ソフトバンクグループ1兆円社債は買いなのか?利回り4%台の魅力と格付け・デフォルトリスクを徹底解説

本記事は、YouTube動画『ソフトバンクグループが1兆円の個人向け社債を発行』の内容を基に構成しています。

ソフトバンクグループが、新たに大規模な個人向け社債を発行することが話題となっています。

動画で取り上げられているのは、発行額が1兆円規模、期間7年、想定利率が年4.3~4.9%程度という社債です。前年12月にも5000億円規模の個人向け社債が年3.98%、期間7年で発行されており、非常に人気が高かったことから、今回は発行額がさらに拡大しています。

年4%台という数字だけを見ると、日本の金利環境ではかなり魅力的に映ります。しかし、社債の利回りが高いのには当然理由があります。

今回の動画では、ソフトバンクグループの社債について単純に「利回りが高くてお得」と考えるのではなく、日本国債との金利差、格付け、AI投資による財務リスク、株式と債券の違い、さらにデフォルトが起きた場合に何が起こるのかまで詳しく解説しています。

目次

ソフトバンクグループが1兆円規模の個人向け社債を発行

今回のソフトバンクグループの個人向け社債は、前年12月に発行した社債の「兄弟」のような商品として紹介されています。

前年12月の社債は、発行額5000億円、期間7年、利率3.98%でした。動画出演者も2000万円分を購入していると明かしています。

ところが今回は発行規模が5000億円から1兆円へと倍増し、想定される利率も4.3~4.9%程度まで上昇しています。

社債の利率は、投資家から十分な需要が集まるかどうかによって最終的に決定されます。低い利率でも買いたい投資家が多ければ利率は低く抑えられますが、需要が弱ければ、企業側はより高い利率を提示しなければ資金を集めにくくなります。

つまり、高金利は投資家にとって魅力である一方、企業から見ると、それだけ高いコストを支払って資金を調達していることになります。

なぜ日本国債より金利が高いのか

今回の社債を見るうえで最も重要なのが、日本国債との金利差です。

動画では、日本の10年国債利回りを約2.9%として比較しています。それに対してソフトバンクグループの社債が4.3~4.9%程度であれば、およそ1.5~2%の金利差があります。

単純に考えると、「どうせ債券を買うなら、国債より利回りの高いソフトバンクグループの社債を買った方が得なのではないか」と思うかもしれません。

しかし、この1.5~2%の差こそが重要です。

金利差は「リスクプレミアム」

この金利差は「リスクプレミアム」と呼ばれます。

日本国債の場合、日本政府が債務不履行に陥る可能性は一般的には極めて低いと考えられています。

一方、ソフトバンクグループは民間企業です。

OpenAIやArmなどAI関連分野への巨額投資が将来大きな利益を生む可能性がある一方で、投資先の価値が急落したり、AI市場そのものが失速したりすれば、ソフトバンクグループの財務状況が悪化する可能性があります。

そのリスクを引き受けてもらうために、国債より高い金利を支払う必要があるというわけです。

動画では、「社債を買うことは企業にお金を貸すことと同じ」と説明しています。つまり、投資家が受け取る追加の金利は、企業の信用リスクを引き受ける対価なのです。

社債投資で重要になる「格付け」とは

債券の世界では、発行企業がお金を返せる可能性を評価する「格付け」が非常に重要です。

格付け会社は企業の財務状況などを分析し、AAA、AA、A、BBB、BB、Bなどのような記号で信用力を評価します。

動画では、学校の通知表のようなものだと説明されています。

一般的にはBBB以上が「投資適格」、BB以下は「投機的格付け」と呼ばれます。

動画によると、S&Pによるソフトバンクグループの格付けはBBであり、債券市場では投資適格未満の位置付けです。また、OpenAIへの巨額投資などによる投資資産の流動性低下や財務力低下を背景として、見通しが「安定的」から「ネガティブ」に変更されたと説明されています。

