本記事は、YouTube動画『NTT株の実力と今後の成長戦略を徹底解説した動画』の内容を基に構成しています。
NTTと聞くと、「固定電話の会社」「ドコモを運営する通信会社」というイメージを持つ人は少なくありません。
しかし現在のNTTは、単なる電話会社ではありません。携帯通信や光回線に加え、法人向けIT、データセンター、金融、不動産、エネルギー、そして次世代通信技術まで手掛ける巨大企業グループへと変化しています。
動画によると、NTTの株主数は約338万人に達し、そのうち個人株主は316万人を超えています。日本でも特に個人投資家から広く保有されている企業の1つです。
背景には、2023年に実施された1対25の株式分割があります。最低投資金額が大幅に下がったことで、新NISAを利用する個人投資家からも買いやすい銘柄となりました。
一方で、NTT株は必ずしも順調に上昇してきたわけではありません。
業績が安定し、配当も増えているにもかかわらず、株価が長期間伸び悩んだ時期があります。
なぜNTT株は上がらなかったのでしょうか。
その理由を理解するには、まず「NTTが何で稼いでいる会社なのか」を知る必要があります。
NTTはもはや「電話会社」ではない
NTTの正式名称は日本電信電話です。
日本の通信インフラを支えてきた企業というイメージが強いものの、現在は通信だけではなく、IT、金融、不動産、エネルギーなど幅広い分野に事業を広げています。
動画では、NTTをさまざまな業種を傘下に抱える「巨大コングロマリット」と表現しています。
特に重要なのが、NTTの事業を大きく4つのセグメントに分けて考えることです。
NTTを支える4つの主要事業
1. 統合ICT事業
NTTの中心事業の1つが統合ICT事業です。
売上規模は動画によると約6兆5000億円で、中核企業はNTTドコモです。
NTTドコモは大手携帯通信会社として知られていますが、現在は通信料金だけで稼いでいるわけではありません。
格安料金ブランドのahamo、インターネット回線、dポイント、d払い、dカードなどを組み合わせ、大規模な経済圏を構築しています。
さらにNTTドコモは金融事業にも本格的に進出しています。
動画では、約4200億円を投じて住信SBIネット銀行を傘下に入れ、2026年8月には「d NEOBANK」などを軸とした金融サービスとの連携を進めていると説明されています。
通信会社が顧客のスマートフォンだけでなく、決済や銀行口座まで囲い込む構造へ変わりつつあるということです。
NTTにとって、約1億人規模の顧客基盤を金融サービスへつなげられることは大きな強みとなります。
2. グローバルソリューション事業
2つ目がNTT DATAを中心としたグローバルソリューション事業です。
NTT DATAは、企業や金融機関、官公庁などの大規模なITシステムを構築しています。
いわゆる「SI」と呼ばれる分野です。
SIとはシステムインテグレーションの略で、顧客の業務に合わせてITシステムを設計、開発、運用する事業を指します。
動画では、NTT DATAを「IT業界のゼネコン」に例えています。
建設業界でゼネコンが大規模な建物を設計し、多数の企業をまとめながら完成させるように、NTT DATAは巨大な情報システムを設計し、多くのIT企業と協力しながら構築しています。
銀行のATM、行政システム、企業の基幹システムなど、日常生活では意識しにくい場所でNTTグループの技術が使われています。
NTTは通信会社というより、日本社会のデジタルインフラを支える企業でもあるのです。
3. 地域通信事業
3つ目が地域通信事業です。
NTT東日本、NTT西日本、フレッツ光などがここに含まれます。
動画では売上規模を約3兆円と説明しています。
固定電話市場は長期的には縮小傾向にありますが、光回線などの通信インフラは社会に欠かせない存在です。
急成長が期待できる事業ではない一方、毎月安定した利用料金が入るため、NTTグループの安定収益源となっています。
4. 不動産・エネルギーなどの事業
NTTは通信とは一見関係のない事業も手掛けています。
代表的なのがNTT都市開発による不動産事業です。
さらに再生可能エネルギーや電力関連事業にも展開しています。
そのため、NTTを「固定電話やスマートフォンの料金で稼ぐ会社」と考えるだけでは、現在の企業価値を十分に理解できません。
NTTの業績はどうなっているのか
動画では、2026年3月期のNTTの売上高について約14兆4000億円と紹介しています。
過去最高の売上規模となった一方、営業利益は約1兆7000億円、最終利益は約1兆円となり、最終利益は前年比で減少しました。
一見すると、「売上は増えたのに利益が減っている」という状態です。
