本記事は、YouTube動画『日本株で勝つ方法』の内容を基に構成しています。
日本株で長期的に高いリターンを目指すには、どのような企業に投資すればよいのでしょうか。
動画では、2023年と2026年に発表された日本株に関する研究を紹介し、「割安でありながら、高い収益力を持つ企業に投資すること」が有力な投資戦略になると説明しています。
特に注目するのは、PBR(株価純資産倍率)と営業収益力です。
日本株で長期的に勝つ方法は「低PBR×高収益力」
動画の結論は、自己資本に対して高い営業利益を生み出している割安企業を購入するというものです。
この考え方の根拠として紹介されているのが、2023年12月に発表された日本株市場に関する学術研究です。
研究では、2003年10月から2022年12月までの約19年間を対象に、日本株のリターンを説明する要因が分析されました。
検証されたのは、割安度、営業収益力、企業規模、投資・資産増加、モメンタムという5つの要因です。
研究結果から、割安度と営業収益力が、日本株のリターンを説明するうえで重要な要因だったと紹介されています。
日本株では以前から割安株効果が研究されてきましたが、近年では収益性も重要な要素として注目されています。
営業収益力「OP」とは何か?
動画で取り上げられているOP(Operating Profitability)は、企業が自己資本に対してどの程度の利益を生み出しているかを測る指標です。
計算式は次のようになります。
OP=(売上高-売上原価-販売管理費-支払利息)÷(簿価自己資本+非支配持分)
売上高から売上原価と販売管理費を差し引くと営業利益になるため、営業利益から支払利息を控除した金額を資本と比較する指標と考えられます。
ただし、この数値を一般的な株式スクリーニングサービスで直接確認することは容易ではありません。
そこで動画では、簡易的な計算方法として次の指標を紹介しています。
簡易OP=営業利益÷自己資本×100
この簡易OPは、一般的なROE(自己資本利益率)に似ています。ROEが当期純利益を自己資本で割るのに対し、簡易OPでは営業利益を使用する点が異なります。
なお、簡易OPは論文で採用されたOPそのものではなく、動画独自の近似方法です。
割安で収益性の高い日本株を探す条件
動画では、実際に銘柄を探すためのスクリーニング条件として、以下の基準を紹介しています。
- PBR:1倍以下
- ROE:10%以上
- 自己資本比率:40%以上
- 簡易OP:15%以上
まずPBR、ROE、自己資本比率で候補企業を絞り込み、さらに各企業の営業利益と自己資本を確認して、簡易OPを計算するという方法です。
ここで重要なのは、単にPBRが低い企業ではなく、利益を生み出す力が強い企業を選ぶことです。
PBRとは、株価が企業の純資産に対して何倍の水準で取引されているかを表す指標です。一般的にPBR1倍未満の企業は、株価が帳簿上の1株当たり純資産を下回っている状態にあります。
一方、ROEは株主から預かった資本を使って、どれだけ効率的に利益を生み出しているかを示す指標です。
そのため、低PBRと高ROEを組み合わせれば、市場から割安に評価されながらも、高い利益を生み出している企業を見つけられる可能性があります。
ただし、簡易OP15%という基準は動画で提案されている目安であり、この数値を超えれば必ず高いリターンが得られるというものではありません。
フジクラを例に簡易OPを計算
動画では、フジクラを例に簡易OPの計算方法を説明しています。
紹介された実績値は次のとおりです。
| 項目 | 数値 |
|---|---|
| 営業利益 | 1,887億円 |
| 自己資本 | 5,603億円 |
| 簡易OP | 約33.68% |
計算式は次のとおりです。
1,887億円÷5,603億円×100=約33.68%
簡易OPが30%を超えていることから、自己資本に対して非常に高い営業利益を生み出していることが分かります。
ただし、動画で紹介されたフジクラのPBRは約14倍であり、今回の低PBR投資戦略の対象には該当しません。あくまで計算方法の説明に使用されています。
また、株価は将来の業績予想を織り込んで変動するため、実績だけでなく予想営業利益を使った分析も重要です。
動画では予想営業利益4,320億円、最新の自己資本6,805億円という数字も紹介されています。この場合、簡易OPは約63.5%になります。
もっとも、実績と予想を比較する際には、対象期間や自己資本の基準時点が異なることに注意する必要があります。
2026年の研究で確認された低PBR株の優位性
続いて動画では、東京証券取引所が進めた資本効率改革と株価の関係を検証した2026年の研究を取り上げています。
東証は2023年3月31日、プライム市場とスタンダード市場の上場企業に対し、資本コストや株価を意識した経営への対応を要請しました。
この改革は、特にPBR1倍割れの企業に対する市場の関心を高めるきっかけとなりました。
動画で紹介された研究では、PBR1倍未満の企業と1倍以上の企業を比較したところ、改革発表前後の3営業日で低PBR企業のリターンが約0.852ポイント高かったと説明されています。
つまり、東証の改革発表に対して、割安に評価されていた企業の株価が相対的に強く反応したことになります。
低PBR×高ROE銘柄が最も高いリターン
さらに、2023年2月から2024年2月までの約1年間について、企業をPBRとROEの組み合わせで4つに分類した研究結果が紹介されています。
