本記事は、YouTube動画『金とビットコイン、再び注目を集める「無国籍通貨」』の内容を基に構成しています。
金(ゴールド)とビットコインが、再び金融市場で大きな注目を集めています。
動画では、直近1カ月のパフォーマンスとして金先物が約14.9%、ビットコインが約18.6%上昇したことが紹介されています。特にビットコインは直近1週間で約20%上昇するなど、急速に値を戻しているといいます。
こうした中、世界最大級のヘッジファンド「ブリッジウォーター・アソシエイツ」の創業者として知られるレイ・ダリオ氏が、ポートフォリオの10~15%程度をゴールドで保有し、ビットコインについても少額を持つことを提案していると紹介されています。
なぜ今、金とビットコインなのでしょうか。
動画では、その背景として「脱米国依存」「米国政府の財政不安」「インフレによる法定通貨の価値低下」という3つの大きな流れを挙げています。
金とビットコインが同時に注目される「無国籍通貨」という考え方
金とビットコインはまったく異なる資産です。
金は数千年にわたって価値の保存手段として利用されてきた実物資産です。一方、ビットコインは2009年に誕生したデジタル資産であり、その歴史はまだ長くありません。
しかし、両者には共通点があります。
それは、特定の国や政府が自由に発行できる資産ではないという点です。
米ドルや日本円は、それぞれ米国や日本の金融・財政システムに依存しています。一方、金は特定国家の信用を必要とせず、ビットコインも中央銀行が発行量を自由に増やせる仕組みではありません。
動画では、この特徴から金とビットコインを「無国籍通貨」と表現しています。
世界の投資家が米ドルや米国債だけに資産を集中させることに不安を感じるようになれば、その一部が金やビットコインへ向かう可能性があります。
現在起きている値動きの背景には、まさにこの構造変化があるのではないか、というのが動画の大きなテーマです。
金とビットコインは2026年に大きく乱高下
動画では、まず2026年に入ってからの金とビットコインの値動きを振り返っています。
金は年初から急騰し、一時は1カ月弱で約25%上昇しました。
比較的値動きが安定していると考えられやすい金が短期間で25%も上昇するのは異例です。動画では、この状態を「プチバブル」と表現しています。
背景には、「金が上がるから買う」「さらに上がると、持っていないことが不安になって買う」というFOMO(取り残されることへの恐怖)があったのではないかと分析しています。
ところが、ほぼ同じ時期にビットコインは逆方向へ動きました。
約1カ月で30%ほど下落し、金とビットコインという2つの「無国籍通貨」の明暗が大きく分かれました。
その後は両方とも停滞します。
金は年初の上昇分を大きく吐き出し、6月末には年初来でマイナス圏まで調整しました。ビットコインについても、一時は年初来で約35%の下落となったと説明されています。
しかし、8月に入ると状況が大きく変わりました。
金とビットコインがそろって急反発し、直近1カ月では金が約14.9%、ビットコインが約18.6%上昇するまで回復したのです。
では、なぜ2つの資産が同時に買われているのでしょうか。
長期トレンド1:世界で進む「脱米国依存」
動画が最初に挙げている大きな構造変化が、世界経済における米国一極集中の変化です。
第2次世界大戦後、とりわけ冷戦終結後の世界では、米国が圧倒的な経済力と軍事力を持ち、米ドルが世界の基軸通貨として中心的役割を果たしてきました。
しかし近年、中国をはじめとする新興国の台頭によって、世界の力関係は徐々に変わりつつあります。
動画では、トランプ大統領が中国を念頭に「G2」という言葉を使ったことにも触れています。これは米国と中国という2つの大国の存在感が世界経済で大きくなっていることを象徴する表現です。
ウクライナ戦争が大きな転機に
脱米国依存の流れを加速させた重要な出来事として、動画ではウクライナ戦争を挙げています。
ロシアによるウクライナ侵攻後、米国を中心とする西側諸国はロシアに大規模な金融制裁を実施しました。
国際決済システムからの排除などによって、ロシアは国際金融市場へのアクセスを大きく制限されました。
これは米ドルが世界の基軸通貨であり、米国が世界の金融システムで強い影響力を持っているからこそ可能だった措置です。
動画では、これを「ドルの武器化」と表現しています。
ただし、この制裁はロシアだけでなく、新興国やグローバルサウスにも大きな印象を与えました。
「米国中心の金融システムに依存していると、将来自分たちも同じような制裁を受ける可能性があるのではないか」
こうした懸念から、各国が外貨準備を米ドルだけに依存せず、金へ分散させる動きが強まったと動画では説明しています。
特に2022年以降、新興国の中央銀行による金購入が急増しています。
長期トレンド2:深刻化する米国政府の財政不安
2つ目の大きなテーマが米国の財政問題です。
米国政府は巨額の財政赤字を抱えており、その状態が今後さらに悪化する可能性があると指摘されています。
動画では、米国の財政赤字について、2025年にはGDP比で約6.3%だったものが、2035年には約8.5%まで拡大する可能性があるという見通しを紹介しています。
