NTT株が6%急落した理由とは?2026年11月4日の決算ショックを徹底分析、配当利回り3.29%は買い場なのか

本記事は、YouTube動画『NTTショックを徹底分析!株価急落の理由と今後の見通し』の内容を基に構成しています。

2026年11月4日、日本を代表する通信インフラ企業であるNTT(日本電信電話、証券コード9432)の株価が急落しました。

この日の終値は164円となり、前営業日から10.5円安、下落率は6.02%に達しました。時価総額が約14兆8,500億円にも上る巨大企業が、わずか1日でこれほど大きく値下がりしたことは、多くの投資家に衝撃を与えました。

急落の直接的なきっかけとなったのは、同日に発表された2026年度第2四半期決算です。9月中間期の最終利益が前年同期比16.0%減少し、市場の期待を下回ったことで売りが加速しました。

しかし、今回の決算を詳しく確認すると、業績が全面的に悪化しているわけではありません。売上高に当たる営業収益は前年同期比8.7%増加しており、会社側は通期の利益予想を上方修正しています。株探+1

それでは、なぜNTT株はここまで売られたのでしょうか。

また、株価急落によって配当利回りが3.29%まで上昇した現在のNTT株は、長期投資家にとって魅力的な買い場なのでしょうか。

今回は、2026年11月4日の株価急落の背景から、NTTの財務状況、今後のリスク、次世代通信技術「IOWN(アイオン)」の成長可能性まで詳しく解説します。

目次

NTT株が2026年11月4日に急落した理由

株価は164円まで下落、下落率は6.02%

2026年11月4日のNTT株は、前営業日の終値174.5円から164円へと急落しました。

下落幅は10.5円、下落率は6.02%です。

NTTは日本全国に通信ネットワークを展開し、携帯電話、固定通信、法人向けITサービス、データセンターなどの事業を手掛ける巨大企業です。

通信サービスは景気の変動に左右されにくく、毎月安定した収入を得られることから、一般的にはディフェンシブ銘柄と呼ばれています。

ディフェンシブ銘柄とは、景気が悪化しても業績が比較的安定しやすい企業の株式を指します。

その代表的な存在であるNTTが、1日で6%を超える下落を記録したことは、投資家にとって予想外の出来事となりました。

午後の決算発表をきっかけに売りが加速

今回の急落を理解するうえで重要なのが、当日の株価の動きです。

午前中のNTT株は、前営業日の終値である174.5円付近を中心に推移していました。

ところが、午後1時30分に第2四半期決算が発表されると状況が一変します。

中間決算の最終利益が前年同期比16.0%減少したことを嫌気して売り注文が増加し、株価は後場に下落幅を拡大しました。開示情報データベース+1

動画では、この日の出来高が約3億6,780万株、売買代金が620億円を超える規模になったと説明されています。

出来高の増加は、それだけ多くの株式が市場で売買されたことを意味します。

ただし、出来高が増えたからといって、すべての投資家がパニックに陥っていたとは限りません。決算発表を受けた機関投資家のポジション調整や、短期投資家による売買なども影響したと考えられます。

いずれにしても、決算発表を境に投資家の評価が大きく変化したことは、今回の株価急落を特徴づける重要なポイントです。

NTTの中間決算はなぜ市場を失望させたのか

最終利益は前年同期比16%減少

2026年11月4日に発表されたNTTの中間決算では、利益の減少が目立ちました。

2026年4月から9月までの主な連結業績は以下のとおりです。

項目2026年度中間期前年同期比
営業収益約7兆3,622億円+8.7%
営業利益約8,301億円-12.2%
税引前利益約7,664億円-13.8%
最終利益約5,002億円-16.0%

