INPEX(1605)は新NISAで長期保有すべき高配当株なのか?割安な株価・配当利回り・将来性を徹底分析

本記事は、YouTube動画『INPEXは新NISAで長期保有すべき高配当株なのか?割安な株価・配当利回り・将来性を徹底分析』の内容を基に構成しています。

新NISAを活用した資産形成が広がるなか、安定した配当収入と株価の成長を同時に狙える高配当株投資が注目されています。

その有力な候補として挙げられるのが、日本を代表するエネルギー開発企業のINPEX(インペックス、証券コード1605)です。

INPEXは石油・天然ガスの探鉱から開発、生産までを手掛け、日本のエネルギー安全保障を支える重要な企業です。政府が株式を保有しているという特殊な立場に加え、海外の大型LNGプロジェクトから得られる収益や株主還元への積極的な姿勢も特徴となっています。

一方で、原油価格や為替相場の変動、世界的な脱炭素の流れなど、長期投資にあたって考慮すべきリスクも存在します。

今回はINPEXについて、事業基盤の強さ、株価の割安感、配当の持続性、インフレ・円安への耐性、将来的な成長戦略という5つの視点から詳しく解説します。

目次

INPEXは日本のエネルギー安全保障を支える重要企業

政府が黄金株を保有する特殊な企業

INPEXの最大の特徴は、単なる民間の資源開発企業ではなく、日本のエネルギー政策とも深い関係を持っていることです。

日本は石油や天然ガスなどのエネルギー資源の多くを海外からの輸入に依存しています。そのため、海外で資源の権益を確保し、安定的な供給体制を構築することは、日本経済にとって重要な課題となっています。

INPEXは、その役割を担う日本最大規模の石油・天然ガス開発企業です。

特に注目したいのが、日本政府がINPEXの普通株式に加えて、拒否権付きの種類株式、いわゆる「黄金株」を保有している点です。

黄金株とは、特定の重要事項について拒否権などの特別な権利が認められる株式のことです。

INPEXの場合、政府がこうした株式を保有することで、国家のエネルギー安全保障に関わる重要な経営事項に一定の影響力を持つ仕組みになっています。

2026年6月末時点で、経済産業大臣は自己株式を除くINPEXの普通株式の23.81%と甲種類株式を保有しています。ただし、INPEXは民間企業として自主的に経営判断を行っており、政府が経営を全面的に保証するわけではありません。

こうした特殊な株主構成は、INPEXが日本のエネルギー政策において重要な位置を占めていることを示しています。

巨額の初期投資が参入障壁を生み出す

INPEXの主力事業は、石油や天然ガスの開発工程のうち「アップストリーム(上流事業)」と呼ばれる分野です。

上流事業では、地下に存在する資源を探し出す探鉱から始まり、埋蔵量や採算性の評価、開発施設の建設を経て、実際の生産へと進みます。

この事業には非常に大きな特徴があります。

それは、収益を得るまでに長い時間と巨額の資金が必要になることです。

例えば、探鉱を行っても商業生産が可能な量の石油や天然ガスが見つかるとは限りません。また、資源が発見されたとしても、生産施設の建設には莫大な設備投資が必要です。

こうした資金面と技術面の難しさが、新規企業にとって高い参入障壁となっています。

一方で、開発に成功して生産体制が整えば、長期間にわたって資源を販売し、収益を得られる可能性があります。

ただし、生産開始後も設備の維持管理費や追加投資が必要であり、資源価格の変動によって収益性も変わります。

それでも、すでに大型プロジェクトを稼働させている企業には、新規参入企業に対して一定の競争優位性があると考えられます。

イクシスLNGプロジェクトが収益の柱に

INPEXの事業基盤を語るうえで欠かせないのが、オーストラリアで展開する「イクシスLNGプロジェクト」です。

イクシスLNGプロジェクトは、日本企業が初めて大型LNGプロジェクトの操業主体となった事業です。

LNGとは液化天然ガスのことで、天然ガスを約マイナス162℃まで冷却し、液体にしたものを指します。液化することで体積を大幅に減らせるため、船舶による長距離輸送が可能になります。

イクシスでは2018年に生産が始まり、その後、LNGや液化石油ガスなどの出荷が開始されました。

現在の主な事業規模は以下のとおりです。

  • LNG生産能力:年間約930万トン
  • LPG生産能力:年間約165万トン
  • コンデンセート生産能力:ピーク時に日量約10万バレル
  • INPEXの権益比率:67.82%

