日経平均が急騰してもキオクシアだけ逆行安、その理由は?今後の株価を左右する4つのポイント

本記事は、YouTube動画『【速報】日経急騰でもキオクシアだけ逆行安 その正体と今後』の内容を基に構成しています。

2026年10月5日の東京株式市場では、日経平均株価が前営業日比1637.40円高の6万9946.86円まで上昇しました。

特に相場を押し上げたのが半導体関連株です。アドバンテストや東京エレクトロンなどが大きく上昇し、AI・半導体関連株への資金流入が目立つ1日となりました。

ところが、その中で異なる動きを見せた銘柄があります。

NAND型フラッシュメモリ大手のキオクシアホールディングスです。

キオクシアは1万9620円で始まり、一時は1万9750円まで上昇しました。しかし、その後は急速に失速し、終値は1万9120円。前営業日比180円安となりました。

しかも、日経平均へのマイナス寄与度ではキオクシアがトップでした。

「半導体株が大きく上昇しているのに、なぜキオクシアだけ下がったのか」

この違和感を理解するためには、単純に「半導体株」という括りだけで市場を見るのではなく、どの分野に資金が流れているのか、直前まで株価がどのように動いていたのか、そしてキオクシア特有の需給環境まで分けて考える必要があります。

目次

日経平均1637円高でもキオクシアは逆行安

10月5日の日経平均株価は6万9946.86円で取引を終え、前営業日から2.40%上昇しました。

指数上昇への寄与が特に大きかったのがアドバンテストと東京エレクトロンです。

アドバンテストは日経平均を約360円、東京エレクトロンは約336円押し上げ、この2銘柄だけで約697円分の上昇に寄与しました。

さらにソフトバンクグループやTDKなども上昇しており、AIや半導体関連の大型株が指数を強く押し上げる相場でした。

一方、キオクシアは朝方こそ買われました。

始値は1万9620円。9時8分には1万9750円まで上昇します。

ところが、その後は一転して売りが優勢となり、9時33分には1万9085円まで急落しました。

わずか25分ほどで高値から665円下落したことになります。

最終的な終値は1万9120円でした。

つまり、キオクシアには最初から買いが入らなかったわけではありません。半導体株高を受けて朝には買われたものの、高値圏で大量の売りが出て、その買いを吸収してしまったと考える方が値動きには合っています。