NTT+1

この決算で注目したいのは、売上高に相当する営業収益が増えている一方で、利益が減少しているという点です。

企業の売上高が増加していても、事業運営に必要な費用がそれ以上に増えれば、最終的な利益は減少します。

今回のNTTについても、売上規模は拡大しているものの、その成長が利益の増加につながっていない状況が浮き彫りになりました。

特にグローバル・ソリューション事業の大幅減益が、全体の利益を押し下げる要因となっています。株探

市場予想を下回ったことが問題

株式市場では、業績が良いか悪いかだけではなく、市場の事前予想に対して実際の業績がどうだったかが重要になります。

例えば、投資家が100億円の利益を予想していた企業が90億円の利益を発表した場合、前年より利益が増えていたとしても失望売りが発生することがあります。

今回のNTTでも同様の現象が起こりました。

中間期の最終利益約5,002億円は、市場予想の約5,539億円を下回りました。税引前利益も市場予想を約8.1%下回っています。株予報Pro

つまり、今回の株価下落は単に最終利益が16%減少したからではありません。

利益の減少幅が市場の想定より大きかったことが、投資家の失望につながったと考えられます。

通期業績予想は上方修正されている

ただし、今回の決算には見逃せないポイントがあります。

NTTは中間決算の発表と同時に、2027年3月期の通期業績予想を上方修正しました。

営業収益は従来予想の15兆600億円から15兆800億円へ、営業利益は1兆7,100億円から1兆7,300億円へ引き上げています。

さらに、最終利益も9,800億円から9,940億円へと上方修正しました。株探

最終利益は前期比では減益予想のままですが、会社側が従来より強気の見通しを示したことになります。

今回の決算は、売上の拡大と中間期の減益、通期予想の上方修正が同時に発生した、評価の難しい内容だったといえるでしょう。

NTT株は割安なのか?PER・PBR・配当利回りから検証

PER13.62倍は極端な割高水準ではない

株価急落後のNTTについて、企業価値の観点から確認してみましょう。

動画で紹介された株価164円時点のPERは13.62倍です。

PERとは株価収益率のことで、株価が企業の1株当たり利益の何倍になっているかを表します。

例えば、1株当たり利益が10円で株価が150円なら、PERは15倍です。

PERが低いほど利益に対して株価が安いと評価される傾向がありますが、業績悪化が予想されている企業ではPERが低くても必ずしも割安とは限りません。

NTTのPER13.62倍という水準は、通信事業の安定性を考慮すれば、極端に高い評価とはいえません。

ただし、今後利益が減少すればPERは上昇するため、現在の株価だけで割安と結論づけることはできません。

PBR1.35倍とROE10.40%が示す収益力

動画では、NTTのPBRは1.35倍、ROEは10.40%と紹介されています。

PBRとは株価純資産倍率で、企業の純資産に対して株価が何倍で取引されているかを示す指標です。

PBRが1倍の場合、株式市場での企業評価が会計上の純資産とほぼ同じ水準にあることを意味します。

NTTのPBR1.35倍は、純資産を大きく上回る評価がついているわけではないことを示しています。

一方、ROEは自己資本利益率と呼ばれ、株主から預かった資本を使って企業がどれだけ効率よく利益を生み出しているかを表します。

NTTのROE10.40%という水準は、巨大な通信インフラを保有する企業として一定の収益力を維持していることを示しています。

ただし、ROEは負債の活用によって高くなる場合もあるため、財務の安全性と合わせて評価することが重要です。

配当利回りは3.29%まで上昇

今回の株価下落で、長期投資家にとって特に注目されるのが配当利回りです。

動画によると、株価164円時点での配当利回りは3.29%となっています。

配当利回りとは、現在の株価に対して年間配当金が何%に相当するかを表したものです。

株価が下落しても年間配当金が変わらなければ、配当利回りは上昇します。

NTTのように安定した通信収入を持つ企業では、配当を目的として長期間保有する投資家も少なくありません。

そのため、株価急落によって配当利回りが高まったことは、新たな投資資金が流入するきっかけになる可能性があります。

もっとも、配当利回りが高いこと自体は、株価の下落が止まる理由にはなりません。

今後の利益やキャッシュフローの状況によっては、配当政策が変更される可能性もあります。

