本記事は、YouTube動画『NVIDIA高決算でも日経失速の真相とジャクソンホールで直面する長期金利ショック』の内容を基に構成しています。
NVIDIAが市場予想を上回る好決算を発表したにもかかわらず、日経平均は上昇を維持することができませんでした。
通常であれば、世界を代表するAI半導体企業であるNVIDIAの好決算は、日本の半導体関連株にとって大きな追い風となります。しかし今回の東京市場では、朝方に買いが先行したものの、その後は上値が重くなり、日経平均は6万6131円で取引を終えました。
動画では、この値動きについて「AIという強力な好材料だけでは相場を押し上げられない状況になっている」と分析しています。
その背景にある最大の要因が、米国を中心とした長期金利の上昇です。
さらに、FRBの金融政策、日本銀行の追加利上げ観測、ドル円、海外投資家の売買動向まで複数の要因が重なっており、現在の日本株は「FRBが利上げしなければ上がる」「円安なら上がる」といった単純な構図では説明しにくくなっています。
NVIDIA好決算でも日経平均が上昇を維持できなかった
今回の相場を考えるうえで、まず注目したいのがNVIDIAの決算です。
動画によると、NVIDIAの売上高は前年同期から大幅に増加し、次の四半期の売上高見通しも市場予想を上回りました。時間外取引では株価が一時約5%上昇するなど、市場から高く評価されました。
NVIDIAは世界のAI関連投資を象徴する企業です。そのため、NVIDIAの業績が好調であれば、日本市場でも半導体製造装置やAI関連企業への買いが入りやすくなります。
実際、東京市場でも朝方は買いが先行しました。
しかし、日経平均は一時6万6900円台まで上昇したものの、その水準を維持できませんでした。
動画が重要なポイントとして挙げているのが、6万6500円前後です。
この付近には75日移動平均線などのテクニカル上の節目があり、上値抵抗として意識されたと説明しています。
つまり今回の値動きは、NVIDIAの決算が悪かったことを意味するわけではありません。
むしろ、これだけ強い企業業績という材料があっても株価を押し上げ続けることができないほど、市場が金利上昇やマクロ経済環境を警戒している可能性があります。
なぜ長期金利の上昇が株価にとって問題なのか
株式投資の初心者にとっては、「金利が上がるとなぜ株が下がるのか」が少し分かりにくいかもしれません。
特に影響を受けやすいのが、成長期待の高いグロース株です。
株価は、企業が将来生み出すと期待される利益を現在の価値に換算して評価するという考え方があります。
このとき金利が高くなるほど、将来得られる利益の「現在価値」は小さく計算されやすくなります。
そのため、将来の成長期待を大きく織り込んでいるAI株、半導体株、ハイテク株などは長期金利上昇に弱い傾向があります。
日経平均には、アドバンテスト、東京エレクトロン、ソフトバンクグループなど、成長期待やAI投資の影響を受けやすい大型株が含まれています。
こうした銘柄の株価が下落すると、指数全体にも大きな影響を与えます。
ジャクソンホールで注目すべきは「9月利上げ」だけではない
動画の中心テーマとなっているのが、ジャクソンホールで行われるFRB議長の講演です。
一般的には、こうしたイベントでは「次回FOMCで利上げするのか」「利下げするのか」といった政策金利の方向に注目が集まります。
しかし動画では、今回についてはそれだけを見るのは危険だと指摘しています。
本当に重要なのは、FRBが長期金利の上昇をどのように評価しているのかです。
仮にFRBが政策金利をすぐに引き上げなくても、市場の長期金利が上昇すれば、住宅ローン金利や企業の資金調達コストなどが上昇します。
つまり、中央銀行が直接政策金利を引き上げなくても、市場金利の上昇によって金融環境が引き締まることがあります。
動画ではこれを、「市場が勝手に引き締める」状態として説明しています。
9月FOMCの利上げ確率は約4割まで上昇
動画によると、市場では9月FOMCでの利上げ確率が約4割まで上昇しています。
背景には、依然として高いインフレがあります。
動画では7月のPCE物価指数が前年同月比3.7%、コアPCEが3.3%と説明しており、FRBが目標としている2%を上回る状態が続いているとしています。
