本記事は、YouTube動画『NTTが170円急騰へ、需給劇的改善。IOWNで大化けする条件』の内容を基に構成しています。
NTTの株価が年初来高値となる170円に到達しました。
ただ、今回の値動きを考えるうえで重要なのは「170円」という株価そのものではありません。
注目すべきなのは、NTTの信用取引をめぐる需給環境が大きく変化していることです。7月10日時点で44.60倍だった信用倍率は、8月21日時点で2.62倍まで急低下しました。
しかも、株価が上昇する過程で信用買い残が増えたのではなく、逆に大幅に減少しています。
一方では信用売り残が増加しており、これまでNTT株の上値を重くしていた需給構造そのものに変化が起きています。
さらに、第1四半期の好決算、自社株買い、そして次世代通信基盤「IOWN」の事業化への期待も重なっています。
では、今回の170円到達は単なる需給改善による一時的な上昇なのでしょうか。
それともNTTが従来の「安定した通信株」から、「AIインフラ企業」として評価される最初の局面なのでしょうか。
動画では、NTT株の現在地と今後の条件について、信用需給、業績、IOWN、光電融合デバイス、APN、AIファンド、EPSなどの数字から詳しく分析しています。
NTT株が170円まで上昇した背景
NTT株は8月20日に161.4円で取引を終えた後、8月21日に166.1円まで上昇しました。
この日の出来高は約3億7000万株となり、前日の約2億株から大きく増えています。
その後も株価は上昇し、8月25日には169.2円、8月26日には一時170円に到達して年初来高値を更新しました。
8月27日の終値は168.2円でした。
注目したいのは、この上昇が日経平均など市場全体の上昇だけでは説明しにくいことです。
少なくとも8月20日から27日にかけては、指数全体以上にNTT固有の材料や需給環境が株価に影響していたと考えられます。
そこで最初に確認しておきたいのが、信用取引の状況です。
信用倍率が44.60倍から2.62倍へ急低下
NTT株で最も大きな変化の1つが信用需給です。
7月10日から8月21日までの約6週間で、信用買い残は約1億1845万株減少しました。
その一方で、信用売り残は約2187万株増加しています。
この結果、信用倍率は44.60倍から2.62倍まで急低下しました。
これは非常に大きな変化です。
信用倍率とは、簡単にいえば信用売り残に対して信用買い残がどれくらいあるのかを示した数字です。
信用買い残が極端に多い銘柄では、将来的にそのポジションが売却される可能性があるため、「将来の売り圧力」が大きいと考えられることがあります。
以前のNTT株では、株価が下落するたびに信用買いが積み上がり、それが戻り局面での売り圧力になりやすい状態が続いていました。
ところが今回は違います。
株価が上昇しているにもかかわらず、信用買い残が減少しています。
つまり、株価が上がりながら将来の売り圧力になりやすい信用買いが整理されているのです。
今回のNTT株を考えるうえで、これは非常に重要な変化です。
信用売り増加=踏み上げ確定ではない
ただし、信用売り残が増えたからといって、すぐに「踏み上げ相場になる」と考えるのは危険です。
空売りが増えていても、その後株価が下落すれば売り方は利益を得られます。
また、信用倍率2.62倍という数字そのものが、極端な売り超過状態を意味するわけでもありません。
したがって、現在のデータから言えるのは「踏み上げ相場が確定した」ということではありません。
重要なのは、これまで信用買いに偏っていたNTT株の需給バランスが大幅に改善したという点です。
信用買いが減ったのに株価はなぜ上がったのか
ここで1つ疑問が生まれます。
信用買い残が約63%減少したにもかかわらず、なぜNTT株は170円まで上昇できたのでしょうか。
ここで注意したいのは、「機関投資家が大量に買った」「海外投資家が仕込んだ」などと、確認できない主体を勝手に決めつけないことです。
信用残高のデータだけを見ても、誰が現物株を買ったのかまでは判断できません。
ただし、構造的に言えることはあります。
信用買いが大幅に減少しながら株価が上昇している以上、今回の上昇が新規の信用買いだけで作られたものではないということです。
現物株への需要、信用売りの買い戻し、自社株買いなど、信用買い以外の買い需要が株価を支えた可能性があります。
2000億円の自社株買いも需給改善を支える材料
そのなかでも見逃せないのがNTTによる自社株買いです。
NTTは2026年5月、2027年3月末までを取得期間として、最大2000億円の自己株式取得枠を設定しました。
動画によると、その後約2億4000万株、約361億円分を市場から取得しています。