NTTの配当は安全なのか?配当性向42%を分析

利益の58%を配当以外に回せる計算

NTTの配当を評価するうえで重要なのが、配当性向です。

動画で紹介された配当性向は42%となっています。

配当性向とは、企業が稼いだ利益のうち、どれだけを株主への配当に回しているかを示す割合です。

配当性向が42%であれば、利益の42%を配当として支払い、残りの58%を設備投資や借入金返済、内部留保などに充てられる計算になります。

一般的に、配当性向が100%に近づくほど、利益の大部分を配当に使っていることになります。

そのため、42%という水準は、利益の減少に対して一定の余裕があると考えられます。

ただし、これは利益を基準とした指標です。実際に配当を支払うためには現金が必要であり、設備投資や借入金返済による資金流出にも注意しなければなりません。

減益でも直ちに減配とは限らない

今回、NTTの中間期最終利益は16%減少しました。

しかし、利益が減ったからといって、必ずしも配当が減額されるわけではありません。

企業は年間の利益見通しや財務状況、中長期的な株主還元方針などを総合的に判断して配当を決定します。

NTTはこれまでも株主還元を重視してきた企業であり、動画では現在の配当水準を維持する余地があると評価されています。

一方、利益減少が長期化した場合には状況が変わる可能性があります。

長期投資家にとって重要なのは、現在の配当利回りだけではなく、その配当を将来にわたって維持できる収益力があるかどうかです。

NTTの有利子負債15兆7,100億円は危険なのか

巨額の負債を抱える通信インフラ事業

動画では、NTTの有利子負債が約15兆7,100億円に達していると紹介されています。

有利子負債とは、銀行借入金や社債など、利息を支払う必要がある負債のことです。

15兆円を超える負債は非常に大きな金額ですが、企業の財務リスクは負債の絶対額だけでは判断できません。

NTTは日本全国に通信網を構築し、膨大な設備を保有しています。

こうした通信インフラの整備には巨額の資金が必要となるため、借入金を活用して設備投資を行うことは、事業の特性上珍しくありません。

安定収入が財務を支える一方、金利上昇には注意

NTTの強みは、毎月継続的に通信料金収入を得られることです。

携帯電話やインターネット接続サービスなどは、景気が悪化しても利用が急激に減少しにくいという特徴があります。

こうした継続収入は、借入金の返済や利払いを支える重要な基盤となります。

ただし、安定収入があるからといって、巨額の負債を無条件に安全と判断できるわけではありません。

今後、日本銀行の利上げによって借入金の金利負担が増加すれば、利益やキャッシュフローを圧迫する可能性があります。

特に、借入金の借り換えが必要になる時期や、固定金利と変動金利の割合などが重要になります。

NTTの財務状況を評価する際には、有利子負債の残高だけでなく、営業キャッシュフローや設備投資額、利払い負担の推移まで確認する必要があります。

NTT株が今後も下落する可能性がある3つのリスク

ここまでの財務分析では、NTTには一定の収益力と配当を維持する余地があることが確認できました。

しかし、企業の財務が安定していることと、株価が上昇することは別問題です。

今後のNTT株を考えるうえでは、3つのリスクに注意する必要があります。

1. 国内通信市場の成熟と成長鈍化

最初のリスクは、日本国内の通信市場がすでに成熟していることです。

NTTドコモをはじめとする大手通信会社は、すでに多くの利用者を獲得しています。

日本の人口が減少するなかで、携帯電話の契約者数を今後も大幅に増やし続けることは簡単ではありません。

さらに、通信料金をめぐる競争も厳しい状況が続いています。

過去には政府から携帯電話料金の引き下げを求める動きがあり、通信会社の収益構造に大きな影響を与えました。

現在も格安通信サービスとの競争が続いており、通信料金を自由に引き上げられる環境ではありません。

その一方で、通信会社には5Gなどの次世代通信設備の整備や、既存設備の維持・更新に多額の投資が必要です。

NTTのような巨大企業であっても、売上の成長が鈍化する一方で設備投資負担が増えれば、利益率が低下する可能性があります。

そのため、今後は通信契約者数の増加だけでなく、法人向けサービスやデータセンター、AI関連事業などで新たな利益を生み出せるかが重要になります。

2. 個人投資家の売りと株式需給の悪化

2つ目のリスクは、株式市場における需給バランスです。

