本記事は、YouTube動画『TOPIX革命がついに始動、986銘柄への大改革で日本株はどう変わる?』の内容を基に構成しています。
日本株の代表的な株価指数であるTOPIX(東証株価指数)が、大きく生まれ変わろうとしています。
2026年10月7日、JPX総研はTOPIXの新ルールに基づく初回定期入替の選定結果を公表しました。日本マクドナルドホールディングスやワークマン、東映アニメーションなど35銘柄が新たに採用される一方、既存構成銘柄のうち683銘柄が「移行措置銘柄」となりました。
今回の見直しによって、TOPIXは現在の約1,600銘柄規模から、最終的に986銘柄程度まで絞り込まれる見通しです。
単なる銘柄の入れ替えではありません。
TOPIXという指数そのものを、「広く日本株を集めた指数」から「一定の流動性を持つ銘柄を中心とした、より投資しやすい指数」へ変えていく大規模な改革です。
今後はTOPIXに残る企業と外れる企業の間で、企業価値向上や株式の流動性を巡る競争が一段と強まる可能性があります。
TOPIX改革で35銘柄が新たに採用
今回、大きな注目を集めたのが新規採用銘柄です。
JPX総研が2026年10月7日に発表した初回選定では、新たに35銘柄がTOPIXへ加わることになりました。
動画では代表的な銘柄として、日本マクドナルドホールディングス、ワークマン、東映アニメーション、AIメカテック、QDレーザ、フェローテックホールディングス、沖縄セルラー電話、トライアルホールディングス、タイミー、Synspective、GO、ティアフォーなどが紹介されています。
これまでTOPIXというと、旧東証1部を中心とした銘柄が基本的な構成対象でした。
しかし今回の第2段階の改革では、プライム市場だけでなく、スタンダード市場やグロース市場も選定対象になります。
つまり「どの市場に上場しているか」よりも、「どれだけ投資対象として流動性があるか」という考え方が重視されるようになります。
この変更によって、近年上場した成長企業にもTOPIX入りのチャンスが広がります。
TOPIXが従来よりも日本株市場の現在の姿を反映しやすい指数へ変わっていくとも考えられます。
683銘柄が「移行措置銘柄」に
一方、今回さらに注目されたのが683銘柄の「移行措置銘柄」です。
ここで注意したいのは、「683銘柄が2026年10月に一斉にTOPIXから除外される」という意味ではないことです。
TOPIXには巨額のインデックス運用資金が連動しているため、大量の銘柄を一度に除外すれば、市場で大規模な機械的売買が発生する可能性があります。
そのため、JPXは段階的な移行方式を採用しています。
2026年10月の初回定期入替で継続採用基準を満たさなかった銘柄については、四半期ごとに8段階でTOPIX内のウエイトを低下させていきます。具体的には、移行係数を100%から87.5%、75%、62.5%と段階的に引き下げ、最終的には0%へ向かう仕組みです。
つまり今回の683銘柄は、「即除外銘柄」ではなく、「このままではTOPIXから外れていく可能性がある銘柄」と理解した方が正確です。
2027年10月にもう一度チャンスがある
さらに重要なのが2027年10月です。
JPX総研は、今回移行措置銘柄となった企業について、2027年10月に再評価を実施するとしています。
ここで継続基準を満たした企業については、その後の段階的なウエイト低減が停止されます。
言い換えれば、今回移行措置銘柄となったからといって、TOPIXからの除外が完全に確定したわけではありません。
企業側には約1年間、改善する時間が残されています。
この仕組みが今後の日本株市場で非常に大きな意味を持つ可能性があります。
TOPIXに残るため企業が動く可能性
動画では、移行措置銘柄となった企業が今後、株主還元や企業価値向上策を強化する可能性に注目しています。
TOPIXから外れたくない企業が、自社株買いや増配などを発表するのではないかという見方です。
ただし、この点には少し注意が必要です。
TOPIXの選定基準そのものが「増配したか」「自社株買いを行ったか」「PBRを何倍まで上げたか」で直接判定されるわけではありません。
次期TOPIXでは、売買代金回転率と浮動株時価総額を基準とした選定が行われます。新規採用基準では年間売買代金回転率0.2以上、浮動株時価総額の累積比率で上位96%以内、継続基準では年間売買代金回転率0.14以上、浮動株時価総額の累積比率で上位97%以内という基準が設定されています。
したがって、株主還元を行えば自動的にTOPIXへ残れるという仕組みではありません。
