利益も大きくなります。しかし、株価が下がると状況は一変します。

借金を使って投資している場合、損失も大きくなります。さらに、一定以上の損失が出ると、証券会社から追加資金を求められたり、強制的に株を売却されたりします。これが市場全体で一斉に起きると、下落がさらに下落を呼ぶ展開になりかねません。

動画では、現在の信用取引残高が過去最高水準に達していることにも触れられています。市場が上がっている間は、借金を使った投資によって多くの人が利益を得ます。しかし、相場が反転した時には、借金を使っていた投資家ほど大きなダメージを受ける可能性があります。

規制緩和によって一般投資家の選択肢とリスクが増えている

3つ目の懸念は、投資家を守るためのガードレールが緩められていることです。

上場企業に投資する場合、企業は決算書や事業リスクなどを開示する義務があります。投資家はそれらの情報を見て、企業の状態を判断することができます。

一方で、非上場企業やプライベートクレジットなどの投資商品は、上場企業ほど情報開示が充実していない場合があります。以前は、こうした投資に参加できるのは一定以上の年収や資産を持つ「適格投資家」に限られることが一般的でした。

しかし近年は、より多くの一般投資家が非伝統的な投資商品にアクセスできるようになっています。これは一面では「投資機会の民主化」といえます。かつては富裕層しか参加できなかった成長企業への投資に、一般の人も参加できる可能性が広がるからです。

しかしその一方で、十分な情報がないままリスクの高い商品に資金を投じてしまう危険性もあります。大きなリターンの可能性がある投資ほど、同時に大きな損失の可能性もあるという点を理解しておく必要があります。

暗号資産はポートフォリオの主役ではなく分散の一部

CBSの特集では、暗号資産についても取り上げられています。特にミームコインなどは、詐欺や過度な投機の温床になりやすいと指摘されています。

一方で、世界最大級の資産運用会社であるブラックロックのCEOは、暗号資産には金と同じように分散投資の一部としての役割があると述べています。ただし、ポートフォリオの大きな割合を占めるべきではないという考え方も示されています。

これは非常に現実的な見方です。暗号資産は将来性を持つ一方で、価格変動が非常に大きく、規制や市場心理の影響も受けやすい資産です。そのため、投資する場合でも、資産全体の一部にとどめることが重要です。

特に初心者の場合、「短期間で大きく儲かるかもしれない」という期待だけで資金を入れるのは危険です。暗号資産は、あくまでリスク資産の1つとして冷静に扱う必要があります。

1929年と現在の大きな違いは金融システムにある

ここまで見ると、現在の市場には1929年と似た部分があるように見えます。しかし、動画では同時に大きな違いも指摘されています。

その1つが、現在の金融システムは1920年代とは大きく異なるという点です。

1929年当時、米国には現在のような預金保険制度がありませんでした。そのため、銀行が危ないという噂が広がると、人々は一斉に銀行へ行き、自分の預金を引き出そうとしました。

しかし銀行は、預金者から預かったお金をすべて金庫に保管しているわけではありません。多くのお金は企業や個人への貸し出しに回されています。そのため、多くの預金者が同時に現金を引き出そうとすると、銀行は対応できなくなります。

これが「取り付け騒ぎ」です。銀行が破綻すると、さらに不安が広がり、別の銀行でも預金引き出しが加速します。この連鎖が金融危機を深刻化させました。

現在の米国にはFDICという預金保険制度があり、一定額まで預金が保護されます。動画では上限として25万ドルが紹介されています。この制度により、銀行が破綻しても一定範囲の預金は守られるため、1929年当時と同じような大規模な取り付け騒ぎは起きにくくなっています。

中央銀行と政府の対応も1929年とは違う

もう1つの大きな違いは、中央銀行と政府の対応です。

現在の経済では、景気が悪化した時に政府や中央銀行が積極的に市場を支える傾向があります。代表的な例が2020年のコロナショックです。

2020年、世界経済は急停止し、株式市場は急落しました。しかしその後、米連邦準備制度理事会、つまりFRBが大規模な金融緩和を行い、政府も巨額の経済対策を実施しました。その結果、株式市場は急落後に急回復しました。

動画では、2020年の暴落と回復について、「史上最速級の下落」と「史上最速級の上昇」が同じ年に起きたと説明されています。

これは、現代の市場が政府や中央銀行の政策に大きく左右されるようになっていることを意味します。もちろん、これは良い面だけではありません。大量の資金供給は市場を支える一方で、インフレ、通貨価値の低下、財政赤字、国債残高の増加といった新たな問題も生み出します。

つまり、現在の市場は1929年とまったく同じではありません。しかし、違う形のリスクを抱えていると見るべきです。

景気後退と暴落は珍しいことではない

動画の中で重要なメッセージとして語られているのが、「景気後退や市場暴落は経済システムの一部である」という考え方です。

過去100年で、米国経済は16回の景気後退を経験してきたと説明されています。これは平均すると、10年に1回以上のペースで景気後退が起きていることになります。

また、株式市場が20%以上下落する「弱気相場」や大きな市場下落も、過去100年で25回起きたとされています。つまり、市場の暴落や景気後退は特別な異常事態ではなく、長期投資の中では何度も遭遇する出来事なのです。

投資初心者ほど、暴落が起きると「もう終わりだ」「投資は危険だ」と感じてしまいがちです。しかし長期的に見ると、景気後退や暴落は繰り返し起き、そのたびに市場は回復してきました。

もちろん、すべての銘柄や資産が回復するわけではありません。だからこそ、財務内容の悪い企業や、実態のない投機商品に資金を集中させることは危険です。しかし、優良な資産を長期で保有する投資家にとって、市場下落は買い場になることもあります。