NTTの発行済み株式数は約905億株と、非常に大きな規模になっています。

ただし、発行済み株式数が多いこと自体が、株価の上昇を妨げるわけではありません。

重要なのは、現在の株価水準で売りたい投資家と買いたい投資家のどちらが多いかという点です。

NTTは2023年に1株を25株に分割する大型の株式分割を実施しました。

これにより、個人投資家が比較的少ない資金でNTT株を購入できるようになりました。

新NISAを利用してNTT株を保有する個人投資家も多く、長期保有を目的とした銘柄として注目されてきました。

しかし、今回のような急落が発生すると、株式分割後に購入した投資家の一部が含み損を抱えることになります。

こうした投資家の存在は、今後の株価回復に影響する可能性があります。

「やれやれ売り」が株価の上値を抑える可能性

株価が急落した後によく見られる現象が「やれやれ売り」です。

やれやれ売りとは、含み損を抱えていた投資家が、株価の回復によって損益分岐点付近まで戻った段階で売却することを指します。

例えば、NTT株を180円で購入した投資家がいるとします。

その後、株価が164円まで下落すると、1株当たり16円の含み損が発生します。

しかし、時間が経過して株価が180円付近まで戻れば、投資家は損失を解消するために売却を考えるかもしれません。

こうした売り注文が特定の価格帯に集中すると、株価が反発しても上昇が続かなくなる場合があります。

特に、過去に多くの売買が成立した価格帯では、戻り売りが発生しやすいと考えられます。

もっとも、すべての投資家が購入価格まで戻った段階で売却するわけではありません。

配当を目的として長期保有を続ける投資家もいるため、実際の需給状況は信用買い残高や出来高、価格帯別売買高などを確認して判断する必要があります。

3. 日銀の利上げによる高配当株の魅力低下

3つ目のリスクは、日本銀行の金融政策です。

一般的に、金利が上昇すると高配当株には逆風となる場合があります。

その理由は、国債などの比較的安全性が高い金融商品との利回り比較が変わるためです。

例えば、国債の利回りが1%のときに配当利回り3.29%の株式があれば、株式を保有することで得られる利回りの上乗せは比較的大きくなります。

しかし、国債利回りが上昇すると、その差は縮小します。

株式には価格変動リスクがあり、配当も必ず支払われるとは限りません。

そのため、安全性の高い債券の利回りが上昇すれば、高配当株から債券へ資金を移す投資家が増える可能性があります。

さらに、金利上昇はNTTの借入金の調達コストにも影響します。

巨額の有利子負債を抱えるNTTにとって、金融環境の変化は無視できない要因です。

NTTの株価急落は買い場なのか、それとも落ちるナイフなのか

株価が大きく下落すると、投資家の間では「今が買い場ではないか」という期待が高まります。

特にNTTのような知名度の高い大型株では、急落によって割安感が強まることがあります。

一方、株式市場には「落ちるナイフはつかむな」という格言もあります。

これは、株価が急落している最中に慌てて購入すると、その後も下落が続いて大きな損失を抱える可能性があるという意味です。

今回のNTT株についても、株価が6.02%下落したという理由だけで、底値をつけたと判断することはできません。

中間決算の減益や市場予想の未達が、今後の株価にどの程度織り込まれたかを見極める必要があります。

ただし、NTTには今後の成長につながる可能性を持つ事業も存在します。

その代表例が、次世代通信技術「IOWN」です。

NTTの次世代技術「IOWN」とは?AI時代の成長エンジンに期待

IOWNは通信の仕組みを変える次世代技術

NTTの長期的な成長を考えるうえで、特に重要なのがIOWN(Innovative Optical and Wireless Network)構想です。

IOWNは、光技術を中心とした新しい通信・情報処理基盤を実現するための構想です。

従来の通信技術は、情報を電気信号として処理する部分が多く、通信量が増加すると消費電力や発熱などが課題になります。

これに対してIOWNでは、光を利用する範囲を拡大することで、通信の高速化や大容量化、低遅延化、消費電力の削減を目指しています。

NTTが掲げる主要な目標には、光技術を適用する部分の電力効率100倍、伝送容量125倍、遅延200分の1などがあります。

ただし、これらは技術の適用範囲や比較条件を定めた目標値であり、すべての通信設備やデータセンターの電力消費が一律に100分の1になることを意味するものではありません。IOWN+1