ただ、自社株買いや増配、IR強化、資本効率改善などによって市場の評価が高まり、株価や売買が活発になれば、結果的に浮動株時価総額や流動性の改善につながる可能性はあります。
このため、移行措置銘柄の中から「今後どの会社が資本政策を強化するのか」を探す投資家が増えることは十分考えられます。
もっとも、動画でも指摘されているように、TOPIX改革への対応を意識した株主還元をすでに発表している企業も少なくありません。
「移行措置銘柄だから、これから必ず大規模還元をする」と単純に考えるのは危険でしょう。
なぜTOPIXはここまで銘柄を減らすのか
今回の改革を理解するうえで重要なのが「流動性」です。
株式市場では、単に会社の規模が大きいだけでなく、「実際に市場で売買できる株式がどれくらいあるのか」が重要です。
そこで使われるのが「浮動株」という考え方です。
浮動株とは
例えば、ある会社の発行済み株式の50%を創業者や大株主が長期間保有しているとします。
この50%は市場で頻繁に売買される可能性が低いため、実際に投資家が取引できる株式は残りの部分が中心になります。
こうした市場で実際に売買される可能性の高い株式を基準に計算するのが「浮動株時価総額」です。
機関投資家が大量の資金を運用する場合、流動性の低い銘柄では簡単に売買できません。
例えば10億円分の株を買いたくても、1日の売買代金が数千万円しかない銘柄では、買うだけで株価を大きく動かしてしまう可能性があります。
売りたいときにも同じ問題が発生します。
そのため、指数に連動する巨大な資金を効率よく運用するには、一定以上の流動性が必要になります。
「日本株全体」から投資可能性を重視した指数へ
TOPIXはもともと非常に多くの銘柄を含む指数でした。
2022年4月の市場区分再編以前には、約2,200銘柄が対象となっていました。
その後、第1段階の見直しによって2025年1月には約1,700銘柄まで減少し、今回の第2段階の見直しへ進んでいます。
そして今回の初回選定結果では、次期TOPIXの構成銘柄数は986銘柄になる見込みとなりました。
かつての約2,200銘柄と比較すると、最終的には半分以下の規模になります。
これはTOPIXの性格そのものを変える改革といえます。
従来のTOPIXは、日本の株式市場を非常に幅広くカバーすることに重点を置いていました。
これに対して新しいTOPIXでは、市場全体の代表性をある程度維持しながら、実際に投資可能な銘柄へ比重を移していきます。
TOPIX改革は小型株に厳しくなるのか
動画では、改革によってTOPIXがより大型株中心になっていく可能性についても触れています。
確かに、浮動株時価総額や流動性を重視すれば、結果として大型株や売買の活発な銘柄が残りやすくなります。
一方、小型株は一般的に売買代金が少なく、浮動株時価総額も小さくなりやすいため、TOPIXの選定基準では不利になりやすい面があります。
ただし「小型株だから除外される」という単純な基準ではありません。
グロース市場やスタンダード市場の企業であっても、十分な流動性と浮動株時価総額を持っていれば新たにTOPIXへ採用されます。
今回、マクドナルドやワークマンだけでなく、比較的新しい成長企業が複数採用されたことは、その象徴といえるでしょう。
TOPIXに採用されることのメリット
TOPIXに採用される企業には、もう1つ大きな意味があります。
TOPIXに連動するETFやインデックスファンドは、指数と同じ値動きを実現するため、基本的にはTOPIXの構成銘柄を保有します。
そのためTOPIXに新規採用されれば、こうしたインデックス運用資金からの需要が発生する可能性があります。
反対にTOPIXから完全に除外されれば、指数連動ファンド側では保有する必要がなくなります。
これが「TOPIX採用」「TOPIX除外」が個別株の需給材料として注目される理由です。
ただし、採用されたから株価が必ず上昇する、除外されたから必ず下落するという意味ではありません。
実際の株価は業績、金利、市場環境、事前の織り込み、需給など多くの要因によって動きます。
移行措置銘柄で株価下落が目立つケースも
動画では、今回移行措置銘柄に入った企業の中に、発表時点で年初来安値圏まで売られている銘柄があることにも触れています。
例として挙げられているのが、居酒屋「や台ずし」などを展開するヨシックスホールディングスや、ラーメン店「一風堂」などを展開する力の源ホールディングスです。
動画では、これらの株価下落について「TOPIX除外への警戒が影響しているのではないか」という見方を示しています。
ただし、ここは因果関係を断定することはできません。