では、なぜ売りがこれほど強かったのでしょうか。

「半導体株」と一括りにするとキオクシアの動きを見誤る

まず理解しておきたいのが、同じ半導体関連株でも、企業によって利益を左右する要因が大きく異なることです。

アドバンテストが主に評価されているのは、AI向けなど高性能半導体のテスト需要です。

東京エレクトロンは半導体そのものを製造する会社ではなく、半導体製造装置を手掛けています。

一方、キオクシアの主力事業はNAND型フラッシュメモリやSSDです。

もちろん、AIデータセンターの拡大はキオクシアにとっても追い風です。

生成AIが普及し、大量のデータを保存・処理するデータセンターが増えれば、SSDやNAND型フラッシュメモリの需要増加が期待されます。

しかし、GPU需要が拡大したからといって、アドバンテスト、東京エレクトロン、キオクシアの株価が毎日同じように動くわけではありません。

キオクシアの業績を見る場合には、AI需要だけではなく、

NAND価格、SSD需要、出荷数量、在庫、競合メーカーの生産姿勢、供給量、利益率

といったメモリ市場特有の要因を見る必要があります。

10月5日の市場では「AI・半導体なら何でも買う」というより、米国のAI関連株高の恩恵を受けやすい日本の大型株へ資金が集中した側面が強かったと考えられます。

日経平均の急騰は「全面高」ではなかった

日経平均が1600円以上上昇すると、日本株全体が一斉に上がったように感じるかもしれません。

しかし、実際にはそうではありません。

東証プライム市場では値上がり銘柄が860銘柄、値下がり銘柄が633銘柄でした。

つまり、圧倒的な全面高ではありません。

特に日経平均は値がさ株の影響を強く受ける指数です。

アドバンテストと東京エレクトロンだけで日経平均を約697円押し上げています。

さらにソフトバンクグループやTDKなどを加えると、この日の指数上昇のかなりの部分を少数の大型株で説明できます。

したがって、「日経平均が1600円上がったのだから、キオクシアも上がって当然」という考え方そのものが必ずしも正しくありません。

指数の動きと個別株の需給は別のものとして考える必要があります。

キオクシアはすでに10月1日から先行して買われていた

もう1つ重要なのが、キオクシアは10月5日に半導体株が買われる前から、すでに大きく上昇していたという点です。

9月30日の終値は1万8095円でした。

10月1日には1万9100円まで上昇し、1日で1005円高、率にして約5.6%上昇しました。

さらに10月2日には1万9300円まで上昇しています。

9月30日終値から10月2日までの上昇率は約6.7%です。

この10月1日の上昇では、米メモリ大手マイクロンの業績見通しなどを背景に、AIやデータセンター需要の拡大がメモリ市場にも追い風になるとの期待が強まりました。

つまり、メモリ株への期待は10月5日に突然始まったものではありません。

市場はその前の段階ですでにキオクシアを買っていました。

そのため10月5日に半導体株全体が上昇した際には、新しい買い材料として反応するというより、直前の上昇で利益が出ていた投資家が利益確定する機会になった可能性があります。

株式分割も短期資金を呼び込みやすくした

キオクシアでは10月1日に1株を3株とする株式分割が実施されました。

分割前は1単元を購入するために非常に大きな資金が必要でしたが、株式分割によって最低投資金額は約3分の1になりました。

個人投資家が参加しやすくなるため、長期的には株式の流動性向上が期待できます。

一方、分割直後に好材料が重なると、短期資金も入りやすくなります。

10月1日は株式分割の効力発生日であり、同時にメモリ市場への強気な期待も高まり、キオクシアは大きく上昇しました。

この日の出来高は約5234万株まで膨らんでいます。

対して10月5日の出来高は約3732万株でした。

日経平均が1600円以上上昇し、半導体株に強い買いが入った日であるにもかかわらず、キオクシアの出来高は10月1日を下回っています。

これは、10月5日の市場全体の熱気がそのままキオクシアへの新しい大口資金流入につながったわけではないことを示す1つの材料です。

むしろ10月1日に大きな資金移動がすでに起きており、10月5日は新しく入ってくる買いと、直前までに買っていた投資家の利益確定売りがぶつかったと考える方が自然です。

高値1万9750円から25分で665円下落

10月5日の値動きで特に重要なのが、朝の急失速です。

キオクシアは9時8分に1万9750円まで上昇しました。

しかし、9時33分には1万9085円まで下落しています。

高値から安値まで665円です。

しかも、その間も日経平均そのものは強い状態を維持していました。

つまり、市場全体の地合い悪化によってキオクシアが売られたわけではありません。

キオクシア固有の売り圧力があった可能性を考える必要があります。

終値の1万9120円も日中安値1万9085円から35円しか戻していません。

朝だけ一瞬売られ、その後すぐに買い戻された形ではなく、日中を通して上値の重い状態が続きました。

この値動きから考えると、「買い手がいなかった」というより、「高く始まったところで、それ以上に売り手が出てきた」と考える方が適切です。

直前の上昇による利益確定売り

売り手の候補としてまず考えられるのが、直前の上昇で利益が出ていた短期投資家です。

9月30日から10月2日にかけてキオクシアは約6.7%上昇しました。

特に10月1日は5000万株を超える大商いとなっています。

材料が出た日に大量の資金が入り、その後さらに半導体株高によって高く始まれば、一度利益を確定しようと考える投資家が出ることは不自然ではありません。

さらに、キオクシアは6月22日に高値3万7566円をつけています。

10月5日の1万9000円台は、その水準から見ると大幅に低い位置です。

高値圏でキオクシアを購入した投資家にとっては、株価が大きく戻ったところが保有株を減らす機会になる場合もあります。

つまり、新規の買いだけではなく、過去の高値圏から残っている「戻り売り」も吸収しなければ、株価は上昇できません。

信用倍率16倍台という需給の重さ

今回の逆行安を考えるうえで、もう1つ無視できないのが信用取引の需給です。

9月25日時点では、キオクシアの信用売り残約83万6400株に対し、信用買い残は約1392万9900株でした。

信用倍率は16.65倍です。

つまり、信用売り残と比較すると信用買い残が非常に多い状態でした。

10月1日時点の日々公表データでも信用倍率は16倍前後となっています。

もちろん、信用倍率が高いから必ず株価が下落するという意味ではありません。

強い材料が続けば、多くの信用買い残を抱えながら株価が上昇することもあります。

ただし、10月5日のように朝方に大きく上昇した後、すぐに売りに押される場面では、この信用買い残の多さは無視できません。

上昇局面では含み損だった信用買い投資家が「戻ったところで売りたい」と考える可能性があるためです。

さらに10月5日の高値1万9750円付近で「半導体株が上がっているからキオクシアも上がる」と考えて新規に買った投資家も、その後の下落によって短期的には含み損となります。