暴落は損失だけでなくチャンスも生む

動画では、景気後退や暴落は一部の人に損失をもたらす一方で、金融リテラシーの高い人にとっては資産を増やす機会にもなると説明されています。

例えば2020年のコロナショックでは、株式市場は一時的に約34%下落しました。2022年には株式市場が約20%下落し、ビットコインは約60%下落しました。2008年の金融危機では、株式市場が半分近く下落し、不動産価格も地域によっては大幅に下がりました。

こうした局面で多くの人は恐怖を感じて売却します。しかし、長期的に価値のある資産を見極めていた投資家にとっては、通常より安い価格で買える機会になります。

もちろん、暴落時に買うことは簡単ではありません。ニュースでは悲観的な情報が増え、周囲の人も不安を口にします。その中で冷静に投資判断をするには、事前の準備と資金管理が必要です。

POPという考え方

動画では、暴落時の投資機会を説明するために「POP」という考え方が紹介されています。

POPとは、Panic、Overselling、Opportunity、Profitsの頭文字です。日本語にすると、パニックが過剰売りを生み、過剰売りが機会を生み、その機会を忍耐強く活用した人が利益を得る、という考え方です。

市場が下落すると、多くの投資家は恐怖に支配されます。ニュースやSNSでは悲観論が広がり、世界が終わるかのような雰囲気になることもあります。その結果、本来は価値のある資産まで売られすぎることがあります。

この売られすぎた局面で、冷静な投資家は良い資産を割安に買うことができます。ただし、注意すべき点もあります。反転までにどれくらい時間がかかるかは誰にも分かりません。

2020年のように数週間で急回復することもあれば、2008年のように回復まで長い時間がかかることもあります。場合によっては数年単位で低迷が続くこともあります。そのため、短期的な底値を当てようとするのではなく、長期的な視点で投資することが重要です。

長期投資で大切なのは市場に居続けること

動画では、ウォーレン・バフェット氏の考え方にも触れられています。重要なのは、市場のタイミングを完璧に当てることではなく、市場に長く居続けることです。

「暴落が来るから投資しない」という考え方は、一見すると安全に見えます。しかし、暴落はいつ来るか分かりません。常に暴落を待ち続けていると、その間の上昇相場を逃してしまう可能性があります。

一方で、何も考えずに高値で一括投資し、下落時に耐えられず売ってしまうのも危険です。大切なのは、長期的に保有できる資産を選び、暴落が来ても耐えられる資金管理をすることです。

動画では、投資期間を6カ月ではなく、数年から数十年で考えるべきだと説明されています。長期投資家にとって、景気後退や暴落は投資人生の一部です。むしろ、その時に追加投資できる準備をしておくことが、将来のリターンを高める可能性があります。

現金を持つことも投資戦略の一部

暴落時にチャンスをつかむためには、現金を持っている必要があります。

市場が下がった時に買いたいと思っても、手元資金がなければ買うことはできません。また、生活費まで投資に回してしまっていると、相場下落時に精神的な余裕を失い、逆に安値で売ってしまう可能性があります。

そのため、投資家にとって現金は単なる待機資金ではなく、リスク管理とチャンス獲得のための重要な武器です。

ただし、現金を持つには日々の支出を抑え、すべてのお金を使い切らない習慣が必要です。投資で成功するためには、銘柄選びだけでなく、家計管理、貯蓄、リスク許容度の把握も欠かせません。

見出しに踊らされる投資家にならないこと

動画の最後では、感情的な投資を避けることの重要性が強調されています。

ニュースの見出しだけを見て投資判断をする人は、相場が上がっている時には強気になり、下がっている時には弱気になります。しかし、これでは高値で買い、安値で売る行動になりやすくなります。

投資で大切なのは、ニュースの雰囲気ではなく、財務内容、資金の流れ、長期的な成長性、リスクとリターンのバランスを見ることです。

現在の市場には、AIブーム、信用取引の増加、規制緩和、暗号資産、米国の財政赤字、インフレ、失業率、地政学リスクなど、多くの不確実性があります。これらは確かに無視できないリスクです。

しかし、リスクがあるから投資をやめるのではなく、リスクを理解したうえで準備することが重要です。市場が下がる可能性を前提にしながら、長期的な資産形成を続ける姿勢が求められます。

まとめ

今回の動画では、CBSの「60ミニッツ」で取り上げられた、現在の株式市場と1929年大暴落前の類似点について解説されていました。

現在の市場には、AIブームによる投機熱、信用取引の増加、投資規制の緩和といった懸念があります。これらは1920年代の米国市場と似た部分があり、相場が過熱している可能性を考えるうえで重要なポイントです。

一方で、現在の金融システムは1929年当時とは大きく異なります。預金保険制度があり、中央銀行や政府も景気悪化時に積極的な政策対応を行います。そのため、当時とまったく同じ形で危機が起きるとは限りません。

ただし、景気後退や市場暴落は今後も必ず起こります。過去100年を見ても、景気後退や20%以上の市場下落は何度も繰り返されてきました。

重要なのは、暴落を恐れて投資をやめることではありません。暴落が起きても耐えられる資金管理を行い、長期的に価値のある資産を見極め、必要な現金を準備しておくことです。

市場が過熱している時ほど冷静になり、下落時ほど感情に流されないことが、長期的な資産形成では大切です。ニュースの見出しに振り回されるのではなく、財務、リスク、長期的な成長性を見ながら、自分の投資方針を守ることが求められます。

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