新NISAで資産が増えている人ほど要注意。2026年後半に見直したい「現金比率」と4つの財布の考え方

本記事は、YouTube動画『新NISAで資産が増えている人。2026年後半は危ないかもしれません』の内容を基に構成しています。

目次

相場が強い時ほど「現金はいらない」と感じやすい

新NISAをきっかけに、投資を始める人、投資額を増やす人が大きく増えています。株式市場が好調な時期には、現金を銀行口座に置いておくことがもったいなく感じられます。

「インフレが進んでいるのに、現金のままでは価値が減ってしまう」
「もっと早く新NISAの枠を埋めたい」
「S&P500や全世界株式に早く投資した方がよいのではないか」

こう考えるのは自然なことです。

しかし、相場が強い時ほど見落としやすいのが、生活を守るための現金です。もし次の暴落で資産が30%、40%下がったタイミングで、教育費、住宅修繕費、親の介護費、急な生活費が必要になったらどうなるでしょうか。

十分な現金がなければ、本来は長期で保有するはずだった新NISAの投資信託や株式を、暴落の最中に売らざるを得なくなるかもしれません。非課税でじっくり育てるはずだった資産を、1番売りたくない安値で手放すことになります。

つまり、相場が強い今こそ、現金比率を見直す必要があるのです。

日本人の投資額は増えているが、貯蓄率は下がっている

近年、日本では投資をする人が明らかに増えています。特に新NISAの普及によって、現役世代を中心に投資が身近なものになりました。

動画では、2025年12月末時点でNISA口座数が2826万口座に達していると紹介されています。政府目標は2027年12月末までに3400万口座とされていますが、このペースであれば前倒しで達成する可能性もあると説明されています。

NISAの利用は若い世代だけではありません。30代の口座開設率が高く、40代、50代にも広がっています。これは、長期的に見れば非常に良い変化です。現金だけではインフレに負けやすく、年金だけに頼る老後設計も難しくなっているため、自分で資産形成を進める人が増えるのは自然な流れです。

一方で、投資額が増えたからといって、家計そのものが強くなったとは限りません。

動画では、日本の家計金融資産が2350兆円規模に達し、現預金よりも株式や投資信託への資金流入が目立っていると説明されています。現金比率も48.5%へ低下し、日本の家計が徐々に投資へ向かっていることが示されています。

しかし問題は、家計貯蓄率です。

家計貯蓄率とは、手取り収入のうち使わずに残ったお金の割合です。コロナ禍では外出や旅行が減ったこともあり、貯蓄率が10%を超える時期もありました。ところが足元では、ざっくり2%前後まで下がっていると説明されています。

たとえば、手取り月収40万円の家庭で考えてみます。貯蓄率が10%なら毎月4万円、年間48万円を貯めることができます。しかし貯蓄率が2%なら、毎月残るお金は8000円、年間では9万6000円です。その差は年間38万4000円にもなります。

投資資産は増えているように見えても、日々の生活に残る現金は少なくなっている可能性があるのです。

新NISA貧乏という言葉が示す家計の危うさ

最近では「新NISA貧乏」という言葉も聞かれるようになりました。これは、新NISAへの投資を優先しすぎるあまり、日々の生活費が圧迫されている状態を指します。

もちろん、将来のために投資を頑張ること自体は悪いことではありません。しかし、将来のお金を育てる一方で、今の生活を守る現金が薄くなっているなら注意が必要です。

生活防衛資金が不足している状態で暴落が起きると、本来売るべきではないタイミングでNISA資産を売却することになります。

だからこそ、次に買う投資信託を考える前に、自分の現金比率を確認することが大切です。

現金不足で起きる4つの最悪シナリオ

現金が少ないと、家計にはどのような問題が起きるのでしょうか。動画では、現金不足によって起きる損失として4つのシナリオが紹介されています。

急な出費で投資信託や株式を売らされる

車の故障、家電の買い替え、病気、介護、教育費、住宅修繕、転職や独立による一時的な収入減など、急な出費は突然やってきます。

たとえば急に100万円が必要になったとします。現金が200万円ある人なら、そこから支払うことができます。しかし現金が20万円しかない人は、NISAや証券口座の資産を売るしかありません。

ここで相場が30%下落していた場合、100万円を用意するためには、暴落前に143万円程度の価値があった資産を売っているのと同じことになります。これは、将来育つはずだった資産を大きく削る行為です。

暴落時に資産全体が大きく減る

資産3000万円を持っている人がいたとします。株式100%で保有している場合、相場が40%下落すると資産は1800万円になります。金額にすると1200万円の減少です。

「40%下落」と聞くと少し遠い話に聞こえるかもしれません。しかし「3000万円が1800万円になる」と考えると、一気に現実感が増します。

一方で、株式80%、現金20%なら、40%下落後の資産は2040万円。株式70%、現金30%なら2160万円。株式50%、現金50%なら2400万円です。

ここで重要なのは、誰もが株式と現金を50対50にすべきという話ではありません。現金がまったくない状態では、暴落時に必要なお金を用意するために株式を売らなければならないという点です。

