本記事は、YouTube動画『地銀時代再来!最新優良地銀ランキングを専業投資家が公開!』の内容を基に構成しています。
地銀株に再び注目が集まる理由
銀行株、とくに地方銀行株への注目度が再び高まっています。動画では、専業投資家の視点から、最近の銀行株高を受けて「今あらためて地銀をどう見るべきか」が解説されています。
ここ数年、日本の金融市場では大きな変化が起きています。長く続いた超低金利の時代から、金利が上がる局面へと移りつつあり、銀行の収益環境も変わり始めています。銀行は預金を集め、その資金を貸出や有価証券運用に回すことで収益を得るため、金利上昇は基本的に追い風になりやすいと考えられます。
一方で、すべての銀行が同じように恩恵を受けるわけではありません。預金をしっかり集められる銀行、法人との取引基盤が強い銀行、有価証券の含み益を持っている銀行、将来的な再編期待がある銀行など、地銀の中でも強弱が分かれています。
今回の動画では、主に次の2つのランキングが紹介されました。
・預金残高の伸び率ランキング
・有価証券の評価損益ランキング
この2つを見ることで、地銀の体力や今後の成長余地を考えるヒントが得られます。
預金残高の伸び率から見る優良地銀
動画の前半では、2026年3月期と前期を比較した預金残高の伸び率ランキングが紹介されました。全体として、地銀の預金残高は前期比で1.8%伸びていたとされています。
ただし、解説では「伸びは鈍化してきている」と指摘されています。背景には、インフレや投資意識の高まりがあります。現金を銀行に置いておくだけでは価値が目減りするという考え方が広がり、投資信託や株式などに資金を移す人が増えているためです。
かつては、預金口座に多くのお金を置いておくことが安心感につながっていました。しかし現在は、生活防衛資金を確保したうえで、それ以上のお金は積立投資に回すという考え方も一般的になっています。そのため、銀行にとっては預金を集めることが以前より難しくなっています。
預金残高伸び率ランキング
動画で紹介された預金残高の伸び率ランキングは、次のような内容でした。
・第10位 百十四銀行 3.5%
・第9位 鳥取銀行 3.7%
・第8位 千葉興業銀行 3.7%
・第7位 南日本銀行 4.0%
・第6位 静岡フィナンシャルグループ 4.1%
・第5位 西日本フィナンシャルホールディングス 4.2%
・第4位 琉球銀行 4.3%
・第3位 紀陽銀行 4.4%
・第2位 山梨中央銀行 4.8%
・第1位 名古屋銀行 8.8%
全体平均が1.8%であることを考えると、3%台後半から4%台の伸びを見せている銀行は、相対的にかなり健闘しているといえます。
特に目立つのが第1位の名古屋銀行です。伸び率は8.8%と、他行と比べても突出しています。動画では、この背景として法人預金の伸びが大きかった可能性が指摘されています。
個人預金は、どの銀行も伸び悩みやすい状況にあります。一方で、優良企業との取引が強い銀行は、法人資金の流入によって預金を伸ばせる可能性があります。名古屋銀行のように、地域の有力企業としっかり取引できている銀行は、今後の地銀選びでも重要な存在になると考えられます。
インフレ時代に高まる「預金」の価値
一見すると、インフレの時代には預金の魅力が下がるように見えます。実際、個人にとっては、低金利の普通預金にお金を置いておくだけでは資産価値が目減りするリスクがあります。
しかし、銀行側から見ると話は変わります。金利が上がる局面では、集めた預金を貸出や債券運用に回すことで、以前よりも収益を得やすくなるからです。
動画では、日本の10年債利回りにも触れながら、今はかつてのような0%台や1%台前半の金利環境とは違うと説明されています。金利が上がれば、銀行にとって預金はより重要な資金源になります。
つまり、銀行にとっては「預金が欲しい」時代になっているということです。
以前であれば、預金を集めても貸出先が少ない、運用先が限られるという問題がありました。しかし現在は、金利上昇によって運用収益の改善が期待できるため、預金を多く集められる銀行ほど有利になりやすい環境です。