さらに重要なのが、米国政府が借金に対して支払う金利です。
金利が低ければ、多額の国債を発行していても利払い負担は抑えられます。
しかし金利が上昇すると話は変わります。
動画では、米政府が抱える債務の平均金利が2023年の約3%から、今後は約3.4%程度まで上昇するとの見通しを紹介しています。
債務残高そのものが非常に大きいため、わずかな金利上昇でも政府が支払う利息は巨額になります。
米国が陥る可能性のある「負のスパイラル」
ここで問題になるのが、財政悪化と金利上昇が互いを悪化させる構造です。
投資家が米国の財政を不安視するようになると、米国債を保有する見返りとして、より高い金利を求めるようになります。
すると米国債の利回りが上昇します。
金利が上がれば米政府の利払い費が増え、財政はさらに悪化します。
財政が悪化すると、投資家はさらに米国債を不安視します。
その結果、
米国債が売られる → 金利が上がる → 利払い費が増える → 財政が悪化する → さらに米国債が売られる
という悪循環に陥る可能性があります。
動画では、レイ・ダリオ氏が米国の財政問題について長年警鐘を鳴らしていることも紹介しています。
直近の発言として、米国が今後数年を中心とした一定期間に「債務危機」に直面する可能性があるとの見方も取り上げられています。
もちろん、これは米国が直ちに財政破綻するという意味ではありません。
しかし、世界の投資家が米国債を「絶対に安全な資産」と考えてきた前提に、少しずつ変化が起きている可能性があります。
米30年債利回りの上昇が示す市場の警戒
米国の財政不安は、債券市場にも表れていると動画では指摘しています。
特に注目されているのが米国30年国債の利回りです。
動画では30年債利回りが5%を超える高い水準まで上昇していることを取り上げています。
1年後や2年後の米国については大きな問題を心配していなくても、「20年後、30年後は本当に大丈夫なのか」と考える投資家が増えれば、長期間資金を固定する国債ほど高い利回りが要求されます。
このように、長期保有するリスクに対して投資家が求める上乗せ金利を「タームプレミアム」と呼びます。
動画では、このタームプレミアムの拡大が超長期金利上昇の背景にあると説明しています。
米ドルが突然基軸通貨ではなくなるという話ではありません。
ただ、米ドルや米国債への信頼が少しずつ低下するのであれば、その資金の一部が金やビットコインへ向かうのは自然だという考え方です。
長期トレンド3:インフレによって法定通貨の価値が薄まる
3つ目の大きな流れがインフレです。
インフレとは、商品やサービスの価格が上昇する現象ですが、見方を変えれば「お金の価値が低下している」と考えることもできます。
100円で買えていたものが150円必要になれば、同じ100円で買える商品の量は減ります。
つまり100円という通貨の購買力が低下したことになります。
動画では、米国のマネーサプライとS&P500、金価格を比較すると、長期的には似た方向へ拡大してきたと説明しています。
世の中に供給される通貨の量が増えれば、相対的に希少性のある資産の価格が上がりやすくなるという考え方です。
金は簡単に増やすことができない
この点で金には大きな特徴があります。
中央銀行は法定通貨を増やすことができますが、金を印刷することはできません。
鉱山から採掘する必要があり、短期間で供給量を何倍にもすることは困難です。
そのため、通貨供給量が長期的に増え続ける世界では、希少性のある金の価値が相対的に上昇しやすいという考え方があります。
動画では、こうした世界的な法定通貨の価値低下を「フィアット不況」と表現しています。
重要なのは、これは米ドルだけの問題ではないという点です。
日本円、ユーロ、英ポンドなど、現在の主要通貨の大部分は中央銀行が供給量を調整できる法定通貨です。
世界的に財政拡張や金融緩和が続くのであれば、長期的には実物資産や株式、金などの価格が上昇しやすい環境が続く可能性があります。
金価格を支える中央銀行の「押し目買い」
ここまでの3つは長期的な構造要因です。
しかし、それだけでは直近1カ月で金価格が大きく上昇した理由を十分に説明できません。
動画が金の短期的な上昇要因として特に注目しているのが、各国中央銀行による買いです。
中国は2025年に金価格が上昇した局面で購入量を減らしていましたが、2026年3月以降は再び積極的に金を購入していると説明されています。
つまり、高値を追いかけるのではなく、価格が下がったところで買う「押し目買い」を行っているわけです。
中国だけではありません。
動画では、ポーランド、ウズベキスタン、カザフスタン、シンガポールなど、多くの中央銀行が金を購入していると紹介しています。
中央銀行の金購入には個人投資家とは異なる特徴があります。
短期売買で利益を狙うのではなく、外貨準備の一部として長期間保有するケースが多いため、一度購入された金は市場へ戻ってきにくくなります。
その結果、価格が下落すると中央銀行の買いが入りやすくなり、金価格の下値を支える存在になります。
動画では「中央銀行が下値支持線を作っている」と表現しています。
世界の中央銀行は米国債より金を重視し始めている?
