本記事は、YouTube動画『オープンAIショック 売上高が想定を大幅に下回る』の内容を基に構成しています。
生成AI市場を代表するOpenAIの売上高見通しを巡る報道が、AI関連株に動揺を広げています。
動画によると、英紙フィナンシャル・タイムズはOpenAIの年間売上高が従来伝えられていた680億ドルではなく、500億ドルになると報じました。これを受けて、AI向け半導体やデータセンターに関連する銘柄が相次いで下落したとされています。
今回の問題は、単にOpenAIの売上高が予想より少なかったという話にとどまりません。
AI関連企業が進める巨額の設備投資を、将来の収益によって本当に回収できるのかという、AI市場全体の成長シナリオに疑問が生じているためです。
さらに、米国の長期金利上昇やデータセンター関連企業のIPO延期など、AI投資を支える資金調達環境にも変化が見られます。
今回は、OpenAIの売上高を巡る報道がAI関連株に与えた影響、データセンター投資のリスク、米国の長期金利との関係、そして今後の株式市場の見通しについて、動画の内容を詳しく解説します。
なお、以下に登場する企業の売上高見通し、株価、金利、設備投資予測などは動画で紹介された数値です。また、AIバブル崩壊や株価下落に関する将来予測は動画出演者の見解であり、確定した事実ではありません。
OpenAIの売上高が想定を大幅に下回ると報道
年間売上高680億ドルから500億ドルへの修正
動画によると、フィナンシャル・タイムズはOpenAIの年間売上高が500億ドルとなり、従来伝えられていた680億ドルを大きく下回ると報じました。
両者の差額は180億ドルで、従来の数字と比較すると約26.5%少ない計算になります。
ただし、これはOpenAIが意図的に売上高を水増ししていたという意味ではありません。
動画では、従来の売上高に非営利の提携先からの収入などが含まれており、集計方法をより正確に調整したことが数字の変化につながったと説明されています。
そのため、今回の報道を売上高の不正計上や実際の事業収入の急減と同一視することは適切ではありません。
それでも株式市場が大きく反応した背景には、AI企業の将来的な収益力に対する不安があります。
巨額のAI投資を回収できるのか
OpenAIをはじめとするAI関連企業は、生成AIの開発と運用に必要な計算能力を確保するため、巨額の資金を投じています。
生成AIのサービスを提供するには、大量のGPUやメモリーを搭載したサーバーが必要です。また、それらを収容するデータセンターの建設や電力供給設備にも多額の費用がかかります。
投資家が期待しているのは、こうした設備投資によってAIサービスの利用が拡大し、将来的に大きな利益が生まれるという成長シナリオです。
しかし、AI企業の実際の収益規模が想定より小さければ、巨額投資を回収するために必要な時間が長くなり、投資計画そのものを見直す必要が出てきます。
動画では、この点がAI関連株の下落を招いた重要な要因だと指摘しています。
OracleやBroadcomの株価が急落
OpenAIの売上高を巡る報道を受け、AIインフラ関連企業の株価も下落したと紹介されています。
OpenAIのデータセンター関連パートナーであるOracle(オラクル)は5.5%下落し、AI向けの専用チップやシステムを開発するBroadcom(ブロードコム)も4.4%下落したとされています。
これらの企業は、AI市場の成長によってデータセンターや半導体への需要が拡大することを期待されています。
しかし、OpenAIの成長が市場の想定を下回れば、将来の設備投資や半導体需要にも影響が及ぶ可能性があります。
さらに動画では、OpenAIの企業評価額が低下した場合、予定されているIPO(新規株式公開)の延期につながる可能性にも言及しています。
IPOが延期されれば、株式市場を通じた大規模な資金調達の機会が後ろ倒しになるため、資金調達に依存する成長投資に影響することが考えられます。
ただし、IPO延期が直ちに資金調達不能を意味するわけではなく、非公開市場での出資や借入れなど、ほかの調達手段が残されている点には注意が必要です。
AIバブルはすでに崩壊し始めているのか
半導体株の上昇トレンドは維持
動画では、今回の報道だけでAIバブルの崩壊を断言することはできないと説明しています。