同プロジェクトは2018年以降、安定的な生産を継続しており、INPEXの収益基盤を支える重要な存在となっています。

大型プロジェクトは開発段階で多額の投資が必要ですが、生産段階に移行すると、投資回収が進むことでキャッシュフローの創出につながります。

このイクシスから得られる資金は、株主への配当や自社株買い、さらに将来の資源開発への投資を支える重要な原資です。

INPEXの株価は割安なのか?PER・PBR・財務指標を分析

INPEXの事業基盤が強固であるとしても、投資家にとって重要なのは、その企業価値に対して現在の株価がどの程度の水準にあるかという点です。

動画では、INPEXの株価指標を取り上げ、市場全体と比較した割安感について説明しています。

PER8.30倍という株価評価

動画内では、INPEXの株価を3,600円台半ばとした場合、PERは8.30倍と紹介されています。

PERとは株価収益率のことで、株価が1株当たり利益の何倍まで買われているかを表す指標です。

一般的にPERが低い企業は、利益に対して株価が割安な水準にある可能性があります。

動画では日本株市場の平均的なPERを14〜15倍程度とし、INPEXの8.30倍は市場平均を大きく下回る水準だと指摘しています。

ただし、PERが低いからといって必ずしも割安とは限りません。

資源開発企業の場合、原油や天然ガスの価格によって利益が大きく変化するため、好業績の局面では一時的にPERが低く見えることがあります。

例えば、原油価格の上昇で利益が急増すると、株価が変わらなくてもPERは低下します。しかし、その後に原油価格が下落すれば利益が減少し、PERが上昇する可能性があります。

このように、資源関連株の評価では、単年度のPERだけではなく、資源価格の変動を通じた利益の持続性も確認する必要があります。

PBR0.83倍は何を意味するのか

動画で紹介されているもう1つの重要な指標がPBRです。

PBRとは株価純資産倍率のことで、企業の1株当たり純資産に対して、株価が何倍で評価されているかを示します。

動画内では、INPEXのPBRは0.83倍とされています。

これは、株価が会計上の1株当たり純資産を下回る水準で評価されていることを意味します。

PBRが1倍を下回っている企業については、東京証券取引所が企業価値の向上や資本効率を意識した経営を促していることもあり、投資家の関心が集まりやすくなっています。

ただし、PBR0.83倍だからといって、会社を解散すれば株主が投資額以上の現金を受け取れるという意味ではありません。

実際の資産売却価格や負債の精算費用などは帳簿上の純資産とは異なるためです。

それでも、PBR1倍割れの状態が続く企業では、資本効率の改善や株主還元の強化が評価見直しのきっかけになる場合があります。

自己資本比率61.40%という財務基盤

動画では、INPEXの自己資本比率が61.40%と紹介されています。

自己資本比率とは、企業が保有する総資産のうち、返済義務のない自己資本が占める割合です。

一般的には、この比率が高いほど借入金などへの依存度が低く、財務上の安定性が高いと評価されます。

資源開発事業では大型設備投資が必要になるため、財務の健全性は重要な判断材料です。

さらに動画では、以下の収益性指標も紹介されています。

指標動画内の数値
PER8.30倍
PBR0.83倍
自己資本比率61.40%
ROE(自己資本利益率)8.23%
ROA(総資産利益率)5.21%

ROEは株主が出資した資本に対して、企業がどれだけ利益を生み出したかを示します。一方、ROAは企業が保有する資産全体をどの程度効率的に活用しているかを表します。

INPEXは巨額の設備資産を保有する企業ですが、こうした指標から収益性と財務健全性の両面を評価できます。

なお、上記の株価指標は動画内で紹介された数値であり、2026年10月13日時点の最新値として確認されたものではありません。実際の投資判断では最新の株価と決算数値を使用する必要があります。

INPEXの配当は持続可能なのか?株主還元政策を解説

新NISAで高配当株を長期保有する場合、現在の配当利回りだけではなく、将来にわたって配当を維持できるかどうかが重要です。

その判断材料の1つが配当性向です。

配当性向30.2%が示す利益配分

動画では、INPEXの配当性向は30.2%と紹介されています。

配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、何%を株主への配当に充てているかを示す指標です。

例えば、100億円の純利益を稼いだ企業が30億円を配当に回した場合、配当性向は30%になります。

動画で紹介された30.2%という数値で考えると、企業が稼いだ利益の約3割を株主に還元し、残りの約7割を内部に留保する計算になります。

資源開発企業は、既存の油田やガス田の生産量が将来的に減少することに備えて、新たな資源の探鉱や開発を続ける必要があります。

したがって、利益をすべて配当に回すのではなく、将来の設備投資に備えることも重要です。

動画では、配当と将来への投資を両立させる利益配分が、INPEXの強みとして説明されています。

ただし、配当性向が低いことだけで、将来の配当が保証されるわけではありません。原油価格の下落などで利益やキャッシュフローが減少すれば、配当政策にも影響する可能性があります。