新NISAの非課税成長を途中で止めてしまう

新NISAの最大の魅力は、長期で運用した利益が非課税になることです。

たとえばNISAで300万円を保有し、今後20年間、年率5%で運用できたと仮定します。この場合、20年後には約796万円になります。増えた約496万円に税金がかからないことが、新NISAの大きなメリットです。

元本500万円なら20年後は約1327万円、増加額は約827万円です。元本1000万円なら20年後は約2653万円、増加額は約1653万円になります。

通常なら運用益には約20%の税金がかかりますが、NISAでは非課税です。つまり、暴落時に生活費のためにNISA資産を売るということは、将来得られたかもしれない非課税成長を手放すことでもあります。

もちろん、これはシミュレーションであり、将来のリターンは誰にも分かりません。しかし、NISAを途中で売る痛みは、その瞬間の損益だけではありません。将来の非課税利益を失う可能性がある点が大きいのです。

退職直後の暴落でシーケンスリスクが高まる

50代、60代で特に注意したいのが、シーケンスリスクです。

シーケンスリスクとは、同じ平均リターンであっても、暴落がいつ来るかによって資産寿命が大きく変わるリスクのことです。

たとえば65歳時点で3000万円を持ち、毎年120万円、つまり月10万円を取り崩すとします。初年度に30%下落し、その後19年間プラス6%で運用できた場合、20年後の残高は約1939万円になります。

一方、最初の19年間は年6%で運用でき、最後に30%下落した場合、20年後の残高は約3398万円になります。

同じようなリターンでも、暴落が最初に来るか最後に来るかで、残高に約1459万円もの差が出るのです。

だからこそ、退職後や退職が近い人ほど、数年分の生活費を現金や低リスク資産で持っておく意味が大きくなります。

ただし現金だけでも資産は守れない

ここまで現金の重要性を見てきましたが、現金をたくさん持てばよいという話ではありません。現金だけに偏ることにも大きなリスクがあります。

その理由はインフレです。

現金1000万円は、通帳上では1000万円のままです。しかし、物価が上がれば、1000万円で買えるものは減っていきます。

動画では、現金1000万円の実質価値について、インフレ率別のシミュレーションが紹介されています。

インフレ率が年1%なら、30年後の実質価値は約742万円。年3%なら約412万円。年4%なら約308万円です。

つまり、通帳の数字は減らなくても、購買力は大きく下がっていきます。

3000万円の現金でも同じです。インフレ率が年1%なら20年後の実質価値は約2459万円。年3%なら約1661万円になります。通帳には3000万円と表示されていても、買えるものの量は大きく減ってしまうのです。

老後も「全部現金」では安心とは言えない

65歳になったら投資を終えて、老後資金をすべて現金で持つべきだと考える人もいます。しかし、65歳からでも人生は20年、30年続く可能性があります。

65歳時点で3000万円を持ち、毎月10万円を取り崩す場合、年0%で現金のみなら20年後の残高は600万円です。

一方、年3%で運用できた場合は約2150万円、年5%で運用できた場合は約3902万円になります。もちろん、実際の投資は毎年安定して3%や5%で増えるわけではありません。株式市場は上下します。

それでも、老後だからといって全額を現金にするのも不安が残ります。

大切なのは、すぐ使うお金は守り、まだ先に使うお金は育てるという考え方です。現金か投資かの2択ではなく、お金を役割ごとに分ける必要があります。

解決策は「4つの財布」に分けること

動画では、資産管理の方法として「4つの財布」に分ける考え方が紹介されています。

1つ目は生活防衛資金です。失業、病気、事故、急な出費に備えるお金です。基本的には普通預金など、すぐに使える場所に置いておきます。これは増やすお金ではなく、生活を守るお金です。

2つ目は予定支出資金です。教育費、税金、車、住宅修繕、引っ越し、親の介護、大きな旅行など、数年以内に使う可能性があるお金です。5年以内に使う可能性が高いお金は、長期投資に回すべきお金ではありません。

3つ目は暴落時の反撃資金です。相場が大きく下がった時の買い増しや、資産が一時的に減った時の補填用として持つお金です。これは全員に必須ではありませんが、あると心理的な余裕につながります。