もちろん、この自社株買いだけで170円までの上昇をすべて説明できるわけではありません。
しかし、信用買い残が減少している局面で会社自身による買い需要が存在していることは、需給を見るうえで無視できない要素です。
さらに、取得額は上限2000億円の一部にとどまっています。
そのため、今後公表される8月分の自己株式取得実績も重要になります。
8月の自社株買い実績が重要になる理由
もし8月の自社株買いが大きかったのであれば、170円までの上昇の一部を会社自身の買いで説明できます。
一方、自社株買いがそれほど大きくなかったにもかかわらず170円まで上昇していたのであれば、会社以外の現物需要や空売りの買い戻しなどが強かった可能性が高まります。
つまり、今後発表される自社株買いのデータは「誰が買ったのか」を断定する材料ではなく、今回の上昇が会社自身の買いにどの程度依存していたのかを分析する材料になります。
NTTの第1四半期決算は好調
需給だけでなく、業績もNTT株を支える要因になりました。
NTTが8月6日に発表した第1四半期決算は好調な内容でした。
営業収益は約3兆1770億円で前年同期比約11%増、営業利益は約4251億円で約5%増、四半期利益は約2748億円で約6%増となりました。
第1四半期として営業収益は過去最高です。
これだけを見ると、「好決算だったため株価が170円まで上がった」と考えたくなります。
しかし、年間業績予想まで見ると少し印象が変わります。
第1四半期は好調でも通期では利益急増を予想していない
NTTは2026年度の営業収益について増収を計画しています。
一方、営業利益は1兆7100億円、EBITDAは3兆4300億円とされており、大幅な利益成長を見込んでいるわけではありません。
当期利益は9800億円で約5%減益、1株利益は12.1円の予想です。
つまり、第1四半期が増収増益だったとしても、会社側は現時点で年間利益の大幅な上方修正を示しているわけではありません。
ここが170円から先を考えるうえで重要になります。
短期的な株価上昇は、需給改善や将来への期待だけでも起こります。
しかし、株価がさらに長期的に上昇し、NTTそのものの評価水準が変わるためには、最終的には利益成長が必要になります。
NTT株200円・250円ではPERがどう変わるのか
会社予想の1株利益12.1円を前提にすると、株価が上昇するほどNTTに対して市場が要求する成長期待も高くなります。
株価200円の場合、予想PERは約16.5倍です。
250円の場合は約20.7倍になります。
PERとは、株価が1株利益の何倍まで買われているかを示す代表的な株価指標です。
利益が変わらないまま株価だけが上昇すれば、PERは上昇します。
200円程度であれば、安定した通信会社としての評価改善や株主還元、需給改善などでも説明できる可能性があります。
しかし250円になると、ハードルは一段上がります。
1株利益が12円前後のままで株価が250円まで上昇するためには、市場がNTTに対して現在よりかなり高い成長期待を織り込む必要があります。
逆にIOWNなどの新規事業が利益を押し上げ、EPSそのものが15円、16円と成長していけば、同じ250円でも必要なPERは低くなります。
つまり、NTT株がさらに上昇できるかを考えるうえで、本当に重要なのは株価そのものではなく「EPSが成長するかどうか」です。
NTTの評価を変える可能性がある「IOWN」とは
ここからが、NTTの長期的な評価を考えるうえで重要なテーマです。
それが「IOWN」です。
IOWNは、NTTが推進している次世代の通信・情報処理基盤構想です。
特にAI時代には、データセンター内部やデータセンター同士で膨大なデータを高速にやり取りする必要があります。
GPUなどの計算能力が高くなるほど、それらをつなぐ通信部分の速度や消費電力が大きな問題になります。
そこでNTTは、これまで電気信号で処理していた領域の一部を光へ置き換えることで、高速かつ低消費電力のデータ通信を実現しようとしています。
その重要な技術の1つが、光電融合デバイスです。
PEC-2はIOWNが「研究」から「事業」に移る重要ポイント
動画では、2026年第4四半期に提供開始が予定されている「PEC-2」が重要なポイントとして紹介されています。
PEC-2は、光と電気を融合させる技術を利用したデバイスです。
AIデータセンターでは、GPUなどの半導体間で膨大な情報を高速に移動させる必要があります。
しかし、電気だけで大量のデータを移動させようとすると、速度だけでなく消費電力も大きな課題になります。
そこで一部を光通信へ置き換えることで、高速化と省電力化を狙うのが光電融合技術です。