その理由として挙げられているのが、半導体株全体の値動きです。
Nasdaq総合指数や、米国の半導体関連企業に投資するETF「SMH」は、動画で取り上げられた時点では50日移動平均線を上回っていたとされています。
50日移動平均線とは、直近50営業日の終値の平均値をつないだ線です。株価がこの水準を上回っている場合、中期的な上昇基調が続いていると判断する投資家もいます。
そのため、AI関連株の一部が急落していても、半導体セクター全体が明確な下落トレンドへ転換したとは言い切れない状況だと説明しています。
メモリー関連株には警戒感
一方で、メモリー関連株については注意が必要だと指摘しています。
動画によると、メモリー関連企業で構成されるRoundhillのメモリー関連ETF「DRAM」は、50日移動平均線をわずかに下回りました。
今後、この移動平均線を明確に割り込み、下落基調が強まるようであれば、メモリー関連株の上昇相場が終わりを迎える可能性があるという見方です。
AIサーバーには大量の高性能メモリーが必要であり、近年のAI投資拡大はメモリー需要を押し上げる重要な要因になっています。
そのため、メモリー関連株の下落は、AIインフラ投資に対する市場の期待が弱まり始めている兆候として注目されています。
もっとも、移動平均線を下回ったことだけで需要減少やバブル崩壊が確定するわけではありません。
実際の半導体需要、企業業績、設備投資計画などと合わせて判断する必要があります。
AIデータセンター企業のIPOに異変
オーストラリアのデータセンター企業がIPOを断念
AI関連市場で懸念されているのは、OpenAIの売上高だけではありません。
動画では、オーストラリアのデータセンター運営企業Firmus(ファーマス)が、オーストラリア証券取引所へのIPO計画を見送ったと紹介しています。
同社はNVIDIAから出資を受けている企業として説明されており、IPOの代わりに非公開市場での資金調達を検討するとされています。
IPO見送りの背景には、企業側が想定していた評価額に対して、一部の投資家が割高感を指摘したことがあるといいます。
つまり、AI関連企業だからといって、高い評価額で投資家から資金を集められる状況ではなくなりつつあるということです。
この動きは、今後上場を計画しているSB Energyなどのデータセンター関連企業にとっても逆風になる可能性があります。
AIデータセンターは金利上昇に弱い
データセンター事業には、多額の初期投資が必要です。
土地の取得や建物の建設だけでなく、サーバー設備、電力供給、冷却システムなどを整備しなければなりません。
そのため、外部から資金を調達して事業を拡大する企業も多く、借入金利の変動が収益性に大きく影響します。
例えば、借入金利が上昇すると、同じ設備を建設する場合でも資金調達コストが増加します。
AIサービスの需要が順調に拡大していても、金利負担が大きくなれば投資採算が悪化する可能性があります。
動画では、米国の長期金利上昇がAIデータセンター関連企業の資金調達を難しくしていると指摘しています。
AIデータセンター関連株が軒並み急落
CoreWeaveは高値から約47%下落
動画では、AI向けクラウドインフラを提供するCoreWeave(コアウィーブ)の株価が、52週高値から約47%下落したと紹介しています。
CoreWeaveのような企業は、一般に「ネオクラウド」と呼ばれます。
ネオクラウドとは、AIの学習や推論に必要なGPUなどの計算資源を、クラウドサービスとして提供する企業群を指す言葉です。
AI需要が拡大すれば高い成長が期待できる一方、GPUの調達やデータセンター設備への投資負担が大きいことも特徴です。
動画では、こうした企業が金利上昇局面で売られやすいことを、AIデータセンター市場全体の懸念材料として取り上げています。
新規上場したAIインフラ関連株にも売り
動画では、IPOを実施した複数のAIインフラ関連企業についても、上場後の株価下落が紹介されています。
| 企業名 | IPO価格 | 動画で紹介された株価 | 高値からの下落率 |
|---|---|---|---|
| Madison Air Solutions | 27ドル | 24ドル | 約46% |
| INNIO | 27ドル | 19.20ドル | 約55% |