4つ目は成長資産です。10年以上先に使うお金を増やすための財布です。新NISAで長期投資するお金は、基本的にここに入ります。

重要なのは順番です。

まず生活を守るお金を確保し、次に予定を守るお金を確保します。そのうえで余裕があれば暴落時の資金を用意し、最後に残ったお金を成長資産に回します。

資産1000万円・3000万円の場合の考え方

たとえば資産1000万円の現役世代なら、生活防衛資金150万円、予定支出資金100万円、暴落時の資金100万円、成長資産650万円という分け方が考えられます。

この場合、投資に回す成長資産は650万円ですが、それ以外にも生活を守る現金がきちんと確保されています。

資産3000万円の40代、50代なら、攻め寄りか守り寄りかで配分は変わります。

攻め寄りなら、生活防衛資金300万円、予定支出資金300万円、暴落時の資金300万円、成長資産2100万円という形です。成長資産の割合は70%になります。

守り寄りなら、生活防衛資金300万円、予定支出資金500万円、暴落時の資金400万円、成長資産1800万円という形です。成長資産の割合は60%になります。

どちらが正解というわけではありません。教育費が近い人、住宅ローンがある人、独立して収入が変動する人、親の介護リスクがある人は、守り寄りでもよいでしょう。

反対に、収入が安定していて、暴落時でも積み立てを続けられる人は、やや攻めた配分でもよいかもしれません。

大切なのは、自分の生活状況に合わせて考えることです。

現金比率を決める5つのステップ

現金比率は、感覚で決めるのではなく、順番に考えると分かりやすくなります。

ステップ1:毎月の生活費を出す

まずは毎月の生活費を把握します。生活防衛資金の基準は、毎月の生活費です。

たとえば生活費が月30万円の場合、6ヶ月分なら180万円、12ヶ月分なら360万円、24ヶ月分なら720万円が目安になります。

会社員で収入が安定している人は、6ヶ月から12ヶ月分が目安です。個人事業主や収入変動が大きい人は、12ヶ月から24ヶ月分を持っておくと安心です。

ステップ2:5年以内に使うお金を出す

次に、5年以内に使う可能性が高いお金を確認します。

教育費、車、住宅修繕、税金、引っ越し、親の介護、独立準備資金などです。これらは長期投資に回すお金ではありません。

使う時期が近いお金を株式に置いてしまうと、必要なタイミングと暴落が重なった時に困ります。

ステップ3:暴落時の反撃資金を決める

暴落時の反撃資金は必須ではありませんが、あると心強いお金です。目安としては、総資産の5%から10%程度とされています。

ただし、多すぎると待機資金が増え、長期リターンを下げる可能性もあります。特に資産形成期の人は、無理に大きく用意する必要はないでしょう。

もし反撃資金を持つなら、使うルールを先に決めておくことが大切です。たとえば、20%下がったら3分の1を使い、30%下がったらさらに3分の1を使い、40%下がったら残りを使う、といった形です。

平常時にルールを決めておけば、暴落時に感情で判断しにくくなります。

ステップ4:残りを成長資産に回す

生活防衛資金、予定支出資金、暴落時の反撃資金を確保した後、残りを成長資産に回します。

ここで初めて、新NISAや投資信託の出番です。

投資額を先に決めるのではなく、守りを固めてから投資額を決める。この順番が重要です。

ステップ5:年1回リバランスする

4つの財布は、1度分けたら終わりではありません。年1回程度、見直す必要があります。

生活防衛資金は減っていないか。予定支出資金は足りているか。新しいイベントや支出予定は増えていないか。暴落時の資金を使ったままになっていないか。成長資産が増えすぎてリスクを取りすぎていないか。逆に現金を持ちすぎていないか。

こうした点を年末年始などに確認すると、家計と投資のバランスを保ちやすくなります。

追加解説:現金は「守り」ではなく長期投資を続けるための武器

現金を持つことは、一見すると守りの話に見えます。しかし、長期投資においては攻めの意味もあります。

なぜなら、現金がある人だけが暴落時に売らずに済むからです。生活費に困らなければ、NISA資産を安値で売る必要がありません。さらに余裕があれば、暴落時に買い増すこともできます。

一方、現金がなければ、どれだけ長期投資を理解していても、生活のために売らざるを得ない場面が出てきます。

つまり、現金はリターンを生まない無駄なお金ではありません。長期投資を継続するための土台であり、暴落時に冷静さを保つための保険でもあります。

まとめ:新NISAで資産が増えている今こそ現金比率を見直す

新NISAをきっかけに投資を始める人、投資額を増やす人が増えています。これは日本人の資産形成にとって良い変化です。

しかし、投資額が増えたからといって、家計が必ず強くなったわけではありません。貯蓄率が下がり、物価や固定費が上がる中で、現金が薄くなっている家庭もあります。

相場が上がっている時は、現金不足の怖さは見えにくいものです。しかし、暴落と急な出費が重なった時、その怖さは一気に表面化します。

せっかく新NISAで長期投資を始めたのに、生活費や教育費のために暴落時に売らされる。これが最も避けたい事態です。

ただし、現金だけでも安心ではありません。インフレが続けば、現金の実質価値は少しずつ削られていきます。

だからこそ、現金か投資かの2択ではなく、お金を役割で分けることが大切です。

生活を守るお金、予定を守るお金、暴落時に反撃するお金、未来を育てるお金。この4つの財布に分けて考えることで、家計と投資のバランスは大きく安定します。

相場が強い時ほど、現金は地味に見えます。しかし、現金があるからこそ、暴落時に売らずに済みます。現金があるからこそ、長期投資を続けやすくなります。

新NISAで資産が増えている今こそ、自分の現金比率を確認し、生活を守りながら資産を育てる体制を整えておきたいところです。

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