すると次に株価が戻った時、今度は10月5日に買った投資家まで新しい戻り売り候補になります。

これが個別株を見る際に指数だけでは判断できない理由です。

8000億円の自社株買いはすでに終了

さらに注意したいのがキオクシアの自己株式取得です。

キオクシアは7月31日、最大8000億円の自己株式取得枠を設定しました。

当初の取得期間は8月3日から10月30日までとされていました。

この情報だけを覚えていると、「10月末まで会社による自社株買いが株価を支える」と考えてしまうかもしれません。

しかし、実際にはキオクシアは8月10日に自己株式取得の終了を発表しています。

取得株数は1613万3500株、取得総額は約8000億円です。

取得枠を短期間でほぼ使い切ったため、10月5日時点で「これから8000億円の自社株買いが入る」という状況ではありません。

これは10月5日に突然出た悪材料ではなく、8月からすでに分かっていた事実です。

取得総額と取得株数から計算すると、平均取得価格は分割前ベースで約4万9586円です。

1株を3株に分割した現在の株価に換算すると、約1万6529円になります。

ただし、この価格が株価の下値を保証するわけではありません。

重要なのは、8月上旬には会社自身が約8000億円という非常に大きな買い需要を市場へ出していましたが、現在その買い手はいないという点です。

今後1万9000円台からさらに上昇するためには、自社株買いではなく、業績やメモリ市場への期待を背景とした新しい投資家の買いによって、上値の売りを吸収していく必要があります。

キオクシア逆行安の理由を4つに整理

ここまでを見ると、10月5日にキオクシアが半導体株高へ乗れなかった理由は大きく4つに整理できます。

1つ目は、この日買われた半導体株がAI向けGPU周辺、半導体製造装置、テスト関連などに偏っていたことです。

2つ目は、キオクシア自身は10月1日からすでに上昇し、メモリ市場への期待をある程度先行して織り込んでいたことです。

3つ目は、朝方に1万9750円まで上昇したものの、利益確定売りや信用買いを含む戻り売りを吸収できず、短時間で失速したことです。

4つ目は、以前株価を支えていた8000億円規模の自社株買いがすでに終了しており、現在は市場参加者の買いだけで上値の売りを吸収する必要があることです。

したがって、「キオクシアだけ業績に問題が発生した」「AI相場からキオクシアだけ外された」と即断するのは早いでしょう。

一方で、「半導体株が上がればキオクシアも自動的に上がる」と考えるのも危険です。

今後注目したい1万9750円と1万9085円

今後、この逆行安が単なる1日の利益確定だったのか、それともキオクシア固有の上値の重さを示しているのかを判断する必要があります。

その際に最初の基準となるのが、10月5日の高値1万9750円と安値1万9085円です。

半導体株全体が引き続き強い中で、キオクシアが1万9750円を明確に上回り、2万円台でも売りを吸収できるようであれば、10月5日の下落は一度利益確定売りをこなしただけだった可能性が高まります。

特に出来高を伴って高値を突破できるかが重要になります。

反対に、半導体株全体が強いにもかかわらず1万9750円付近へ近づくたびに売られ、さらに1万9085円を下回るようであれば、市場全体ではなくキオクシア固有の需給の重さが意識されます。

さらに下では10月1日の安値1万8530円や、9月30日の終値1万8095円が比較対象になります。

これらは売買を推奨する価格ではありません。

今回考えた需給の仮説が正しいかを確認するための観察ポイントです。

1万9000円前後を維持できれば、直前の上昇を完全には失わず高値圏で値固めしていると考える余地があります。

一方、10月1日の上昇をほぼ打ち消すところまで戻るのであれば、マイクロンなどをきっかけとして入ったメモリ市場への期待そのものが巻き戻されている可能性も考える必要があります。