しかし動画では、NTTのような巨大企業を見る場合、1年間だけの数字ではなく、利益が減った理由とその後の流れを見ることが重要だとしています。
2026年4~6月期については、売上高が約3兆6000億円となり、前年同期比10.9%増。
営業利益は4251億円で4.9%増、最終利益は2748億円で5.8%増となり、増収増益へ戻ったと説明しています。
通期の営業利益予想は1兆7100億円で、第1四半期だけで約4分の1を消化した形になります。
さらに、市場予想であるコンセンサスも小幅に上回りました。
大幅なサプライズ決算ではないものの、「悪化しているわけではない」という安心感につながったと動画では分析しています。
決算後にNTT株は149円台から166円台へ上昇
こうした決算を受けて、NTT株も反応しました。
動画によると、決算発表前の2026年8月5日には149円台まで下落していましたが、その後は上昇し、8月21日には166円台まで回復しました。
爆発的な成長を期待させる決算ではありません。
しかし業績悪化への警戒が後退したことで、「少なくとも大きく崩れてはいない」という安心感が投資家に広がったと考えられます。
NTT株の大きな魅力は連続増配
NTT株を保有する個人投資家にとって、重要なポイントの1つが配当です。
動画では、1株当たり配当について次のように紹介しています。
2022年3月期は4.6円、2023年3月期は4.8円、2024年3月期は5.1円、2025年3月期は5.2円、2026年3月期は5.3円となっています。
さらに2027年3月期は5.4円を予想しているとしています。
予想通りになれば、5期連続の増配となります。
動画時点の株価166円で計算すると、予想配当利回りは約3.25%です。
100株購入する場合でも、投資金額は約1万7000円です。
年間配当は540円程度になります。
金額だけを見ると大きくありませんが、少額から日本を代表する企業の株主になり、配当を受け取れることがNTT株の人気につながっています。
2023年の1対25株式分割でNTT株が「国民株」に
NTT株が個人投資家から大量に買われるようになった大きなきっかけが、2023年7月に実施された1対25の株式分割です。
株式分割とは、1株を複数の株式に分割することです。
企業価値そのものが増えるわけではありませんが、1株当たりの価格が下がるため、投資家が購入しやすくなります。
NTTの場合、25分割という非常に大規模な分割を行いました。
その結果、100株でも2万円以下で購入できる価格帯となり、新NISAなどを利用する初心者にも買いやすい銘柄になりました。
業績も配当も悪くないのに、なぜNTT株は上がらなかったのか
ここまでを見ると、NTTは非常に魅力的な企業に見えます。
事業基盤は巨大で、売上も安定しています。
配当も増加しています。
それにもかかわらず、動画ではNTT株が約2年間にわたり伸び悩んだと説明しています。
その理由として、大きく2つの要因を挙げています。
1つは、それまで株価を押し上げていたテーマ性が薄れたこと。
もう1つが、NTTドコモの通信品質問題です。
2020年から2023年にNTT株は大きく上昇
動画では、NTT株は2020年頃まで100円台で推移していましたが、2023年には200円近くまで上昇したとしています。
上昇を支えた材料として挙げられているのが、株式分割、国策銘柄としての期待、NTTドコモの完全子会社化、そして新NISAへの期待です。
複数のテーマが同時に重なったことで、投資家の資金がNTT株へ集まりました。
しかしテーマによる上昇は永遠には続きません。
投資家の関心が薄れれば、株価も次第に実際の業績へ回帰していきます。
ドコモの通信品質問題が利益を圧迫
NTTにとってより深刻だったのが、NTTドコモの通信品質問題です。
都市部やイベント会場などで、ドコモの通信がつながりにくいという問題が表面化しました。
携帯通信会社にとって通信品質は事業の根幹です。
そのためNTTドコモは、基地局の増設や通信設備の強化など、大規模な設備投資を進めました。
動画では、これがNTTの利益を大きく圧迫した要因の1つだと説明しています。
重要なのは、「事業そのものが崩壊したから利益が減ったわけではない」という点です。
むしろ通信品質を改善するために先行投資を増やしたため、短期的に利益が減ったという見方です。
この違いを理解できるかどうかで、NTT株に対する評価は大きく変わります。
個人投資家の買いがNTT株の下値を支えた
NTT株が急落しなかった理由として、動画では個人投資家の存在も指摘しています。
新NISAを利用して長期保有する投資家や、配当目的でNTT株を買う投資家が多く、株価が下がると買いが入りやすい状態になりました。
一方で、株価が少し上昇すると利益確定売りも出やすくなります。
つまり、