その一方で、預金を集める競争は激しくなっています。メガバンク、ネット銀行、証券会社、投資信託、保険商品など、個人や法人のお金を取り合う存在は増えています。地銀にとっては、地域の顧客との関係性をどれだけ維持できるかが大きな課題になります。
地銀再編は今後さらに進む可能性
動画では、地銀の将来について「統合は今後も進んでいくのではないか」と語られています。
その理由の1つが、システム投資やアプリ開発などにかかるコストです。現在の銀行業務では、店舗や対面営業だけでなく、スマートフォンアプリ、オンラインバンキング、使いやすいUI、セキュリティ対応などが重要になっています。
しかし、規模の小さい地銀が単独でこうした投資を続けるのは簡単ではありません。動画では、預金残高として最低でも10兆円、できれば20兆円程度の規模が欲しいという見方が示されています。
地銀は地域経済を支える存在ですが、人口減少や預金伸び悩み、デジタル投資負担の増加を考えると、単独で成長し続けるのは難しくなっています。そのため、今後も地銀同士の統合や再編が増えていく可能性があります。
投資家目線では、こうした再編期待がある地銀も注目対象になり得ます。統合によって経費率が下がり、収益性が改善する可能性があるためです。
有価証券の評価損益ランキング
動画の後半では、地銀が保有する有価証券の評価損益ランキングも紹介されました。
銀行は貸出だけでなく、株式や債券などの有価証券にも投資しています。金利上昇局面では、保有している債券に含み損が発生しやすくなります。一方で、株式を多く保有している銀行では、株高によって含み益が拡大することもあります。
そのため、有価証券の評価損益を見ることで、その銀行の財務的な余力やリスク耐性をある程度確認できます。
有価証券評価損益ランキング
動画で紹介されたランキングは、次のような内容でした。
・第10位 千葉銀行 1250億円
・第9位 あいちフィナンシャルグループ 1385億円
・第8位 滋賀銀行 1456億円
・第7位 横浜フィナンシャルグループ 1712億円
・第6位 阿波銀行 1795億円
・第5位 七十七銀行 1920億円
・第4位 静岡フィナンシャルグループ 2650億円
・第3位 いよぎんホールディングス 2805億円
・第2位 八十二長野銀行 4745億円
・第1位 京都銀行 8070億円
特に目立つのは京都銀行です。動画内でも「いつも通り京都が強い」というニュアンスで語られており、保有株式などによる含み益の大きさがうかがえます。
また、製造業との関係が深い地域の銀行も強いとされています。近畿圏や岐阜、静岡、愛媛など、地域の有力製造業とつながりを持つ銀行は、保有株式の含み益や法人取引の面で恩恵を受けやすい可能性があります。
一方で、株式の含み益が少なく、債券の含み損が大きい銀行は注意が必要です。損出しを迫られる局面では、業績の下方修正や減益要因になる可能性もあります。
金利上昇は地銀にとって追い風になるのか
動画では、今後の地銀を考えるうえで金利上昇が重要なテーマになると説明されています。
銀行は金利が上がると、貸出金利や運用利回りの改善が期待できます。そのため、金利上昇局面では銀行株に資金が入りやすくなります。
特に日本では、長い間低金利が続いてきたため、銀行業界は収益を伸ばしにくい環境にありました。しかし、企業の値上げ姿勢が強まり、インフレ圧力が残る中で、日銀がさらに利上げを行う可能性も意識されています。
動画では、日銀が為替も見ている可能性があると語られています。円安が進めば輸入物価が上がり、インフレ圧力が強まります。その場合、金融政策として利上げを検討せざるを得ない場面が出てくる可能性があります。
金利が上がれば、銀行の業績は比較的読みやすくなります。AI関連株などの成長株が一服する局面では、銀行株のように金利上昇メリットを受けやすい銘柄に資金が移る可能性もあります。
