本記事は、YouTube動画『【複利の誤解】インデックス投資の罠と「オルカン×国債」で複利効果を活かす方法』の内容を基に構成しています。
長期投資について調べていると、「複利の力を使えば資産が雪だるま式に増える」という説明を目にする機会は多いでしょう。
一方、動画では冒頭から「インデックス投資をはじめとする投資信託には、本来の意味での複利効果は存在しない」と説明しています。
一見すると、一般的な投資の説明と矛盾しているように感じます。
しかし、これは「複利」という言葉をどのように定義するかによって見え方が変わります。
動画では、単利と複利の基本的な違いから、投資信託における分配金の仕組み、長期投資で資産成長を高める考え方、さらにオルカンと国債を組み合わせたポートフォリオ例まで解説しています。
そもそも単利と複利は何が違うのか
まず理解しておきたいのが、単利と複利の違いです。
動画では、単利を「投資元本に対して毎回同じ金額の利息や利益がつく仕組み」、複利を「運用で得た利益を元本に加え、その合計額に対して次の利益がつく仕組み」と説明しています。
例えば、100万円を年利10%で10年間運用するとします。
単利の場合、毎年の利益は100万円の10%である10万円です。
10年間では利益が100万円となり、元本100万円と合わせて最終的な資産額は200万円になります。
一方、複利の場合は1年目の利益10万円を元本に加え、2年目は110万円に対して10%の利益が発生します。
そのため、2年目の利益は11万円です。
さらに3年目は121万円に対して10%となり、利益は12万1,000円になります。
このように利益を元本へ組み入れ続けることで、動画では10年後の資産額が約259万円になると説明しています。
同じ100万円を同じ年利10%で運用していても、単利では200万円、複利では約259万円となり、約59万円の差が生じる計算です。
そして運用期間が長くなるほど、この差はさらに大きくなります。
なぜ「投資信託に複利効果はない」と言えるのか
ここで動画の中心となるテーマに入ります。
動画では、本来の意味で考えると、インデックス投資を含む投資信託には複利効果は存在しないと説明しています。
理由は、一般的な複利計算が「一定の元本」と「一定の利率」を前提としているためです。
定期預金などであれば、一定の利率が適用され、その利息を元本へ組み入れて次回の利息計算をする、という仕組みを比較的イメージしやすいでしょう。
しかし、株式や投資信託はそうではありません。
株価や基準価額は毎年変動します。
年によって10%上昇することもあれば、20%下落する可能性もあります。
また、含み益が増えていても、その利益をいったん確定し、それを元本へ加えて再投資しているわけではありません。
このため、厳密な金融用語として考えると、「投資信託そのものに複利効果がある」と表現することには議論の余地があります。
それでもインデックス投資は「複利的」に増える
ただし、動画では「複利効果がない=長期投資で資産が増えない」という意味ではないことも強調しています。
株式は長期間で見ると、複利的、つまり指数関数的に成長する場合があります。
さらに、インデックスファンドが保有する企業から受け取った配当は、ファンド内部で再投資されることがあります。
例えば、全世界株式型のインデックスファンドでは、保有企業から受け取った配当が投資家へ直接現金で配られるのではなく、ファンド内部で再投資される仕組みがあります。
このような仕組みについては、広い意味では「複利的な運用」と考えることもできます。
動画では、本来の複利の意味を理解したうえであれば、インデックス投資について「疑似的な複利効果」と表現することは大きな問題ではないのではないか、という見解を示しています。
つまり重要なのは、「毎年一定の利率が保証された複利商品」と「価格変動を伴いながら長期的に複利的な成長を目指す株式投資」を混同しないことです。
インデックス投資では配当も重要
インデックス投資というと、株価の値上がりによるキャピタルゲインに注目しがちです。
しかし、長期運用では配当によるインカムゲインも重要です。
動画では、投資信託の基準価額が上昇する主な要因として、保有している株式そのものの値上がりと、企業から支払われる配当の2つを挙げています。