NTTはブロードコムなどと連携し、PEC-2を組み込んだ光電融合スイッチの商用化を進めています。
会社側の説明では、需要に応じて月間最大3万台まで生産できる体制を準備し、ハイパースケーラーやクラウド事業者への需要開拓を進める方針です。
「月3万台生産可能」と「月3万台売れる」は別の話
ここで動画が強調しているのが、生産能力と販売実績を混同してはいけないという点です。
月3万台を生産できる設備があったとしても、実際に毎月3万台販売できるとは限りません。
利益を決めるのは、
- どの企業が採用するのか
- 実際に何台出荷されるのか
- 販売価格はいくらなのか
- 利益率はどの程度なのか
- 量産時のコストはいくらなのか
といった実際の事業データです。
したがって、「PEC-2を商用化した」というニュースだけでNTTの企業価値が大きく変わるわけではありません。
具体的なハイパースケーラーの採用、量産開始、受注額、出荷台数、利益貢献などが確認されて初めて、IOWNは株式市場にとって「技術テーマ」から「利益テーマ」へ移行していくことになります。
IOWNの利益貢献には時間が必要
動画では、NTT自身もIOWNの収益インパクトを現段階で定量化することは難しいという認識を示していると説明しています。
2026年度から2027年度は光電融合技術への移行が始まる時期であり、意味のある収益が本格化するのは中期経営戦略の後半を目指しているとしています。
つまり、IOWNの将来性を否定する必要はありませんが、現時点ですでに大きな利益が発生していると考えるのも早いということです。
170円の段階で「IOWNによる利益爆発が始まった」と判断してしまうと、事業化までの時間軸を間違える可能性があります。
APNは2026年度から2030年にかけて全国展開へ
IOWNのもう1つの重要な柱が「APN(All-Photonics Network)」です。
APNは、ネットワークのさまざまな部分に光技術を活用し、大容量・低遅延・低消費電力の通信環境を構築する構想です。
NTTは2026年度に主要都市間から展開し、2027年度には県庁所在地などへ広げ、2030年には全国への面的拡大を目指しています。
データセンター間通信や遠隔地との接続など、大量の情報を低消費電力でやり取りするインフラとして拡大していく計画です。
AI時代にはデータセンター間の通信量が増える可能性が高いため、APNはNTTにとって重要な成長分野の1つです。
国際標準化は強材料だが「NTT独占」を意味しない
APN関連でも重要な動きがあります。
動画では、低遅延・低消費電力ネットワークの設計指針が「ITU-T Y.3335」として国際標準化されたことが紹介されています。
この標準化にはNTTだけでなく、KDDI、楽天モバイル、NEC、住友電工など国内複数企業も関与しています。
これはIOWN関連技術が単なるNTTの研究室内の技術ではなく、複数企業が利用できる共通インフラへ進む可能性を示す材料です。
市場全体が拡大すれば、APNサービス、光電融合デバイス、データセンター、分散コンピューティング基盤など、NTTが収益を得られる機会も増える可能性があります。
一方で、国際標準化には逆の側面もあります。
標準化とは、NTTだけが利用できる独自仕様として囲い込むこととは反対の方向です。
他の通信会社や機器メーカーも共通ルールの上でサービスや製品を作りやすくなります。
したがって、「IOWNが世界に普及する=NTTがすべての利益を獲得する」という構図にはなりません。
投資家が見るべきなのは「NTTがどこで利益を取るか」
IOWNが普及するかどうかだけを見るのでは不十分です。
重要なのは、拡大するIOWNのエコシステムのなかで、NTTがどこから利益を得るのかです。
例えば、
- APNの回線利用
- PEC-2などの光電融合デバイス
- AIデータセンターの構築・運用
- 分散GPUやAI基盤
- 複数サービスを組み合わせた総合ソリューション
など、さまざまな収益源が考えられます。
標準化によって市場そのものが大きくなったとしても、その市場規模とNTT自身の利益は別に考える必要があります。
投資家にとって重要なのは、「IOWN市場が何兆円になるか」ではなく、そのうちNTTがどれくらいの売上と利益を獲得できるかです。
約800億円規模のIOWN・AIファンドも始動
もう1つ注目されているのが、NTTなどが2026年6月に立ち上げた約800億円規模を見込むAI関連ファンドです。
このファンドでは、AI向け半導体、光デバイス、分散コンピューティング基盤、冷却技術、ソフトウェア、AIモデルなど、IOWNとの連携が期待される企業への投資や事業連携を進める構想です。