配当と自社株買いを組み合わせた株主還元

INPEXは配当に加えて、自社株買いにも積極的です。

自社株買いとは、企業が株式市場などから自社の株式を買い戻すことです。

取得した株式を消却すると、発行済株式数が減少し、利益が一定であれば1株当たり利益(EPS)が増加します。

その結果、理論上は既存株主の持分価値を高める効果が期待できます。

もっとも、自社株買いは実施価格や取得した株式の扱いによって効果が異なるため、必ず株価が上昇するわけではありません。

動画では、INPEXが総還元性向40%以上を目指していると説明されています。

ここは最新の会社方針と区別する必要があります。

INPEXが2025年2月に公表した2025〜2027年の中期経営計画では、年間90円を起点とする累進配当と機動的な自社株買いを組み合わせ、総還元性向50%以上を目指す方針が示されています。

累進配当とは、原則として配当を維持または増額していく方針です。

さらに、2026年12月期の中間決算時点では、年間配当112円を予定し、最大1,400億円の自己株式取得を決定したと公表しています。

こうした株主還元政策は、INPEXを長期保有の候補として検討するうえで注目されるポイントです。

INPEXはインフレや円安に強い銘柄なのか

INPEXへの投資を考えるうえで、もう1つ重要なのがインフレや為替変動との関係です。

一般的な日本企業にとって、インフレや円安は必ずしもプラスに働きません。

例えば、海外から原材料を輸入する製造業や小売業では、円安によって輸入コストが増加し、利益率が悪化する可能性があります。

一方で、海外で石油や天然ガスを生産・販売するINPEXは、異なる収益構造を持っています。

原油・天然ガス価格の上昇が収益を押し上げる

INPEXの収益は、原油や天然ガスなどの資源価格に大きく左右されます。

資源価格が上昇すると、販売数量やコストなどの条件が一定であれば、売上高や利益の増加につながります。

そのため、エネルギー価格の上昇を伴うインフレ局面では、INPEXの業績が改善する可能性があります。

これは、エネルギーを購入する側ではなく、生産して販売する側にいる企業ならではの特徴です。

ただし、すべてのインフレ局面でINPEXの利益が増加するわけではありません。

例えば、景気後退によって原油需要が減少すれば、物価全体が高止まりしていても資源価格は下落する場合があります。

また、天然ガスの販売価格には長期契約や原油価格に連動する価格決定方式などがあるため、市場価格の上昇がそのまま直ちに利益へ反映されるとは限りません。

円安による利益押し上げ効果

INPEXは海外事業の比重が大きく、米ドル建ての収益が重要な役割を担っています。

そのため、円安になると、外貨建ての収益を日本円に換算した際の金額が増加しやすくなります。

例えば、1億ドルの利益を円換算すると、為替レートによって次のように変わります。

為替レート円換算の利益
1ドル=130円130億円
1ドル=150円150億円
1ドル=160円160億円

これは為替換算だけを示した単純な例で、実際には米ドル建ての支出や税金、為替ヘッジなども影響します。

それでも、海外で外貨収益を得ている企業の株式を保有することは、円建て資産に偏ったポートフォリオのリスクを分散する方法の1つになり得ます。

もっとも、INPEXの株価そのものは資源価格や株式市場全体の影響を受けるため、円安やインフレに対する完全なヘッジ手段ではありません。

脱炭素社会でINPEXの将来性はどうなる?