特に長期間運用する場合、配当を再投資するかどうかによって最終的な運用結果に差が生まれる可能性があります。
動画では、S&P500の長期的なトータルリターンにおいて配当が一定の割合を占めてきたという例や、J-REITについても配当再投資の有無によって長期的な資産推移が大きく変わる例を紹介しています。
投資信託の分配金は「利益が増える」わけではない
投資信託を利用するうえで特に注意したいのが分配金です。
例えば、100万円分の投資信託が値上がりや配当によって105万円になったとします。
ここから5万円を分配金として投資家へ支払った場合、ファンドの資産から5万円が外へ出ていきます。
そのため、理論上は分配金の支払い分だけ基準価額が低下します。
つまり、投資信託から5万円の分配金を受け取ったからといって、自分の資産がその瞬間に5万円増えたわけではありません。
自分が保有しているファンドの中から、現金として一部が払い出されたと考える方が実態に近いでしょう。
動画では、投資信託の分配金には「普通分配金」と「特別分配金」が存在することにも触れています。
普通分配金は運用によって得られた利益から支払われる一方、特別分配金は実質的に投資元本の一部を払い戻す仕組みです。
分配金を再投資すると税金が複利効果を弱めることも
分配金を受け取って、そのお金でもう一度同じ投資信託を購入すれば、実質的に再投資することはできます。
ただし、課税口座では注意が必要です。
普通分配金を受け取ると、税金が差し引かれてから手元に入ります。
例えば5万円の分配金を受け取ったとしても、税引後に再投資できる金額は5万円より少なくなります。
そのため、投資対象が同じであるなら、ファンド内部で利益を再投資し、外部へ分配しないタイプの方が、税金による資産流出を抑えやすいという考え方になります。
動画でも、資産成長を重視するのであれば、頻繁に分配金を出す商品よりも、分配を抑えてファンド内部で再投資する商品の方が合理的になりやすいと説明しています。
もちろん、定期的な現金収入を目的としている投資家にとっては、分配金にも意味があります。
大切なのは「資産を成長させたいのか」「定期収入が欲しいのか」という目的によって商品を選ぶことです。
複利的な資産成長を高める5つの考え方
動画では、長期投資で資産成長を高めるために重要なポイントとして5つを紹介しています。
できるだけ早く始める
資産運用では、運用期間が長いほど複利的な成長を得られる時間も長くなります。
同じ金額を投資する場合でも、運用開始時期が早ければ、その分だけ資産を市場に置いておける期間が長くなります。
低コストの商品を選ぶ
投資信託では信託報酬などのコストが発生します。
短期間では小さな差に見えても、20年、30年と運用するとコスト差は無視できません。
投資対象がほぼ同じであれば、より低コストの商品を検討することが重要になります。
分配金を出さない商品を検討する
資産形成を目的とする場合、分配金を受け取るより、ファンド内部で再投資される商品の方が税金や再投資の手間を抑えられる場合があります。
特に課税口座では、分配金を受け取るたびに税負担が発生する可能性があります。
売買しすぎない
頻繁な売買は手数料や税金が発生する原因になります。
短期売買によって市場平均を上回れるのであれば話は別ですが、長期のインデックス投資を前提とするのであれば、必要以上に売買を繰り返さず長期保有するという考え方も重要です。
暴落時に運用をやめない
株式市場では定期的に大きな下落が発生します。
そのタイミングで投資そのものをやめてしまうと、その後の回復局面へ参加できなくなる可能性があります。
動画では、長期運用を前提とするのであれば、一時的な暴落だけで投資方針を変更しないことが重要だと説明しています。
オルカン100%ではなく国債を組み合わせる考え方
動画後半では、具体的なポートフォリオ例として「オルカン+国債」という組み合わせが紹介されています。
オルカンとは、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)など、世界中の株式へ幅広く分散投資するタイプのインデックスファンドです。
株式は長期的に高いリターンが期待される一方、価格変動も大きくなります。