AIの普及によってデータセンターの電力需要が増大

IOWNが注目される大きな理由は、AI技術の急速な普及です。

ChatGPTをはじめとする生成AIの普及によって、世界中でデータセンターの建設や設備増強が進んでいます。

AIは大量のデータを処理するため、高性能な半導体やサーバーを必要とします。

こうした設備を動かすためには多くの電力が必要となり、発熱した機器を冷却するためにも電力を消費します。

さらに、AIの利用が拡大すれば、データセンター間でやり取りされる情報量も増加します。

そのため、今後は単に処理能力を高めるだけでなく、電力効率を改善する技術の重要性が高まると考えられます。

ここで期待されているのが、NTTのIOWN構想です。

光電融合技術で消費電力を削減

IOWNの中核技術の1つが「光電融合」です。

光電融合とは、電気を使った情報処理技術と光を使った通信技術を組み合わせる仕組みです。

従来の電子回路では、データを伝送する際に電気信号が使われていました。

光電融合技術では、この伝送部分を光に置き換えることで、電力消費や発熱の削減を目指します。

NTTは、光電融合技術を利用した機器で、従来比8分の1の消費電力を実現した事例も公表しています。NTT

こうした技術が将来的にデータセンターやAIサーバーへ広く導入されれば、NTTにとって新たな収益源となる可能性があります。

ただし、技術的な成果がそのまま企業の利益増加につながるとは限りません。

実際に収益を生み出すためには、製品の量産化や商用化、顧客企業への導入、採算性の確保などを進める必要があります。

2027年度までの全国展開と2030年代の長期構想

IOWNは、将来の研究開発だけを目的とした構想ではありません。

すでに一部のサービスは商用化されており、NTTは今後も適用範囲を拡大する方針です。

NTTの計画では、IOWNの主要技術であるAPN(オールフォトニクス・ネットワーク)を2026年度に主要都市間へ展開し、2027年度までに全国の県庁所在地へ拡大することを目指しています。

さらに、2030年代に向けて光電融合技術の高度化を進め、ネットワークだけでなくコンピューター内部にも光技術を導入する計画です。NTT+1

この構想が実現すれば、NTTは従来の通信事業者という枠を超えて、世界のAIインフラを支える企業へと事業領域を拡大できる可能性があります。

NTTは通信会社からAIインフラ企業へ変わるのか

従来の通信収入に依存しない成長モデル

これまでのNTTは、主に携帯電話や固定通信などの通信サービスを中心に収益を上げてきました。

しかし、国内通信市場が成熟するなかで、今後の成長を従来の通信料金収入だけに頼ることは難しくなっています。

そのため、NTTはAIやデータセンター、法人向けITサービスなどの領域を強化しています。

特にIOWNは、通信インフラとAIの処理基盤を結びつける技術として期待されています。

NTTはAI時代に対応した次世代インフラ「AIOWN」への転換も進めており、国内データセンターのIT電力容量を2033年度に現在の約3倍超となる約1GWへ拡大する計画を示しています。NTT