動画では、世界各国の中央銀行が保有する外貨準備についても重要な変化を紹介しています。
中央銀行の準備資産に占める金の比率が高まり、米国債との関係にも大きな変化が起きているというものです。
これを非常に大きく捉えれば、世界の中央銀行が準備資産として米国債だけに依存せず、金をより重視するようになっていることを意味します。
もちろん、すべての国が米ドルから離れようとしているわけではありません。
米ドルは依然として世界で最も重要な通貨です。
しかし、外貨準備を「米ドル100%」に近い考え方から、金なども含めて分散させる方向に動いていることは、金価格にとって長期的な追い風になり得ます。
ビットコイン上昇を支える米国の仮想通貨政策
一方、ビットコインには金とは異なる短期的な材料があります。
動画が注目しているのは、米国で進む仮想通貨関連の法整備です。
米国では仮想通貨を巡る複数の法案が議論されており、その中でも「GENIUS法」と「CLARITY法」が重要な存在として紹介されています。
法整備が進めば、これまで規制が不透明だった仮想通貨業界に明確なルールが生まれます。
機関投資家や金融機関にとっても参入しやすくなるため、ビットコインを含む仮想通貨市場への資金流入につながる可能性があります。
動画では、こうした法案成立への期待が高まったことで、一時6万ドル付近まで下落していたビットコインが8万ドル近くまで回復したと説明しています。
「クリプトダラー」が米ドルを支える可能性
興味深いのは、米国が仮想通貨を単純に規制するだけでなく、自国の金融システム強化に利用しようとしているという視点です。
特に重要なのがステーブルコインです。
ステーブルコインとは、米ドルなどの法定通貨とほぼ同じ価値を保つよう設計された暗号資産です。
動画では、ステーブルコインの発行会社に米国債などを裏付け資産として保有させる仕組みに注目しています。
ステーブルコイン市場が拡大するほど、その裏付けとして米国債を購入する需要が生まれる可能性があります。
つまり、仮想通貨の普及が逆に米ドルや米国債を支える仕組みになるわけです。
動画では、かつて米国がユーロダラーやオイルダラーによってドルの基軸通貨としての地位を支えてきた歴史に触れ、今後は「クリプトダラー」と呼べるような仕組みが生まれる可能性についても言及しています。
仮想通貨は米ドルのライバルになるだけではなく、制度設計次第では米ドルを支える存在にもなり得るという点は興味深いところです。
レイ・ダリオ氏は「金10~15%、ビットコインは少額」を提案
では、個人投資家は金やビットコインをどの程度保有すればよいのでしょうか。
動画で参考例として紹介されているのが、レイ・ダリオ氏の考え方です。
ダリオ氏は、ポートフォリオの10~15%程度を金で保有し、ビットコインについても少額保有するという考え方を示していると紹介されています。
動画によれば、ダリオ氏自身のポートフォリオにおけるビットコイン比率は約1%です。
ここから読み取れるのは、金とビットコインを同じリスク資産として扱っているわけではないということです。
金についてはポートフォリオの分散効果を期待して10~15%程度を比較的大きく保有する一方、値動きの大きいビットコインについては数%以内に抑えるという考え方です。
動画の発信者自身も、金融投資ポートフォリオでは金を15%、仮想通貨を1%程度保有していると説明しています。
ビットコインについては、多くても5%以内を1つの目安として考えているとのことです。
金とビットコインではリスクの大きさがまったく違う
初心者が特に注意したいのは、「どちらも無国籍通貨だから同じように買えばよい」という話ではないことです。
金とビットコインでは価格変動の大きさが大きく異なります。
金も短期間で大きく動くことがありますが、ビットコインでは数十%規模の下落が珍しくありません。
そのため、ビットコインをポートフォリオに組み入れる場合には、「半値近くまで下がっても保有を続けられる金額なのか」を考える必要があります。
動画でも、金については10~15%程度を保有する一方、ビットコインを含む仮想通貨については数%以内という考え方が示されています。
重要なのは、自分のリスク許容度に応じて比率を決めることです。
米長期国債には逆風が続く可能性も
動画では金とビットコインだけでなく、米国長期債についても触れています。
発信者は、TLTやEDVといった米国長期国債ETFを保有しているものの、特にデュレーションの長いEDVでは含み損が発生していると説明しています。