参加に関心を示している企業は20社を超えるとされています。
IOWNはNTTだけで完結する技術ではありません。
GPU、ネットワークスイッチ、光デバイス、データセンター、電力設備、ソフトウェアなど、多数の企業が連携する必要があります。
その意味でこのファンドは、単純な投資ファンドではなく、IOWNを利用する企業群やエコシステムを形成するための仕組みになる可能性があります。
800億円=NTTの利益800億円ではない
ただし、ここでも数字の見方には注意が必要です。
ファンド規模が800億円だからといって、NTTに800億円の売上や利益が発生するわけではありません。
800億円はあくまで投資可能な資金規模です。
重要なのは、投資先企業とNTTが共同で商品やサービスを開発し、それが実際の契約、受注、売上、利益へつながるかどうかです。
IOWNエコシステムへの参加企業数が増えること自体は前向きな材料ですが、株価を長期的に押し上げるには、最終的に業績へ反映される必要があります。
2030年度EBITDA4兆円目標をどう見るか
NTTは2030年度にEBITDA4兆円を目指しています。
2025年度実績は約3.42兆円であるため、約5年間で17%程度増加させる計画になります。
安定企業として考えれば意味のある成長です。
ただし、この数字だけを見て、NTTがAI企業のような高成長企業へ変わると判断するのは難しいでしょう。
NTTが株式市場で「大化け」するシナリオを考えるのであれば、EBITDA4兆円という全社目標だけでなく、その中身を見る必要があります。
従来型の通信事業が伸び悩んだとしても、IOWN、データセンター、AI、金融など利益率・成長率の高い分野が伸び、EPSの成長率が高まるのであれば市場の評価は変わる可能性があります。
反対に、IOWN関連のニュースが増えても、それが既存通信事業の減少分を補うだけであれば、全社の利益成長率は大きく変わりません。
だからこそ重要なのは、「IOWNがすごい技術なのか」ではなく、「IOWNがEPSを何%押し上げるのか」という視点です。
NTT株170円から先の3つのシナリオ
動画では、今後のNTT株について3つのシナリオに分けて考えています。
強気シナリオ
強気シナリオでは、NTT株が170円を出来高を伴って再び突破し、その後も170円近辺を維持します。
さらに信用買い残が再び急増せず、信用倍率も低い水準を維持します。
そのうえでPEC-2が2026年第4四半期に予定通り提供開始され、具体的なハイパースケーラーの採用、受注、出荷台数などが明らかになります。
さらに第2四半期以降に通期利益の上振れやEPS成長まで確認されれば、今回の上昇を単なる需給改善ではなく、「通信株からAIインフラ企業への評価転換」と説明しやすくなります。
中立シナリオ
中立シナリオでは、株価は160円台後半から170円近辺でもみ合います。
信用需給の改善は続くものの、PEC-2やAPNの事業化について大型顧客や具体的な利益貢献がまだ見えてきません。
会社の通期業績予想も据え置かれたままです。
この場合、IOWNへの期待は残るものの、株価は「利益の証明待ち」という状態になります。
弱気シナリオ
弱気シナリオでは、170円を突破できず、166円を割り込み、さらに161円台へ戻る展開です。
その過程で信用買い残が再び増え、信用売り残が減り、信用倍率が悪化します。
さらにPEC-2の商用化や顧客獲得が遅れ、第2四半期以降も利益成長が確認できない場合、170円は評価転換の初動ではなく、需給改善と期待先行でつけた高値だったという見方が強くなります。
重要なのは、今の段階でどれか1つのシナリオに決めつけないことです。
NTT株200円のハードルはそこまで高くない可能性
株価200円について考えると、会社予想EPS12.1円を前提としたPERは約16.5倍です。
200円であれば、
信用需給の改善、自社株買い、増配期待、通信事業の回復、AI・データセンターへの期待などが組み合わさることで、安定通信株として評価が切り上がるだけでも到達できる余地があります。
つまり200円までは、必ずしもNTTが完全な成長企業に変わる必要はありません。
安定企業として従来より少し高い評価を与えられるだけでも説明できる可能性があります。
250円になると「AIインフラ企業」としての証明が必要
一方、250円では状況が変わります。
EPS12.1円のままであれば、PERは約20.7倍になります。
従来型の大型通信株として考えれば、かなり高い評価になります。
そのため250円を長期的に正当化するには、IOWNが単なる長期研究テーマではなく、利益成長を加速させる事業であることを数字で証明する必要があります。
ここでいう「通信株からAIインフラ株への転換」とは、会社名や事業内容が変わるという意味ではありません。