| Erock | 21.50ドル | 12.21ドル | 約43% |
| Acceleration | 18ドル | 15.66ドル | 約13% |
※企業名の一部は文字起こしに基づく表記です。数値は動画で紹介された時点のものであり、現在の株価を示すものではありません。また、ErockとAccelerationの下落率はIPO価格を基準としています。
動画によると、Madison Air Solutionsはデータセンター向けの空調設備や配電盤を供給する企業です。
4月に27ドルで上場し、6月には44.50ドルまで上昇する場面がありましたが、その後24ドルまで下落したとされています。
また、データセンター向けのガスエンジン発電を手掛けるINNIOは、6月に27ドルで上場した後、42.95ドルまで上昇したものの、19.20ドルまで下落したと紹介されています。
さらに、分散型電源システムの設計や保守を手掛けるErock、配電関連設備の設計・製造・設置を手掛けるAccelerationについても、IPO価格を下回る状況が説明されています。
これらの事例から、動画ではAI関連企業のIPO市場に対する投資家の姿勢が慎重になっていると分析しています。
IPO市場の低迷が半導体需要に波及する可能性
データセンター企業がIPOによって十分な資金を調達できなければ、設備投資計画を延期する可能性があります。
設備投資が延期されれば、GPUやメモリー、ネットワーク機器などの発注が先送りされることも考えられます。
動画では、このような連鎖によってAI半導体需要が減速し、AI関連株の調整につながる可能性があると指摘しています。
ただし、すべてのデータセンター企業がIPOに依存しているわけではありません。
資金力のある大手IT企業は、営業キャッシュフローなどを活用して投資を継続できるため、IPO市場の低迷がそのままAIインフラ投資全体の停止につながるとは限りません。
米10年国債利回りが6%に達する可能性
PIMCOの最高投資責任者が金利上昇を警戒
AI関連株にとって、もう1つの重要なリスクが米国の長期金利です。
動画では、世界有数の債券運用会社PIMCOの最高投資責任者、ダニエル・アイバシン氏がフィナンシャル・タイムズのインタビューで、米10年国債利回りが6%に達する可能性について言及したと紹介しています。
米10年国債利回りは、米国の金融市場における代表的な長期金利の指標です。
住宅ローンや企業の資金調達コスト、株式の評価などにも影響を与えます。
動画では、最近の長期金利上昇には、借入れを利用して債券投資を行っていた投資家の損切りが関係している可能性があると説明しています。
金利が上昇すると、既に発行された固定利付債券の価格は下落します。
レバレッジをかけて債券を保有している投資家は、損失の拡大によって保有債券の売却を迫られることがあります。
こうした売却がさらに債券価格を押し下げ、利回りの上昇につながる可能性があります。
米国債利回り6%が株式市場に与える影響
仮に米10年国債利回りが6%に達した場合、株式市場には大きな逆風になると動画では予想しています。
米国債は信用リスクが比較的低い投資対象であり、株式と比べて将来の利払いを見通しやすい特徴があります。
その米国債で高い利回りを得られるようになれば、投資家が株式に求めるリターンも高くなります。
特に、将来の成長期待によって高い株価が正当化されているAI関連株は、金利上昇の影響を受けやすい傾向があります。
一方で、米国債は米ドル建てであるため、日本の投資家にとって円換算のリターンが保証されるわけではありません。また、長期債を満期前に売却する場合には価格変動リスクがあります。
動画では、利回りが5%を超えた米国債の入札に強い需要が集まり、長期金利の上昇に一定の歯止めがかかったとも紹介しています。
つまり、金利が上昇し続けるとは限らず、高い利回りそのものが債券への買い需要を呼び込む可能性もあります。
長期金利上昇は景気後退につながるのか
長期金利の上昇は、AI関連企業だけでなく米国経済全体にも影響します。
代表的なのが住宅市場です。
長期金利が上昇すると、一般的に住宅ローン金利にも上昇圧力がかかります。
住宅購入のための借入金利が高くなれば、毎月の返済負担が増えるため、住宅購入を見送る人が増える可能性があります。
住宅が売れなくなると、住宅建設に使われる木材や建築資材の需要が減少します。