そこで、国債など比較的値動きの小さい資産を組み合わせることで、ポートフォリオ全体のリスクを抑えるという考え方です。
動画では、日本国債だけでなく、米国債や定期預金、普通預金などを組み合わせる方法も考えられるとしています。
重要なのは、株式のようなリスク資産だけに集中するのではなく、自分が許容できるリスクに応じて安全性の高い資産を組み合わせることです。
「100-年齢」で株式比率を決める方法
資産配分の考え方の1つとして、動画では「100-年齢=株式などのリスク資産比率」という方法を紹介しています。
例えば36歳であれば、
100-36=64
となり、株式64%、債券など36%という配分になります。
また、近年は「110-年齢」を使う考え方も紹介されています。
36歳であれば、
110-36=74
となるため、株式74%、債券など26%という配分です。
ただし、動画でも説明しているように、すべての投資家にとってこの配分が適切というわけではありません。
収入、資産額、家族構成、投資経験、暴落時にどこまで損失を許容できるかなどによって、適切な資産配分は変わります。
あくまでポートフォリオを考える際の1つの目安として紹介されています。
株式・債券にゴールドを加える方法も
動画では、株式と債券だけでなく、ゴールドを加えるポートフォリオも紹介されています。
例えば、
株式64%
債券26%
ゴールド10%
といった組み合わせです。
ゴールドは株式や債券とは異なる値動きをすることがあるため、ポートフォリオ全体の分散効果を高める目的で組み入れられることがあります。
動画では、ゴールドやビットコインなどについて、法定通貨や政府信用とは異なる性質を持つ資産として触れています。
ただし、ゴールドにも価格変動がありますし、ビットコインはさらに値動きが大きい資産です。
単純に保有すればリスクが下がるわけではないため、自分の運用目的やリスク許容度を考えたうえで判断する必要があります。
バランス型ファンドという選択肢
自分で株式、債券、ゴールドなどを組み合わせるのが難しい場合には、バランス型ファンドという選択肢もあります。
バランス型ファンドは、1本の商品を購入するだけで複数の資産へ分散投資できます。
さらに、資産配分が崩れた場合にはファンド内部でリバランスが行われる商品もあります。
自分で売買してリバランスすると、課税口座では利益確定による税金が発生することがあります。
一方、ファンド内部で行われるリバランスでは、投資家自身がその都度売却する必要がないため、長期運用の手間を減らせるというメリットがあります。
インデックス投資で重要なのは「複利」という言葉そのものではない
今回の動画で最も重要なのは、「投資信託に複利効果があるか、ないか」という言葉の定義だけにこだわることではありません。
厳密な意味では、毎年一定の利率で利息が元本へ組み込まれる定期預金のような複利と、株価が上下するインデックス投資は同じものではありません。
しかし、長期間保有し、配当を再投資し、利益を運用に残していくことで、資産が複利的に成長する可能性はあります。
そのため実際の資産形成では、
低コストの商品を選ぶこと、分配金や税金による資産流出を抑えること、長期間運用すること、無理のないリスク水準に調整すること
といった基本的な考え方の方が重要になります。
まとめ
動画では、「インデックス投資には本来の意味での複利効果は存在しない」というところから解説が始まりました。
ただし、これはインデックス投資に長期投資の効果がないという意味ではありません。
企業の成長による株価上昇や配当の再投資によって、長期的には複利的な資産成長が生まれる可能性があります。
特に資産形成を目的とするのであれば、分配金を頻繁に受け取るよりも、利益を運用内部に残して再投資する仕組みの方が効率的になる場合があります。
そして、株式100%では値動きが大きすぎると感じる場合には、オルカンなどの全世界株式ファンドに国債や預金、場合によってはゴールドなどを組み合わせる方法もあります。
「複利」という言葉だけに惑わされるのではなく、実際にどこからリターンが生まれ、コストや税金によってどれだけ資産が減り、どの程度のリスクを取っているのかを理解することが、長期運用では重要になります。


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