INPEXを新NISAで長期保有する場合、避けて通れないのが脱炭素化の問題です。

世界では温室効果ガスの排出削減を目指し、再生可能エネルギーの普及やエネルギー利用の効率化が進められています。

そのため、化石燃料を主力事業とする企業が、今後数十年にわたって成長を続けられるのかという疑問があります。

エネルギー移行期における天然ガスの役割

動画では、INPEXが石油・天然ガス事業を維持しながら、次世代エネルギーへの投資を進めている点が紹介されています。

天然ガスは、一般に石炭よりも燃焼時の二酸化炭素排出量が少ないことから、脱炭素社会への移行期に一定の役割を果たすエネルギーとして位置づけられています。

また、太陽光発電や風力発電は天候によって発電量が変化するため、供給を補完する電源の確保も重要です。

ただし、天然ガスも化石燃料であり、燃焼すれば二酸化炭素が排出されます。採掘や輸送時のメタン漏出も含めた環境負荷を考える必要があります。

今後、各国のエネルギー政策や技術開発がどのように進むかによって、天然ガスの長期的な需要は変化する可能性があります。

水素・アンモニア・CCSへの投資

INPEXは既存の化石燃料事業に加え、水素、アンモニア、CCSといった分野にも取り組んでいます。

水素は利用方法によっては燃焼時に二酸化炭素を直接排出しないという特徴があり、産業分野などでの活用が期待されています。

アンモニアも燃焼時に二酸化炭素を直接排出しない燃料として利用することが可能ですが、窒素酸化物の排出対策や製造段階での環境負荷が課題となります。

一方、CCSは工場や発電所などから排出される二酸化炭素を回収し、地中深くに貯留する技術です。

これらの技術は、脱炭素化が難しい産業分野での活用が期待されています。

INPEXは2035年に向けた長期戦略のなかで、既存事業の維持・拡大、天然ガス・LNG事業の拡張、CCS・水素・電力関連分野への投資を計画しています。

ただし、新しいエネルギー事業への投資が、将来必ず収益に結びつくとは限りません。

技術開発の進展、製造コストの低減、政府の支援制度、顧客需要など、さまざまな条件が事業化の成否を左右します。

そのため、INPEXの将来性を評価する際には、既存の石油・天然ガス事業から得られる収益と、次世代事業への投資がどの程度成果を上げているかを分けて考える必要があります。

新NISAでINPEXを保有する際の注意点

ここまでINPEXの事業基盤や配当政策を確認してきましたが、新NISAでの長期投資では制度上の注意点もあります。

新NISAの成長投資枠では、対象となる国内上場株式を非課税で保有できます。

通常の課税口座では、上場株式の配当金や売却益に対して原則20.315%の税金がかかりますが、新NISAでは対象となる利益が非課税になります。

ただし、国内上場株式の配当金を非課税で受け取るためには、証券会社の口座で配当金を受け取る「株式数比例配分方式」を選択する必要があります。

銀行口座などで受け取る方式では、NISA口座で保有していても配当金に課税される場合があるため注意が必要です。

また、INPEXのような資源関連株は、原油価格や天然ガス価格が大きく下落した場合、業績と株価の両方が悪化する可能性があります。

特に、数十年という長い期間で保有する場合には、現在の配当利回りやPERだけでなく、資源価格の変動に耐えられる財務体質や将来の投資計画を継続的に確認することが重要になります。

新NISAで保有しているという理由だけで、個別企業の経営リスクが小さくなるわけではありません。

まとめ:INPEXは新NISAの長期投資候補として注目される企業

INPEXは、日本のエネルギー安全保障を支える重要な企業であり、大型資源開発プロジェクトから得られる収益と積極的な株主還元政策が特徴です。

特に、オーストラリアのイクシスLNGプロジェクトは、長期的な収益を支える重要な事業となっています。

また、動画で紹介されたPER8.30倍、PBR0.83倍という株価指標からは、市場全体と比較した割安感が指摘されています。

さらに、配当に加えて自社株買いを実施し、現在の中期経営計画では総還元性向50%以上を目指すなど、株主への利益還元にも積極的です。

資源価格の上昇や円安が利益の追い風になり得ることも、一般的な国内企業とは異なる特徴といえるでしょう。

一方で、石油・天然ガス価格の下落、為替相場の変動、開発事業の巨額投資、脱炭素社会への移行など、長期保有に伴うリスクも存在します。

水素やアンモニア、CCSなどの次世代エネルギー分野についても、今後の成長が期待される一方で、収益化には不確実性が残されています。

新NISAを活用した長期投資で重要なのは、高配当利回りや割安な株価だけを理由に銘柄を選ばず、企業の利益創出力や財務健全性、将来の事業環境を総合的に判断することです。

INPEXは、安定した株主還元と資源開発事業の収益力に注目する投資家にとって、検討する価値のある企業の1つといえます。

ただし、優れた事業基盤を持つ企業であっても、投資した時点の株価や将来の資源価格によって投資成果は大きく変わります。

長期保有を前提とする場合でも、定期的に決算内容や株主還元方針を確認し、自分自身の資産配分とリスク許容度に合わせて判断することが大切です。

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