さらに、新居への引っ越しに伴う家具や家電の購入も減少するため、住宅市場の低迷は幅広い産業へ波及します。
その結果、企業の売上高が減少し、雇用や個人消費にも悪影響が及ぶ可能性があります。
動画では、長期金利の上昇による株式市場の下落が、将来の景気後退を織り込む動きになることも考えられると指摘しています。
ただし、金利上昇の影響は、その背景にある経済環境によって異なります。景気が強いために金利が上昇している場合と、国債の需給悪化によって上昇している場合では、株式市場への影響も同じではありません。
売却した米国株のドルはどう運用する?ドル建てMMFの活用
動画の後半では、視聴者から寄せられた投資に関する質問にも回答しています。
最初に取り上げられたのは、米国株を売却して得た米ドルを、一時的に運用する方法です。
ドル建てMMFとは
動画では、米ドルの待機資金を運用する方法として、ドル建てMMFが紹介されています。
MMFはマネー・マーケット・ファンドの略称で、主に短期国債などの比較的信用力が高く、満期までの期間が短い金融商品に投資する投資信託です。
例えば、米国株を売却した後、次の買い場が来るまで米ドルを保有しておきたい場合に利用できます。
動画では楽天証券で購入できるドル建てMMFが例として挙げられています。
1万ドルを年利3%で運用した場合
動画では、運用コスト控除後の利回りを年3%と仮定した場合の収益例も紹介されています。
1万ドルを12ヶ月運用した場合、単利計算では次のようになります。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 運用元本 | 10,000ドル |
| 想定年間利回り | 3% |
| 税引き前収益 | 300ドル |
| 税金(約20%と仮定) | 約60ドル |
| 税引き後収益 | 約240ドル |
つまり、米国株を保有していない期間でも、ドル建てMMFを活用すれば一定の利息収入に相当する分配金を得られる可能性があります。
ただし、MMFの利回りは固定されているわけではありません。短期金利の変動によって運用利回りも変化します。
また、元本保証の商品ではない点にも注意が必要です。
円高になれば為替差損が発生する
ドル建てMMFを利用する際に注意したいのが為替変動です。
たとえ米ドルベースで3%の収益を得られたとしても、それ以上に円高が進めば、円換算の評価額は減少する可能性があります。
例えば1ドル150円のときに1万ドルを保有していれば、円換算の評価額は150万円です。
その後、1ドル140円まで円高が進めば、同じ1万ドルでも140万円になります。
このため、ドル建てMMFは米ドルの待機資金を運用する選択肢にはなりますが、円ベースで損失を回避できる商品ではありません。
AIバブルは本当に存在するのか
バブルかどうかは将来の収益で決まる
動画では、AI市場が現在バブル状態にあるのかという質問に対して、出演者はバブルだと考えていると回答しています。
ただし、実際にバブルだったかどうかは、後にならなければ確定できないとも説明しています。
重要なのは、現在行われている巨額の設備投資が、将来どれだけの収益を生み出すかです。
仮にAI投資によって企業の売上高や利益が大きく増え、投資額を十分に回収できるのであれば、現在の設備投資は合理的な成長投資だったと評価できます。
反対に、AIサービスの収益化が想定ほど進まず、設備投資を回収できなければ、過剰投資だったと評価される可能性があります。
大手IT企業5社の設備投資予測
動画では、FactSetのコンセンサス予想として、Amazon、Microsoft、Alphabet、Meta、Oracleの5社による設備投資額が紹介されています。
| 年 | 設備投資額(5社合計) |
|---|---|
| 2026年 | 8,440億ドル |
| 2027年 | 1兆10億ドル |
| 2028年 | 1兆1,490億ドル |
| 2029年 | 1兆1,690億ドル |
| 2030年 | 1兆3,650億ドル |
動画で紹介された予測では、2026年から2030年までの5年間で合計5兆ドルを超える設備投資が見込まれています。
これはAI関連インフラへの投資が、極めて大きな規模に達していることを示す数字です。