TOPIXの移行措置入りが需給面で意識される可能性はあるものの、個別企業の株価は業績や既存店売上、決算、バリュエーション、市場全体の動きなどさまざまな材料によって変動します。
「株価が下がった=TOPIX改革が原因」と考えるのではなく、複数の要因の1つとして確認する必要があります。
2027年10月の再評価が次の重要イベント
今後のTOPIX改革を見るうえで、非常に重要なのが2027年10月です。
今回移行措置銘柄となった企業は、このタイミングで再評価されます。
JPXが示している仕組みでは、移行措置銘柄のウエイトは2026年10月から四半期ごとに段階的に低下します。
しかし2027年10月の再評価で継続基準を満たせば、その後のウエイト低減は停止されます。
つまり企業側から見ると、2027年の再評価までに流動性や市場評価を改善できるかどうかが重要になります。
この期間に、資本政策やIR、株主還元、株式流動性向上策などを発表する企業が出てくる可能性があり、投資家からも注目されそうです。
2028年に新TOPIXへの移行が完了
TOPIX改革は2026年だけで終わりません。
2026年10月に初回定期入替が行われ、2027年10月に移行措置銘柄を再評価します。
その後も段階的な移行が続き、2028年7月までに今回の移行措置が進められます。
さらに2028年10月には2回目の定期入替が行われ、その後は原則として毎年定期的に銘柄の入れ替えが実施される予定です。
ここが従来のTOPIXとの大きな違いです。
一度TOPIXに残った企業も、永久にTOPIX銘柄でいられるわけではありません。
一定の基準を継続して満たすことが求められる指数になります。
東証が進めてきた日本株改革の延長線上
今回のTOPIX改革だけを単独で見るのではなく、近年の東京証券取引所による市場改革全体の流れを見ることも重要です。
2022年には東証の市場区分が「プライム」「スタンダード」「グロース」へ再編されました。
さらに2023年には、東証が上場企業に対して「資本コストや株価を意識した経営」を求める取り組みを本格化しました。
特にPBR1倍割れ企業を中心として、資本効率改善、自社株買い、増配、政策保有株の縮減などを進める企業が増え、日本企業の資本政策に対する投資家の注目も大きく高まりました。
今回のTOPIX改革も、その延長線上にあるものと見ることができます。
単に上場しているだけではなく、市場で投資対象として評価され続けることが企業に求められる方向へ、日本市場そのものが変わっています。
TOPIX改革で個人投資家が注目したいポイント
今回の発表で投資家が注目するべきなのは、「683銘柄が除外候補になった」という事実だけではありません。
むしろ重要なのは、TOPIXが今後どのような指数になるのかという点です。
約2,200銘柄を広くカバーしていた時代から、流動性と投資可能性を重視して約1,000銘柄へ絞り込む時代へ変わります。
その過程では、
・新規TOPIX採用によるインデックス資金の需要
・移行措置銘柄の段階的なウエイト低下
・2027年10月の再評価
・企業による流動性向上策や資本政策
・2028年以降の毎年の定期入替
といった材料が継続的に意識されることになります。
特に個別株投資では、「TOPIXに残れるかどうか」だけを見るのではなく、その企業がなぜ現在の基準を満たしていないのか、今後それを改善できるのかを見る必要があります。
まとめ
TOPIX改革がいよいよ本格的に動き始めました。
2026年10月7日にJPX総研が発表した初回選定では、日本マクドナルドホールディングスやワークマンなど35銘柄が新たに採用され、一方で683銘柄が移行措置銘柄となりました。
今回重要なのは、683銘柄が直ちに除外されるわけではない点です。
対象銘柄は2026年10月から段階的にウエイトが低下し、2027年10月には再評価が行われます。そこで継続基準を満たせば、ウエイト低減が停止される仕組みです。
そして今回の改革を経て、TOPIXはこれまで以上に流動性と投資可能性を重視する指数へ変わります。
2022年以前の約2,200銘柄から始まり、第1段階の改革を経て約1,700銘柄、そして今回の初回選定では986銘柄まで絞り込まれる見通しとなりました。
今後は「一度TOPIXに入れば安泰」という時代ではありません。
企業側にも継続的な企業価値向上と市場からの評価が求められます。
投資家にとっても、TOPIX採用・除外という短期的な需給だけではなく、日本株市場そのものがどのように変わっていくのかを見るうえで、今回のTOPIX改革は非常に重要な転換点になりそうです。


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