本当に重要なのはNANDとSSDの利益環境

では、今後キオクシアの株価を本格的に上へ動かす材料は何でしょうか。

日経平均が7万円を超えるかどうかより重要なのが、NAND型フラッシュメモリとSSDの利益環境です。

キオクシアの業績はすでに大きく拡大しています。

2027年3月期第1四半期では、生成AI向けを中心としたデータセンター需要の拡大などを背景に、売上収益が前年同期比約5倍となる1兆7671億円まで増加しました。

今後この成長が株価へ継続的に反映されるためには、「AI需要が強い」という説明だけでは十分ではありません。

実際にその需要が、

NANDの販売価格、出荷数量、SSD売上、利益率

へどの程度つながっているのかを見る必要があります。

メモリ株には「供給増」という独特のリスクがある

メモリ市場には特有のサイクルがあります。

需要が強くなり価格が上昇すると、各社が生産能力を増やします。

ところが、生産能力が増えすぎれば今度は供給過剰となり、メモリ価格が下落します。

半導体メモリ業界はこれまで何度もこのサイクルを繰り返してきました。

キオクシアとサンディスクは8月、日本国内で約5兆円を投じる計画を公表しています。

長期的にはAI時代のメモリ需要を取り込むための大型投資です。

しかし、株式市場が見るのは需要の拡大だけではありません。

増加した生産能力を市場が吸収できるのか、そして供給が増えても販売価格と利益率を維持できるのかまで問われます。

ここがアドバンテストや東京エレクトロンなどと、キオクシアの株価が毎日同じ動きをしない大きな理由でもあります。

キオクシアもAI相場の恩恵を受ける企業ですが、「AI関連株」という言葉だけで他の半導体株と同じ値動きをすると考えるべきではありません。

10月30日の決算で見るべきポイント

次の大きなイベントとなるのが、10月30日18時45分に予定されている2027年3月期第2四半期決算です。

ここで重要なのは単純な売上高の大きさだけではありません。

データセンター向けSSD需要がどこまで続いているのか。

NANDの販売価格が上向いているのか。

業績拡大が出荷数量増によるものなのか、それとも価格上昇によるものなのか。

大型投資を進めながら利益率を維持できるのか。

さらに次の四半期について会社側がどの程度の需要を見込んでいるのか。

こうした中身を見る必要があります。

内容が強ければ、10月5日の逆行安について「半導体高に乗れなかった弱さ」ではなく、決算前に短期的な利益確定や戻り売りを処理していた期間だったという解釈も可能になります。

逆にAI需要そのものは強くても、NAND価格や利益率の改善が鈍い場合には、10月5日の弱い値動きが将来への懸念を先取りしていた可能性も出てきます。

信用買い残が整理されるかも重要

今後は信用取引の需給にも注目です。

現在のように信用倍率が16倍前後という状態から、株価の上昇とともに信用買い残が減っていくのであれば、上値の重さは徐々に改善していきます。

反対に株価が伸びないまま信用買い残だけが増えれば、次に株価が上昇した際の戻り売り圧力がさらに強くなる可能性があります。

重要なのは「信用倍率が高いから下がる」という単純な考え方ではありません。

株価が上昇する過程で信用買い残が整理されているのか、それとも高値を追う信用買いがさらに増えているのか。

株価と信用残高の組み合わせを見ることが重要です。

まとめ

10月5日のキオクシアの逆行安を、「AI・半導体相場からキオクシアだけ取り残された」と考えるのは早いでしょう。

この日の日本株で特に買われたのは、AI向け半導体のテスト、製造装置、GPU周辺といった銘柄でした。

一方のキオクシアは、メモリ市場への期待によって10月1日からすでに先行して上昇していました。

そこへ利益確定売り、過去の高値からの戻り売り、信用買い残の多さなどが重なり、朝方に入った新しい買いを吸収したという見方が、現時点では値動きと整合的です。

今後の重要な確認ポイントは4つです。

まず、10月5日の高値1万9750円を取り戻せるか。

次に、安値1万9085円を維持できるか。

そして、株価の上昇とともに信用買い残が整理されていくか。

最後に、10月30日の決算でAI・データセンター需要が実際にNAND価格、SSD販売、利益率の改善へつながっていることを示せるかです。

指数が大きく上昇している日に、自分が注目している銘柄だけが下落すると、「何か重大な悪材料を見落としているのではないか」と不安になりやすいものです。

しかし、日経平均は少数の値がさ株だけでも大きく動きます。

さらに同じ半導体関連株でも、GPU、テスト装置、製造装置、メモリでは利益を動かす条件が異なります。

「半導体株だから」という表面的な括りだけを見るのではなく、どの分野へ資金が流れているのか、その銘柄はすでにどこまで買われていたのか、そしてどの価格帯で売りが出ているのかまで分けて考えること。

それが今回のキオクシアの逆行安を理解するうえで、最も重要なポイントといえそうです。

なお、本記事は情報提供を目的としたものであり、特定銘柄への投資を推奨するものではありません。

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