本記事は、YouTube動画『日経平均5000円幅の乱高下、AI生産性革命と下半期の日本株戦略』の内容を基に構成しています。
2026年の日本株市場では、これまでの常識では考えにくいほど大きな値動きが続いています。日経平均株価は1週間の中で数千円単位の上下を繰り返し、わずか1000円程度の上昇や2000円程度の下落では、投資家が驚かなくなるほど相場の変動が激しくなっています。
その一方で、すべての銘柄が一様に上昇しているわけではありません。半導体やAI関連の大型株に資金が集中する一方、グロース市場や小型株では銘柄選別が進み、業績やテーマ性によって明暗が大きく分かれています。
また、企業の業績面では、生成AIの導入による生産性改善が、単なる期待ではなく実際の利益として表れ始めています。これまで売上の増加に合わせて人員を増やしてきた企業が、AIを活用することで人員を増やさず、場合によっては減らしながら利益を拡大する局面に入りつつあります。
本記事では、日経平均や為替、金利の動向を振り返りながら、AIによる企業収益の変化、半導体株の高ボラティリティ化、注目される企業、そして2026年下半期の投資戦略について詳しく解説します。
日経平均は1週間で約5000円動く異常な高ボラ相場へ
今週の日経平均株価は、週初に比較的高い水準で始まり、その後は火曜日や水曜日に下落する場面がありました。週後半には若干持ち直したものの、全体として非常に値動きの激しい相場となっています。
高値圏では7万500円近辺まで上昇する場面があった一方、夜間取引や海外市場の時間帯には6万5000円台まで下落する場面もありました。
つまり、1週間の高値と安値の差は約5000円に達しています。
従来であれば、日経平均が1日で1000円動くだけでも大きなニュースとなりました。しかし現在では、1000円程度の上昇を見ても「それほど上がっていない」と感じ、2000円の下落でも「今回はこの程度で済んだ」と考えてしまうほど、投資家の感覚が変化しています。
このような環境では、株価の方向性を正確に予想すること以上に、保有銘柄の比率や損失許容度を管理することが重要になります。
相場が上昇しているように見えても、日中の値幅が大きいため、エントリーのタイミングによっては大きな含み損を抱える可能性があります。特に信用取引やレバレッジ商品を利用する投資家にとっては、極めて難易度の高い相場です。
TOPIXは銀行株に支えられる展開
TOPIXも日経平均と似た値動きとなりましたが、日経平均ほど極端な変動ではありませんでした。
日経平均は半導体や値がさ株の影響を強く受けるため、一部の大型銘柄が急騰・急落すると指数全体も大きく動きます。一方、TOPIXはより多くの銘柄で構成されているため、値動きは相対的に穏やかです。
今週のTOPIXを支えた要因の1つが銀行株です。
日本国債の利回り上昇を背景に、銀行株には継続的な買いが入りました。複数の銀行株が高値を更新しており、半導体株が下落した局面でも、金融株の上昇がTOPIXを下支えしたと考えられます。
銀行は預金などで資金を調達し、企業や個人への融資、国債の運用などによって利益を得ています。一般的には金利が上昇すると、貸出金利と預金金利の差である利ざやが拡大しやすくなります。
そのため、長期金利の上昇局面では銀行株が買われやすくなります。
もっとも、金利が急激に上がりすぎると、保有する債券の評価損が拡大する可能性もあります。銀行株が金利上昇の恩恵を受けるとしても、すべての銀行が同じように利益を伸ばすとは限りません。
グロース市場では銘柄選別が一段と進む
グロース市場については、全体として強さが目立たない1週間となりました。
水曜日を中心に売られる場面があり、日経平均や大型株が反発しても、小型株や新興株が十分に反応しない状況が見られました。
ただし、グロース市場全体に資金が入っていないわけではありません。業績が好調な企業や、明確な成長材料を持つ企業には買いが集まっています。
つまり、グロース市場では市場全体をまとめて買う動きではなく、企業ごとの選別が進んでいると考えられます。
今後は「グロース株だから上がる」「小型株は出遅れているから買われる」という単純な考え方ではなく、利益成長や資金効率、AIによる生産性改善など、個別企業の中身を精査する必要があります。
米国株はレンジ相場、ドル円は一時162円台へ
米国のS&P500は、日本株と似たような上下を見せながらも、週間ではおおむねレンジ内の動きとなりました。
一方、為替市場では円安が進み、ドル円は一時1ドル=162円60銭から70銭付近まで上昇しました。