投資家がNTTを見る際の中心が、
「安定した通信収入と配当」
から、
「AIデータセンター向け光デバイス、次世代ネットワーク、分散コンピューティング基盤の成長」
へ移ることを意味します。
この転換が本物であれば、IOWN関連事業の売上比率や利益額が開示され、最終的にはNTT全体のEPS成長率も高まっていくはずです。
逆に新技術の発表だけが増え、利益成長率が変わらなければ、市場から見たNTTの基本的な評価軸は通信株のままです。
今後のNTT株で確認したい4つの数字
動画では、NTTに対する見方を変えるために特に重要な数字として4つを挙げています。
1.信用残高
まずは、8月21日時点で2.62倍まで低下した信用倍率が維持されるかどうかです。
株価上昇を見た個人投資家の信用買いが再び急増すれば、改善していた需給が再び重くなる可能性があります。
反対に170円近辺でも信用買い残が増えなければ、以前より戻り売り圧力が小さい状態が続く可能性があります。
2.8月分の自社株買い
次に確認したいのが8月の自己株式取得実績です。
上昇局面で会社がどれくらい株式を買っていたのかによって、今回の需給構造をより詳しく分析できます。
会社自身の買いが多ければ、株価上昇に対する自社株買いの影響が確認できます。
一方、自社株買いが少なくても170円まで上昇していたのであれば、会社以外からの現物需要が強かった可能性があります。
3.PEC-2の実需
PEC-2については、「提供開始した」という発表だけでは不十分です。
重要なのは、
顧客名、採用製品、量産、出荷台数、受注金額、利益率などです。
これらが見えてきた段階で初めて、IOWNを「期待」ではなく「利益」で評価しやすくなります。
4.EPSの成長
そして最も重要なのが1株利益です。
2026年度の会社予想は12.1円です。
第2四半期以降に通期予想が上方修正されるのか、それとも第1四半期が増益でも年間では会社計画通りなのかが重要になります。
株価が200円、250円と上昇した場合、その株価を最終的に支えるのはEPSです。
IOWNを見るときは「ニュース」より「利益」を見る
IOWNの国際標準化、APNの全国展開、約800億円規模のファンド、PEC-2の商用化など、NTTでは多くの成長材料が進み始めています。
研究段階だった技術が事業化へ向かっているという意味では、NTTの成長戦略が1段前進していると考えることができます。
ただし、注意も必要です。
国際標準化されたからといって、NTTが市場を独占できるわけではありません。
800億円規模のファンドがあるからといって、NTTに800億円の利益が発生するわけでもありません。
月3万台の生産能力があるからといって、月3万台販売できるわけでもありません。
将来の市場規模や技術力と、NTT自身の利益は切り分けて考える必要があります。
株価を長期的に支えるのは、最終的には1株あたり利益です。
まとめ
NTT株が170円まで上昇した背景には、1つの材料だけではなく複数の要因が重なっています。
信用買い残が大幅に減少し、信用倍率が44.60倍から2.62倍まで低下したことで需給環境が大きく改善しました。
そこに第1四半期の増収増益、自社株買い、IOWNの事業化への期待などが加わり、NTTに対する市場の評価が見直されている可能性があります。
一方で、「170円になったからIOWNによる利益成長が始まった」と考えるのはまだ早い段階です。
NTT自身の通期予想では大幅な利益成長はまだ示されておらず、IOWNの収益貢献についても具体的な数字は十分に見えていません。
今後注目したいのは、170円を出来高を伴って維持できるか、信用買い残が再び急増しないか、自社株買いがどの程度行われているか、PEC-2で具体的な顧客・受注・出荷が確認できるか、そしてEPSが実際に成長するかです。
特に重要なのは最後のEPSです。
IOWNという言葉がニュースに何回登場するかではなく、IOWNがNTTの1株利益を何円押し上げるのか。
その数字が見え始めたとき、NTT株の170円到達が単なる需給改善による高値ではなく、「通信株からAIインフラ企業への評価転換の起点だった」と判断できる可能性があります。
今後は8月分の自己株式取得実績、次回の信用残高、第2四半期決算、そして2026年第4四半期に予定されているPEC-2の事業化が重要な確認ポイントになりそうです。
なお、本記事は動画内容を整理したものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。


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