このため、市場では「FRBが再び金融引き締めを強化するのではないか」という警戒が残っています。
しかし、重要なのは利上げ確率だけではありません。
仮に講演後に利上げ確率が低下したとしても、米10年国債や30年国債の利回りが下がらなければ、株式市場にとって金融環境が緩んだことにはなりません。
そのため動画では、FF金利先物だけを見て「ハト派だった」と判断するのは危険だとしています。
米30年国債利回り5.34%が示す金利上昇への警戒
今回、特に市場の警戒を集めているのが米国の超長期金利です。
動画によると、米30年国債利回りは一時5.34%まで上昇し、2007年以来の高水準を記録しました。
長期金利が上昇している背景には、インフレだけではなく、米国政府の巨額の財政赤字や国債発行量の増加があります。
国債の供給が増えれば、投資家に購入してもらうため、より高い利回りが求められる可能性があります。
その結果、国債価格が下落し、利回りが上昇しやすくなります。
これは単なる金融政策の問題ではなく、米国の財政問題とも関係しています。
米財務省は長期国債の買い戻しを倍増
長期金利の上昇に対応する動きとして、動画では米財務省による国債買い戻しにも注目しています。
動画によると、米財務省は10年から30年の長期国債について、1回あたりの買い戻し規模を20億ドルから少なくとも40億ドルへ倍増しました。
国債を買い戻せば国債価格を下支えする要因となるため、理論上は利回り上昇を抑える方向に働きます。
実際、30年国債利回りが5.34%まで上昇した後、5.18%近辺まで低下する場面もあったと動画では説明しています。
しかし問題は、米国債市場そのものが非常に巨大だということです。
1回40億ドルという買い戻しは大きな金額に見えますが、米国債市場全体の規模から見れば限定的です。
そのため、買い戻しによって市場の流動性を改善することはできても、インフレや財政赤字、国債供給増加という根本的な問題まで解決できるとは限りません。
FRBと米財務省の姿勢に違いがある
ここで動画が指摘しているのが、米財務省とFRBの立場の違いです。
財務省は国債買い戻しによって長期金利上昇をある程度抑えようとしています。
一方でFRBが「長期金利は市場が決めるべきだ」という姿勢を強く示した場合、市場参加者は「FRBは長期金利上昇を止めに来ない」と受け取る可能性があります。
これは株式市場にとって重要です。
FRB議長が9月利上げを明確に示唆しなかったとしても、長期金利上昇を容認する姿勢が示されれば、10年金利や30年金利が上昇する可能性があります。
そうなれば、NASDAQや日本の半導体関連株などには逆風になります。
「何も言わない」ことが市場を動かす可能性もある
今回のジャクソンホールでは、FRB議長が9月の金融政策について明確なメッセージを出さない可能性もあります。
しかし動画では、「何も言わない=株高」とは限らないと指摘しています。
仮に政策金利について明確な方向を示さなくても、インフレ率2%への強いこだわりを示し、長期金利について市場に委ねる姿勢を確認すれば、債券市場がそれ自体を金融引き締め継続のシグナルとして受け取る可能性があります。
その場合、ニュース速報では「9月利上げの明確な示唆なし」と報じられて株価が一時的に上昇した後、長期金利が上昇し、再び株価が下落するという2段階の値動きも考えられます。
逆に、新たな引き締め材料がなく長期金利も上昇しなければ、イベント通過後にNVIDIAの好決算が改めて評価される可能性があります。
日本株には「米国」と「日本」の二重引き締めリスク
日本株をさらに複雑にしているのが、日本銀行の金融政策です。
動画では、ドル円が159円台にある一方、日本銀行の追加利上げ観測も高まっていると説明しています。
一般的には米国金利が上昇するとドル高・円安になりやすく、円安は自動車や機械など輸出企業の業績にプラスとなります。
しかし、日本銀行まで追加利上げに動けば、円高圧力が強まる可能性があります。
つまり現在の日本株には、
「米国の金融引き締め」
と
「日本の金融引き締め」
が同時に意識される可能性があります。
これが現在の日本株を難しくしている大きな理由です。
FRBがタカ派でも日経平均が必ず下がるとは限らない
ここで興味深いのが、FRBがタカ派だから日経平均が必ず下落するわけではないという点です。