その後、政府関係者の発言などを受けて円高方向へ急落する場面もありましたが、円安圧力の強さは変わっていません。
現在の日本は、円安を止める政策を実行しにくい状況にあります。
政府が財政支出を拡大すれば、国債の発行増加が意識され、国債価格が下落して利回りが上昇しやすくなります。一方、国債利回りの急上昇を抑えるために日本銀行が国債を買えば、市場に円資金が供給されるため、再び円安材料になりかねません。
この構造を利用して、市場参加者は日本国債を売り、同時に円を売る取引を行いやすくなっています。
簡単に言えば、日本の財政に対する懸念から国債を売り、金融政策に対する懸念から円を売るという組み合わせです。
こうした取引が市場で有効だと広く認識されると、多くの投資家が同じ方向にポジションを取ります。その結果、国債利回りの上昇と円安が同時に進みやすくなります。
日本の10年国債利回りは一時2.9%付近へ
日本の10年国債利回りは、一時2.9%付近まで上昇しました。
利回りが急上昇した後に低下する場面もありましたが、市場では日本国債売りと円売りを組み合わせる取引が機能しやすい状況が続いています。
長期金利の上昇は、株式市場にも大きな影響を与えます。
銀行や保険会社などの金融株には追い風となる一方、将来の利益を期待して買われているグロース株には逆風となりやすいからです。
企業価値を計算する際には、将来得られる利益を現在の価値に割り引きます。金利が上昇すると割引率も上がるため、遠い将来の利益を評価されている企業ほど理論上の企業価値が下がりやすくなります。
このため、金利上昇局面では、利益をすでに生み出しているバリュー株や金融株が選好され、将来期待の大きいグロース株が売られる傾向があります。
短期投資家の増加で大型株も乱高下
現在の市場では、大型株であっても1日の中で極端な値動きを見せるケースが増えています。
朝方には7%から8%上昇していた銘柄が、その後に上昇分をすべて失い、マイナス圏まで下落することもあります。
好決算や大型受注が発表された企業でも、事前に大きく売られ、材料が発表された直後にストップ高になるなど、理解しにくい値動きが目立っています。
これは、企業の中長期的な価値を見て投資する参加者よりも、短期的な値動きを狙う投資家が増えていることを示しています。
短期資金が増えると、材料が発表された直後に一斉に買いが入り、その後は利益確定売りが急増します。企業の業績が1日で変わったわけではないにもかかわらず、株価だけが大きく上下する状況が生まれます。
このような相場では、好材料が出たから買うという単純な行動は危険です。材料発表前にどの程度期待が織り込まれていたのか、株価がどの程度上昇していたのかを確認する必要があります。
来週は米国CPIや小売売上高に注目
来週は、国内外で重要な経済指標の発表が予定されています。
火曜日には中国の貿易収支と米国の消費者物価指数が発表されます。特に米国CPIは、米連邦準備制度理事会の金融政策に影響を与えるため、株式、為替、金利のすべてが大きく動く可能性があります。
水曜日には日本の機械受注、米国のニューヨーク連銀製造業景況指数、ベージュブックが発表されます。
木曜日には米国の小売売上高とフィラデルフィア連銀製造業景況指数、金曜日には米国の鉱工業生産、住宅着工件数、ミシガン大学消費者信頼感指数が予定されています。
物価関連指標が強ければ、米国の利下げ観測が後退し、金利上昇やドル高につながる可能性があります。一方、消費や製造業の指標が弱ければ、景気減速懸念が意識される展開も考えられます。
noteの上方修正が示したAI生産性改善の現実
企業業績に関する重要な動きとして、メディアプラットフォームを運営するnoteが業績予想を上方修正しました。
当初、営業利益は約7億円と予想されていましたが、約4億円上振れし、11億円程度まで拡大する見通しとなりました。
この上方修正の背景には、生成AIを活用した生産性改善があります。
noteでは、全社員にAIツールのClaudeを提供するなど、社内でのAI活用を進めています。開発現場ではリードタイムが短縮され、従来より少ない時間や人員でサービス改善を進められるようになっています。
営業利益の改善分のうち、約3.5億円はAIによる生産性向上の効果と説明されています。
これは、AIが単なる話題や将来期待ではなく、実際の企業利益に影響を与え始めたことを示す重要な事例です。
売上が伸びても人員を増やさない企業が増える