「下値は買われるが、上値も売られる」
という状態です。
これがNTT株の値動きを重くしていた一因だと動画では分析しています。
最近はディフェンシブ銘柄への資金移動も追い風
最近のNTT株上昇について、動画では株式市場全体の資金移動にも注目しています。
半導体株や成長株など、景気や市場環境の影響を受けやすい銘柄から、業績が比較的安定したディフェンシブ銘柄へ資金が移動する「ローテーション」が起きているという見方です。
通信事業は景気が悪化しても利用され続けるため、代表的なディフェンシブ産業とされています。
そのためNTTにも資金が入りやすくなっています。
ただし動画では、最近の上昇を「NTTの業績が完全復活した証拠」とまでは見ていません。
短期的な資金流入と、本質的な業績回復を分けて考える必要があるとしています。
NTTの隠れた巨大事業「データセンター」
NTTを分析するうえでもう1つ重要なのが、データセンター事業です。
データセンターとは、大量のサーバーを設置し、インターネット上のデータを保存・処理する施設です。
クラウドサービスや生成AIが普及するほど、必要となるデータセンターも増えていきます。
動画では、NTTは国内でも最大級のデータセンター事業者であり、世界的にも上位に位置する企業だと紹介しています。
Amazon Web Services(AWS)やMicrosoft Azureなど、大規模クラウドサービスを支えるインフラとも関係の深い事業です。
生成AI時代では、データ処理量が急増しています。
そのためデータセンターは、NTTの将来を考えるうえで重要な成長分野となります。
データセンターは莫大な設備投資が必要
ただし、データセンター事業には大きな弱点があります。
非常にお金がかかることです。
大型データセンターの建設には数100億円から数1000億円規模の投資が必要となります。
設備投資を借入金で賄えば、企業の負債は増えていきます。
動画ではNTTの自己資本比率を20.8%と紹介し、通信企業としては負債の大きさに注目されやすい状態だとしています。
つまりNTTは、事業から大きな売上を得ている一方で、次世代インフラへ積極的に投資しているため、財務面では借入金が膨らみやすい企業でもあります。
NTTが進める「セール&リースバック」とは
そこでNTTが活用しているのが「セール&リースバック」です。
セール&リースバックとは、保有している資産を投資家などへ売却し、その後は賃料を支払って使い続ける仕組みです。
例えば自宅を売却して現金を受け取り、その家を賃貸住宅として借り続けるイメージです。
NTTの場合、データセンターをREITや不動産ファンドなどへ売却し、その施設を借りて事業を継続します。
これによって現金を確保し、借入金を削減しながらデータセンター運営を続けることができます。
動画では、2023年頃からこうした売却を本格化させ、2025年には約2000億円規模の案件もあったと説明しています。
データセンター売却益に注意
ただし、投資家が注意しなければならない点があります。
データセンターを売却すると、その年には大きな売却益が計上される場合があります。
すると見た目上の利益が急増します。
しかし、それは本業が急成長したために生まれた利益とは限りません。
資産を売ったことによる一時的な利益だからです。
逆に、前年に大型売却があり、翌年に売却がなければ、利益が大幅に減ったように見えることもあります。
NTTの決算を見るときには、
「本業から生まれた利益なのか」
「資産売却による一時的な利益なのか」
を分けて考える必要があります。
動画では、この一時要因を除いた「コア利益」を見ることが重要だと説明しています。
NTT最大の長期テーマ「IOWN」とは
NTTの長期的な成長を考えるうえで、動画が最も注目しているのが「IOWN」です。
IOWNは「Innovative Optical and Wireless Network」の略称です。
NTTが研究開発を進めている次世代通信基盤で、現在は電気信号を中心に処理している通信を、可能な限り光技術へ置き換えていく構想です。
特に重要なのが「光電融合」と呼ばれる技術です。
現在のコンピューターやデータセンターでは、データ処理や通信に大量の電力が使われています。
処理能力を高めれば高めるほど、電力消費と発熱が増えます。
生成AIの普及によって、この問題はさらに深刻になっています。
IOWNでは光を活用することで、通信容量を増やしながら電力消費や遅延を減らすことを目指しています。
AI時代にIOWNが注目される理由
生成AIでは、膨大なデータを処理します。
AIモデルの学習や推論を行うデータセンターでは、大量のGPUやサーバーが稼働しています。
その結果、電力消費量と発熱量が急増しています。