一方、動画後半では、日本の格付け会社JCRではA格が付いているとも説明されています。

つまり、格付け会社によって評価に違いが存在する点も押さえておく必要があります。

なぜ債券投資家はデフォルトを極端に嫌うのか

株式投資と債券投資では、リスクに対する考え方が大きく異なります。

株式の場合、企業が大きく成長すれば株価が2倍、3倍、あるいはそれ以上になる可能性があります。

一方、通常の社債では、企業がどれほど成長しても、基本的に受け取れるのは決められた利息と元本です。

つまり、利益の上限はほぼ決まっています。

ところが企業が破綻すれば、元本が大きく毀損する可能性があります。

例えば10本の社債へ分散投資していたとしても、そのうち1社が大きなデフォルトを起こせば、残り9本の利息だけで損失を取り戻すことは簡単ではありません。

このため、年金や保険会社など債券を中心に運用する機関投資家は、企業が債務を返済できなくなる「デフォルト」を特に警戒します。

格付けが下がっても株価が上がることはある

興味深いのは、債券市場で警戒感が高まっているからといって、必ずしも株価が下落するとは限らないことです。

ソフトバンクグループがAIへ大規模投資を続けた場合、債券投資家は「借金が増えて返済リスクが高まった」と考えるかもしれません。

しかし株式投資家は、「AI投資が成功すれば莫大な利益になる」と期待する可能性があります。

つまり、同じ企業を見ていても、

債券投資家は「最悪の場合に元本が返ってくるか」

株式投資家は「成功した場合にどこまで企業価値が伸びるか」

を重視しています。

そのため、信用リスクが上昇する一方で株価も上昇するという状況は十分にあり得ます。動画では、企業の将来を巡って強気派と弱気派の見方が大きく分かれている状態と説明しています。

社債がデフォルトすると株主はどうなるのか

企業が社債の元本や利息を返せない状態になることを「デフォルト」といいます。

動画では、社債が本格的にデフォルトするような局面では、株式の価値は理論的に極めて厳しい状態になっていると説明しています。

企業には株主より先に債権者へ返済する義務があるからです。

仮に企業が保有する資産を売却しても借金の返済だけで資産を使い切ってしまえば、株主に残る価値はありません。

これは株式会社の資本構造を理解するうえで重要なポイントです。

普通社債・劣後債・株式には返済順位の違いがある

動画では、この関係をタイタニック号の乗客に例えています。

会社が危機に陥った場合、通常の社債を持つ投資家は比較的返済順位が高く、劣後債はその下、株主はさらに下に位置します。

その代わり、企業が大成功した場合のメリットは株主が最も大きくなります。

普通社債の場合、会社がどれほど成功しても受け取れる利息はあらかじめ決まっています。

株主は会社が成長すれば株価上昇によって大きなリターンを得られる可能性がありますが、会社が破綻すれば最も先に価値が失われる立場でもあります。

新しい社債が出ると既存社債の価格が下がる可能性

今回の社債発行は、すでにソフトバンクグループの社債を保有している投資家にも影響します。

前年12月に発行された社債の利率は3.98%でした。

これに対して新しい社債が仮に4.5%程度で発行されれば、同じ企業の社債なのに新しい方が約0.5%高い利息を受け取れることになります。

その場合、3.98%しか受け取れない既存社債を額面100円で買いたい投資家は減る可能性があります。

そこで既存社債の価格が97円などへ下落すれば、満期時に100円へ戻る値上がり益を含めることで、新しい社債との利回り差が調整されます。

これが債券価格と金利の基本的な関係です。

金利が上がれば既存債券価格は下がり、金利が下がれば既存債券価格は上がりやすくなります。動画でも、新発債の金利が高くなることで既存の3.98%社債の市場価格が低下する可能性が指摘されています。

ただし、発行企業が無事に満期を迎えれば、通常は額面で償還されます。

そのため途中の価格変動を気にせず満期まで保有する投資家と、途中売却する可能性がある投資家では、この価格変動の意味が大きく異なります。

利回り4~5%は本当に魅力的なのか

動画では、この社債について「悪い商品ではないものの、利回り4~5%という水準がリスクに対して十分なのか」という疑問も示されています。

格付けだけを見れば投機的格付けに位置する一方で、利回りは4%台です。

企業の信用力が大きく悪化した場合、社債利回りが2桁になるケースもあります。

動画では過去の楽天の資金調達が例として挙げられ、10%前後の利回りであれば高いリスクを取る対価として理解しやすいものの、4~5%ではリスクとのバランスが微妙ではないかという見方が紹介されています。