従来、企業が売上を伸ばすためには、人員も増やす必要がありました。
サービス利用者が増えれば、開発、顧客対応、営業、管理部門などでより多くの社員が必要になります。そのため、売上の増加とともに人件費も上昇し、利益率は急激には改善しませんでした。
しかし、生成AIを活用すると、この構造が変わります。
AIによってプログラム開発、文章作成、資料作成、顧客対応、情報整理などを効率化できれば、売上が増えても人員を増やす必要がなくなります。
場合によっては、売上が増えているにもかかわらず、従業員数が減少することもあります。
売上高に対する人件費の割合が低下すれば、売上の増加分がそのまま利益として残りやすくなります。
これまでの業績予想では、売上の増加に合わせて一定の人員増加を見込むのが一般的でした。そのため、AIによる人件費削減効果は、アナリスト予想や会社計画に十分に織り込まれていない可能性があります。
今後、noteのように想定以上の利益率改善を発表する企業が増える可能性があります。
AI恩恵株は半導体メーカーだけではない
これまでAI関連株といえば、半導体メーカー、半導体製造装置、データセンター、電力設備などが注目されてきました。
しかし、AIの本当の恩恵は、AIを作る企業だけでなく、AIを使う企業にも広がります。
特に注目されるのは、次のような企業です。
- 多くの従業員を抱えている企業
- 事務作業や顧客対応が多い企業
- 開発業務の比率が高い企業
- 売上総利益率が高い企業
- 売上が増えても設備投資が大きく増えない企業
プラットフォーム企業やSaaS企業、広告会社、PR会社、インターネットサービス企業などでは、AIによる効率化が利益に直結しやすいと考えられます。
売上成長率がそれほど高くなくても、コストが下がれば利益は大きく増加します。
2026年下半期の決算では、「この企業がこれほど利益を出すのか」と驚かれるような事例が相次ぐ可能性があります。
ミラティブへの大量保有から見える投資家の視点
ライブ配信プラットフォームを運営するミラティブでは、著名投資家による大量保有が明らかになりました。
市場内での取得に加え、ベンチャーキャピタルなどから市場外取引で株式を取得し、保有比率が約14%まで上昇したとされています。
ミラティブの特徴は、非常に高い限界利益率にあります。
限界利益とは、売上から売上に直接連動する費用を差し引いた利益です。ミラティブでは、売上が増えた際に追加で発生する費用が比較的小さいため、限界利益率が約75%と高い水準にあります。
配信サービスの売上は、視聴者による投げ銭などが中心です。
ミラティブでは、配信者への還元率が約10.3%とされており、仮に視聴者が500円を支払った場合、配信者に渡る金額は約50円となります。
一見すると配信者への還元が少ないように感じられます。
しかし、ミラティブの配信者には、収益を得ることよりも、配信やユーザー同士の交流を楽しむことを目的としている人が多いとされています。
このため、配信者が還元率だけを理由に他のサービスへ移動しにくい可能性があります。
競合サービスとの違いは配信者の目的
ライブ配信プラットフォームを比較する際、一般的には利用者数や売上成長率、投げ銭の規模などが注目されます。
しかし、より重要なのは配信者が何を目的にサービスを利用しているかです。
収益を主な目的としている配信者は、より高い報酬を受け取れるサービスが登場すると移動しやすくなります。
海外では、配信者に高い報酬や保証を提示するKickなどのサービスが存在し、他の配信プラットフォームから有力配信者を獲得しています。
一方、交流や趣味を目的とする配信者が多いプラットフォームでは、還元率の低さが大きな離脱要因にならない可能性があります。
この構造が維持される限り、ミラティブは高い限界利益率を維持できる可能性があります。
低いPERと高い限界利益率の組み合わせ
ミラティブは一時、予想PERが7倍程度まで低下していたとされています。
PERは、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを示す指標です。PERが低いから必ず割安とは限りませんが、高い限界利益率を持つ企業が低いPERで放置されている場合、投資機会となる可能性があります。
前期の売上高は約71億8000万円、営業利益は約3億4000万円でした。
今期予想では、売上高が約84億円、営業利益が約11億円とされています。
売上高の増加は約12億円ですが、営業利益は約7億円以上増える見通しです。