もっとも、この設備投資額にはAI以外の事業向け投資も含まれる可能性があるため、全額をAI投資とみなすことには注意が必要です。
フリーキャッシュフローは2028年から黒字化予測
一方、5社のフリーキャッシュフローについて、動画では次の予測が紹介されています。
| 年 | フリーキャッシュフロー(5社合計) |
|---|---|
| 2026年 | -500億ドル |
| 2027年 | -670億ドル |
| 2028年 | 1,080億ドル |
| 2029年 | 4,890億ドル |
| 2030年 | 6,660億ドル |
フリーキャッシュフローとは、企業が事業活動によって得た現金から、設備投資などに使った現金を差し引いたものです。
企業が自由に利用できる資金を把握するうえで重要な指標とされています。
動画の予測では、2026年と2027年には5社合計のフリーキャッシュフローがマイナスになりますが、2028年からプラスに転換し、2030年には6,660億ドルまで拡大するとされています。
この予測が実現し、その後もフリーキャッシュフローが拡大し続けるのであれば、現在の設備投資が将来的に大きな収益を生み出す可能性があります。
ただし、フリーキャッシュフローが黒字化することと、過去の投資額を十分に回収できたことは同じではありません。
長期的な投資採算を判断するには、さらに先の収益動向を確認する必要があります。
AI投資が減速した場合に起こること
動画では、AI市場が現在の成長期待を実現できなくなる要因として、AIサービスのコモディティ化やデータセンター建設の延期を挙げています。
コモディティ化とは、製品やサービスの差別化が難しくなり、価格競争が激しくなることです。
生成AIの性能差が縮小し、低価格で同等のサービスを利用できるようになれば、AI企業が十分な利益率を維持することが難しくなる可能性があります。
また、データセンター建設の遅延によってクラウドサービスの提供能力が予定どおり拡大しなければ、売上高が想定を下回ることも考えられます。
さらに、大手IT企業が巨額の資金を社債発行によって調達する場合、債券市場の需給に影響し、企業の資金調達コストを押し上げる可能性があります。
金利が上昇すれば、設備投資の採算性はさらに悪化します。
こうした状況が続けば、企業は設備投資の規模や実施時期を見直すことになります。
設備投資を抑制すれば、短期的には支出が減るため、フリーキャッシュフローの改善要因になります。
しかし、AIインフラ投資が減速すると、GPUやメモリーの需要には逆風となります。
動画では、こうした設備投資の減速がAI半導体関連株の下落につながり、AIバブル崩壊の引き金になる可能性があると予想しています。
AIバブルが崩壊したらオルカンも暴落するのか
全世界株式の約6割を米国株が占める
続いて動画では、AIバブルが崩壊した場合、全世界株式に投資する「オルカン」も大きく下落するのかという質問が取り上げられています。
オルカンとは、一般に「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」を指します。
日本を含む先進国や新興国の株式に幅広く投資する商品ですが、構成比率では米国株が大きな割合を占めています。
動画では、全世界株式のおよそ6割が米国株で構成されていると説明しています。
そのため、米国株が大幅に下落すれば、オルカンも大きな影響を受けることになります。
米国株の暴落は世界の株式市場にも波及する
動画では、AIバブルが崩壊した場合、米国株だけでなく欧州株、日本株、新興国株も売られる可能性があると指摘しています。
その理由として挙げられているのが、リパトリエーションです。
リパトリエーションとは、海外に投資していた資金を本国に戻すことです。
例えば、米国の投資家が自国市場で大きな損失を抱えた場合、資金を確保するために海外で保有していた株式を売却することがあります。
この動きが広がれば、米国以外の株式市場にも売り圧力が及ぶ可能性があります。
つまり、全世界に分散投資していても、世界的な株価下落を完全に回避できるわけではありません。
ただし、国際分散投資には、特定の国や企業への集中リスクを抑えるという役割があります。世界的な下落局面で損失が発生することと、分散投資の意味がなくなることは別の問題です。
株価暴落時には「キャッシュ・イズ・キング」になる?