今後、AI関連のインフラ需要が拡大すれば、NTTの事業構造そのものが変化する可能性があります。

先行投資が短期的な利益を圧迫する可能性

もっとも、こうした成長戦略には課題もあります。

新しい技術を実用化するためには、研究開発や設備投資に多額の資金が必要となります。

データセンターの増設や新しいネットワークの構築を進めれば、短期的には費用負担が増加します。

その結果、売上が増えていても利益が伸びにくい状況が生じる可能性があります。

今回の中間決算でも、売上が増加した一方で利益が減少しました。

ただし、この減益のすべてがIOWNへの投資によって発生したわけではありません。事業ごとの収益状況や費用構造を分けて確認する必要があります。

重要なのは、現在の投資が将来的にどれだけの利益を生み出すかという点です。

IOWNが技術的に優れていても、十分な需要を獲得できなければ大きな利益にはつながりません。

反対に、世界的なAIインフラ需要を取り込むことができれば、現在の投資が将来の成長を支える可能性があります。

つまり、NTTの長期的な企業価値を判断するうえでは、既存の通信事業の安定性と、新規事業の成長性を分けて評価することが重要になります。

NTT株の今後の見通しは?短期投資と長期投資で判断が分かれる

短期投資では株価の回復を慎重に見極めたい

数週間から数か月程度の短期投資を考えている場合、今回のNTT株には慎重な対応が求められます。

その理由は、決算発表をきっかけに株価の下落圧力が強まっているためです。

株価が急落すると、短期的な値動きの勢いを表すモメンタムが悪化し、その後も売りが続くことがあります。

さらに、含み損を抱えた投資家による戻り売りが発生すれば、株価が反発しても上昇が限定的になる可能性があります。

こうした状況では、決算発表直後に買い向かうよりも、株価が一定の価格帯で安定するかを確認する方法が考えられます。

株式市場では、急落した銘柄が横ばいの値動きを続けることを「日柄調整」と呼ぶ場合があります。

売りたい投資家の売却が進み、新たな買い手が増えることで、徐々に需給バランスが改善する可能性があります。

ただし、日柄調整が必ず発生するわけではなく、株価が短期間で反発する場合も、さらに下落する場合もあります。

短期投資家にとっては、株価の反発そのものよりも、反発後に買いが継続するかが重要になるでしょう。

長期投資では配当とIOWNの成長性が焦点

一方、数年から10年以上の長期投資を考えている場合、今回の株価急落は異なる意味を持ちます。

NTTには国内通信事業から得られる安定的な収入があり、株価164円時点の配当利回りは動画によると3.29%となっています。

仮に年間配当金が維持されれば、株価が低い水準で購入するほど、投資額に対する配当利回りは高くなります。

また、NTTが将来的にIOWNやAIインフラ関連事業で成長できれば、配当収入に加えて株価上昇による利益も期待できます。

ただし、これはあくまで長期的な成長シナリオです。

IOWNの商用化が期待どおりに進まない場合や、競争激化によって既存事業の収益力が低下した場合には、長期保有でも十分なリターンを得られない可能性があります。

したがって、単に配当利回りが高くなったという理由だけで購入するのではなく、今後の業績や投資計画を継続的に確認することが重要です。

NTT株を購入する前に確認したいポイント

今回の急落を受けてNTT株への投資を検討する場合、特に注目したいのが利益の回復状況です。

中間期の最終利益は前年同期比16%減少しましたが、通期の最終利益予想は上方修正されています。

今後は、下期にどの程度利益が回復するかが大きな焦点になります。

会社側の通期予想から中間期の実績を差し引くと、下期には約4,938億円の最終利益を見込む計算です。

これは前年同期を上回る水準となるため、下期に利益が回復するという会社側の見通しが実現するかが注目されます。株探

また、配当を重視する投資家にとっては、利益だけでなく営業キャッシュフローと設備投資額のバランスも重要です。

特にIOWNやデータセンター事業への投資が拡大すれば、将来の成長期待が高まる一方で、短期的な現金支出も増加します。

さらに、日本銀行の金融政策や国債利回りの変化にも注意が必要です。

NTTは安定配当を期待する投資家が多い銘柄であるため、金利環境が変化すると株式市場での評価にも影響する可能性があります。

そして、最も重要なのがIOWNの事業化の進展です。

新技術の導入が広がり、実際に売上や営業利益の増加につながるようになれば、NTTの成長性に対する市場の評価が変化する可能性があります。

反対に、技術開発が順調でも収益化が進まなければ、株価への影響は限定的になるかもしれません。

まとめ:NTT株の6%急落は危機なのか、それとも長期投資の好機なのか

2026年11月4日に発生したNTT株の急落は、9月中間期の最終利益が前年同期比16%減少し、市場予想を下回ったことが大きなきっかけとなりました。

株価は164円まで下落し、前営業日から6.02%安となりました。

しかし、今回の決算を詳しく確認すると、NTTの経営状況を単純に悲観することはできません。

営業収益は前年同期比8.7%増加しており、通期業績予想についても上方修正されています。

また、動画で示されたPER13.62倍、PBR1.35倍、配当利回り3.29%、配当性向42%という指標は、長期投資家にとって検討材料となる水準です。

一方で、国内通信市場の成熟、巨額の設備投資、金利上昇、株式需給の悪化など、今後の株価を押し下げる可能性がある要因も存在します。

短期的には、決算ショックによって悪化した投資家心理がどの程度回復するかが重要になります。

しかし、長期的には全く異なる視点が必要です。

NTTは現在、IOWNを中心とする次世代通信技術の開発を進めており、AI時代を支えるインフラ企業への転換を目指しています。

この戦略が成功すれば、従来の通信料金収入に依存する企業から、世界的なAIインフラ市場でも存在感を発揮する企業へと成長する可能性があります。

もちろん、こうした将来性が必ず株価上昇につながるわけではありません。

今回のNTT株急落で重要なのは、株価が6%下がったという事実だけでなく、その下落が将来の利益や企業価値に対して妥当な評価なのかを見極めることです。

短期的な決算悪化を重視するのか、それとも安定配当と次世代技術の成長性を評価するのかによって、投資判断は大きく変わります。

NTT株の今後を考えるうえでは、下期の業績回復、配当の持続可能性、そしてIOWNの収益化という3つのポイントを継続して確認していくことが重要でしょう。

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