FRBがタカ派姿勢を強めれば、米長期金利が上昇し、半導体やグロース株には逆風となる可能性があります。
一方で米金利上昇によってドル高・円安が進めば、自動車や機械など輸出株には追い風となります。
逆にFRBがハト派となり、米金利が低下すれば半導体株にはプラスですが、ドル円が円高方向へ動けば輸出企業にはマイナスとなります。
日経平均には、金利に敏感なハイテク株と為替に敏感な輸出株の両方が含まれています。
そのため、「タカ派=日経安」「ハト派=日経高」という単純な判断が通用しにくくなっています。
海外投資家は日本株を7641億円売り越し
動画では、需給面でも注意すべきデータを紹介しています。
8月22日までの1週間で、海外投資家は日本株を7641億円売り越したとされています。
同じ週に日経平均は約4%下落しました。
さらに、日本の10年国債利回りも2.945%まで上昇し、約30年ぶりの高水準になったと説明しています。
これは、日本株に対して海外投資家が慎重になっている一方、日本国内でも金利上昇が進んでいることを意味します。
特にグロース株やAI関連株にとっては、海外投資家の売りと金利上昇が同時に進むことが大きなリスクになります。
すでに売られているからこそ急反発する可能性もある
ただし、動画では弱気材料だけを見て下落を決め打ちすることも危険だとしています。
すでに日経平均は下落し、海外投資家も7641億円を売り越しています。
米30年国債利回りも5.34%まで上昇し、9月FOMCの利上げについても一定程度市場に織り込まれています。
つまり、金利上昇リスクはまったく知られていない新しい悪材料ではありません。
仮にジャクソンホールで市場予想ほどタカ派的な内容が出なければ、それまで株を売っていた投資家が買い戻す可能性があります。
相場では、悪材料そのものよりも「市場が事前にどこまで織り込んでいるか」が重要です。
悪材料が出ても株価が下がらないのであれば、それは売り圧力が弱くなっているサインになることがあります。
日経平均で注目される6万6500円・6万6000円・6万5683円
動画では、ジャクソンホール後の日経平均を見るうえで、いくつかの重要な価格帯を挙げています。
最初が6万6500円前後です。
この付近には75日移動平均線や一目均衡表の雲などが位置しており、上値抵抗として意識されています。
イベント後に6万6500円を明確に回復し、その水準を維持できれば、市場が金利上昇リスクをある程度吸収した可能性があります。
次が6万6000円前後です。
短期的な攻防になりやすい水準として注目されています。
さらに重要なのが6万5683円前後です。
動画では、この付近に25日移動平均線があるとしており、日経先物も一時6万5700円台まで下落した後に反発したとしています。
つまり、この付近ではすでに押し目買いが入っています。
そのため、ジャクソンホール後に6万5683円を明確に割り込む場合、単に投資家心理が悪化しただけではなく、これまで買い支えていた投資家まで後退した可能性があります。
さらに下では6万5085円前後の一目均衡表の基準線が意識されるとしています。
一方、上方向では6万7085円から6万7207円付近が重要です。
この水準を回復できれば、金利への警戒よりもNVIDIAの好決算や企業業績への評価が再び優勢になってきた可能性があります。
ジャクソンホール後に想定される3つのシナリオ
動画では、今後の相場を3つのパターンに整理しています。
シナリオ1 FRBのタカ派姿勢で長期金利がさらに上昇
最も分かりやすいのが、FRBがインフレを強く警戒し、9月利上げを明確な選択肢として示すケースです。
この場合、9月利上げ確率が現在の約4割から上昇し、米10年国債利回りや30年国債利回りがさらに上昇する可能性があります。
特に30年金利が5.34%の直近高値へ再び接近すれば、NASDAQや半導体関連株への売りが強まりやすくなります。
日経平均では6万6000円、さらに6万5683円付近の攻防が重要になります。
シナリオ2 利上げ示唆はないのに長期金利が下がらない
動画が特に警戒しているのが、このケースです。
FRB議長が9月利上げを約束せず、政策金利については今後の経済データを見ながら判断すると説明したとします。
一見するとハト派的です。