動画では、AIバブルが崩壊した場合、現金の重要性が高まると説明しています。
これは「キャッシュ・イズ・キング(現金は王様)」という考え方です。
株式や暗号資産などのリスク資産が大幅に下落する局面では、現金を保有することで資産価格の下落から一定の距離を置くことができます。
また、現金があれば、株価が大幅に下落した後に投資を行う余力を確保できます。
一方、上昇相場では現金を保有し続けることが機会損失になる場合があります。
そのため、多くの投資家は株価が上昇している間、現金比率を高めることに心理的な抵抗を感じます。
動画では、この背景にFOMOと呼ばれる心理があると説明しています。
FOMOとは「Fear of Missing Out」の略で、自分だけが利益を得る機会から取り残されることへの恐怖を意味します。
周囲の投資家が利益を上げていると、自分も株式を保有していなければ損をしているように感じてしまうことがあります。
ただし、現金にもインフレによる購買力の低下や、外貨で保有する場合の為替リスクがあります。
現金比率を高めることが常に最適とは限らず、投資期間や資金の使い道に応じた判断が必要です。
フランスの債務危機と欧州株への強気見通しは矛盾するのか
動画では、フランスの債務問題が欧州全体の金融危機につながる可能性を警戒する一方で、将来的には欧州株や新興国株に強気の見方を示している点についても説明しています。
出演者によると、これは予想している時間軸が異なるため、矛盾するものではありません。
現在の局面では、フランスの財政問題や欧州の債務リスクが金融市場の懸念材料になっています。
しかし、将来AIバブルが崩壊して米国経済が景気後退に陥った場合、投資資金が株式などのリスク資産から国債などの安全資産へ移動すると動画では予想しています。
国債への買い需要が高まれば、国債価格が上昇し、利回りは低下します。
これによって欧州の長期金利も低下すれば、財政負担に対する懸念が和らぐ可能性があります。
そして、景気後退局面を経て世界経済が次の景気拡大局面に入れば、欧州株や新興国株が上昇する余地があるという考え方です。
ただし、金利低下だけで債務危機のリスクが解消するわけではありません。各国の財政状況や信用力、政治情勢なども重要な要因になります。
米国株式市場に現れている警戒シグナル
一部の大型ハイテク株に依存した上昇
動画の終盤では、米国株式市場全体の状況についても分析しています。
米国株は史上最高値圏で推移しているものの、その上昇を支えているのは一部の大型ハイテク株に偏っていると指摘しています。
株価指数が上昇していても、多くの銘柄が下落している場合、市場全体の上昇の勢いは必ずしも強いとはいえません。
そこで参考になるのが、騰落ライン(ADライン)です。
ADラインは、値上がり銘柄数と値下がり銘柄数の差を累積した指標で、相場の上昇がどれだけ幅広い銘柄に支えられているかを確認するために使われます。
動画では、NYSEのADラインが50日移動平均線を下回り、売りシグナルが出ていると説明しています。
これは、一部の大型株が株価指数を押し上げる一方で、市場全体では弱い動きが広がっている可能性を示すものです。
信用買い残高のピークアウトにも注意
もう1つの懸念材料として挙げられているのが、投資家の信用買い残高です。
動画では、6月に信用買い残高がピークアウトしたことが、株式市場にとって警戒材料になっていると紹介しています。
信用取引では、投資家が証券会社などから資金を借りて株式を購入できます。
そのため、信用買い残高が増えているときには、借入れを利用した株式購入が活発になっている可能性があります。
反対に信用買い残高が減少し始めた場合、投資家のリスク選好が弱まっている兆候と捉えられることがあります。
動画では、過去30年間の傾向として、信用買い残高がピークアウトしてから3ヶ月以内にS&P500が天井をつけ、その後弱気相場に入るケースがあったと説明しています。
ただし、これは動画で紹介された過去の経験則であり、将来の株価下落を保証する法則ではありません。
実際の判断では、対象期間や分析方法、例外となったケースなども確認する必要があります。
S&P500は最大50%下落?動画が予想する今後の相場
AIバブルは時間をかけて崩壊するとの見方