地銀株の選び方で重要な視点
地銀株を見る際には、単に株価が安いか高いかだけで判断するのは危険です。動画の内容を踏まえると、次のような視点が重要になります。
まず、預金をしっかり集められているかどうかです。預金が伸びている銀行は、地域内での信頼や法人取引基盤が強い可能性があります。
次に、有価証券の含み益です。株式の含み益が大きい銀行は、財務的な余力を持ちやすく、株主還元や将来的な成長投資にもつながる可能性があります。
そして、再編期待も重要です。地銀同士の統合によって経費率が下がれば、収益性の改善が期待できます。アクティビストが入っている銀行や、再編の思惑がある銀行は、投資家から注目されやすい傾向があります。
ただし、地銀株にはリスクもあります。人口減少地域では貸出需要が伸びにくく、預金も増えにくい可能性があります。また、債券の含み損や、地域経済の停滞も業績に影響します。
そのため、地銀株に投資する場合は、金利上昇という大きな追い風だけでなく、個別銀行ごとの体力や地域性を見極める必要があります。
メガバンクやネット銀行との違い
動画では、地銀だけでなく、メガバンクやネット銀行についても触れられています。
ネット銀行については、成長性はあるものの、上場廃止や親会社の方針によって動きが変わりやすい面があると説明されています。たとえば、ネット銀行単体の魅力があっても、親会社の資本政策によって投資対象として扱いにくくなることがあります。
一方、海外投資家が日本のマクロ環境の変化を取りに行く場合、地銀よりもメガバンクを選びやすいという見方も示されています。海外投資家にとっては、流動性が高く、規模の大きいメガバンクの方が投資しやすいからです。
つまり、地銀は個別銘柄選びや再編期待を狙う投資家向け、メガバンクは日本の金利上昇や金融環境の変化を大きく取りに行く投資家向けといえます。
地銀時代は本当に再来するのか
今回の動画では、地銀株に対して前向きな見方が示されています。金利上昇、預金争奪戦、法人取引の重要性、有価証券の含み益、再編期待など、地銀を取り巻く環境には多くの注目材料があります。
ただし、地銀なら何でもよいというわけではありません。預金が伸びている銀行と伸びていない銀行、有価証券の含み益がある銀行と含み損に苦しむ銀行、再編期待がある銀行と単独成長が難しい銀行では、投資妙味が大きく異なります。
これからの地銀株投資では、「金利上昇で銀行全体が有利」という大きな流れを見ながらも、個別の財務状況や地域経済、法人取引、預金基盤を丁寧に確認することが重要です。
まとめ
今回の動画では、専業投資家の視点から、地銀株を評価するうえで重要な2つのランキングが紹介されました。
預金残高の伸び率では、名古屋銀行が8.8%と突出しており、法人預金の伸びが注目されました。全体平均が1.8%にとどまる中で、3%台後半から4%台の伸びを見せている地銀は、相対的に強い預金基盤を持っていると考えられます。
有価証券の評価損益では、京都銀行が8070億円で第1位となり、株式含み益の大きさが改めて確認されました。製造業との関係が深い地域の銀行も、株高や法人取引の面で恩恵を受けやすい可能性があります。
一方で、地銀を取り巻く環境は楽観だけでは語れません。個人預金は伸びにくくなっており、投資信託や株式、保険などに資金が流れています。デジタル投資やアプリ開発にもコストがかかるため、今後は地銀再編がさらに進む可能性があります。
金利上昇は銀行株にとって追い風になりやすいものの、投資対象として見るなら、預金基盤、含み益、地域の法人取引、再編期待、自己資本の健全性などを総合的に確認する必要があります。
地銀時代の再来は、すべての地方銀行に等しく訪れるものではありません。強い地銀とそうでない地銀の差が広がる中で、どの銀行が次の時代に選ばれるのかを見極めることが、今後の銀行株投資ではますます重要になりそうです。


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