長期債は金利が低下すると大きく値上がりする一方、金利上昇局面では価格が大きく下落します。
米国の財政不安によって長期金利がなかなか下がらない状況が続くのであれば、長期債には厳しい環境が続く可能性があります。
そのため、動画では長期債の一部を将来的に別の資産へ入れ替えることも検討しているとしています。
一方、金については15%程度の保有を継続し、仮想通貨についても積み立てを続ける方針が示されています。
ビットコインは価格低迷期に積み立てるという考え方
動画の発信者は、仮想通貨を毎月10万円ずつ積み立てていると説明しています。
考え方としては、価格が大きく上昇して世間の注目を集めてから買うのではなく、価格が低迷し、人々の関心が薄れている時期に少しずつ買うというものです。
これは株式などでもよく見られる考え方です。
資産価格が上昇するとニュースやSNSで取り上げられ、買いたい人が増えます。
反対に暴落すると悲観的なニュースが増え、買いたい人は減ります。
しかし、本来安く買って高く売ることを目指すのであれば、市場が悲観している時期に買う方が合理的な場合があります。
もちろん、ビットコインが必ず再上昇する保証はありません。
だからこそ、一度に大きな金額を投資するのではなく、リスクを限定しながら積み立てる考え方が紹介されています。
暗号資産にも「担保ローン」が存在する
動画後半では、暗号資産を担保にして資金を借りる「仮想通貨担保ローン」にも触れています。
仕組みとしては、株式を担保に資金を借りる証券担保ローンと似ています。
保有しているビットコインなどを売却するのではなく、それを担保として差し入れ、現金を借りる方法です。
売却せず資金を確保できる点はメリットですが、暗号資産は値動きが非常に激しいため注意が必要です。
価格が大幅に下落すると担保価値が低下し、追加担保を求められたり、強制的に処分されたりする可能性があります。
そのため、通常の投資以上にリスク管理が重要になります。
金の現物を子どもや孫へ贈るというアイデア
動画のアフタートークでは、少し変わった金の活用方法も紹介されています。
それが、1gや10g程度の純金を子どもや孫にプレゼントするというアイデアです。
単なる資産贈与だけではなく、「金とは何なのか」「なぜ価格が変動するのか」「お金の価値とは何か」を考えるきっかけになるという考え方です。
現物の金が手元にあれば、
「この金はいくらするのか」
「昔はいくらだったのか」
「なぜ価格が上がったり下がったりするのか」
といった疑問が自然に生まれます。
そこから株式、為替、インフレ、資産運用などへ興味が広がれば、金融リテラシーを学ぶ入口になる可能性があります。
まとめ:金とビットコイン上昇の裏には世界の構造変化がある
今回の動画では、金とビットコインが上昇している理由を、単なる短期的な相場変動ではなく、世界経済の大きな構造変化から説明しています。
特に重要なのは、脱米国依存の動き、米国政府の財政不安、インフレによる法定通貨の価値低下という3つの長期トレンドです。
さらに金については世界の中央銀行による押し目買い、ビットコインについては米国で進む仮想通貨法制という、それぞれ固有の追い風もあります。
もちろん、金もビットコインも今後必ず上昇するとは限りません。
金価格がすでに大きく上昇した局面では調整が入る可能性がありますし、ビットコインは短期間で数十%下落することもある非常にボラティリティの高い資産です。
そのため、「上がりそうだから全財産を投入する」という考え方ではなく、株式、債券、現金などと組み合わせながら、資産全体の一部として保有することが重要です。
動画で紹介されたレイ・ダリオ氏の「金10~15%、ビットコインは少額」という考え方も、まさに分散投資を前提としたものといえるでしょう。
今後の金とビットコインを見るうえでは、価格チャートだけではなく、米国の財政赤字、米国債金利、中央銀行による金購入、世界の外貨準備、米国の仮想通貨政策といった動きにも注目する必要があります。
金とビットコインの上昇は、単なる投機ブームではなく、世界の通貨・金融システムが少しずつ変化していることを映している可能性があります。
そして動画の最後で強調されているのが、「知識は力である」という考え方です。
明日の株価や金価格、ビットコイン価格を正確に予測することは誰にもできません。しかし、金融や投資について学び続けることはできます。
相場が上がっている時だけ興味を持つのではなく、価格が低迷している時期も含めて継続的に市場を学ぶことが、長期的な資産形成では重要になりそうです。


コメント