これは、増加した売上のかなりの部分が利益として残る構造であることを示しています。
大幅な売上成長がなくても、限界利益率が高ければ利益は急拡大します。低いPERと高い利益成長が同時に存在する点が、著名投資家に評価された可能性があります。
決済代行会社の破綻で2万店超に影響
決済代行会社の前払いサービス事業者が、約1259億円の負債を抱えて破綻したことも大きな話題となりました。
少なくとも2万店を超える加盟店に対し、クレジットカード売上の入金が滞っているとされています。
消費者がクレジットカードを利用した場合、店舗にはその場で現金が入るわけではありません。決済代行会社を通じ、一定期間後に売上金が振り込まれます。
ところが、売上金を預かっている決済代行会社が入金前に破綻すると、加盟店は商品やサービスを提供したにもかかわらず、代金を受け取れなくなる可能性があります。
今回の決済会社は、加盟店への早期入金を強みとしていました。
そのため、資金繰りに余裕のない小規模事業者や個人事業主、飲食店、夜間営業の店舗などが利用していたと考えられます。
こうした事業者にとって、数日から数週間の入金停止でも資金繰りに深刻な影響を与える可能性があります。
取引銀行への影響も確認が必要
破綻した決済会社に融資していた金融機関は、それぞれ貸出額を開示しています。
金融機関の損失は、融資額や担保、引当金の状況によって異なります。
貸倒引当金によって一定程度カバーできる銀行もあれば、追加損失が発生する銀行もあります。
銀行株を保有している投資家は、単に「金利上昇だから銀行株は買い」と考えるのではなく、個別銀行の融資先や与信管理も確認する必要があります。
決済代行会社は、消費者、加盟店、カード会社、銀行をつなぐ金融インフラです。そのため、1社の破綻であっても、影響は広範囲に及ぶ可能性があります。
TSMCの月次売上高とRubinの生産動向に注意
半導体市場では、TSMCの月次売上高が重要な注目材料となります。
TSMCは世界最大級の半導体受託製造会社であり、NVIDIAやAppleなど多くの企業から先端半導体の製造を受託しています。
今回の月次売上高で注目されているのは、NVIDIAの次世代AI半導体「Rubin」の生産立ち上がりです。
市場では、Rubinの生産に関して歩留まりや製造工程に問題が発生している可能性が指摘されています。
問題がNVIDIA側の設計にあるのか、TSMC側の製造工程にあるのかは明確ではありません。しかし、わずかな生産遅延でも、AI半導体の出荷計画やHBM需要、半導体製造装置メーカーの業績に影響を与える可能性があります。
7月以降は、テスト生産や少量生産が始まるとみられています。その前段階となる月次売上高が市場予想を下回れば、半導体関連株全体が売られる可能性があります。
ASML決算は日本の半導体製造装置株にも波及
ASMLの決算発表にも注意が必要です。
ASMLは、先端半導体の製造に欠かせないEUV露光装置を事実上独占的に供給している企業です。
ASMLの受注や業績が強ければ、世界的な半導体設備投資が継続していると判断されます。その場合、日本の東京エレクトロンをはじめとする半導体製造装置関連株にも買いが入りやすくなります。
反対に、ASMLの受注が市場予想を下回れば、半導体設備投資の減速が意識され、米国株だけでなく日本株も下落する可能性があります。
現在の半導体株は期待が高く、株価にも将来成長が相当程度織り込まれています。
そのため、決算内容が悪い場合だけでなく、良い決算であっても市場の期待に届かなければ売られる可能性があります。
AI・半導体株の高ボラティリティはなぜ続くのか
AI関連株や半導体株の値動きが激しい理由の1つは、市場で取引される高ベータ株がAI関連に集中していることです。
高ベータ株とは、市場平均よりも大きく動きやすい銘柄です。
短期投資家は、大きな値幅を狙うために高ベータ株を好みます。現在、その対象が半導体やAI関連株に偏っているため、同じ銘柄に短期資金が集中しています。
さらに、韓国株や米国のレバレッジETF、個別株レバレッジ商品との連動性も高まっています。
レバレッジ商品は、指数や個別株の値動きを2倍や3倍に増幅することを目指す商品です。
短期的に大きな利益を狙える一方、値下がりした場合の損失も拡大します。また、長期間保有すると価格変動の影響で指数の単純な倍数にならないことがあるため、一般的には短期売買向けです。
レバレッジ商品の残高が急増すると、相場が下落した際に損失回避の売りが一斉に出やすくなります。反対に、上昇時には追随買いが増えます。