もちろん、利回りが高ければ良いというわけでもありません。

社債利回りが異常に高い場合、それ自体が市場から「元本が返ってこないかもしれない」と警戒されているサインでもあるからです。

インフレを考えると4%台の見え方も変わる

もう1つ重要なのがインフレです。

例えば年間インフレ率が3%続くと仮定した場合、年4.5%の社債で得られる実質的な利回りは単純計算では約1.5%です。

一方、3%未満の利回りしか得られない債券では、名目上は資産が増えていても、物価上昇を考えれば購買力がほとんど増えない可能性があります。

動画では、この意味で日本国債の約2.9%という利回りは、インフレ率が3%前後続くのであれば実質的にはほぼゼロに近いという考え方が示されています。

したがって、今回のソフトバンクグループ社債を評価する際には、「4.5%も利息がもらえる」と考えるだけではなく、

「インフレを差し引いた実質利回りはいくらなのか」

という視点も必要になります。

社債を証券担保ローンに利用する方法

動画では、さらに踏み込んだ社債の活用方法として「証券担保ローン」が紹介されています。

例えば現金2000万円で社債を購入し、その社債を証券会社へ担保として差し入れます。

その担保をもとに資金を借り、さらに株式やREITなどへ投資するという方法です。

動画では、株式より社債、社債より国債の方が一般的に担保として評価されやすく、証券会社によっては社債で80%程度、国債ではさらに高い掛け目になる可能性があると説明されています。ただし、実際の掛け目や対象銘柄は金融機関によって異なります。

一見すると資産を有効活用できる魅力的な方法ですが、ここには大きなリスクがあります。

担保の社債が暴落すると損失が拡大する

仮に2000万円の社債を担保に1600万円を借りたとします。

もし発行企業が破綻し、2000万円の社債価値が大幅に毀損しても、1600万円の借金まで消えるわけではありません。

つまり、

2000万円の資産価値が失われる

一方で、

1600万円の借金は残る

という状態になる可能性があります。

動画では、これこそがレバレッジを利用する際に理解しておかなければならないリスクだと強調しています。

証券担保ローンは資本効率を高める手段ではありますが、「社債だから安全」という前提で過度にレバレッジをかけることは非常に危険です。

なぜソフトバンクグループは社債で巨額資金を集めるのか

動画では、今回の資金調達をソフトバンクグループのAI投資戦略と結び付けて説明しています。

ソフトバンクグループはOpenAIをはじめ、AI、半導体、データセンターなど巨大な資金を必要とする分野への投資を進めています。

ここで株式を新たに発行して資金を調達すると、既存株主の持ち分が薄まる「希薄化」が起きます。

特に孫正義氏にとっては、自身の持株比率が低下することにもつながります。

そのため、株式発行ではなく社債で資金を集めることには、既存株主の持ち分を薄めずに投資資金を確保できるというメリットがあります。

AI投資が成功すれば利益の大部分は株主に残る

例えば1兆円を年4%台で調達し、その1兆円をAI関連投資へ投入したとします。

社債投資家が受け取れるリターンは、基本的には約束された利息までです。

ところが1兆円の投資先が将来3兆円、5兆円へ成長したとしても、社債投資家へ追加の利益を支払う必要はありません。

利息と元本を返済した後の利益は、基本的には株主に帰属します。

つまり、AI投資が大成功するという前提で考えれば、低い固定金利で大量の資金を調達できることは株主にとって非常に有利です。動画でも、今回の社債発行は必ずしもソフトバンクグループ株主にとって悪いニュースではないと説明されています。

逆にAI投資が失敗した場合には、投資先の価値が下がっても社債の利息と元本は返済しなければなりません。

ここにソフトバンクグループの戦略の大きなレバレッジがあります。

株主も社債の利回りをチェックした方がよい

動画で特に重要な指摘の1つが、「ソフトバンクグループ株を持っている人も、社債市場を見た方がよい」という点です。

社債と国債の利回り差、つまり信用スプレッドが拡大しているのであれば、それは債券市場の投資家がソフトバンクグループの信用リスクを以前より高く見積もっている可能性があります。