出演者は、AIバブルが崩壊する場合でも、株価が一気に下落するとは限らないと予想しています。
むしろ、大きく下落した後に急反発する動きを何度も繰り返しながら、徐々に高値を切り下げていく展開を想定しています。
株式市場では、長期的な下落相場の途中でも大幅な反発が発生することがあります。
こうした反発によって投資家が相場の回復を期待する一方、再び売りが強まることで下落が続く可能性があります。
動画では、このような乱高下を経て、翌年以降に大幅な株価下落が発生する可能性があると指摘しています。
S&P500はドル建てで最大50%安を予想
動画では、AIバブルが崩壊した場合の具体的な下落幅についても予想が示されています。
| 投資対象・項目 | 動画で示された予想 |
|---|---|
| S&P500(ドル建て) | 最大50%下落 |
| S&P500(円換算) | 最大60%下落 |
| 底打ちまでの期間 | 高値から1年〜1年半程度、またはそれ以上 |
| 欧州株・新興国株 | 大幅下落するが、米国株より下げ幅は小さい見通し |
| 金・ビットコイン | 大幅下落の可能性 |
これらは出演者による弱気シナリオであり、客観的に確定した将来予測ではありません。
特に円換算の下落幅は、米国株の値動きだけでなく、為替レートにも左右されます。
例えば、米国株が大幅に下落する局面で円高が進めば、円建てで米国株を保有している投資家の損失がさらに大きくなる可能性があります。
一方、円安が進めば、円換算の下落率がドル建てより小さくなる場合もあります。
次の10年は国際分散投資の時代になる?
出演者は、AIバブル崩壊後の次の景気拡大局面では、米国株よりも欧州株や新興国株が高いパフォーマンスを示す可能性があると予想しています。
動画では、次の景気拡大局面におけるS&P500の年間リターンは1桁台前半にとどまる一方、欧州株や新興国株は2桁の比較的高いリターンになるとの見方を示しています。
これは、これまで米国の大型ハイテク企業が株式市場全体の成長を牽引してきた構造が変化する可能性を想定したものです。
AI関連企業への期待が低下すれば、投資資金がほかの地域や産業へ向かうことも考えられます。
ただし、地域別の長期リターンを正確に予測することは難しく、欧州株や新興国株が米国株を上回ることが保証されているわけではありません。
まとめ:OpenAIショックはAI市場の成長シナリオを揺るがすのか
今回の動画では、OpenAIの年間売上高を巡る報道をきっかけとして、AI関連企業の設備投資と資金調達を取り巻くリスクが詳しく解説されました。
最も重要なのは、AI市場の成長そのものが止まるかどうかではなく、現在の巨額投資に見合うだけの収益を将来的に生み出せるかという点です。
生成AIの利用が拡大しても、開発費やデータセンター運営費がそれ以上に増加すれば、企業の利益やフリーキャッシュフローは伸び悩む可能性があります。
また、米国の長期金利が高止まりすれば、資金調達に依存するデータセンター関連企業ほど厳しい経営環境に置かれることになります。
そうした企業がIPOを延期し、設備投資を縮小すれば、AI半導体やメモリーの需要にも影響が及ぶ可能性があります。
一方、動画でも触れられているように、半導体株全体が明確な下落トレンドに転換したと断定できるわけではありません。
大手IT企業による設備投資も、将来のAI関連収益が十分に拡大すれば、合理的な成長投資として評価される可能性があります。
動画出演者は、現在のAI相場をバブルと捉え、将来的な大幅調整を警戒しています。しかし、S&P500が50%下落するという予想を含め、今後の市場動向には大きな不確実性があります。
今後のAI市場を判断するうえでは、OpenAIなどのAIサービス企業の収益動向に加え、大手IT企業の設備投資計画、フリーキャッシュフロー、AI半導体需要、IPO市場の状況、米国の長期金利などを総合的に確認することが重要です。
AIへの期待が大きいからこそ、その期待が実際の収益によって裏付けられているのか。今後のAI関連株の方向性を考えるうえで、最も重要な論点になるといえそうです。


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