しかし同時に長期金利上昇を「市場による正常な価格形成」として容認すれば、9月利上げ確率は上昇しなくても10年金利や30年金利が高止まりする可能性があります。
ニュースでは「利上げ示唆なし」と報じられても、長期金利が上昇していれば株式市場への金融引き締め圧力は残ります。
動画では、このシナリオが最も見落とされやすいとしています。
シナリオ3 長期金利低下でNVIDIA好決算が再評価される
3つ目は株式市場にとって比較的安心できるケースです。
FRBがインフレ警戒姿勢を維持しながらも、現在の長期金利上昇が実体経済に与える影響を認識し、9月利上げを既定路線としない場合です。
その結果、米10年・30年国債利回りが低下すれば、半導体株などのグロース株には追い風となります。
NVIDIAの好決算が再び評価されれば、日経平均が6万6500円を突破し、6万7000円台を回復する可能性も出てきます。
ただし、この場合でも米金利低下によって円高が進めば輸出株には逆風になります。
そのため、日経平均全体が全面高になるとは限りません。
講演直後に確認すべき3つの数字
動画では、ジャクソンホール講演後に確認すべきポイントを3つ挙げています。
1つ目は、9月FOMCの利上げ確率です。
現在約4割とされている利上げ確率が講演後に大きく上昇すれば、市場はFRB議長の発言をタカ派と受け止めた可能性があります。
2つ目は、米10年国債と30年国債の利回りです。
特に10年金利が4.7%近辺からさらに上昇するのか、30年金利が5.34%へ接近するのかが重要です。
利上げ確率が下がっていても長期金利が上がっているのであれば、株式市場への金融引き締め圧力は残っています。
3つ目がドル円です。
ドル円が159円台からどちらへ動くのかによって、日本株の中でも半導体株と輸出株への影響が変わってきます。
「FRBが何を言ったか」より市場の反応を見ることが重要
今回の動画で最も重要なメッセージは、ニュースの見出しだけで相場を判断しないことです。
「FRBが利上げを示唆した」
「9月利上げには言及しなかった」
といった見出しだけでは、日本株の方向を正確に判断できない可能性があります。
見るべきなのは、その発言を受けて市場がどう動いたのかです。
政策金利の予想、米10年・30年国債利回り、ドル円、日経先物、海外投資家の需給を組み合わせることで、初めて相場全体の構造が見えてきます。
特に注意したいのが、「利上げ確率は低下しているのに長期金利だけが上昇する」という組み合わせです。
これは、FRBが政策金利を上げなくても、財政赤字や国債供給への不安によって長期金利が高止まりすると市場が判断している可能性があります。
株式市場にとっては、必ずしも安心できる状況ではありません。
まとめ
NVIDIAが市場予想を上回る好決算を発表したにもかかわらず、日経平均が上昇を維持できなかったことは、現在の株式市場が企業業績だけでは動かなくなっていることを示しています。
特に重要なのが米国の長期金利です。
FRBが9月に利上げするかどうかだけではなく、FRBが長期金利の上昇をどこまで容認するのかによって、NASDAQや日本の半導体株の評価は大きく変わる可能性があります。
さらに日本では、日銀の追加利上げ観測が高まっており、米国と日本の金融引き締めが同時に意識される複雑な環境となっています。
そのため、今後の日経平均を見る際には、「タカ派だから下落」「ハト派だから上昇」と単純化せず、米10年・30年国債利回り、ドル円、日経先物を同時に確認することが重要です。
動画では、日経平均の重要水準として6万6500円、6万6000円、6万5683円前後を挙げています。
講演後に6万6500円を回復し、長期金利が低下するのであれば、NVIDIAの好決算や企業業績が再び評価される可能性があります。
反対に、米長期金利が上昇し、6万5683円を明確に割り込むのであれば、金利上昇が単なる警戒材料から実際の需給悪化へ発展している可能性があります。
今回のジャクソンホールで重要なのは、FRB議長の「一言」だけではありません。
その言葉を受けて米国債市場、為替市場、株式市場がどのような数字を示すのか。
そこに、今後の日経平均の方向を判断するための重要なヒントがあるといえそうです。


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