これがAI・半導体株の値動きをさらに大きくしています。
遠い将来を織り込む銘柄ほどニュースに弱い
AI関連株の多くは、現在の利益ではなく、数年後の成長を期待して買われています。
将来の予測期間が長いほど、小さな前提の変化が企業価値に大きな影響を与えます。
野球の投手がボールを投げる際、手元でわずか1ミリずれただけでも、キャッチャーの位置では大きなずれになります。距離が長くなればなるほど、最終地点の差は拡大します。
企業業績の予測も同じです。
数年後の売上高や利益率を高く見積もっている場合、生産開始が数カ月遅れる、歩留まりがわずかに悪化する、設備投資が少し減るといったニュースだけでも、将来利益の予想は大きく変化します。
そのため、将来期待が株価に強く織り込まれている銘柄ほど、わずかなネガティブ材料で急落しやすくなります。
中長期投資家はすでに安値で仕込んでいる
現在のAI関連株で売買している投資家の多くは、短期投資家と考えられます。
中長期の投資家は、AI関連の成長がまだ半信半疑だった前年の段階で投資しているケースが多いためです。
市場がAIの成長性を十分に認識し、日経平均が大きく上昇した後に参入する投資家は、短期的な値幅を狙う傾向があります。
短期投資家が増えれば、韓国市場の下落や半導体ニュースをきっかけに、一斉に売りが出ます。
今後もAI・半導体株の高ボラティリティは続く可能性が高く、投資する場合は保有比率の管理が重要です。
AI株をすべて売却する必要はありませんが、ポートフォリオ全体がAI関連に偏りすぎないよう、金融、建設、サービス、消費関連などに分散する考え方も有効です。
高値に接近した注目銘柄
今週は、相場全体が乱高下する中でも、継続的に資金が入っている銘柄が見られました。
メルカリ
メルカリは継続的に買いが入り、高値圏へ接近しています。
出来高を伴いながら上昇していますが、その価格帯で売りたい投資家が比較的少なく、徐々に株価が切り上がっているように見えます。
メルカリはプラットフォーム型の企業であり、事業が拡大しても原材料費が大幅に増える企業ではありません。
AIによって顧客対応、不正取引の監視、商品説明、検索、開発業務などを効率化できれば、もともと利益を生みやすい構造がさらに強化される可能性があります。
noteの上方修正を受け、メルカリのようなプラットフォーム企業にもAIによる利益率改善を期待する投資家が増えている可能性があります。
インフロニア・ホールディングス
インフロニア・ホールディングスも株価が切り返しています。
同社の注目分野の1つが蓄電池関連です。
再生可能エネルギーの普及やデータセンターの増加に伴い、電力の安定供給や蓄電設備の需要が高まっています。
蓄電池事業では、設備メーカーだけでなく、ゼネコンが建設や運営に関与し、完成後に設備を売却する事業モデルも広がっています。
また、工場や倉庫の自動化が進めば、ロボットやAIシステムだけでなく、電力設備の増強も必要です。
大規模施設の電気設備工事を担うサブコンやゼネコンにとって、AIや自動化は長期的な需要拡大要因となります。
短期的には利益率への懸念で売られる場面があっても、中長期では堅調な需要が期待されます。
滋賀銀行
滋賀銀行も高値を更新しています。
長期金利の上昇を背景に、地方銀行株への資金流入が続いています。
地方銀行は、地域経済や貸出先の状況によって業績が異なりますが、金利正常化による利ざや改善への期待は高まっています。
一方で、保有債券の評価損や融資先の信用リスクもあるため、単純に金利上昇だけで判断するのではなく、自己資本比率、貸出先、債券ポートフォリオなどを確認する必要があります。
ベクトル
PR会社のベクトルにも資金が入っています。
PR会社は、多数の顧客との連絡、企画書作成、記事制作、情報整理、効果測定など、人手を必要とする業務が多い業界です。
これらの業務は、生成AIによる効率化と相性が良い分野です。
企業ごとの提案資料作成や情報収集、文章の下書き、レポート作成などをAIで効率化できれば、1人の社員が担当できる顧客数を増やせます。
売上が伸びても人員を同じ割合で増やす必要がなくなれば、利益率が大きく改善する可能性があります。
これまで人件費負担が大きかった業界ほど、AI活用による業績変化が大きくなる可能性があります。
2026年上半期は指数上昇ほど簡単な相場ではなかった
2026年上半期の日経平均は大幅に上昇しました。
指数だけを見れば、非常に利益を得やすい相場だったように感じられます。