株価だけを見ていると企業に対する強気な期待ばかりが目につく場合がありますが、社債市場では「この企業は本当に借金を返せるのか」という全く違う視点から評価されています。

そのため、株式投資家にとっても社債利回りや信用スプレッドは重要な情報になります。

ただし、信用スプレッドが拡大したからといって、ただちに株を売るべきという意味ではありません。

企業の将来について強気派と弱気派の意見が大きく割れているからこそ、株価の上昇余地と下落リスクの両方が大きくなっている可能性があります。

特にAIのように将来性への評価が大きく分かれる分野へ巨額投資する企業では、この傾向が強くなります。

個人向け社債でもデフォルトした事例はある

「大企業の社債なら元本割れすることはない」と考える人もいるかもしれません。

しかし、過去には上場企業の社債がデフォルトした事例もあります。

動画では、日本航空、武富士、エルピーダメモリ、マイカルなどが例として挙げられています。

特にマイカルは2001年に個人向け社債でデフォルトが発生したケースとして紹介されています。

動画によると、マイカルの個人向け社債では約3万8000人の債権者がおり、個人投資家への弁済率は約30%だったとされています。

重要なのは、発行時点では安全だと評価されていた企業でも、その後の業績悪化によって信用力が大きく低下する可能性があるということです。

動画でも、マイカルは発行時には投資適格だったものの、その後財務状況が悪化した例として紹介されています。

社債は定期預金ではありません。

元本保証の商品ではなく、発行企業の信用リスクを引き受ける投資商品だという点を忘れてはいけません。

ソフトバンクグループほど巨大な企業は簡単に破綻できるのか

一方で、ソフトバンクグループほど巨大な企業がデフォルトすれば、日本の金融市場全体に大きな影響が及ぶ可能性があります。

動画では「Too Big To Fail(大きすぎて潰せない)」という考え方にも触れています。

リーマン・ショックでも、金融システム全体への連鎖を防ぐため、政府や中央銀行がさまざまな金融機関への支援を行いました。

ソフトバンクグループほど巨大な企業で信用不安が深刻化すれば、金融機関や取引先にも影響が波及する可能性があります。

ただし、「巨大企業だから必ず救済される」と考えることも危険です。

救済の有無や方法は、その時の経済状況や政策判断によって変わるためです。

動画でも、救済の可能性は議論しつつ、それを前提に投資判断することはできないという慎重な見方になっています。

まとめ

ソフトバンクグループが発行する1兆円規模の個人向け社債は、年4%台という高い利回りが最大の魅力です。

しかし、その金利は単なる「お得な利息」ではありません。

日本国債より1.5~2%程度高い利回りには、ソフトバンクグループの信用リスクを投資家が引き受ける対価である「リスクプレミアム」が含まれています。

特にソフトバンクグループは、OpenAIをはじめとするAI関連投資を急速に拡大しています。

投資が成功すれば、借入コストを大幅に上回る利益を生み出し、その恩恵の多くは株主に帰属します。一方で、AI投資が失敗して企業価値が大きく低下しても、社債の元本と利息を返済する義務は残ります。

だからこそ、今回の社債を見る際には「4.5%も利息がもらえる」と考えるだけでは不十分です。

日本国債との金利差、S&PやJCRなどの格付け、ソフトバンクグループの財務状況、AI投資の規模、インフレ率、そして満期まで資金を固定できるかまで総合的に考える必要があります。

また、ソフトバンクグループ株を保有している投資家にとっても、社債市場は無関係ではありません。

国債との信用スプレッドが拡大しているのか、それとも縮小しているのかを見ることで、株式市場とは別の角度から「プロの債券投資家がソフトバンクグループの信用力をどう評価しているのか」を知ることができます。

高利回りには必ず理由があります。

今回のソフトバンクグループ社債は、「利回りだけを見て買う」のではなく、「なぜこの金利を払わなければ1兆円を集められないのか」という視点から考えることが、投資判断で最も重要なポイントだと言えそうです。

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