今後さらにAI利用が拡大すれば、単純にデータセンターを増やすだけでは限界が来る可能性があります。
そこでデータ通信そのものを光中心に変えることで、処理効率を高めようというのがIOWNの考え方です。
動画では、IOWNによって通信容量が従来比で大幅に増え、遅延や電力消費も削減できる可能性があると説明しています。
もしこの技術が広く普及すれば、NTTは単なる国内通信会社ではなく、AI時代の基幹インフラを提供する企業へ変わる可能性があります。
IOWNはまだ本格的な収益源ではない
一方で、IOWNについて過度に楽観視するのも危険です。
動画でも、現在は研究開発段階であり、IOWN関連売上はまだNTT全体の業績を大きく左右する規模ではないと指摘しています。
さらに光電融合技術の分野では、NVIDIAなど海外企業も積極的に技術開発を進めています。
研究力で先行していても、製品化や事業化のスピードで海外企業に負ける可能性があります。
そのためIOWNは「すぐにNTTの利益を何倍にもする材料」ではありません。
本格的な収益化には数年、場合によっては10年単位の時間が必要になる可能性があります。
IOWN関連ではNTT以外の企業にも注目
動画では、IOWNが普及した場合、NTT本体だけではなく関連部品メーカーにも恩恵が及ぶ可能性を指摘しています。
例えば光ファイバー関連では古河電気工業、フジクラ、住友電気工業などがあります。
半導体パッケージや基板関連、特殊ガラス関連などにも需要が広がる可能性があります。
これは、ゴールドラッシュの際に金を掘る人だけではなく、採掘道具を販売した企業も利益を得た構造に似ています。
大きな技術革新が起こる場合、その中心企業だけではなく、周辺部品や設備を供給する企業にも投資機会が生まれる可能性があります。
NTT株を見る3つの時間軸
動画の内容を整理すると、NTT株には3つの時間軸があります。
短期的には、配当と安定した通信事業です。
中期的には、ドコモの通信品質改善とデータセンター・AI関連需要の拡大です。
そして長期的には、IOWNの事業化が最大のテーマとなります。
現在のNTTを「電話会社」として見るか、「AI時代のデジタルインフラ企業」として見るかによって、株式に対する評価は大きく変わります。
もちろんIOWNが必ず成功する保証はありません。
データセンターへの巨額投資、負債の増加、通信品質問題、海外企業との技術競争など、多くのリスクも存在します。
だからこそ、NTT株は「有名で安いから買う」のではなく、事業構造と成長戦略を理解したうえで保有することが重要です。
動画内では投資勉強会についても紹介
動画中では、NISAやインデックス投資などをテーマとしたオンライン勉強会についても複数回紹介されています。
インデックス投資と別の投資戦略を組み合わせる考え方や、高配当株に関する資料、電子書籍などが案内されています。
ただし、こうした投資手法や「資産を何倍にする」といった主張については、実際の再現性やリスクを個別に確認する必要があります。
投資では、高いリターンを目指すほど一般的にリスクも高くなるため、宣伝文句だけで判断せず、自分自身で投資内容や損失可能性を確認することが重要です。
まとめ
NTTは現在でも「電話会社」というイメージを持たれやすい企業ですが、実態は大きく変わっています。
ドコモを中心とした通信事業、NTT DATAによる法人向けIT、NTT東日本・西日本の地域通信、不動産やエネルギー、さらに世界規模のデータセンター事業まで展開しています。
業績面では巨大な売上と安定したキャッシュフローを持ち、配当も増加傾向にあります。
一方で、この2年間の株価伸び悩みには、株式分割や新NISAといったテーマの一巡、NTTドコモの通信品質問題、設備投資による利益圧迫など明確な理由がありました。
さらにNTTを分析する際には、データセンター売却による一時的な利益と、本業から生まれるコア利益を分けて考えることも重要です。
そして長期的な最大の注目材料がIOWNです。
AIの普及によってデータセンターの電力消費や発熱が大きな問題となるなか、光技術を活用した次世代通信基盤が実用化されれば、NTTがAI時代の重要なインフラ企業として再評価される可能性があります。
ただしIOWNはまだ研究開発から事業化へ向かう途中です。
短期的には配当と安定収益、中期的にはドコモの通信品質改善とデータセンター、長期的にはIOWN。
NTT株を見る際には、この3つの時間軸を分けて考えることが重要でしょう。
NTTは「安いから買える株」ではなく、日本の通信・IT・AIインフラが今後どのように変化していくのかを考えるうえで、非常に興味深い企業の1つだといえます。


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