この分析では、ROE8%を高ROEと低ROEの境界としています。
その結果、最も好調だったのは、PBR1倍以下でROE8%以上の企業群でした。
一方、PBRが高くROEが低い企業群は相対的に低調で、両者のリターンには約23ポイントの差が生じたとされています。
この結果は、市場から割安に評価されていながら、高い収益力を持つ企業が再評価されやすかったことを示唆しています。
特に長期間PBRが低い状態に置かれていた企業ほど、東証改革をきっかけに株価が見直される可能性があったと説明されています。
2023年の研究で重要とされた割安度と営業収益力に加え、2026年の研究でも低PBRと高ROEの組み合わせが良好なパフォーマンスを示したという点は注目に値します。
ただし、この分析は特定の期間の結果であり、今後も同じパフォーマンスが継続することを保証するものではありません。
日本の著名投資家にも割安株投資家が多い
動画では、日本の著名な個人投資家の投資スタイルも紹介されています。
井村俊哉氏は企業の決算資料を詳細に読み込む投資スタイルで知られ、割安な企業価値に着目した投資を行ってきました。
片山晃氏(五月氏)も、割安成長株を中心とした投資で大きな資産を築いた投資家として紹介されています。
清原達郎氏は、企業のネットキャッシュに注目する割安株投資で知られています。
ネットキャッシュとは、企業の現預金などから有利子負債を差し引いて評価する考え方です。
例えば、企業の時価総額が100億円であるのに対し、豊富な現預金を保有している場合、事業そのものの価値が市場から十分に評価されていない可能性があります。
清原氏は、こうした企業の資産価値と株価の乖離に着目する投資手法で知られています。
一方で、テスタ氏のように短期売買を得意とする投資家や、cis氏のように需給やモメンタムを重視する投資家もいます。
モメンタム投資とは、株価の上昇や下落の勢いに着目する投資手法です。強い上昇トレンドにある銘柄を購入し、その値動きに追随する戦略などが該当します。
こうした事例から、株式市場で成功する方法は1つではないことも分かります。
ただし、著名投資家の成功例は、特定の投資手法の有効性を統計的に証明するものではありません。
割安株投資で注意したい「バリュートラップ」
割安株投資で特に注意したいのが、バリュートラップ(割安株の罠)です。
これは、株価が割安に見えても、その状態が解消されず、株価が低迷し続ける現象を指します。
例えば、PBRが0.5倍の企業でも、業績が悪化し続けていたり、将来の成長が期待できなかったりする場合、株価が上昇しない可能性があります。
また、自己資本が豊富でも、それを有効に活用できていない企業は、市場から低い評価を受け続けることがあります。
そこで重要になるのが、収益力を組み合わせた分析です。
PBRが低いだけでなく、ROEが高く、営業利益を安定して生み出している企業であれば、単なる低迷企業とは区別して考えることができます。
ただし、ROEが高くても、過剰な借入や自己資本の減少によって数値が押し上げられている場合があります。財務健全性も確認する必要があります。
割安で稼ぐ力のある企業を長期保有する
動画全体を通じて強調されているのは、日本株では単純な割安さだけでなく、企業の収益力を組み合わせて評価することが重要だという点です。
特に、長期投資では企業が持つ本来の価値と市場評価の差に注目することが重要になります。
短期的な株価は市場の需給や投資家心理によって大きく変動しますが、長期的には企業の利益成長や資本効率が株価に影響を与えると考えられています。
動画では、清原達郎氏の投資手法にも触れながら、こうした企業を短期間で売買するのではなく、1年以上の長期保有を前提に考えることも推奨されています。
もちろん、企業の状況が変化すれば、投資判断を見直す必要があります。
割安だからという理由だけで無条件に保有し続けるのではなく、利益成長や財務状況、資本政策などを定期的に確認することが大切です。
まとめ:日本株は「低PBR×高収益力」に注目
今回の動画では、日本株に関する学術研究をもとに、長期投資で注目すべき企業の特徴が解説されました。
重要なポイントは次の3つです。
- 日本株では低PBR企業に注目する投資戦略に学術的な研究の蓄積がある。 特に割安度は、長年にわたって株式リターンを説明する重要な要因として研究されています。
- PBRだけでなく、ROEや営業利益を使って企業の収益力を確認する。 割安でありながら高い収益を生み出す企業は、株価が再評価される可能性があります。
- 割安で収益性が高く、市場から十分に評価されていない企業を長期的な投資対象として検討する。 ただし、バリュートラップや業績悪化には注意が必要です。
動画では、PBR1倍以下、ROE10%以上、自己資本比率40%以上、簡易OP15%以上という条件を参考に、投資候補を探す方法が提案されています。
**「低PBR×高収益力×長期保有」**は、日本株の銘柄選びで参考になる投資戦略の1つといえるでしょう。
なお、この記事の研究結果や企業数値は動画内で紹介された情報を基にしており、論文原文や最新の企業開示資料との照合は行っていません。特に簡易OPの基準値やスクリーニング条件は、学術論文の結論と動画独自の提案を区別して考える必要があります。


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