しかし、個人投資家やアクティブファンドの成績を見ると、必ずしも多くの投資家が利益を得ているわけではありません。
動画内で紹介された個人投資家へのアンケートでは、約45%がプラス、約55%がマイナスという結果でした。
機関投資家やアクティブファンドでも、日経平均を上回る成績を残せていないケースが多いと考えられます。
これは、指数の上昇が一部の大型株や半導体株に偏っていたことが原因です。
日経平均が30%から40%上昇していても、自分が保有している銘柄が上昇するとは限りません。
むしろ、指数上昇を見て焦り、遅れて高値で買った結果、急落に巻き込まれた投資家も多いと考えられます。
日経平均に勝とうと焦る必要はない
投資家が最も避けるべきなのは、指数に負けていることを理由に、無理に利益を取り戻そうとすることです。
日経平均が大きく上昇すると、「自分も同じくらい稼がなければならない」と考えがちです。
しかし、1年間で日経平均に負けたからといって、投資人生が終わるわけではありません。
焦ってレバレッジを高めたり、値動きの激しい半導体株に集中したりすると、損失がさらに拡大する可能性があります。
重要なのは、短期的に指数へ勝つことではなく、長期間にわたって市場から退場せず、資産を増やし続けることです。
現在のような高ボラティリティ相場では、利益を最大化するよりも、大きな損失を避けることが優先されます。
下半期はAIによる業界変化を狙う
2026年下半期の投資戦略としては、値動きの激しいAI半導体株だけを追いかけるのではなく、AIによる生産性改善が利益に表れる企業を探すことが重要です。
半導体関連企業は、AI需要の恩恵を直接受けますが、すでに高い成長期待が株価に織り込まれています。
一方、AIを導入することで人件費や開発費を削減できる企業は、まだ市場に十分評価されていない可能性があります。
特に、次の決算シーズンでは、これまでAI関連として注目されていなかったサービス業やプラットフォーム企業が、大幅な利益成長を発表する可能性があります。
売上高だけでなく、従業員数、人件費率、営業利益率、1人当たり売上高などを確認すると、AIによる変化を見つけやすくなります。
AI時代には美容やフィットネス需要も伸びる可能性
AIによる効率化は、企業の利益だけでなく、人々の生活にも影響を与えます。
仕事に必要な時間が短くなり、生活に余裕が生まれると、人々の関心は自分自身の健康や外見、趣味へ向かう可能性があります。
その場合、フィットネスジム、美容、健康管理、自己投資に関連する業界が伸びることも考えられます。
AI関連投資というと、半導体やソフトウェアを連想しがちです。
しかし、技術革新によって生まれた余暇や所得が、どの分野に使われるかを考えることも重要です。
AIの普及による第2次的な恩恵を受ける企業は、まだ十分に評価されていない可能性があります。
まとめ
2026年の日本株市場は、日経平均が1週間で約5000円動くほど、極端な高ボラティリティ相場となっています。
半導体やAI関連の大型株に短期資金が集中し、好材料や悪材料に対して株価が過剰に反応する場面が増えています。
為替市場では円安圧力が続き、日本国債利回りも上昇しています。国債売りと円売りが同時に進みやすい構造の中で、銀行株が買われる一方、グロース株には逆風が吹いています。
企業業績では、noteの上方修正が示したように、生成AIによる生産性改善が利益として表れ始めました。
今後は半導体メーカーだけでなく、プラットフォーム、SaaS、PR、広告、サービス業など、AIを活用して人件費や開発費を削減できる企業にも注目が集まる可能性があります。
ミラティブのように、高い限界利益率と低いPERを持つ企業や、AIによって利益率が改善する企業は、売上成長率以上に利益が拡大する可能性があります。
一方、TSMCの月次売上高やASMLの決算、米国CPIなど、相場を大きく動かす材料も控えています。AI・半導体株は将来期待を大きく織り込んでいるため、わずかな計画変更でも急落する可能性があります。
日経平均が大きく上昇しているからといって、無理に指数へ勝つ必要はありません。
現在の相場で重要なのは、保有比率を管理し、値動きの激しい銘柄に資金を集中させすぎないことです。
2026年下半期は、AI半導体株の上昇を追いかけるだけでなく、AIによる生産性改善や業界構造の変化を丁寧に見極めることが、リスクとリターンのバランスを取るうえで重要になるでしょう。


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